そばかすのレビュー・感想・評価
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「ちゃんとした価値観」の方々に
三浦透子と前田敦子の演技がハマっている。
前田敦子の劇中の叫び、最後に三浦透子が同僚に投げられる一言に映画のメッセージは凝縮されている。
なんでこんな思いをしなければならないのか、という理不尽。
同じ思いの人がいると知るだけで、ま、いいかなと思える気楽さ。
自分は「ちゃんとして」いると思ってる方々に見てほしい。
良い映画でした。
前向きな逃走
ふたつのエピソードで、主人公の架純の人生観が焙り出される妙味。
彼女が語る、合コンでのトム・クルーズの映画のエピソード。
トム・クルーズと言えば、『トップガン』や『ミッションインポッシブル』みたいに、何か目的に向かって走る役が多い。だが、『宇宙戦争』は違う。港湾労働者の彼が、とにかく全力疾走で逃げ回る。
目的に向かって走ることが正しいわけではない。時には走らされている自分を解き放って逃げてやろう。
もうひとつはシンデレラのエピソード。
幼稚園の先生になった彼女が、学芸会で電子紙芝居を作成することに。そのナレーションを彼女の同級生に頼んだところ、男目線のシンデレラの話を変えようということに。
シンデレラは王子様に見初められるために生きているわけではない。そんな申し入れ断っちゃおう。
エピソードの根底に多様性の社会を映し出すのは短絡的だと思う。人並みの目的のために走らされている自分だったら、時には逃げてもいいのでは。人並みの目的が、結婚して安定した生活を送ることだったとしても。逃げることは、必ずしも後ろ向きな行動ではないという感性もあっていいのでは。
架純には恋愛感情も性欲もない。が、そもそも恋愛感情とか性欲は、男目線が創り出した幻想にすぎないのかもしれない。
観ているうちに、三浦透子(架純)と前田敦子(架純の友人)の推しになっていた。私は結構昔気質の男だが。
想定外に、彼女たちの「前向きな逃走」に前のめりになっている自分がいた。
ぼんやりしないで!!
ぼんやりしないで!!
ターゲットは10代20代やな。
『恋愛感情がない』ってところ、共感する。
そういう性格の10代20代には、大いに見て貰いたい。
『異常者ではないよ!』と不安な気持ちを和らげて貰いたい。
だけど、、、
『恋愛感情がない』を、そのままにして、アラフィフなった私。
後悔はないけれど、不安感はつのるばかり。
異性であれ、同性であれ、パートナーであれ、セフレであれ、ただの友達であれ、とにかく『理解者』を持っておかないと、淋しいなぁ、と感じる。
『恋愛感情がない』ってことで閉じてしまうのではなく、ぼんやりしてないで、『理解者』を作ることに努めるべきだったなぁ〜。などと、そんなことを考えながら見てた。
今求められる、ダイバーシティ感
昔から日本人らしさ
日本人における男らしさ、女らしさと言った固定観念が今の日本の全ての面において足を引っ張っている
インターナショナル化を掲げているわりに一貫性が無い
その歪みを上手く表現してはいたものの、踏み込み不足感があった
ドキュメンタリーではないので…
あの父親は選挙に当選したのだろうか…
見る人を選ぶようで、実はそうではない作品
男友達とも誤解、行き違いで上手く行かず離れていってしまう
女友達も何だかんだ言って結婚し離れてしまう
友達に慣れなくても分かってくれる人が周りに一人でもいてくれるだけで
人生のつっかえ棒が取れたような気がする、そんなラスト
映画自体は主人公を普通の人間として描かれ
比較的見る人を選ばない作りになっていた
評価 4.2
トム君といえば宇宙戦争?
テーマは考えさせられるものですが
終始笑いのある温かい作品です
いきなりの「宇宙戦争」の解説?で我意を得たりって感じに
多様性の許容?という点では現実の方が進んでいる気もします(もちろん本音と建前がありますが)
劇中の「シンデレラ」の紙芝居最後までやってもよかったのでは(笑)逆に今の保護者・子供達にはウケると思います
既存の価値観と新しい価値観が渾沌とした今を映す作品
既存の価値観が新しい価値観に置き換わっていくのが従来の姿なんですが、今は少子高齢化社会であるため、前者と後者が鬩ぎ合いをしている状態なんじゃないかと個人的には思っている。この作品はそんな時代の鏡なんじゃないかと思った次第です。
自分の存在にどこか自信を持てない人は観たら共感できるんじゃないかな?
押し付けないで!
前田敦子とか伊藤万理華とか、大好きな女優がたくさん出てるから〜という軽い気持ちで見たんだけど、そういう話だったんだ!LGBTQIAを扱った映画なんだけど、主人公の気持ちが作品にも反映されていて、全く押し付けがましくない。すごく見やすい上に、色々と考えさせられる、素晴らしい作品でした!
結婚とか恋愛とか、誰かを愛し、愛されることが女性の全て?1人は孤独で寂しくて可哀想?そんなことない!価値観を押し付けられる主人公が、何故かすごく愛おしくて、すごく感情移入してしまう。ドライブ・マイ・カーの時より、三浦透子の良さが生かされており、初っ端からグイグイ引き込まれちゃいました。テイストとしては「勝手にふるえてろ」とどことなく似ているんだけど、本作の方が圧倒的に共感度が高くて好印象。誰も強くない!だって人間だもの。
なにか大きな出来事や変化がある訳では無いんだけど、笑えるシーンだったり印象に残るシーンがたくさんあって、色んなエピソードが上手に構成されているとても丁寧な作品。いい意味で日本映画っぽくないというか、かと言って外国映画を見ている感覚じゃないんだけど、すごく上品で、監督が劇団の主宰だからか舞台っぽい雰囲気が感じられた。ココ最近の映画では段違いで居心地がいい作品でした。
語りたいシーンは沢山あるんだけど、個人的には告白を受けるシーンがお気に入り。ちょっと目を覆いたくなるようなキツい場面でもあるんだけど、そんな状況で主人公の佳純(三浦透子)が必死になって「君の思っていることとは違うんだ!」と弁護しようとするその姿が、なんだか共感出来て微笑ましかった。楽しかったことは事実。一緒にいて笑ったことも事実。ただ、恋愛感情が湧かなかった。それだけなのに。
音楽も映像も非常に綺麗で、ずっと心に留めておきたい一作。宇宙戦争でトム・クルーズの走る姿が好きだと言った主人公に、また共感。そんな本作もまた、走る姿がカッコイイ。今泉力哉監督っぽいシチュエーションボケみたいなのも楽しかったし、そこから深いテーマにすっと移り変わっていったのも秀逸で最高。キャラクターもまたいちいち面白くて、人間臭くて、みんな自分の夢だったり目標だったりに向かって走っていて、爽快で超気持ちがいい。
昨年は「彼女が好きなものは」だったが、今年は本作。世界はクソみたいだけど、ひとりじゃない。世の中、まだ捨てたもんじゃない。こういう生き方したいな、と思える人物が主人公含めてたくさんいて、背中を押してくれるというよりも、そっと隣に居てくれる、そんな映画でした。見やすくて、笑えて、勇気づけられ、ちょっと感動できて、考えさせられる、素晴らしい作品です。ぜひ、映画納めに!
このタイミングで年間ベストワン候補作をぶち込んでこないで
年間ベスト20まで決まっているつもりでした。それを乱す玉田真也監督の新作。主演はドライブ・マイ・カーでブレイク、今年一番のTVドラマ「エルピス」でも印象的な役を演じた大好きな女優、三浦透子。見終わった瞬間に3万円払っても惜しくないと思いました。
事前知識抜きに観て下さい。ネタバレにならないよう、唯一申し上げると、ダイバーシティに関する単行本10冊を凌駕する1本と言う表現が適切かと思います。
前回ご紹介した岸井ゆきのさんとともに、三浦さんも美人ではなく、どちらかと言うとファニーフェイス。しかし、ラスト近くでチェロを弾く姿の神々しい美しさと言ったら、筆舌に尽くしがたいです。
そして、役者になってからこちらも大好きになった前田敦子さんに久しぶりにスクリーンで会えたのも嬉しい。相変わらず、悪魔的に美しく可愛く、そしてまた幅を広げる素晴らしい演技。脇役ももれなく魅力的です。
脚本と演出が満点。冒頭でトムクルーズ主演のある作品が、伏線として張られますが、映画の最後にみごとに映像表現として炸裂し回収されます。僕はすぐスクリーンに飛び込んで行きたくなるくらい、心を揺さぶられました。
すでに休暇中の方は、今日すぐに!そして自営業の方は「申し訳ありませんが、店主事情により午前中のみ休業します」と張り紙して映画館へ駆け込んで下さい!強烈に、強烈に、おススメします。
世の中の片隅に生きてる全ての人に届け。
恋愛感情を持たない主人公が親からお見合いをセッティングされ意外と良い出会いがあったり、中学の時の同級生と再会したりして、葛藤したり居心地の良さを感じたりする話。
私もこの主人公よりかは恋愛感情ある気がするけど、昔から自分の中で恋愛の重要度が最底辺だし、胸がときめくほどの相手に出会ったこともないし、もはや老後の不安とか他人からの印象とか全部なければ第1希望はずっと1人でいたい人間。だから今作凄く嬉しい部分もあったけど自分は佳純と比べると圧倒的に他人を受け入れられないだけな気もした。
主人公の佳純は恋愛感情がないからこそ、誰に対しても平等で自然で、ずっと人と人が好きになるってどういうことかを考えてきたからか他人を慮れる配慮が高い。一線を越えないから良い意味でも悪い意味でも他人に干渉しないので、佳純といると居心地が良いんだろうなと思う。合コンでなんだかんだモテたり、人生迷い中の真帆が佳純と迎合するのも頷ける。
まさに自分に足りないところだよ。だから自分は恋愛感情がないのではなく、他人を受け入れる窓口が狭いからそこまでの気持ちになれないのかなとも思った。異性でも同性でも自分が許せないことをされた時のシャッターの閉じ方が早すぎるんだろうなぁ(笑)
恋愛をしない人って往々にして逃げてるとも思われがちだけど、佳純はトム・クルーズの逃げてる姿が好きだと言う、どこまでも世の中の片隅に生きてる人に寄り添う映画だなと思った。
性自認は途中で変わったり大人になってから自分の中で決着がつくものなのだから、人を好きになれること自体が遅い人もいるし、それがずっと来ない人も、途中から全く無くなる人もあって良いと思うんだよ。私には佳純が若干、トム・クルーズについて力説する佳純の気持ちが少しわかるという後輩くんに今まで持たなかった何か違う感情を持ったようにも見えたんだよね。
こんなこと言ってると歳とってから困るとか、結局ごちゃごちゃ言って逃げてるだけと思う人もいるかもしれないけど、この世のどこかにいるこの私の気持ちを理解してくれる人に届け。
多様性には無関心でも‼️❓他人の価値観に干渉するべからず‼️❓
なかなか味のある映画です、噛めば噛むほど味が出る。
ストーリーはともかく、キャストの演技を部分的に取り出すだけでも料金の価値がある。
いろんな協力で成り立つ映画で、なぜか撮影協力に泉谷しげる。
ヒロインが等身大の演じ方が好感が持てて素晴らしい、でかい顔をよりデカくして前田敦子の倍はある。
何気に家族の会話だけで、何日か笑えそうだ。
多様性をどうこう主張するのではなく、他人の価値観に干渉する奴はクソ喰らえ、そんなレベルが潔い。
なんだか清々しい映画だ、こんな映画がロードショーになれば良いな、そう心の底から思う。
正月を楽しく、そして、少し為になる、そんな映画🎞🎟🎬🎦を是非。
「もっと自由に生きていい」と優しく背中を押してくれる映画。
2022.98本目
テーマやメッセージは強く伝わってくるけど、実家のような暖かさの雰囲気が映画全体にあり、安心して気持ちを柔らかくして観られる映画。
とわこの飾らないキャラクターがとても好き。
家族も仕事先の仲間たちも、みんな暖かい。
特にわたしは、おじいちゃんおばあちゃんが大好き。
あの家の中の家電や家具、道具等々、そっくりそのままうちの実家という感じがしてとても懐かしく愛おしい気持ちになった。
結構シュールな笑えるシーンも多くて、特に後半の家族の「浮気がうんぬん」のところのやりとりなんて可笑しくてしょうがない笑
(とわこの主張がでるとても大事なシーンではあるけど笑)
アセクシュアルの友達はわりといるので、新鮮さとか衝撃とかは少ない。そーだよねーーーーという感想。笑
後半、私の大好きなジャックアンドベティが出てきて1人で大興奮してしまった笑
風になれ
「天気の子」のグランドエスケープの歌唱で知った三浦透子さんの単独主演作品、上映開始が少し遅れた地域なものですから、公開を待ち侘びていました。
そして期待以上をゆく快作でした。今年一爽やかで、今年一共に傷ついた映画でした。
アセクシュアル(無性愛者、男女ともに恋愛感情を抱けない)の主人公の映画は初めて鑑賞しました。そのため合コンもお見合いもピンとこない、友達だと思っていた男性にキスされそうになったら拒んでしまったり、ゲイの幼馴染のカミングアウトもすんなり受け入れたりと、こんな世の中になれば良いのになと幼馴染の発言にもあるように監督の思いが込められているなと思いました。自分はアセクシュアルではないので、この感情や心境が完全に分かるわけではないんですが、今は恋愛よりも大切なものがあるというものにとても共感できました。動機はかなり違いますが、自分は映画やライブなど趣味に突っ走りまくっているので恋愛を含めると何かが崩壊しそうな気がします。ぼっちは全く怖くなく、楽しんだもん勝ちだと勝手に解釈した自分がいますが笑
役者陣の好演もあり、クスッと笑える瞬間がたくさんありました。気まずい会話の間みたいに空白の時間がとても面白くなっていました。なんて事ない会話が笑えるのは監督の手腕でもあり、役者陣が全身全霊でぶつかり合ってくれていたからだと思います。
多様性について考えさせられますが、某ネズミ帝国のように押し付けがましいものではないのが好感を持てます。真帆の父親が発言した"間違った多様性を子供に押し付けるな"という発言は子供を盾にして自分たちの意見を述べている卑怯な大人を体現していました。PTAのモロそれだなと思いました笑
とても昔に作られた御伽噺に価値観もへったくれも無いんですが、シンデレラを自己解釈して新たな物語に仕立てるのは良かったと思います。そりゃシンデレラもなんで王子様に見染められないと結婚できないんだ?と今は思っちゃいますね。こういうツッコミを真面目にやり切ったのも好感が持てます。
エンドロールに突入していくまでの駆けていく時間、そして主題歌「風になれ」が流れている時間がこれまた最高でした。三浦透子さんの透き通るような歌声に羊文学の塩塚モエカさんの美しく繊細なメロディーと歌詞にこれまた心震わせられました。大人の青春を味わうには抜群の時間でした。
楽しくもあり、辛くもあり、それでいて前へ前へ進める勇気もくれる素晴らしい作品でした。今年の邦画の中でもトップクラスの面白さでした。お見事です。
鑑賞日 12/27
鑑賞時間 12:05〜13:55
座席 C-2
『逃げている方が共感できる』
所謂、『アセクシャル』『アロマンテイック』を扱った作品 考察サイトに依れば今作品の構成は他の類似作品と同じような建付けだということで、追いかけていない自分からすれば、ステレオタイプ的作品なのかなぁと少々残念な気もするが、まぁそこは置いておいて・・・
主人公役の三浦透子といえば"ドライブマイカー"で有名になったが、今作ではより台詞が多い役回りである だからなのかこの人の弱点がクローズアップされたように思えた 寧ろ今俳優はバイプレイヤーとしての輝きが似合っているのではと・・・ そういう意味では前田敦子のバイプレイヤー振りが逆に光っていた様に思える ヤサグレ感を演技できる幅を身につけたアッちゃんは今後も見逃せない
ジェンダーを扱った作品として意欲性は充分評価したい 社会性に切り込む部分(幼年期から多様性は取り扱いしない方がいいとの馬鹿な意識等)をもっと深く突っ込んで欲しかったけどまぁ、温作品のキモはそこではないようだ 自分を貫けば絶対仲間はいる、自分を信じろというテーマを主張したいのだろう メーテレという地方テレビ会社が扱う内容なので、ポジティヴさをラストに添えていい感じに収めたかったのは致し方ない 何でもかんでも"立場"ってのはあるからね
"アセクシャル"は想像を要するが、"アロマンティック"は理解出来る 男はそういう人多いのではないだろうか 結局、"ヤりたい"事="恋愛"なんて女性に対して失礼であり、しかし現実は口に出せない そもそも人を好きになるとはどういうことなのか "自己犠牲"が基準ならば、それは対象は性別は関係無いし、もっといえば偶像崇拝だって、宗教だって自己犠牲の上に成り立っている 右巻の総本山、日本会議に説明して欲しいねw
様々な感情
主人公、佳純の親と同じ世代の自分。自分には娘は居ないが、このような感情(?)を持つ男女は、ある程度の割合でいるのであろう。そのような娘(息子)に、どのような接したら良いのか、今後の大きな課題になった。
三浦透子さん主演。アロマンティック・アセクシュアルの悲しみ。多くの人に見てほしい。
30歳の蘇畑佳純は物心ついた頃から今まで誰にも恋愛感情を抱いたことがない。他者に恋愛感情を抱かないという恋愛的指向は彼女の生まれながらの性質で一生変わらない。つまり彼女は生涯恋愛をしないのだ (友情や家族愛、人類愛はある)。
ここで大事なことは、彼女のまわりに魅力的な人がいないとか、たまたま好きな人に出会わないというコトではないうことだ。
誰かにときめいたり、ドキドキしたことがないということが私には理解できないが、理解する必要はない。彼女の恋愛的指向をそのまま認めるだけだ。すると彼女の苦しみ、諦め、悲しみが伝わってくる。
映画では描かれないが、友だちの恋バナも、小説、漫画、ドラマの恋愛もわからない。その事を誰かに伝えても「佳純もいつか恋をすれば分かるよ」と言われるだけだ。人は誰でも恋をするものだと思っている者ばかりだから、誰も自分のことを分かってくれない。今はわからないが、佳純自身もそう思っていただろう。
「自分はみんなと違って「フツー」じゃないんだ、言っても誰も分かってくれないんだ」 と、いつしか諦めてその事を人には言わなくなってしまったのかもしれない。
「そうじゃないんだ、そのままでいいんだヨ、ガンバレ佳純ぃー」とスッカリ応援モードに突入。映画を見てて完全に彼女に感情移入してしまった。
映画の後半では、男の人と恋愛しないお姉ちゃんはレズなんでしょと妹に言われてしまう。思わず心の中で「ちがう~ ( `Д´)/ 」 と叫んでしまった。
親しくなった男性が彼女に恋愛感情を持ってしまい、彼女にそれを伝えるのだが当然彼女には全く理解できない。彼女はポカンとしてしまう。男のほうは彼女も同じ気持ちだと思っていたのに思わせ振りだったのかと思い怒って絶交してしまう。
突然、大好きな彼との友情が壊れてしまい、驚きと悲しみで呆然としてしまう。私も悲しみで胸が一杯になってしまったヨ。 決して 「女性と男性に友情は成立するか?」 という話ではない。
お父さんと佳純が2人でいる場面がとてもいい。お父さんはただそこに居てよりそい話をするだけだ。それなのに佳純の安心感と信頼感が伝わってきて、映画の中で唯一ホッとする場面だ。いつか娘がまたチェロを弾くかもしれないと、ずっと手入れをしていた話なんて泣かせるじゃないか (ノ_・、)
ラスト、あまりの嬉しさに私も佳純と一緒に走りだして叫びたくなったヨ。画面も揺れに揺れる(こういう分かりやすい演出は私でも分かるからありがたい)。
だって佳純は自分だけが恋愛感情・性的感情を持たない人間で、それは他人には絶対理解できないことと思っていたのに、自分と同じ人間がいてありのままの自分を認めてくれるんだぜ。そんなこと知ったら小躍りして走り出したくなるだろう? これで今までの生きづらさが少しは軽くなってほしい。
*こういったカテゴライズの功罪があるような気もするが、今回は佳純が安心したようなので取りあえずヨシとしようということで宜しく(^^)
LGBTを解説する文脈の中で、恋愛感情がない人と性欲がない人がいることは知っていたが、今年(2022.1)のNHKドラマ 「恋せぬふたり」 でそれを主題にした物語を見て感動し、こんなにも大変なことだったのかと認識も新たにした。
アロマンティックとは、恋愛的指向の一つで他者に恋愛感情を抱かないこと。
アセクシュアルとは、性的指向の一つで他者に性的に惹かれないこと。
どちらの面でも他者に惹かれない人を、アロマンティック・アセクシュアルと呼ぶ。
【追記・2023/1/16再鑑賞】
お見合いで知り会った男友達との別れの場面。1人部屋に残された佳純は驚きと悲しみで呆然と立ち尽くす。「なんで、なんで、なんで」と同じ言葉が頭の中で繰り返される。
2度目の鑑賞で、どうなるか分かっていたのに私も驚きと悲しみで呆然となった。レビューを書いてる今でも、立ち尽くす佳純を思い出すと悲しくて泣きたい気持ちになる。
佳純は男友達に、自分が誰に対しても恋愛感情を抱かないこと、誰に対しても性欲がわかないことを伝えた。だけど彼にはそれが信じられない。もし彼がアロマンティックとアセクシャルという言葉を知識としてだけでもいいから知っていたら、2人の友情は続いてたかもしれないと思わずにはいられない。
分類し区別することは無意味でもあるし弊害もある。だけど今はアロマンティックとアセクシャルという分類を多くの人に知ってほしい。メリットは、自分以外にも同じ人がいることを知る安心感である。あと佳純たちの友情が続いたかもである。
私はどちらも理解できないが、否定はしないという考えだ。
2022/12/25(日) 高島屋キノシネマ
2023/. 1/16(月) 〃
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