川端康成「古都」を現代版で映画化!松雪泰子が一人二役に挑み京都&パリで撮影
2016年6月15日 05:00
1962年に新潮社から刊行された同名原作は、過去に2度(63年と80年)映画化されている。今作がこれまでと大きく異なるのは、原作では描かれることがなかった大人になった主人公たちの物語として描いている点だ。松雪が演じる生き別れた双子の姉妹、伝統の継承に生涯を捧げる呉服屋の姉・佐田千重子と北山杉の里で働く妹・中田苗子には、それぞれ一人娘がいるという設定。千重子の娘・佐田舞には橋本愛、苗子の娘・中田結衣には成海璃子が扮している。
撮影は既に終了しており、京都と仏パリでオールロケを敢行。京都では“ほんまもん”を追及し尽くし、京都府および京都市が映画企画としては初めて後援する。茶道のシーンでは裏千家今日庵の全面協力を得て国宝級の茶道具が提供されたほか、華道のシーンでは池坊専好次期家元、禅のシーンでは妙心寺退蔵院の松山大耕副住職が自ら出演。松雪と橋本が着用した着物も、こだわり抜かれたものが用意されたという。
松雪は「京都での撮影は、実際に室町で呉服屋さんをされている方の町家をお借りしての撮影で、代々受け継がれる伝統を感じながらの撮影でした。ある意味、重圧にもなり得るその重みを背負って生きる千重子の生き様を感じる事ができました」と振り返る。作品についても「現代における、京都の現状。伝統を大切に守る事やその重圧、そして未来につないでいく事、そしてそれを担う娘の葛藤。かつての古都の時間軸から現代にまでつながり、そして未来を紡いでいく物語です」と説明している。
実家を継ぐべきか悩む大学生の舞を演じきった橋本は、「お茶、書道、座禅、日本舞踊と日本の文化や伝統芸能を学ぶことができてとても嬉しかったです。一部パリロケもあったのですが、京都もパリもだいっすきな町。文化や芸術が大事に守られていて、どちらの土地にも静かな自信とパワーを感じました」と述懐。成海も、「撮影期間は1週間という短い期間でしたが、その分グッと集中して取り組む事ができました。現地のフランス人スタッフも素晴らしく、良い撮影現場だったと思います」とコメントを寄せた。
ハリウッドで映画製作を8年間にわたり学び、帰国後もアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督らの現場で研鑽を積んだSaito監督は、「過去に2人の偉大な映画監督によって映画化された川端康成先生の原作をそのまま焼き増しするのではなく、今の時代を生きる自分の視点で、新しい『古都』に挑戦しました。この志の元に集まった松雪さんはじめ最高のキャスト&クルーにより、日本の伝統・文化・精神を世界へ発信できれば幸いです」と話している。
なお、蒼れいな、蒼あんな、葉山奨之、栗塚旭、伊原剛志、奥田瑛二らが脇を固めている。11月26日から京都で先行上映され、12月3日から全国で公開。
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