ジャン=ピエール・レオが初来日「大人は判ってくれない」撮影秘話語る
2014年10月11日 18:30

[映画.com ニュース] 10月21日に没後30年を迎える仏巨匠の全作品を上映する「没後30年フランソワ・トリュフォー映画祭」開催を記念し、1959年公開の「大人は判ってくれない」で主演を務めたジャン=ピエール・レオが初来日し、撮影当時の思い出を語った。
ヌーベルバーグの代表作として知られる「大人は判ってくれない」は、トリュフォーの長編初監督作で、監督自身の少年時代を色濃く反映させた自伝的作品。レオは13歳のときにオーディションで主役のアントワーヌ・ドワネル役を射止めた。その後もトリュフォーの「二十歳の恋」「夜霧の恋人たち」など4作で成人したドワネル役を演じたほか、「恋のエチュード」「アメリカの夜」に出演した。
レオは現在70歳。会場からの大きな拍手で迎えられ「『大人は判ってくれない』は私にとって、プロビデンス、いわば神の摂理のようなものです。そのプロビデンスによってトリュフォーに会うことができました。そして、アントワーヌ・ドワネルという登場人物の誕生でもあります」と語り、観客からの質問に答えた。
劇中でドワネルが鑑別所行きの護送車の中、夜のパリの街を見ながら涙を流すシーンで、その時に何を思っていたのか問われると「素晴らしい仕事をしているとき、時々奇跡のような瞬間があります。撮影は冬で、ひどい風邪をひいていました。ですから自然に涙が出たのです。これが映画の神の恩寵です」と明かした。
トリュフォーとともにヌーベルバーグをけん引したジャン=リュック・ゴダールの作品にも数多く出演した。盟友同士だった両監督は68年の5月革命後から、作品の方向性の違いにより仲違いしたが、近年のゴダールの作品について意見を求められたレオは「答えは簡単です。生きているからといって勝利者となれるわけではありません」ときっぱりと言い放ち、会場の笑いを誘った。
「没後30年フランソワ・トリュフォー映画祭」は角川シネマ有楽町で開催中。
フォトギャラリー
Amazonで関連商品を見る
関連ニュース





