「ベイマックス」舞台の架空都市サンフランソウキョウ、誕生の裏に日本人スタッフの存在
2014年12月19日 11:00

[映画.com ニュース] 日本文化に強いインスピレーションを受けて製作された、ディズニー・アニメーション最新作「ベイマックス」の舞台となっているのが、サンフランシスコと東京をミックスした“サンフランソウキョウ”だ。坂道が多いサンフランシスコの地形を下敷きに、近未来的な建造物とレトロな街並みが同居するという東京の特色が息づいた架空の都市。その誕生の立役者が、米ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオでレイアウトモデラーとして手腕を振るう日本人スタッフの鈴木松根氏だ。(取材・文/内田涼)
鈴木氏は1997年に同スタジオに入社し、「塔の上のラプンツェル」「くまのプーさん」「シュガー・ラッシュ」、そして「アナと雪の女王」といった近年のディズニーアニメの傑作群で、アニマティックやレイアウトを担当。ジェームズ・キャメロン監督の「アバター」といった実写作品にも、モデラーとして参加している。本作では、カメラワークや画面上のセット配置を簡易的に映像化する“プリビジュアライゼーション”の段階から、都市のデザインに大きく貢献した。
「ハリウッドが日本を描くといえば、実際とはかけ離れたオリエンタルな雰囲気になりがち。ただ、今回は監督のドン・ホールとクリス・ウィリアムズが『ぜひ、日本のもつ本来のデザインを』と言ってくれて、うれしかったですよ。彼ら自身も日本に足を運んで、徹底的なリサーチをしてくれましたし」と鈴木氏。日本らしさを表現する上で、まず手がけたのが大量の広告だという。看板やネオン、電光掲示板など多種多様な広告があふれるサンフランソウキョウは、確かに東京・渋谷や歌舞伎町を連想させる。
「もちろん、すべて架空の広告ですけど、実在するものを参考にすることもあるので、似すぎていないか社内の法律家に相談するケースも。それに日本語は漢字、ひらがな、カタカナと書体も豊富ですから。例えば、カタカナのソ、ン、リの微妙な違いって、やっぱり日本人でなければ難しいですし」
サンフランソウキョウを生み出す過程で、鈴木氏自身が東京の独自性を再発見することも多々あったという。「やっぱり自動販売機の多さは、東京というか日本ならでは。かなりの数をデザインしました。それにいわゆる“路地裏”や雑居ビルも東京特有で、今住んでいるロスではあまり見かけない。エアコンの室外機や、むき出しになった中華料理店のダクトなども参考した」と振り返る。
アニメーションに限らず、物語の舞台設定がストーリーや登場人物の性格に強く影響を与えるが、本作もしかり。「次々と浮かぶ新しいアイデアを、デザインに盛り込むことで、ストーリーも膨らむ相乗効果があった。例えば、路地裏を走る主人公が、ビールの空ケースにつまずくとかね。あの空ケースが外に積み重なっているというのも、日本っぽい。観客の皆さんに、ストーリーに入りこんでもらうためには、そういう現実感が必要だと思いますね」(鈴木氏)。
2000万以上のパーツを組み合わせた8万3000もの建造物が立ち並ぶというサンフランソウキョウ。そこには日本人として、どこまでも自然で違和感がない、かつ緻密で独創的な都市を創造したいという鈴木氏の情熱とプライドがあふれている。「そうですね。とにかく情報量が多かったし、日本を知っているからこそ、最初は身構えてしまう気持ちもあった。ただ、粘れる部分は、とことん粘りました。映画が完成した今、サンフランソウキョウは私の子どものようなもの」と誇らしげだ。
「ベイマックス」は唯一の肉親である兄を事故で亡くした14歳の少年・ヒロと、その兄が開発したケア・ロボット“ベイマックス”の交流を描いた冒険ファンタジー。12月20日から全国公開される。
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