そばかすのレビュー・感想・評価
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多様性はなにもLGBTだけじゃない
2023年劇場鑑賞18本目。
そばかすって三浦透子にあるか?と思っていたら そばた かすみさん、略してそばかす。劇中一人もそんな呼び方してません。
ポスターでタバコを吸っていますが、序盤に吸うシーンがあるだけで、後は喫煙シーンは出てきません。正直タバコ吸うのかと思って今週観たいのたくさんあるし、観るのやめてもいいかなと思ったくらいなので、このポスター失敗だと思います。湯切りのザル持ってる写真とかにした方が動員数上がるのでは。
同性愛とかそういうのでなくて、恋愛感情もいうものが欠落しているというそばたさん。どういう風に結末を持っていくのか最後まで引き込まれました。あれ?前田敦子二番目にクレジットされてたよな?あれ?友情出演の北村匠海、一瞬うとうとした時に出番終わったか?と思った頃にどちらも出てきました。
自分も彼女欲しいなとは思っていますけど、そこまで本気で恋愛しているわけでもないし、今の生活を変えるのも面倒だなと思っているので、もしかしたら自分もそこまで恋愛感情というものを持っていないのかもしれないと思いました。
男と女の到達点は恋愛感情。それは刹那でナンセンスだと優しく教えてくれる。
多種多様なマイノリティについて表現される作品が多い昨今。
少し大袈裟だったり、誇張的だったり、わざとらしかったりするなか、
自然でフラットな表現が
とてもリアルで、とても好感的で
なんだか泣けた。
だって日常ってそんなにドラマチックじゃないもの。
だからこそ小さなズレが気になったり、イライラしたりするものだ。
三浦透子 さんの心の動きに正直な細かな表情がとても繊細で、
前原滉 さん、前田敦子 さんも魅力的で
北村匠海 さんの存在感が素敵な余韻を見事に残してくれた
恋愛感情は“本能”ではなく“文化”
だからこそ、その感情理論が理解できないことは、不理解なことでは無い。
だって
決して愛そのものが欠けている訳ではないのだから。
新時代のシンデレラは馬車には乗らない。
これは想像以上でした。私はめっちゃめちゃ好きです。30才のソバタカスミはアセクシャルで他者に恋愛感情を抱かない。でもそれは特別なことでは決してない。そもそも何が正しい、間違いという問題ではない。人付き合いがうまい訳ではないけど、気が合えば誰とでも仲良しになれる。
心に傷を持ちながら日々進んだり戻ったりの父。性的マイノリティを隠して生きる仕事仲間。そしてどこかで今日を生きている自分と同じ価値観の誰か。優しい人達が作る世界の中で、カスミが生き方を身に付けてゆく。
シンデレラは王子と結婚しなくてもいい。あの家を出てひとりで逞しく生きてゆくのもいい。大切なのは自分の価値観を受け入れてあげること。自分に優しくしたっていい。
チェロの音色に乗って多様性という名の様々な生き方が彩られてゆく。カスミが今日も笑って過ごせていますように。素敵な1本でした。
女性の経済的な自立
今でも男女別で平均的な賃金を統計的に計算すると、男性のそれよりも女性のそれは低めに出るようです。
これだけ、雇用の分野における男女の平等ということが言われていても。
それは、あからさまに男女別で賃金格差を設けている企業が多いということではなく、今でも女性は補助的・臨時的な仕事で働く人が多いことによるものでしょう。
しかし、結果として手取り金額の結果だけからいえば、女性の賃金が男性のそれよりも低いことには間違いがなさそうです。
『甘いお酒でうがい』を観たときにも思いましたが、それでも、こういう映画が作られて、彼女のようなライフスタイルを選ぶことができるようになってきたということは、それなりに女性の経済的な自立も進んで来ているのかなぁ…という思いはあります。評論子には。
もっともっと、いろいろな映画を観たいという想いを掻き立ててもらえた一本にもなりました。評論子には。
ラストがぬるい
序盤は会話劇でもってくんだよね。そこで出てくる台詞の自然さが、現代口語演劇っぽかったから、玉田真也監督が手を入れてるんだと思う。観てると青年団の俳優がたくさん出てきて楽しい。
その面白い展開の間は「蘇畑さんにモテ期が来たって話かな」と思って観てるんだけど違うんだよね。蘇畑さん、アセクシャルだった。そこをそんなに声高に主張しないで、淡々ともっていくのいいね。
恋愛映画だったら、誰かと結ばれそうになって終わりでいいんだけど、アセクシャルの場合は、どうなったらいいんだろう。そこは、難しそうだったな。
この映画も「ここでエンドロールで良いのでは」というタイミングがいっぱいあるんだけど、続いてくんだよね。そして最後に「北村匠海が出てくれるんならシーン足そうかな」ぐらいの感じのシーンでラストにしちゃう。ぬるかったな。
シーンは舞台っぽくて面白いんだよね。前原瑞樹が浮気を問い詰められるシーケンスとか、舞台で観たら絶対楽しい。
他にも舞台みたいな会話劇のシーンが多いんだけど、良く分からないカメラのアングルがあるのね。なんか「映画はカメラ動かせるから、動かしてみました」みたいな。
引きの画のワンカット長回しで、ワンシーン、ワンシーンが舞台のようにみえるつくりの方がいいんじゃないかな。玉田企画・主宰、玉田真也監督の力も活きそうだしね。
ソバタだからソバカス?
面白かった。前田敦子さんのキレ芸、相変わらずいいですね。坂井真紀さん懐かしい。懐かしいは失礼か。シンデレラの紙芝居良かった、フルバージョン見てみたい。ソバタさんの生き方にもどこか共感できる。これから家で宇宙戦争観ます。
逆に普通じゃないって何?
ほのぼのとした雰囲気の中から
世界に溶け込んでいると思いきや
他の植物よりも下に見られてしまう(軽蔑されている)ように感じられる
まるで雑草のような主人公
出る杭は1本だから打たれる訳で
他にも同じような出方をしている杭があれば
そこまで気にせずに生活をすることができる
多少雑でも杭が上手く刺さっていなくたっていいじゃないか。
まほちゃんが父親に歯向かうシーンは感動しました
父親ってムカつくわあ
自分らしく生きることの息苦しさと葛藤
恐らくこの映画は賛否が分かれるだろう。
「自分らしく生きることを真に訴える素晴らしさ」か、「終始単調な展開でつまらなかった」か。
僕は前者のタイプ。
僕自身、中学生からゲイだと自覚しカミングアウトもする人にはしている。
大半は「自分らしく生きていい」といってくれるが、それが一番生きづらいことは多分…中々理解されない。
幾らマイノリティを受け入れようとしてくれても、まるで「仕方なく」といった負の感情を如何しても感じて仕舞う。
今日の教育、テレビ、音楽。
理解してくれる人が増えるのは嬉しいが、何故か…こう葛藤が生まれる。
この映画はアセクシュアルをテーマに、淡々と過ぎる日常を丁寧に描いている。
全てすべてが理解出来る。
皆が普通に語る「結婚」、「好きな人」というものをカミングアウトしていない人達の前で隠さなければならない。
わからないわけではないが、「人と違う」というその苦しさを代弁してくれた。
結婚を迫る母と妊娠する妹。
でも主人公はそんな恋愛感情も性的感情もない。
普通に生きるだけで苦しめられる。
それでも彼女は自分らしく生きている。
ゲイとアセクシャルは違うものだが、同じようにマイノリティを抱える人だけでなく、今を悩む人全てに見てほしい。
疾走感というものを常に感じるものではないが、こういう「当たり前を当たり前に生きる」ことが「自分らしく」ということだとわかるだろう。
この映画の中で好きな言葉があった。
「髪は自分の体の一部だから、あんたには関係ない」。
主人公を叱る教師へ向けた友達の台詞。
…一番グサって来たね。
僕も必ず結婚の話が出てくる。向き合わなければならない。
逃げてばかりでも付き纏う「恋愛」の話。
僕も迷ったときはこの映画を思い出し、自分らしく生きたい。
自分の感性に見事突き刺さりました
なんとなく自分の思いが人とは異なることで感じるいづらさ。押し付けられる不快さ窮屈さ。
主人公の気持ちに近い部分があるなぁと思い、かなり共感した。
自分と同じ境遇の人に出会えるのかなあと期待して落ち込んで、それでもまた期待して…出会えた時の喜びは大きいんだろうなぁ。
タイトルが?
今年の1本目!実にいい感じだった。
しかし同時に物足りなさも感じた。
彼女と絡む人達が散発的になってるせいだと思う、、話に大きなうねりがあるともっと良かったな、、
まあ、仕方ないか、、こういう寂しさ、取り残された感じを彼女と共有するという事だ。
LGBTQIA...どんどん長くなって覚えられない草。
皆んなバラバラ、皆んな違うでいいじゃん。
お父さんとの関係が素敵、
家族仲がよいのが本当なによりの救い。
同じ人いるんですか?同じ人がいて、どこかで生きているんなら、それでいいやって。
そうなんだよなあ、人に理解されないことの寂しさ。それなら、ひとりで生きていった方がいいやっていう潔さ。それでも、どこかで孤独感に苛まされて、そんな時に、自分のことを分かってくれる人(それが全肯定ではなくても)がいてくれることの心強さ。それだけで随分と救われるのだ。
少し前のNHKドラマ「恋せぬ二人」でも、高橋一生と岸井ゆきのが、恋愛感情がわかない役を演じていた。蘇畑佳純はこの二人と同じだ。自分の正直な心情を訴えても全然理解してもらえない苦しみ。変だよ、と言われて片づけられる疎外感。下手すりゃどこか精神に異常があるのではと奇異の目で見られる屈辱。あのドラマとこの映画はとても共通していた。佳純を見ていると、多様性の時代と言われる昨今、たとえ自分には理解できないことであっても、それが事実であれば、その存在を認める柔軟性は必要だと感じるのだよな。
最後に佳純が走りだした意味を考えている。フラグはあった。走りながら笑顔(と見えた)であることに、とても心惹かれた。
多様化が進んで少数派が認められ、みんなが自分らしく生きて行ける世の中でありますように。この作品を観てそう願います。
予告を観てから気になっていた作品です。
自分は他の人とは違う。 …その自覚を持ちながら
生きている女性を描いたドラマ。
興味がわいて鑑賞です。
ヒロイン蘇畑佳純(=三浦透子)は30才。 独身。
妹は結婚しており現在妊娠中。
父はどうやらメンタル不調で休職中。
このヒロイン、独身でいるのには理由がある。
"他人に対して恋愛感情を持てない" のだ。
友人ならば 欲しい。
恋人は… 要らない。
同居家族がもう一人。 母だ。
結婚しようとしない長女に業を煮やし
無断でお見合いの席を設け誘い出す。 これは…。
お見合いの当日。思いがけず、
相手の男性にも結婚願望が無いことを知る。
意気投合する二人。
二人で美味しいラーメンを食べ歩くようになるうちに
男の心境に変化が起きていた。 …あーらら。
「結婚願望が無く 恋愛に興味が無い」
これまでも そしてこれからも それが佳純
これまでは けどこれからは… と変化した男
男は佳純に好きだと伝え
佳純は狼狽し、無理な事を伝える …すれ違う二人。
どちらかが悪い …そんな訳は無い
けれども 佳純は
やっと見つけた(と、思った)友人を失う。 う~ん。
その後
昔の友人(男)の紹介で保育士の仕事を始める。
子供向けにビデオ紙芝居を作ることになり
「シンデレラ」の話にうよう と決めるのだが…
昔の友人(女)と話をするうちに話が転がる。
従来のシンデレラは 「男目線のお話」 だわ。
「自分が書きたいシンデレラ」 を作ろう。 (…おーい;)
それを子供たちの前で発表するのだが…
ぽかん とした子供たち。
何これ? な表情の大人たち。
不穏な空気に、思わず再生を中止してしまう。
そして…。
◇
自分への理解と無理解。
「ふつう」を押しつけられることからの逃避。
理解を求める事の難しさ。
マイノリティという呼称で一括りにしないで と
そんな声が聞こえてくるような気がしました。
”一人一人 みんな違うんだよ
私のことを 良く見て欲しい”
そんな心の奥にある想いが
この作品を観た人に届けばいいな
そんな風に思える作品でした。
三浦透子の演技が素晴らしいと感じる
沁みる作品でした。
観て良かった。
◇あれこれ
■「そばかす」で頭に浮かんだもの
「赤毛のアン」
主人公アン=シャーリーは赤毛でそばかすの女の子。
永遠の名作です。
「るろうに剣心」
JUDY AND MARYの歌う主題歌のタイトル。
作品イメージとのギャップにびっくり @_@; でした。
「キャンディ・キャンディ」
堀江美都子さんの歌う主題歌は
そばかすなんて気にしないわ♪ で始まります。
少女漫画の名作。
■三浦透子さん
これまでの出演作品をほとんど観ていないのですが(…汗)
すごく個性を感じる役者さん と今回感じました。
「女性」の中に「少年的な一面」が同居しているような感じ
…とでも言えのやら
少なくとも、この作品の主人公には適役だったのでは
そんな気がします。
◇最後に
長年一緒に暮らした姉妹の間でも。
姉が同性の知人と暮らし始めると聞いた妹の
「お姉ちゃんレズビアンなんでしょ!」
「 (…違うっ) 」
これ聞いて、力抜けただろうなぁ…
人が人を理解するのは、とても難しい。
でも最後の場面にて
「(新解釈)シンデレラ」 の理解者
一人居ましたね。 良かった良かった。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
限りなく中間に近い─
つまらなくはなかったし、面白味もあったし、かといって凄い良かったという印象でもなく・・・
敢えてそうしているのかどうか分かりませんが、マイノリティを掛け合わせている割りに平坦な展開だったと思うし、結構名のある面々が出演している割りに淡々としていたような気がします。それはそれで作風としては良かった感じですが、個人的な感想としては、一つ一つの対話がことごとく台詞じみた印象で、なかなか感情移入ができませんでした。なので、リアリティもいまいちな印象でした。しっかりとした劇として見れば完成度の高い作品なのでしょうけど─。題名も、なんか嫌です。あくまでも個人的勝手な印象でしかありませんが─。
三浦透子さんが歌う主題歌(?)はすごく好きです。透き通った歌声と楽曲が非常にマッチした気がしました。
いま日本の社会に必要な思想、考え方、態度、全てが詰まっている
日本って異常な社会だと思う。
有名人が不倫をすれば朝から晩までその話題でもちきりだし、ちょっと前までは皇族の結婚がどーとかを何年もマスメディアは報道し続けていた。今でも、女性週刊誌の誌面を賑わせ続けている。
有名人が不倫するとあんたに何かしらの損得が発生するの?
そんなに他人のセッ○スに興味あるの?
アホちゃうか?
異常ですよ。
恋愛という個人的な事柄に、当事者以外が口を出すこと。恋愛や結婚をすることがしないよりも是とされる通俗道徳。それらの醜悪さ、グロテスクさをこの作品は克明に描きだしている。
特に妹の睦美が「お母さんの気持ちを考えなよ」と佳純を諭すシーンは鳥肌がたった。家族という身近な存在でも、個人の心情を理解することはできない。母や妹の佳純への無理解さは、家族という枠組みに特別な重きを置きがちな日本社会への痛烈な批判となっている。
反対に、佳純と父は互いに干渉しすぎず、無関心でもない。良好な関係を築いている。それは、お互いが理解できないものを理解しようと無理をしていないからだ。互いにわかるところだけ、わかり合う。それでいいではないか。
ときたまコミカルなシーンが挟まれるが、それがクドくない。まさに映像における「緊張と緩和」が非常に高いレベルで実現している。
中学時代のエピソードについて、単純に腹がたっただけだったと真帆がぶっちゃけるところもいい。
義憤や同情ではなく、単純な怒り。そういうプリミティブな感情の発露こそ、いまこの時代に必要なのではないか。怒りを通して、人は連帯することができる。むしろ、怒りこそ連帯に最も必要な感情ではないか。怒りという感情を悪だと決めつけて、抑え込むのが是とされる風潮を感じるが、我々はもっといろんなことに怒っていいし、怒るべきだと思う。
恋愛感情をもたないが、大好きな友達の真帆の結婚を心から祝福する佳純は美しかった。式のシーンもそうだが、同居解消した後に喫茶店を出て別れるシーンもよかった。
とにかく佳純の生き方は美しい。美しく生きるってことがなんなのか、映画を通して教えられた。
現代社会に対して批判的な作品内容だと思うが、鑑賞後は爽やかな気分に包まれていた。
玉田真也監督をはじめとしたスタッフのメンバーにこれからも注目していきたい。そう思わせる作品だった。
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