モリコーネ 映画が恋した音楽家のレビュー・感想・評価
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モリコーネが関わった音楽が片っ端から観たくなる。
エンニオ・モリコーネの映画音楽はもちろん知っているし、モリコーネが関わったイタリア歌謡に好きな曲も多い。しかし、これほど多岐にわたった活動をしていたことや、監督の意見すらもしりぞける映画音楽に対するこだわりと自信についてはこのドキュメンタリーで初めて知った。とにかく3時間、モリコーネの音楽がかかりまくり、本人やコメントを寄せた著名人たちの解説が付いて、ありがたいったらありゃしない。改めて知ったのは、モリコーネの音楽が映画作品を凌駕してしまっていたり、映画の価値を底上げしている例がわんさかあること。途方もない才能を浴びるように感じられる至福の時間だった。
ただ、ドキュメンタリーの体裁としてはよくあるパターンであり、最後にはモリコーネの功績を称えるコメント釣瓶打ちになるのは、正直凡庸な構成ではなかったか。あのパターンに陥ると、もう型通りのエンディングになだれ込むだけだと、いささか退屈してしまう。盟友トルナトーレでないと実現しなかった企画であることに感謝しているのだが、モリコーネの独創性に倣った構造の映画であったらもっとよかったのに。と、わがままを言いつつ、2時間37分にまとめただけでも偉業だった気もする。
彼の人生を紐解くことは、もはや映画史を紐解くことにも等しい
カメラの前でモリコーネが語る。著名人の言葉が挿入される。映画の名場面とその音楽が流れるーーーこれ以上の何が要るというのか。モリコーネがいざ音楽遍歴や、映画界に進出したきっかけ、はたまた各作品にまつわる逸話を丁寧に語り出すと、もはや誰もが時の経過を忘れてのめり込んでしまうはず。長きにわたるキャリアにおいて巨匠は、いかなる創造的感性を働かせながら作品にふさわしい音を探求し続けたのか。一つ一つの言葉に驚きと発見が詰まっているし、これを観るとすぐさま各映画を音楽的な側面から再鑑賞・再検証したくなるに違いない。個人的には、モリコーネが『海の上のピアニスト』に添えた言葉は実に興味深かったし、歌声を取り入れた『ミッション』の壮大な音作りの裏話に触れられたのも貴重だった。彼が亡くなっても芸術は不滅だ。このドキュメンタリーは、私達がこの先、彼の遺した名曲と歩み続ける上で欠かせない教科書的な一作となるだろう。
個人的なベストは『続・夕陽のガンマン』
映像に添えた音楽は実に500曲。映画音楽の父と呼んで差し支えないエンニオ・モリコーネの生い立ちから創作活動までを紐解く人物ドキュメンタリーは、世代を超えて、映画マニアたちの個人史を辿る時間でもある。
数々のマカロニウエスタン、『ニューシネマ・パラダイス』、『アンタッチャブル』あたりがすぐ思い浮かぶが、やっとオスカーを手にした『ヘイトフル・エイト』は代表作と呼ぶのに少し抵抗がある。アカデミー賞の気まぐれをもろに被った巨匠の1人が、モリコーネだったと思う。
個人的な好みを言わせていただければ、独特のギターのリフと口笛とコヨーテの鳴き声をフィーチャーした『続・夕陽のガンマン』と、イタリアン・ツイストを炸裂させた『太陽の下の18歳』がベストワークかと。その攻めっぷりにこそ、モリコーネ音楽の真髄を感じるから。このドキュメンタリーを機会に、モリコーネとイタリア映画の1960年代にトリップしてみてはいかがだろうか。
なぜ「バッハ」や「ベートーヴェン」は誰でも知っているのに「モリコーネ」は知られていないのか? 映画ファン必見作品!
「ニュー・シネマ・パラダイス」の、あの名曲は、たとえ作品を知らなくても、誰でも聞いたことのある曲でしょう。
「この曲を作ったのは誰か?」と問われると、「エンニオ・モリコーネ」という名前が出てくる人は非常に少ない現実があります。
ただ、「モリコーネ」の凄さは、そんな次元ではない、ということを、この映画で体感できるのです!
「ニュー・シネマ・パラダイス」の曲などは単なる1例にしか過ぎず、映画音楽の骨格を生み出したのが「モリコーネ」なのです。文字通り「映画音楽の生みの親」と言っても大げさではないことが本作を見ればわかるでしょう。
なぜ「バッハ」や「ベートーヴェン」は誰でも知っているのに「モリコーネ」は知られていないのか、という疑問を抱くまでに凄いのです!
別の言い方をすると、本作でないと「モリコーネ」の偉大さや偉業を体感しにくいと思います。
本作を作ったのは、まさに「ニュー・シネマ・パラダイス」でタッグを組んだジュゼッペ・トルナトーレ監督です。この作品用に撮った「モリコーネ」本人へのインタビューを中心に構成し、クリント・イーストウッド、クエンティン・タランティーノなどの映画業界のトップランナーがタイミングよくコメントや解説をしてくれます。
ただ、冒頭のインタビューシーンは、回顧録すぎて、正直に言うと不安もありました。しかし、すぐに「映画」関連へと移っていき、見たことがない昔の映画でも、「モリコーネ」の音楽への取り組み方などが垣間見え、いかに才能の塊であったのかがわかるようになっています。
500作品を超える映画やテレビの音楽を手がけ、2020年7月に91才の長寿を全うし、本作が結果的に遺作となりました。
あまりに壮大で興味深い物語で、157分が短く意義深く感じられる凄い作品でした。
天性の音創りは彼を鬼才にした、見事であってそれ以外の言葉が浮かばない!
先週「モリコーネ」を既に鑑賞しておりました。
すっかりコメントするの忘れてましたよ、御免なさい。
この映画の事:
巨匠エンニオ・モリコーネ:2020年7月6日没(91歳)
ドキュメンタリー映画:2021年製作、157分 イタリア
イタリアの映画音楽家、彼の半生が綴られている。
昔から見ていた映画の至る所に彼の作品的音が奏でられていて
その当時は BGMを聴いていても気にも留めていなかった。
でも 今こうして 過去を思い返すと彼の創られた音が
俳優達と一緒に共演している作品を
こんなにも見ていたなんてと 驚かされる。
この映画には、有名な作曲家をはじめ、映画名監督が
続々とコメントを寄せている。
かつ、時間は短いが彼の創った映画音楽と そのシーンが
数多く出演していて
ニュ-シネマパラダイス以来、こんなにワクワク感が
止まらない気持ちになったのは久しぶりであった。
長いかと思われたが、あっと言う間の160分でした。
----代表作 (わかる範囲で)※実際はもの凄く多いです。
荒野の用心棒
夕陽のガンマン
アラビアンナイト
エクソシスト2
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ
アンタッチャブル
ニュー・シネマ・パラダイス
ミッション
海の上のピアニスト
ヘイトフル・エイト
挙げたらきりがないよ。
----
この中でも、今作に挙げられていた
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ は
凄く感慨深く私の耳が聴きいった。
映画のデニ-ロのカットを見た瞬間、次のカットが
ウッズがタンクロ-リ-に身投げの場面だった事を思いだして
彼の放つメロディが流れ 私は思い出して涙した。
凄い、本当にすごい、僅か数カットでそのメロディとカットを
観ただけで 涙するなんて。
それが彼の音なんだと・・・心の奥底にいつまでも静かに
流れていく~それを覚えた。
もう一つが、
ニュー・シネマ・パラダイスである。
心が落ち込んだ時、いつもこの音楽を聴くようにしているんだな。
これ程までに優しいメロディは、私は感じたことが無い。
そう思っている。
いつまでも ずっと彼の創る音と
奏でるメロディに浸っていたい思いであるが
この辺で終わりとしたい。
(書いてる途中、ずっと彼のピアノが頭の中に・・・)
上映されてる劇場は少なく成ってきているかもですが
ご興味御座います方は
是非とも 劇場へ足をお運びください。
※単館系シネマ作品なのに シネコン系の枠で
上映頂いてる事に深く感謝いたします。
鑑賞出来て本当に良かったです。
頭の中で奏で
1961年から500以上の作品に関わり、2020年に91歳で亡くなった、映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネ。誰もが知る曲「ニュ ー・シネマ・パラダイス」のトルナトーレ監督にのよるドキュメント。トランペット奏者の父により、トランペットを習うために音学学校に入れられたものの、作曲に転向し才能を発揮。徐々に映画音楽の依頼が増えて成功していく。
みんな知ってる曲も多いし、あの曲もこの曲も、とまさしく映画が愛した作曲家。意外だったのが、作曲家は曲を作るときピアノのそばですると思っていましたが、周囲にピアノも楽器も見当たりませんでした。頭の中で奏でてるようです。巨匠でありながら実験的な試みも多くされ、それがまた印象を強くしていました。ブルーススプリングスティーンも「続夕日のガンマン」に影響を受けていたのは意外。ハンスジマーは、最初の音でモリコーネの曲とわかると言っていました。ジマーは積極的に既存の曲を取り入れますが、モリコーネは既存の曲を採用しないようにしていました。
面白かったのがセルジオ・レオーネ監督と初対面の時。
モリコーネは(見覚えがある顔)と思い「カリッシミ小学校にいたレオーネ?」
レオーネ「そうとも」
実は小学校以来の再会だったと。
生涯の仕事
157分の長さも納得の、盛りだくさんの内容。
医者になりたかったのに、父の勧めでトランペットへ。
人の運命というのは、意外な方向。
そして紆余曲折の人生。
へーの連続。
私が生まれる前の、イタリア映画の話も多くて。
ピンとこない箇所もあったけど。
あの映画も、この映画も?!と、驚き。
モリコーネの曲があればそれだけで名作
エンリオ・モリコーネの生い立ちと
音楽との関わり方や
数々の代表作が如何にして生まれたのか
その流れを丁寧に紐解く作品。
曲を聴くだけで名シーンが浮かんできます。
映画好きの方は絶対に観てほしい映画です。
2024年1月に4Kレストア上映されて話題になった
「レザボア・ドッグス」のとっても興味深い撮影秘話も
あったりします。
で、月に8回程映画館で映画を観る
中途半端な映画好きとしては
例えばテレビ番組の中の再現VTRみたいな映像でも
BGMにモリコーネの曲が流れると無条件で感動してしまう。
それほどに感情に訴えるパワーが強いモリコーネの名作音楽。
あなたは何が好きですか?
私は「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」の中の
「デボラのテーマ」かな〜
主人公の陰惨な人生の中で唯一の美しい思い出として
胸の中に抱き続けて来たヒロインのデボラ。
彼女の存在そのもが彼の人生の中の安らぎでもあった。
そんな感情が溢れるなんと美しく悲しいメロディー。
映画「モリコーネ 映画が恋した音楽家」 観た後に、
チャンスがあったら
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」や
「海の上のピアニスト」等も是非ご覧くださいね。
長丁場でしたがあっという間の
映画の音楽を楽しめた時間でした。
モリコーネの名前を知らなかったのですが
ニュー・シネマ・パラダイスのタイトルから
監督と作曲家の篤い友情!
古さを感じさせない、寛やかに耳に入る
メロディー!
温故知新、映画を名作にさせる音楽の
大切さを知ることができました✨
公開日に観ました。
モリコーネが溢れ出す
好きな海外の映画音楽作曲家は?…と聞かれたら、自然とジョン・ウィリアムズとエンニオ・モリコーネの名が出る。
大巨匠二人で教科書みたいな答えだが、どうしてもこの二人の音楽に魅せられる。
共に偉大なキャリアと多大な功績を残しているが、タイプとしては似てるようで違うようにも感じる。
ウィリアムズは王道も王道。THE映画音楽。昔ながらのフルオーケストラ。
モリコーネもそうでありつつ、一連のマカロニ・ウエスタンでの独創的な音楽。様々な分野の音楽を組み合わせたり、作品に応じて実験的な音楽も。ジュゼッペ・トルナトーレとのコンビでは心に染み入る美しい名曲…。異端にして唯一無二の探求家。
本作はそんなモリコーネのドキュメンタリー。
生前のモリコーネが自らや映画音楽を語り、半生やキャリア、同業者や業界人からのリスペクト。
ドキュメンタリーの作風としてはありふれているが、初心者でも見れる。
監督はトルナトーレ。やはりこの人が撮ってこそ。
手掛けた名曲の数々も流れ、2時間半超えのボリューム。モリコーネ好きには堪らない!
ざっくばらんに経歴。
元々音楽家志望ではなかったが、父の勧めにより音楽院へ。
トランペット奏者としてイタリア現代音楽の大家ゴッフレド・ペトラッシに師事。
当初は成績もあまりよろしくなく、師からも期待されていなかったというから驚き!
次第に才能を開花させ、作曲や編曲を始める。数多くのアーティストへの楽曲提供も。
映画音楽デビューは1961年の『ファシスト』。彼の名を上げたのは奇遇にも学校の同級生であったというセルジオ・レオーネとのマカロニ・ウエスタン。
暫くはマカロニ・ウエスタンの音楽が多かったが、やがて国内外問わず様々な作品や監督に重宝され、手掛けた総本数は500本以上…! 時には一年間に20本以上手掛けた事も…!
栄えある賞も多く受賞。オスカーは長らく無縁だったが、2007年に名誉賞を、そして2016年、クエンティン・タランティーノの『ヘイトフル・エイト』で悲願の作曲賞を受賞。
映画音楽のみならず、本来の純音楽作曲も。コンサートは常に大盛り上がり。
2020年に亡くなるまで活動を続けた、世界音楽屈指のマエストロ。
だがそんなマエストロも、苦悩や葛藤の連続であった…。
音楽院時代なかなか認めて貰えず、劣等感抱える。
アーティストからは声が掛かり、映画音楽も引っ張りだこだが、師や学友からは良く思われず…。俗悪な映画音楽など手掛け、純音楽への裏切り。
それでもモリコーネは映画音楽の作曲を続ける。
暫くは来る日も来る日もマカロニ・ウエスタンの音楽ばかり。それで有名になったから宿命と思って引き受け続けるも、決して満足していなかった。あの『荒野の用心棒』や『夕陽のガンマン』の音楽に対しても不満を。嘘でしょ!?
打ち破ったのは、『続・夕陽のガンマン』。従来の音楽に囚われず、あらゆる手法を駆使して作曲したという。やはりほとんどの人が口を揃えるのも、これ! かく言う自分も。初めて聞いた時の衝撃は忘れられない。何かで読んだ事がある。“人間には二種類いる。この音楽を聞いてモリコーネが嫌いになる者と、虜になって抜け出せなくなる者”。ちなみに私は後者。
音楽を巡って監督と衝突する事もしばしば。新曲を作るも、以前の音楽を流用されたり、あの音楽のようにと注文あったり、屈辱も感じたという。が、作曲した音楽は監督をいつも納得させる。
映画が失敗すると、責任も感じたという。
映画音楽家として地位を高めるも、映画音楽から身を引こうと思っていたのはしょっちゅうだったという。
それでも彼を引き留めたのは、映画音楽だった。
新人監督との仕事や初ジャンルへの挑戦。さらにモリコーネ音楽世界が広がっていく。
声楽や交響曲からのインスパイア。それらを無限に取り込んでいく。
その都度その都度ターニングポイントとなった作品も。
レオーネとの『ウエスタン』や『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』。
国際作品なら、『天国の日々』『ミッション』『アンタッチャブル』。特に『ミッション』は自信作で、これでオスカーを逃した事は本人にとってはショックで、アカデミーにとっても大いなる過ちと言われている。
そしてトルナトーレとの運命の出会い。親子ほど離れた歳でありながら、師弟であり盟友。
『ニュー・シネマ・パラダイス』『海の上のピアニスト』『マレーナ』…。
何故だろう。トルナトーレとのコンビの時は特別な音楽に聞こえるのは。
『ニュー・シネマ・パラダイス』のノスタルジーを掻き立て、『海の上のピアニスト』では主人公に自分を重ねたという。
時に監督や製作者以上に作品を理解し、その音楽で作品を物語ってしまう。
見ていて、日本の伊福部昭と似通っている所があると思った。
伊福部氏も管弦楽の分野から映画音楽へ。
映画音楽が裏方だった当時、監督に対しても音楽の事ではっきり物言う。
名を上げたのは『ゴジラ』などの怪獣や特撮作品。“ゴジラの音楽の人”とだけ言われるのを嫌うも、一連の作品は特別心血注いだという。
作曲総本数は300本以上。映画音楽の傍ら、従来の管弦楽も。晩年、亡くなるまで。
異端の存在や音楽に捧げたその生涯。
彼らの音楽に魅了されるのは、だからだろう。
『ヘイトフル・エイト』でのオスカー受賞ははっきり言って遅すぎた。
モリコーネの多大な功績を称えるのに、このシーンだけでは足りなすぎる。
が、我々世界中のファンや同業者や業界人は知っている。彼がどんな偉大なマエストロか。
多くの監督や同業者が彼を語る時、その音楽もしっかり覚えている。これは、凄い事だ!
音楽に取り憑かれ、音楽に身を捧げたようでもあるが、その逆でもある。
音楽や映画が彼を離さなかった。音楽が楽譜を書いてと懇願し、映画が彼に音楽を付けて貰う事を望んだかのよう。
モリコーネと映画音楽。
葛藤しながらの映画音楽人生だったが、フィルムの最後、モリコーネはこう述べている。
映画音楽は最高の現代音楽だ、と。
どの作品を見ても、どの音楽を聞いても、
そこにはモリコーネが溢れ出す。
映画音楽だけじゃないよね。
映画を観たことがない人でも曲名を知らずとも必ず聞いたことがある曲を多数生み出した音楽家、それがモリコーネなんだねえ。曲作りの発想だったりは映画音楽の枠にははまらない、まさに「現代音楽」の開祖とでもいうべき存在だったんだと思います。
この作品を観て、あー観ておくべきだったなあ、とか、それ面白かった、とか思いました。
映画音楽の特殊性
<映画のことば>
音符は建築の資材と似ている。
同じレンガを使っていても、どの建物も違う。
本作によれば、映画音楽になることは、普通の音楽家からは敬遠されているとのことですけれども。
本作を観た限り、それは、映画音楽というものは、その映画音楽が織り込まれるシーンとの整合が厳しく求められることで、通常の作曲よりも、もっともっと創造面での制約が多く、作曲の難易度が高いから、ということのようです。
しかし、映画は「総合芸術」として、そのなかに音楽は欠くことのできないもの。
そして、本作のエンニオ・モリコーネが、その難易度の高さゆえ、他の作曲家がなかなか足を踏み入れない映画音楽の世界に傾倒して行ったのは、むしろ、映画音楽は、普通の作曲と比較して、格段な難易度が高かったからではないかと、反対に思いました。評論子は。
例えば、なぜ困難を押して登山に挑み続けるのかと問われて、「そこに山があるから。」と答えるように。
彼が不屈に映画音楽に取り組む…あるいは「埋没する」ことができたのは、その精神性がバックボーンにあってのことと、評論子は理解しました。本作を観終わって。
佳作であったと思います。評論子は。
聞き慣れた、すぐに彼だとわかる映画音楽の数々、 斬新さ、独自さ、そ...
聞き慣れた、すぐに彼だとわかる映画音楽の数々、
斬新さ、独自さ、そのエピソードがさまざまうかがえて、
また観て聴くのがさらに楽しくなりそうです
タランティーノ監督はお目が高い
マエストロ・エンニオ・モリコーネを今に生きる
《モーツァルトでありシューベルト・ベートーベンである》
と讃えたタランティーノ監督の鑑識眼はさすがでした。
このドキュメンタリーを最後までみるといかに正しいかがよく分かります。
この映画はモリコーネご本人が語る半生の回想。
彼と仕事をした多くの監督や音楽家70人以上のインタビュー。
映画の名場面に奏でられるモリコーネの音楽。
そして6度ノミネートされて6度目にタランティーノ監督作品
「ヘイトフル・エイト」でアカデミー賞作曲賞を受賞する場面で
涙ぐむモリコーネさんで盛り上がり。
その勢いで南米・アジア・ヨーロッパと回った「ワールド・ツアー」の
更なる成功で大盛り上がり。
(日本にも来ましたがアメリカはスルーですね)
そしてロックアーチストにモリコーネの曲が受け継がれ、
10万人規模の野外ステージで、まるで、ボヘミアン・ラプソデイみたいに
盛り上がって終わる。
この構成はモリコーネを師匠と仰ぎ親友でもあるこの映画の監督
ジュゼッペ・トルナトーレの演出が素晴らしい。
思えば「続夕陽のガンマン」と「荒野の用心棒」位は観ずに
イーストウッドを語るな、と言われて、このマカロニ・ウェスタン2作品を
観ました。若き日の美しいイーストウッドにも惚れ直したけれど、
エンニオ・モリコーネの音楽。
口笛のメロディがなんとも、無国籍の「さすらいのガンマン」に
似合いすぎて、そのシーンと口笛(フラメンコギターと歌声も)が耳について離れない。
マエストロ・モリコーネの映画音楽は、一言で言えば、
《耳について離れず、心にダイレクトに響く》
そして映画を振り返った時にメロディとともに映像が蘇る。
なぜモリコーネさんがモーツァルト・シューベルト・ベートーヴェンと
同等の大天才かと言うと、
①頭の中にスコアがあり、ギターもピアノも作曲に必要としない。
②オーケストラ譜のシンフォニーのスコアを凄いスピードで手書きしている。
(一度に7〜8作品を掛け持ちしたとか)
③一言で映画音楽450曲と言うが、モリコーネさんはテーマ音楽だけでなく
殆どのシーンの曲を書いている点。
④モーツァルト・ベートーヴェンと同じく指揮者としても卓越している点。
世界中の映画ファンからに愛されるマエストロでもアカデミー賞を
取りたかったんですねー。
アカデミー賞って罪だなぁ・・とつくづく思う。
実力と人気があっても、殆ど【時の運】
・・・でも貰えて本当に良かったですね。
白紙の五線譜に向かったマエストロは、
本当に新しい曲が書けるんだろうか?
イメージが湧いて来るだろうか?って、呻吟する。
子供のように自信を失い不安と期待で葛藤する。
目指すは芸術の深淵、誰にも辿り着けない頂き。
時には自信をなくして落ち込み天を仰ぐ。
しかしイメージは天啓のように降りて来る。
その振り幅の大きさこそ天才の証(あかし)かもしれない。
「ミッション」と「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」を
今一度再見してみたくなリました。
「ニューシネマパラダイス」のラストシーン。
何組も何組ものカップルのキスシーンが延々と続く。
このシーンの音楽が特に好きです。
もっと長く観ていたいシーンが多かったです。
(インタビューがあまりに大絶賛で、それはもうわかってますから、
喋りより映像と音楽にもっと耽りたかったかな)
「アンタッチャブル」のベビーカーが階段落ちする有名なシーンは
嬉しかった・・・また観直したくなりますね。
CGを使わない映像とパソコンや電子機器で作曲しない
オーケストラの生音が近年の映画より、
ある意味本物で新鮮で魅力的でした。
トルナトーレ監督によるモリコーネ讃歌
トルナトーレ監督によるドキュメンタリー。モリコーネが映画音楽に関わるまでの道のりが描かれており、彼が二代に渡るトランペッターでありかつ音楽学校で作曲をしっかり学んでいたことが描かれる。そういう意味でこの作品で興味深かったのは彼の映画音楽の作曲家としての才能や成果だけではなくどこか引き裂かれてしまった一面ともいえる、絶対音楽の作曲家という側面だった。いかに華々しい活躍をしようと、商業作曲家として依頼に完璧以上といえる質でこたえ続けていようと、恩師や学んだことを真に活かしきれてないという葛藤を長らく抱えていたようにみえた。これほど華やかな第一線で活躍している大作曲家に葛藤があったことや、それが少しずつ溶解し、共存していけるようになる様子は、驚きでもあり救いでもあった。
個人的には大好きで思い入れの強いワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカの撮影秘話などが興味深かった。長く温めていた企画で早くから曲作りに取り組んでいたこと、レオーネが撮影にモリコーネの音楽を流し、音楽とともに撮影していたことなどはかなり驚き。
観ていない映画もかなりあって、荒野の用心棒や夕陽のガンマンシリーズは、モリコーネの音楽を意識しながら観たくなる。
ミッションの作曲秘話など、粗編集でいきなりメロディが浮かんできて書き留めるとか、本当に引き出しと才能の塊なんだろうなと思った。これからも素敵な映画音楽と、絶対音楽を作り続けていってほしい。
感謝
ニュー・シネマ・パラダイスで、モリコーネという名前を初めて知った。
ゴッドファーザー、スターウォーズ、ロッキー、インディージョーンズ、印象的な映画音楽は他にもある。しかし、それまで映画音楽を作っている人を意識したことはなかった。
今回この映画の中で紹介された映画はほとんど観たことがない。それなのに、流れてきた曲の多くは知っている曲ばかりだ。
モリコーネという人の作品の理解力と想像力、音楽の幅と作曲のスピード、全てに驚くばかり。監督以上に作品を理解すると言われる能力がどのように備わったのか、非常に興味深い。
深い葛藤を抱えつつも、数々の名曲を送り出してくれたことに心から感謝。
硬い表情が多い中で、奥さんの話をする時のキュートな表情がたまらない。
(2回目の鑑賞)
エクソシスト2が一番いい!
ドキュメンタリーで160分弱はキツイかなーと思っていたけど
一気に見れました。
多作でマカロニウエスタンの礎を築き
ダリオ・アルジェントの歓びの毒牙
遊星からの物体Xのエンディング
ヒッチハイクの一番エッチな場面
夢魔のパイプオルガン
シークレットサービスの最後のエキサイティングな場面
あー思い出す。
でもエクソシスト2がオミットされているのは何故?
ご本人もあまり好きではないのかな。
特にマジックアンドファンタジー。
3つの異なるメロディのうち2つずつを組み合わせて
最後まで旋律を奏でる、ってどんな脳みそしてるんや?と
不思議に思っていたものです。
本作で解説してくれるものと期待していましたが
叶わなかった。
ので60点
2
イオンシネマ草津 20230202
パンフ購入
原題はファーストネームなのか
作品と曲を聴くと知ってる!すごい!と思うのに、思いの他淡々と氏の人間味ある姿を写していた。人となりに馴染んでくるので、賞をノミネートされて受賞したりしなかったりを見ながら、なぜか一喜一憂してしまう。結果知ってるのに。
やはりあの曲はそんなふうに出来たのかいう部分が一番面白い。
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