モリコーネ 映画が恋した音楽家のレビュー・感想・評価
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想像以上に凄い人でした
本当に心地良すぎて、眠りに落ちてしまいました…
が、モリコーネの映画音楽に対しての真摯な姿に心を打たれ、
また、彼の作曲の才能の果てしなさに、驚愕いたしました。
もし、生きていらしたら、もっともっと良い映画音楽を生み出していたんだろうな...。
500以上の映画とTVの音楽を作ってきたというモリコーネ。曲は知っていてもその人となりについては無知であったが・・・。
長編ドキュメンタリーらしく、経歴と作品への取り組みをたくさんのインタビューと共に紹介している。
まず父親がトランペット奏者だったこと。医師を目指していたが父に進められて音楽の道を選んだこと。恩師になかなか認められなかったこと(映画音楽は卑下されるものだったという)。イタリアンポップスも数多く作曲していること。依頼された監督との方向性の違いをどう乗り越えたかなど、興味深い内容だった。
ドラマチックで映像を最大限盛り上げるメロディと編曲は、情熱的でまっすぐな人柄がしのばれる。
偉大なる映画音楽家
大学時代レンタルビデオ屋に通い、名画100選というタイトルの文庫本に収録された映画を片っ端から借りて、順番に観ていったことがある。これで名画は押さえたと勝手に思っていたが、浅はかなこと甚だしく、この映画の中で紹介されている作品などはほとんど知らない。モリコーネは、デビューが1961年で、60年代の西部劇が代表作になるようだが、観たことがあるのは『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』、『ニューシネマ・パラダイス』、『アンタッチャブル』、『ヘイトフルエイト』という後期の作品だけだった。映画音楽というジャンルでは、『ゴッドファーザー』で有名なニーノ・ロータ、北野映画で有名な久石譲(そして最近お亡くなりになった戦メリの坂本龍一)は思い浮かんだが、モリコーネは、タランティーノに「バッハやモーツァルトやベートーベンよりも素晴らしく、ずっと長く残る音楽をつくった」といわれるほど、映画音楽の世界では並外れた地位を築いた人なのだということがわかった。
それにしてもその功績があまりにも偉大であるためか、映画は全編にわたってモリコーネに対する絶賛の嵐が吹き荒れていたが、それはいささかやり過ぎではないかという気がした。素晴らしいということはわかるのだが、その独創性を生み出している源はどこにあるのかという肝心のところが私のようなモリコーネをあまり知らない人には理解しづらかったように思う。
「曲が完成したら、ある時から聴いてもらうことにした」という最愛の妻マリア。偉大な芸術家の影には必ずといっていいほど影響を与える女性がいる。若い日に出会い生涯をともにしたマリアは、音楽の専門家ではなかったが、観客と同じ目線を持ち、モリコーネに容赦なく意見できる重要な存在だった。そういう女性には、若い日に出会うことはかなわなかったが、たとえこれからでも巡り合うことができれば出会いたいものである。
映画を観る深度が、確実に一段階深まる一作
2020年に亡くなった映画音楽の大家、エンニオ・モリコーネが自身の映画作曲家としての半生を振り返る作品。
実際の音楽と作中映像に合わせたモリコーネの証言はとにかく面白く、既に観た作品でも「この音楽はこんな意図があったのか!」と何度も驚かされることになります。
これほどまでに才能と情熱に溢れた作曲家ですが、既存の音楽界では映画音楽を、「商業利用された音楽」と見なす傾向が強く、モリコーネもかなり晩年まで自身の経歴に対して思うところがあったことが分かってきます(そもそもキャリアのスタートが、低予算と俗悪さを売り物にしていたマカロニウエスタンだし)。しかし音楽家としての権威を追求するよりも、映画という装置を使って、自らの表現方法である音楽の可能性を追求し続けた結果、数え切れないほどの名曲を遺してくれました。
本作では貴重な記録映像や映画の映像だけでなく、本作の監督、ジュゼッペ・トルナトーレによるモリコーネの姿を捉えた映像も使用されていますが、この映像がいかにもトルナトーレ監督の、モリコーネに対する敬意と愛情に満ち溢れています。上映時間はやや長めですが、様々な驚きや発見の多い作品であるため、ほぼ中だるみを感じさせません。
もっとも様々な著名人がモリコーネを賞賛する映像が延々と続くという、ドキュメンタリー作品にありがちな場面はちょっとどうにかならないのかな、とは思いましたが(モリコーネの偉大さは、映像と音楽で十分すぎるほど伝わってくるし)。
とにかくモリコーネの素晴らしさを改めて実感するとともに、彼が音楽を手がけた作品、特に『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』をもう一度見返したくなりました!
TVで見た荒野の用心棒が初めてのモリコーネ。
映画にではなく、モリコーネの人柄と功績に五つ星です。異論は認めません。
文句ある人はこの映画を観てください。
奥様をひたすら愛し、謙虚で、幾つになってもチャレンジャーで、映画音楽の価値、レベルを、いや音楽全体に影響を及ぼした人なんだなと、、再確認しました。難しい音楽理論はわからないけどあの覚えやすいメロディーのなかに幾つもの実験が仕込まれている事を初めて知りました。
もう全作見たい!聞きたい!
ミューズの御許に
「克服したかった...この...罪悪感を」
一人の音楽家が、ミューズの御許に到るまでのドキュメンタリー。
ジョン・ウィリアムズが長嶋茂雄ならば、モリコーネは落合博満だ。
凄い映画音楽を凄い映画音楽としてしっかり伝えられるのがジョン・ウィリアムズならば、モリコーネは自らの叡智を何とはなしに見せてしまう。
それは、音楽の筆記試験で43点しか取れず、ピアノも両手で満足に弾けない僕でも、モリコーネの楽譜の主旋律なら追いかけられる点によく表れている。
錚々たる証言者が繰り返し口にしているように、モリコーネは明快なのだ。
彼は何度も映画を去ろうとしたが、その度に映画が彼を追いかけた。
「初めて映画音楽の仕事をしたのが1961年。その時に妻に言った"1970年には映画音楽をやめる"。1970年には"1980年には映画音楽をやめる"。1980年には"1990年には映画音楽をやめる"。1990年には"2000年には映画音楽をやめる"。もう言わないよ」
これは、一人の音楽に忠実な男の物語。
証言者の面々が凄まじい。
映画ファンならたまらないだろうな
映画初心者なのでモリコーネさんのことは知らない状態で鑑賞。
・モリコーネさんがカメラの前で自身の音楽遍歴について語る。
・映画監督や作曲家がその偉大さについて語る。
・映画の情報がちょっと出る。
これの繰り返しです。
ストーリーはないようなものだけど、終盤はやっていたことの結果が出てくるのでグッときます。
映画ファンなら終始十分に楽しめると思うけど、初心者には序盤がキツかったです。
それでも聞いたことのある音楽が出てくるので、めちゃくちゃ凄い人なんだ!となりました。
一般に受けるには俳優を立ててストーリー仕立てて映画にしたほうがよかったのでは?と思いました。
やっぱり好き
モリコーネは昔から好きでdinnerで流すほどだった
モリコーネはただの職人じゃなく異才の人だと気づいたのは
ジョン・ゾーンがモリコーネのカヴァーアルバムを出した時
なるほどこの辺のことがこの映画でクリアになった
モリコーネはストラヴィンスキーから始まり
ジョンケージを横目に見たノイズ大好き即興の人だったんだ!
その上本物のオーケストレーションの人 交響曲が書ける人
対位法をイヤでも駆使してしまうアレンジャー
インスピレーションが冴えアイディアに富み
ぴたりと劇伴に表現できてしまうんだからそりゃスゴイ
自分がその仕事を楽しむために実験や仕掛けをやめなかった
恥ずかしながら「ミッション」がモリコーネが携わった作品とは認識していなくて
そのシーンが出てきた時は感涙してしまった
本当にたくさんの映画を音楽で盛り上げたんだな〜と深く感動したけど
長すぎた…長すぎて感動が薄まった
映画音楽をアートにした先駆者
最近突然ニューシネマパラダイスの曲が聞きたくなり動画サイトで検索しモリコーネさん自身が指揮した演奏動画で号泣。
何か関連イベントないかな?と検索して今映画が上映していると知りました。しかも監督がジュゼッペ・トルナトーレさん…。見るしかないと映画館へ。偶然知れて上映期間中でよかった。
しかし把握しているのはニューシネマパラダイスの曲のみ。ジュゼッペ・トルナトーレ監督なら逆に自分の作品はあまり流さないかも…と思ったら予感はあたり。ニューシネマパラダイス自体はずっと心待ちにしてやっと来た!と思って涙ぐんだらすぐ終わりました(笑)そこは残念。オーケストラ演奏付きでもう少し時間かけてほしかった。作曲エピソード、監督とのエピソードももっとほしかった。
しかし知らないことを多々知れたのはよかった。聞いた事のある曲もありました。
ご本人は子どもの時からトランペットの仕事しながら裕福な子女に混ざって音楽学校で学んだ苦労人という異色の経歴。真面目で音楽一筋、妻一筋。学校で師匠につきクラシックを基礎からしっかり体系的に学ばれ。前衛的、実験的音楽にも取り組み、当時芸術とは見なされてなかった映画音楽の仕事に抵抗を感じつつ、どんどんオリジナルのアイデアが浮かび例え面白いと思えない映画ですら仕事を引き受けていく。映画音楽を音楽の一ジャンル、芸術に昇華されたのがモリコーネさん。
ニューシネマパラダイスの曲きくたび「こんな映画にぴったりの素晴らしく聞くだけで泣ける曲を作れるのはどういう訳か」と不思議なのだけど、才能はもとより多様な音楽の仕事をされ何十年も積み上げ重ねてこられてたのですね。
他のことは全て妻が引き受けて、音楽一筋でいられたことはちょっと羨ましい。
女性も同じく「他のことは全て家族任せでやりたい仕事のみできる」環境ならもっと世に出る人多かったかな。妻も素敵な人でモリコーネさんも離婚を繰り返したり女遊びが激しいとかそんな人じゃなくよかった。
2020年に亡くなられていますが今もまだ健在でどこかで作曲をされてるような気配のする映画でした。
(観終わった後また色々検索し前にあらすじをみてすごく観たいと思ったがDVDもなく諦めてたピエル・パオロ・パゾリーニ監督の「テオレマ」の音楽もモリコーネさんで、しかも2022年に生誕100年記念で映画館公開されてたと知ってショックでした。観たかった…)
誠実な靴職人みたいな
いつもの映画館で
当初ノーマークだったがチラシを読んでこれは観なければと
祝日前日ながら水曜日のサービスデー行くしかない
17時少し前からの開始 仕事は2時間早退
終わったのが19時半過ぎ…長い なので▲1.0
オラが大学に入って映画を本格的に見始めて
最初にハマったのがアンタッチャブルで
その音楽がエンニオモリコーネだったのだ
オープニングの文字に影がかかる映像と合わせて流れるテーマ
初めて聴いたときの感動は未だに新鮮だ
警官の凱歌や乳母車のシーンのテーマもいい
ショーンコネリーがアカデミー助演賞を受賞したのにも
アシストしている気がする カポネのテーマも大好きだ
マエストロと呼ばれていたことや 名前の語感から
何となく海原雄山的なイメージを持っていたのだが
タモリみたいな風貌 誠実な靴職人みたいな
何度もアカデミー賞の候補になるも受賞できず
名誉賞を獲り別に皮肉を述べる訳でなく素直に受賞を喜び
妻に最大限の感謝を伝える
しかし最終的には本賞を獲得
ケジメのつけ方がカッコよすぎる 風貌はタモリだけど
受賞したタラ映画を観た時はなんか音楽が遊離している気がしたのだが
いい意味でのタラ監督への裏切りだったんだなと
だからこその受賞だったんだなと
絶対音楽に対しての映画音楽との言葉
師匠との折り合い
ジョンウイリアムズをはじめとする多くの音楽家からの敬意
いまや映画音楽を下に観る者がいない証だし
そこまで引き上げたのは彼の功績だ
アンタッチャブルまでがちと長かったが
そこからはもうこれこれという感じだった
映画も映画音楽大好き❣️😃
映画大好きだけど、映画音楽も大好き💕という方がこの作品を見ると、益々映画が大大大好きになってしまう😆、まさにそんな感動的な作品でした🎶
音楽家に愛された映画という芸術
モリコーネ 映画が恋した音楽家。
モリコーネという音楽家に愛された映画という芸術のなんと幸福なことか。
映画の神様っているんだなって思う。
ニュー・シネマ・パラダイス、ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ、ミッション、アンタッチャブル
等々。モリコーネの作品だけじゃないけど、脳裏に浮かぶ名場面ってすべて音楽と一緒になってる。
音楽の力ってすごいな。
モリコーネ作品の全リスト載ってたら資料的価値があるなと思って久しぶりにパンフレット買ったら、この映画に出てくる作品しか書いてなかった。残念。
この作品を上映してくれるだけでも有り難いのに、観客ほとんど入ってないにも関わらず大きなスクリーンにかけてくれた劇場の心意気に感謝したい。
モリコーネかく語りき
映画音楽のマエストロ、エンニオ・モリコーネの伝記ドキュメンタリー。膨大な数の映画・音楽関係者の証言に加えて、モリコーネ本人が、自らの人生、曲作りの秘訣、映画への思いなど、屈折感も交えて存分に語りつくしている。亡くなる前によくここまで記録しておいてくれたものだ。
トランペット奏者から作曲家を志し、現代音楽に少しかぶれて、ポピュラーミュージックの編曲で頭角を現し、小学校の同級生のセルジオ・レオーネと再会して、本格的に映画音楽の道ヘ。ここまでの過程は全く知らなかったし、意外でもあるが、こうした過程がその後の映画音楽に生きていることがよくわかり、「なるほど」と膝を打つ感じ。
マカロニウエスタンのほかにも、60年代から70年代のイタリア映画が続々出てくる。「アルジェの戦い」「死刑台のメロディ」もモリコーネだったんだね。日本未公開の前衛映画も面白そう。80年代以降は外国資本の作品が中心となるが、モリコーネが世界的に有名になっただけでなく、イタリア映画の元気がなくなってきたせいもあるのかな。
映画音楽に関わる様々なエピソードに加え、モリコーネが「映画は監督が全てを取り仕切ることができる。音楽以外は」といったことを語るが、強烈な自負が感じられて、一番印象に残った。
とにかく情報量がすごいので、一回観ただけでは消化しきれないが、作中で取り上げられた映画とともに、これからも時間をかけながら味わってみたい。
マエストロ! マエストロ!!
モリコーネの音楽に浸れる至福の157分だった。
思い入れが強過ぎてあまり多くは語れないが、モリコーネにこれだけ喋らせたトルナトーレ監督の手腕が素晴らしい!
生活のために演奏することが屈辱的だったと生々しく、音楽院の卒業試験後帰り道で感極まって恩師ペトラッシと抱き合ったことを涙ぐみながら、自身が作った音楽について嬉々として、とにかくモリコーネが、語って、語って、語りまくる。
どこを取っても名言だらけなのだが「70年には映画音楽を辞めると言った、80年には辞めると言った、90年には… 2000年には…」続けて「もう言わない」と話した時の誇らしげな様子が印象的だった。
映画音楽史理解の手がかりとしての好作品
本人の述懐、様々な評論家の証言、各作品の見せ場、曲の演奏で構成されながら進んでいき、知らない作品が多かったものの、知っている作品も混じってきて、それほど長い期間にわたって映画音楽に貢献してきた人なのだということがわかってきた。自分で気に入らない曲もあったり、監督とは制作方針が違ったりするほど強い力を持っていたこともわかった。『アンタッチャブル』の乳母車の場面は、『戦艦ポチョムキン』のオマージュだったと思い起こした。顔つきが『ピーナツ』のチャーリー・ブラウンかライナスという評があったが、どちらも眼鏡をいつもかけているわけではないので、随一の音楽家であるシュレーダーといってほしかった。現代からみると、不適切な映像場面の採用もあった。
音楽に愛され、音楽に恋した音楽家の物語。
最初は、寝不足だったこともあり、一瞬寝ていたかも?が何回かあった。
出だしはとても静かな入り。
モリコーネを語る人たちが、「偉大な音楽の巨人」のごとくほめたたえても、音楽に手を差し伸べられたことも、音楽に好意を抱いたこともない私には、全くピンとこなかった。
けれど、実際に彼が音楽を担当した映画とその制作秘話になると…俄然面白くなる。
「ニューシネマパラダイス」も、「アンタッチャブル」も、「海の上のピアニスト」も、彼が手掛けた作品だったんだ!
澄んだ音符が跳ねるように奏でるメロディは、確かにどの作品にも必要不可欠なものだった。
モリコーネは言う。
「目の前に、真っ白な紙がある。私はそこに自由に音楽をかいた」
彼にとって、音楽は自分と世界との懸け橋なのだと悟った。
晩年、オスカーをとって妻に感謝するモリコーネは、とてもとてもチャーミングだった。
私は、10代の頃、言葉で世界を理解し、繋がった。
けれど、もし10代に戻れるなら…読書量を減らしてでも、ギターの練習をしたいな。
音楽の楽しさ、素晴らしさを知らないのはもったいないと生まれて初めて感じた映画だった。
血湧き肉躍る
一人の非凡で努力家の音楽家、エンリオ・モリコーネの手掛けた数々の映画音楽。
3時間近い上映時間も、熱中したままに本当にあっという間でした。
70年代のマカロニウエスタンと呼ばれる西部劇から、ワンスアポンアタイムインアメリカまで(アンタッチャブルも好き)、自分が観てきた映画と映画音楽がまるで人生のハイライトのように駆け巡りますね。
もうこの曲を聴いただけで涙が溢れて感無量になります。
曲を聴けば映画シーンが目に浮かぶ。
彼がいだから映画がここまで人生の糧になったのだとしみじみと感じました。
感嘆と満足のため息で映画館を後にしました。
是非、映画館で鑑賞を
Bunkamuraで鑑賞。
映画はモリコーネ本人の人生史というよりは、彼が携わった映画の音楽制作におけるエピソードが語られている部分が大きい。芸術家は言葉より作品で語るイメージが強いが、モリコーネは本人も雄弁だった。
映画の本編映像もモリコーネの音楽とともに堪能できるので、ぜひ配信よりもスクリーンで鑑賞してほしい。168分が長く感じなかった。
個人的に坂本龍一のドキュメンタリー「Ryuichi Sakamoto:CODA」と合わせて観て欲しい。モリコーネが自分が音楽を担当したかったのにできず悔しい思いをした「ラスト・エンペラー」において、坂本龍一がベルナルド・ベルトルッチ監督のもとで苦労したエピソードなどが語られている。そしてその「ラスト・エンペラー」がアカデミー作曲賞を受賞してしまうのだからモリコーネは悔しかっただろう。
2015年の「ヘイトフル・エイト」でようやくアカデミー作曲賞を受賞するものの、正直モリコーネの映画界への功績を思えば、名誉賞だけでなくアカデミー賞を10回は受賞して良さそうなものだ。
モリコーネのすばらしさは、芸術家でもあるが立派な職業作曲家でもあり、きちんと監督の要望や映画のコンセプトを(時には監督以上に)汲み取り、音楽で再現している部分である。決して独りよがりな作曲はしていないのだ。
映画や音楽に限らず、モノづくりに携わる人間は少なからず共感できるドキュメンタリー作品に仕上がっている。
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