タイ・アカデミー賞4冠監督、参考にしたのは「ウォーターボーイズ」
2014年10月25日 21:30
[映画.com ニュース] 第27回東京国際映画祭に新設されたCROSSCUT ASIA部門の出品作「タン・ウォン 願掛けのダンス」が10月25日、公式上映され、コンデート・ジャトゥランラッサミー監督が上映後のティーチインに出席した。
今作は、タイ・アカデミー賞2014で最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀監督賞、最優秀助演男優賞の4部門を制覇。今時の男子高校生であるヨン、ジェー、ペース、エムの4人は、それぞれの願いを叶えるため神様に願掛けをしたことから、人前でタイの伝統舞踏を披露することになってしまう。奮闘する素人ダンサーたちの青春模様を、ポップでオフビートに描く。
コンデート監督は「今、タイ文化とはいったい何なのか分からなくなってきている」と言及。さらに、「タイ人自身もタイ文化にあまり興味がない状況なんです。だから脚本には批判的な部分や問い掛けのような部分があるけれど、なぜかタイの文化省が気に入り、子どもも見られるレイティングになりました(笑)」としたり顔。公開時に自国の情勢が不安定だったことも映画には追い風だったようだ。
また、物語の中心となる、願いがかなった後にお礼をするというタイの願掛け文化に対して「タイ人は日本人ほど、前のプロセスを大切にしないんです。お礼は後で考えるからって(笑)。タイ人は勤勉でないことが良いと思っているんです」と笑った。タイトルの「タン・ウォン」は舞踊の始まりのポーズを指しているが、「『君はファーストステップが出来ているか?』というタイ人への問い掛けです」と解説した。
クーデターが相次ぐタイ情勢については、「今のタイの分裂状況にあまり希望は持っていない」と無念の面持ち。また、「インターネットなどのおかげで国境線の意味はほとんどありません。アイデンティティーが薄れ、世界がひとつになってきているのではないでしょうか」と独自の文化の衰退に言及した。そのうえで、「この映画の構成も日本の『ウォーターボーイズ』や『スウィングガールズ』など、ありえないことを成し遂げた人たちの映画を参考にしました」と矢口史靖監督の代表作を挙げ、自らのアイデンティティーに日本の文化が組み込まれていることを明かした。
終始タイ情勢を憂いたコンデート監督だったが、最後には「自分の国は自分の妻にたとえることが出来る」といい、「愛しているけれど、やはり嫌いなところもある。それでも一緒に居続けなければならない。これは世界中同じことだと思います」と、母国タイへの複雑な思いを語った。
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