“俳優嫌い” 柄本明「自分の作品ほとんど見ない」
2011年10月12日 12:07

[映画.com ニュース] 俳優の柄本明が10月11日、東京・渋谷のユーロスペースで「MADE IN JAPAN こらッ!」(高橋伴明監督)の上映後にトークショーを行った。同作は京都造形芸術大学の学生とプロの映画人がタッグを組む「北白川派映画芸術運動」から生まれた一作。同学で“飛び入り講師”を務めた経験をもつ柄本は、高橋監督や撮影時に1回生だった主演の大西礼芳らと「俳優にプロとアマの違いはあるか」「演技は学校で学べるものか」といったテーマで持論を展開した。
柄本は開口一番、大西に対し「さっきからプロとかアマって言ってるけど、俳優にプロとかアマとかあるのかなあ。俺はないと思うよ。何を基準に区別するの?」と問題提起。そもそも演技とは「不自然なもの」だといい、「よく『自然な演技』とか言うけど、何事かって思うね。それに人前に立つと、つい何かやっちゃう自分がイヤだな」。さらに「だから俳優って嫌い。俳優志望の人と会うと『えっ~』って思っちゃうし、自分が出演した作品もほとんど見ないよ」と“俳優嫌い”を告白した。
これには高橋監督も「じゃあ(自分の)家族はどうなの?」と笑いを誘ったが、柄本は「俳優を特別な職業と捉えるから、プロとかアマっていう線引きをしたくなる。気持ちはわかるけど、そういう考えは演技の本質から外れてしまう」と思いを語った。
また、「演技を教える大変さ? 演技なんて誰にも教えられないよね。きっと学生さんも学んでいるうちに『教えてもらえない』と気づくはず。そういう意味では大学や演技学校の存在価値は“ある”と思う」。大西があえて「どうやって演技を勉強したか」と問うと、「演技がうまくなりたい欲望は人一倍強いけど、そんな気持ち、見てる側はちゃんと見抜くからね。俳優なんて日々、自分の愚かさを知ってガッカリするだけ(笑)。でもそれを楽しめれば、いいんじゃない? まだあなたは若いからいいけど、俳優続けてこの先、待っているのは残酷物語だけだから」と辛口エールをおくった。
「MADE IN JAPAN こらッ!」は当時4回生の和間千尋のオリジナル脚本を映画化した「北白川派映画芸術運動」第2弾作品。祖母の死をきっかけに、家族が崩壊する様を描いたホームドラマ。大西が娘・雛子役で主演し、その母親で雛子の幼なじみと結婚宣言する春子を松田美由紀が演じている。ユーロスペースで10月14日まで上映。今後、大阪・第七藝術劇場、名古屋・名古屋シネマテークでの上映が予定されている。
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