ケイコ 目を澄ませてのレビュー・感想・評価
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稽古
耳が聞こえない女がプロボクサーとして頑張ろうとする話。
フィクションらしいがリアリティー高め。
静かなしっとり系作品。オチはない。
良い点
・ASMR
・罵声を浴びせる人
・宝くじで12億当たった人がいるなどというのはフェイクニュース
悪い点
・やや美人
淡々とした日常
聴覚障害のボクサーと彼女を取り巻く人々を描いた映画。
東京・荒川の河川敷をはじめとする庶民的な景色は懐かしさを感じる。
映像もざらっとしておりフイルムのような感じ。
主人公は当然言葉を発しないため全体的に台詞が少ない。
こういうラストもあるのかというくらい起伏の少ないエンディング。
主人公行動について説明がないシーンも多くあった。
観ながら自分の中でいろんな想像が働きそれもこういった映画の面白さだろう。
よかった
すごい評判だったので期待しすぎたせいか、話がとにかく地味で盛り上がりに欠ける。無理にドラマチックすることを避けているのだろうけど、それにしてももうちょっと工夫があってもいいのではないだろうか。
主人公の岸井ゆきのさん、ボクシングの練習はすごくしていたけど、試合のシーンが少ない。3戦か4戦しかしてないのをリアルにしようとしたのか、あまり強そうな感じがせず動きの切れが悪い。腰が低すぎて強そうに見えない。安藤サクラやヒラリー・スワンクはもっと切れ切れだった。ろうあ者の感じはすごくする。しかも性格がそんなによくない感じがいい。
時には心も澄ませて。
聴覚障害を抱える実在の女性プロボクサーをモデルにした物語。日中は客室清掃の仕事、午後は下町のジムでトレーニングに励むケイコ。尊敬する会長の声も、ゴングの音もその耳には届かない。そして一度ボクシングから離れたいという本音もうまく伝えることができない。
周囲の期待に応えたい気持ち。自分自身のこれからのこと。心が強く見えるケイコにだって弱い部分はもちろんある。淡々と流れる下町の空気感。あちらこちらの雑音。なんだか感傷的になります。
正直になれないもどかしさやお世話になった会長への義理。入り乱れる感情を隠すようにリングに立つケイコの姿にぐっときました。岸井ゆきののいつもと違った表情が素晴らしいです。ただ、全体のテンポが私には合わなくて途中ちょっと退屈してしまいました。
力のある、いい作品だけど……
力のある作品です。
ざらっとした質感の映像、シンプルなストーリー、岸井ゆきのの揺るぎない存在感……。
それらがひとつになって、ひじょうに味わいぶかい内容に仕上がっていました。
まず冒頭のトレーニングのシーンが圧巻です。ケイコとトレーナーのパンチの音は、まるでパーカッションによるセッションのよう。そのリズムがなんとも心地よい。
あまり起伏のない物語なので、途中、映画の世界から気持ちが離れそうになったけれど、決してそうはならず、またすぐに意識が画面に戻っていく。
中盤ぐらいからそんなことを繰り返していて、なんか不思議な作品だなと思いながら観ていました。
ともすれば離れそうになる僕の気持ちをスクリーンにつなぎ止めていたのは、言うまでもなく、岸井ゆきのという女優の存在です。
デ・ニーロじゃなきゃ『レイジング・ブル』があそこまでの作品にならなかったのと同様に、岸井の存在がなければ本作は成立しなかったでしょう。
ちなみに、昨年、僕は彼女の舞台『気づかいルーシー』も観ましたが、そのときのパフォーマンスも素晴らしかった。岸井ゆきのは、わが国のエンタメ業界の未来を背負って立つ俳優です! これからも応援するよ、ゆきのちゃん♡
いや、また気色悪い文章になってきた。映画の感想に戻ります。
さて、岸井ゆきのの好演とともに伝わってきたのは、監督がこの作品をひじょうに丁寧につくっているということでした。
本作のテーマを損なわないように、安直な「感動物語」にしてしまわないように、注意ぶかく制作しているということがわかりました。
その一方で、「でもなあ」という思いも湧いたのです。
前述したように、たしかに力のある、味わいぶかい、いい作品なのだけど、正直言うと、やっぱり映画として、もうちょっと面白くしてほしかったなぁ、と。
スパーリングのリズムに魅せられた
岸井ゆきのさんがよかった。演技力と役への情熱の熱さが伝わってきました。
なんと言ってもスパーリングのかっこよさ。あれで一気に物語に引き込まれてしまいました。
いつも頑なに自分を守ってるケイコが美しく、楽しげに、自分を解き放つ瞬間。
オーナー役の三浦友和さん。とてもよかったです。びっくりしました。
頑なだったケイコが(それでよいと思っていたケイコが)自分の身体の事情を伝えられず、思いを伝えられないジレンマにもがいて、でも意外な人がケイコに挨拶に来るところでケイコの心情が変わる場面。
あの場面でケイコはまた前を向いたのだと思います。岸井さんの表情が。なんとも。よかったです。
音楽がなく、シンプルな映画作り。その潔いよい作り方が深く刺さる映画でした。
文学小説と創り方が同じ
主人公のケイコがほぼ話さないから、説明が少なくていいね。心情を推し量りつつ観るしかない。
ケイコは言いたいことはないのかというと、そんなことはなく、うちに秘めてるものが、飛び出してくる瞬間がある。そこで心を打たれるし、「弱い犬ほどよく吠える」って本当だなって思ったよ。ケイコは強い。
ラストは「ここで切ったら凄いな」って観てたら、切った。すごい。
説明の少なさも、余韻を残すラストも、文学小説みたいと思ったよ。
あしたのロッキー
なんだかふざけたタイトルになっちゃいましたが、端的に言うとそんな感想だったのでしょうがない。フィルム撮影も相まって、かなりグッときました。良い。
ケイコ(岸井ゆきの)とおやっさん(三浦友和)は勿論なのだが、出てくる人みんな良い。終わり方も「生きる希望」に溢れていて大好きでした。何よりも、フィルム撮影の質感と、劇伴も台詞も最小限(勿論主人公に至っては無い)の所での録音。素晴らしかった。色々なものが詰め込まれているが、台詞が極小というのもあってお仕着せ感はなく、自然と身体に染み込んでくる感じもエンドロール後に反芻したくなる心地よさを孕んでいましたね。
作って欲しくはないけれども、続編が出来ちゃったら必ず観に行く。そんな映画でした。
【”サイレント&センシティブ&ソウルフルなボクサー。”岸井ゆきのさんの目(目力)と表情と身体のみで演技する確かな演技力に、今更ながら引き込まれた作品。劇伴、一切なしの演出も効果的な作品である。】
■ボクシング映画が面白いのは、演じる俳優さんの気迫がスクリーンを通して伝わってくるからだろう。
だが、女性ボクサーを主役にした映画は少ない。
邦画だと、安藤サクラさん主演の「百円の恋」
洋画だと、クリント・イーストウッド・主演、監督でヒラリー・スワンクを一躍スターダムに押し上げた「ミリオンダラー・ベイビー」と、渋い所では脱北者の女性ボクサーを主人公に据えた「ファイター、北からの挑戦者」が印象に残っている。
主演した女優さんは、皆スターダムを駆け上がっている。
だが、トレーニングを含め、相当な覚悟が必要なんだろう。
■今作では、更に聾者という設定が被されている。
つまり、岸井さんは台詞で演技が出来ないわけである。
だが、今作で彼女はこの難役を見事に演じきっている。
ボクシングシーンも含めて・・。
今までは気づかなかったが、岸井さんの目力は相当凄い。
特に、小柄な彼女が”下から上”を見る時の目が凄い。
■演出面で言うと、一切の劇伴を無くした事で、ボクシングジムでミットを叩く”バシ!バシ!!”と言う音や、都会の騒音、川の流れの音がリアリスティックに響いてくることであろう。
<今作での、岸井ゆきのさんの声なき演技は、天晴というしかない作品である。
コロナ禍の寂しき風景や、脇を固める三浦友和さん、佐藤緋美さんの演技も良い。>
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■2月公開の「レッドシューズ」も楽しみである。
サブタイトルがダサい。
音が聞こえない、音を出してはいけない系の映画にハズレは少ない。観客が集中するし絵も手が抜けない。
レビューもかなりの数あるし、評価も高い。
ストーリーに目新しさは無いが、心の揺れを細かく感じられるのはやはり「音」が無いせいだろう。
ドキュメンタリーぽい距離感も良いのだ。
岸井ゆきのの成長著しい。三浦透子、古川琴音とか昔は見分けがつかなかったが3人とも良い作品に恵まれて一気に開花した感じでユマニテウハウハだ。
(3人とも事務所が同じ)
三浦友和のイケおジジ具合が良い。
仙道敦子が元気でよかった。
さらに中村優子の顔も見れてお得であった。
最近忙しくて、落ち着いて映画が見れない。
こんな時こそ映画見た方が良いと思うんだけど、心に余裕がないの、、、、。
ゆきのの魅力
タイミングが合わずやっと観れました。
楽しみにしてたんですが作品が作品なだけにセリフがあまり無い、静か、シアタルーム暗い=眠くなる。作品が悪いんじゃなく私の仕事上の問題(早起き)。
ちょいちょい寝落ちしそうになりながらもストーリーは把握。
試合は負けたという結果はわかったけど他の部分が中途半端なまま終わってしまったっていう印象。
試合後に岸井ゆきの演じるケイコと三浦友和演じる会長の多少のやりとりがあっても良かったのではないかな?と個人的には思いました。
あとタイトルに書いた岸井ゆきのさんの魅力は何なんですかね?
私にはわからないけど映画、ドラマ、CMとかなり活躍されてるし、いつもいい役やられてるな!ってイメージ。
あと昨年末にやってた「アトムの童」で中盤の話辺りから急にキレイになったんですけど
男でも出来たのかな?って思う位雰囲気変わってビックリ!
ゆきのさんも役で結構イメージ変わるなと思いました!ちゃんとボクサーになれてた!
2023/01/18
かつてプロボクサーだったわたしは「強くなりたい」とか「チャンピオンになりたい」みたいな思いはそんなになくて、単純にボクシングが楽しくて続けていたら、ボクシングがある日常が普通になっていた。ロードワークして仕事してボクシングして帰る、それが当たり前の日常だった。
世の中にあるボクシング映画は人生やら恋人やら、でっかーい何かを背負ってリングに立っているドラマチックなものばかりで、自分みたいなのからすると別世界のような気分になるものばかりだった。
この映画は、当時の自分のように、日常の中にボクシングがある、ただそれだけ、そんな1人の女の子の日常を切り取っているだけなのがとても心地よかったし、こういう映画があることが嬉しかった。
ボクシングだけではなくて、耳が聞こえないということも、彼女にとっては当たり前のこと。そういう当たり前のことを過度にドラマチックにすることなく描いているのがとても良かった。
バンテージ、わたしはネットに入れて洗濯機で洗ってたけど、ピンチハンガーに同じように干してました。
あとあの美しいコンビネーション練習を見ていたら、久しぶりにボクシングをやりたくなりました。
難しい役を見事に好演
生まれつき聴こえない難しい役柄を表情による表現力で演じ切った岸井ゆきのさんの演技力に引き込まれました。特に何かが起こるわけではなく淡々と展開するストーリーですがじわじわと心に響く作品でした。
上映館拡大で浦和に来てくれてありがとうございます。
是非映画館で🎦
10
気がつけば見終わってた
ストーリーに大きな起伏やエピソードがぶち込まれるわけでもなく、割と淡々としていました。が、何かを訴えてくるものがあります。一言で片付けられないような何か。叫びながら相手に打ち込んでいく姿が心に残る。
はい
語らない主人公だけに登場人物と同じく彼女の仕草を追いかけてしまう。わかりにくい表情であるが、もやもやしているようである。決定的な何かがあったとも言えない。何かが違ったのか?自分に気づきゆっくりと傾く。
言葉で濁せぬ演技で答えた岸井ゆきのがやりきる。周囲の演技もそれを支える。久しぶりの仙道敦子がよかったな。
薄味ではあるがしっかりと味がある。聞けなかった彼女の独白。切り裂くような呻き。生きていることに気づき、そしてまた走りはじめる。
静かに淡々と
何かが起こるわけではなく、だけど耳の聞こえないボクサーのいろいろな思いを感じます。
言葉によらない感情表現、ボクサーとしての動き、身体、主役の人はかなり努力されたんだろうなぁと感じました。
三浦友和さんは、さすがです。
フィルムの良い点、良くない点。
きめ細やかな作り。
縄跳びの縄が床に当たる響き、
靴、
グローブとミット、
鉛筆とノート、
電車、車、、、の響き。
セリフが少ないので、
目を澄ますと、
脳に響いてる何かが際立つ。
音楽が、入る所は、
上記は全無音。
それぞれの音が脳を透過して心臓に響く。
体感してから、
頭で解釈する、
身体で感じたものを、
脳で解析(映画に解析なんて不要、という前提で。)するタイプの作品。
2人のシャドウは、
年間でもトップクラスに残っていいほど気持ちのいいシーン。
耳を澄ます、
のではなく、
目を澄ます、
と、
心に響いてくるものがある。
のであれば、
寄りの絵の暖かさはいい。
引きの絵の何枚かの、
フィルムの粗さは、
これでよかったのかは疑問が残る。
こちらは目を澄ませてるのに、、、。
フィルム好きであればこそ、
ノスタルジーで語るのではなく、
暖かさとかでごまかすこともなく、
更にもっと引いた感覚も必要かと。
とはいえ、
そんな粗さも
ケイコの、
立たなきゃ昨日へ逆戻り、
感に、
倒されてしまった。
この映画は何を語りたかったのだろう?と考えた。
この映画は何を語りたかったのだろう?と考えた。観た人それぞれで自由に感じとってくれたらいい、というのは作り手側のコメントとしてよくあるが、それは表向き。作り手が熱を入れるには、伝えたい中核がなければと思う。公言するかは別として。
ストーリーは「ジムを閉めることになった」。それだけである。全編、映像詩? んー、そうもみれなくもないが、そう言ってしまえば、すべての映画は映像詩である、と言われたら、やはり中身を空っぽにされてしまう。
音のない世界を描いていて、聾者への理解が深まり、手話に関心をもつきっかけになる、そんな映画、と言えるけど、そこを描きたいのであれば、こういう内容にはならない気がする。もしそこを描きたくてこうなったのなら、相当な変化球である。
本作品はUDCASTでバリアフリーな上映がされていた。障がい者系映画ではよくある。しかし視覚障がい者が観賞したら落胆しそうな気がしてならない。聾者と盲者のコミュニケーションは難しいものだが、バリアフリーの映画を介しても、聾者の姿は盲者には見えてこないものなのかと。「いや、一般にそんなことないと思う。本作固有の問題としてならそうかも。」と意見したい。
一番こころに残ったのは「自分に負けるなよ」の叱りである。ジムの裏方で誰かがコーチに叱られていた。試合を控えていながら自己管理ができず体重が増えたようで。登場人物それぞれの「自分に負けるなよ」が下敷きにあったから、裏方での声が重く届いたのかもしれない。
二番目にこころに残ったのは、あの丹下的ジムの愛しかたの人それぞれである。最後の練習のリング上で、コンビネーションミットを受けるあの男性の涙。あの涙で「人それぞれ」だなと思った。そしてケイコはボクシングを愛していたというより、あのボクシングジムに通う生活の全体を愛していたのだなと私は解釈した。新しいジムは家から遠いのではなく、心から遠かったのだなと。愛する対象をどういう枠組みで愛するか。想いの交錯が人間関係を複雑にしている、その透視しづらい心理の骨組みを顕然させたことはすばらしくて、中身がないのでは?と訝りつつも大きな拍手を送るに値する。
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