茜色に焼かれるのレビュー・感想・評価
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世の中は、うそーってことだらけ。
池袋プリウスミサイル事件的な情況で30歳の旦那を亡くした7年後の嫁(母)と13歳の息子の話。
アルツハイマーであったと罰せられることもなく天寿を全うした上級国民な加害者の葬儀からストーリーは始まり、思想を貫く姿、生きる姿をみせていく。
ROCKな男に惚れた女だけど、彼女はROCKというより賢く生きられないだけにみえる。まあ物語として、こういう人柄の設定は嫌いじゃないし、熱さと哀しさは好きだけど。
どうでも良いドラマーらしき男のその後はいらなかったし、ケイの親父に一言ぐらいあっても良かったんじゃ?とは思ったけれど、このストーリーにこのオチですか…w
生きる理由は、自分の場合ざっくりいうと、死ぬ理由がないからかな…。
惜しい。
令和コロナの「名もなく貧しく美しく」和製「ジョーカー」と評したいが、
長さと終盤の散らかりで傑作未満に。
これ系の役はオダギリ永瀬にという安牌配置は支持しないが、
少ない語彙で誰より雄弁な美しき片山友希抜擢は成功。
年テンには入れるか。
石井裕也はいつも惜しい。
いま苦悩する女性の物語
コロナ禍である現在を描いた作品です。
夫を交通事故で死亡した7年後の物語で、ルールや価値観に縛られた人生を歩む女性の先の見通せない苦悩を描いてるんだけど、私的には共感を感じることが少なかったです。
耐え忍んで生きてるんだけど、戦わないことがルールになってる様でどうしてもスッキリした感じにはならなかったです。またお金についても、金額が映像で流れるんだけど楽観的なのかどの様に稼ぐのかに言及しなく流されるままに進む感じが。
最後にルールを逸脱し始めることで、少しずつ社会で生きることが苦だけではなく笑顔が見えることが救いなのかも。
ヒューマンドラマから名作誕生❗️
高評価からの参戦。
確かに、納得。
いつもは内容が面白いか?だけのミーハー評価ですが、これは映画と言う評価にふさわしい。
ヒューマンドラマは苦手で飽きる、時計も度々、、、が毎回。
この映画は更に上映時間も長め。
耐えられるか心配でしたが、そんなことはなく全く時間も忘れるほど良かった。
派手じゃないのに、脚本やシーンに無駄がなく、夢中にさせる。そして名演技。
尾野さんは勿論、息子と永瀬正敏さんが凄く良かった‼️
誰かがレビューに、こんなにいい映画なのに上映館が少な過ぎると書かれていたが、それも納得。せめてロング期間の上映を望みます。
PS:上映前の尾野さん石井監督の舞台挨拶も良かった。
決して軽快なトークでは無かったが、ゆっくりと味のある時間だった。近くでお目にかかれて嬉しかったな。
1人の男性を愛した女性の生き様
冒頭部分の車と車がぶつかった交通事故が、CGと言う新しい視点で描かれていました。加害者の視点と事故で家族を失った
女性の悲痛な思い、被害者の視点、2つの見方があり、実際に起きた事故の事例と重なりました。人が社会で生き抜くもどかしさや、中学生の息子さんの多感な気持ちを感じ取りました。
烈と言う言葉に、家族を愛した女性の強い決意が有りました。
渋谷の街にある背景とラストの茜色に染まった空が、人の様々な生き様が表現されていました。
主演の尾野真千子さんは、たくましい生き方を現していました。
息子役の和田さんからは、お母さんを好きな気持ちが伝わってきました。
訂正 車と自転車の事故でした。
これが、オレの自慢のかあちゃんだ!
昨今の邦画上映本数の乏しさは悲しいですが、こちらは鑑賞後の感覚がとても良かったです。
きっとあなたの身近にも居る親子の話。
新型ウィルスのおかげで貧しさに拍車がかかり、荒んだ世間に冷たくあしらわれ、負のスパイラルと言うしかない状況に追い込まれる。
良子、純平、ケイ、涙を流しながらも不器用に真っ直ぐに、まっとうに生きている。
すごい人たちです。
わたしには純平くんに似た年頃の息子がいて、ひどいイジメの場面には身体が震えました。このご時世、子供たちの心は傷ついています。
わたしたち大人にできることは、困っている人には手を貸し、真面目に生活する姿をみせることかなあと思いました。
その点良子は立派な良い母親です。
ラストシーン、純平の声で「これが、オレの自慢のかあちゃんだ!」
あの親子は固い絆で結ばれ、この先幸せを掴むと暗示させる場面でした。
素晴らしい映画でした。
コロナ禍で深まる搾取構造の闇を、茜色に染める
既得権益を持つ者が作った「ルール」の中で、弾かれないよう「芝居」をしながら生きる。その中で募る憤り、それを超えた怒り。
そうした現実に、「情念」を持ち、「ロックに」生きる田中良子に、いつか救いがあるよう、祈りながら観ました。
苦しい現実を前に、意味を求め過ぎれば虚しさが生まれ、でも意味も見出さずにただ居るのはもっと辛い。
「いたしかたなく受け止める」運命論と、「それでもこのためにがんばる」という自由意志。
抗えない現実を、どう捉えれば「マシ」なのか、どう生きれば幸福であるのか、答えの出ない問いがずっと巡っています。
最後のシーンで「いつものセリフ」を求める息子に、「まぁ、がんばりましょ」と言わせなかった脚本に拍手。
だってじゅうぶん、がんばっているもの。
悪い冗談みたいなことばかり起きる世界で
尾野真千子さんの活躍を目の当たりにする昨今…単独主演映画ということで楽しみにしていた。
若い頃から才能を発揮してオリジナルの良作を創り上げてきた石井裕也監督の作品は必ずみるようにしている。
スターサンズ制作、河村Pということもあって社会の矛盾や歪みに斬り込んでくるのだろうな…と。
コロナ禍の今、水面下に潜んでいる悲痛な叫びが予想以上に詰め込まれいて刺される映画だった。
元高級官僚が起こした交通事故で夫を亡くした尾野さん演じる妻と中学生の息子を軸に描き出される世の中の歪み。
夫への賠償金は受け取らず息子・純平を1人で育て、施設に入院している義父の費用、夫の愛人の娘の養育費も払っている良子のプライド。ニコニコ笑う顔の下に苦しむ姿が見え隠れしていた。
カフェの破綻。バイト切り。夜の仕事とのダブルワーク。息子のいじめ。同級生の嘘。
これでもか〜これでもか〜と迫ってくる苦しみに押し潰されそう。
同じ店に勤めるケイちゃんもとにかく苦しい。
尾野真千子さんの熱演と引けを取らない片山友希さんの存在感が心に残って泣けた。
世の中の歪みに振り回されながらも信念をもって逞しく生きる良子と息子の姿にパワーをもらえた映画。
悪い冗談みたいなことばかり起きるこの世界…必死に生きて生きる人びとの生き様。
石井裕也監督の本気を見た!
コロナ禍の今だからこそ
観るべきなのに映画館が閉まっていて心から残念で口惜しいと思う。
一日も早くコロナが収束してこの親子の未来が輝きますように。
生きるための価値観 その優先順位…
どう捉えたら良いかが正直な感想です。
『正直者が馬鹿をみる』この言葉がはまるのでしょうね。生まれてきた境遇とその人生の終わりの狭間での生きて行くための現実的な『手段』『思い』『お金』と心情的な『神様』『思い出』『運命』を生きる目的という視点で、様々な利害者を通して、親子の視点で大切な物は何なのかをキャッチアップしたところは興味深かい作品だと思いました。今の社会を鋭く切り裂いた作品だと思いました。難しかった…
息子以外の男&通路挟んだ隣の客(男)
今をその場で切り取って映画にするって、すごく勇気あると思う。
園子温の「希望の国」とかもそうだけれども、まだ答え出てない事を映画にするって大変だと思うのよね。
だから、この時期に大きなお葬式?とか自転車による移動距離?とかステレオタイプな不良中学生とか、まあいろいろ違和感あってもそれを上回るエネルギーを感じた訳です。
息子以外の男の登場人物がみんなどうしようもなくて、でもほんとにあれくらいどうしようもない男ってふつうにゴロゴロいて、そこはすごいリアリティーだなと思いました。
「風俗とかシングルマザーならすぐやらせると思ってる!」ってセリフに笑ってた男とかいて、作品内の登場人物かと思ったよ。
様々な事に振り回されて、もがいて、あがいて、戦って、開き直る事を示してくれる作品です。
以前から気になっていた作品で、鑑賞した方の評判の良いのですが、都内では渋谷の「ユーロスペース」のみの上映となかなか厳しいですが、なんとか機会を作って観に行きました。
で、感想はと言うと、良いね。
なかなかずっしりどっしりな感じで、引っ掛かる部分での「フック」も十分で見応えがあります。
何よりも尾野真千子さんがやっぱり良い♪
アルツハイマーを患った高齢の元官僚の老人が運転する車に交通事故で夫を亡くした良子。
理不尽な事故と加害者側からの謝罪が一切無い事から賠償金を受け取る事を拒否し、また加害者の葬式に訪れるが「嫌がらせ」とされ、一切の焼香にも拒否される。
中学生の息子の純平をひとりで育て、施設に入院している義父の面倒もみているが、経営していたカフェはコロナ禍で破綻。花屋のバイトと夜の風俗の仕事の掛け持ちでも家計は苦しく、息子は言われなき差別と風評被害に苛めにあっている。
だが、どんな時でも「…まあ、頑張りましょう」と前向きな良子。
だがそんな良子と純平、そして風俗店で同じ様に働くケイにも様々な事情があり、皆様々な悩みやトラブルを抱えていた。
世間的に社会的弱者とされるも、前向きに生き、様々な困難を立ち向かっていく。
だが、様々なトラブルが良子たちにのしかかる…
冒頭からいきなりの展開にビックリと言うかショック。
あのオダギリ・ジョーさんをいきなり退場させる荒技はインパクトは抜群であるが、普通に考えると勿体無いw
この事件だけで、あの2019年に池袋で起こった自動車の暴走事故をモチーフにしていると言うのが分かる。
元ネタ(であろう)の事故と映画の内容をリンクさせるのは些か強引であるが、それでも未だに「アクセルとブレーキの踏み間違い」を認めずに裁判で争うと言う姿勢は正直腹立たしいのを通り越して、吐きそうな嫌悪感を覚える。
なので「あの事件」を深く知ろうとするのはあまりにも精神的にもよろしくない。
でも、映画の作品を世の中に問いかける「フック」と言うのには、良い悪いは置いといてかなり効果的。
劇中で加害者の家族は「事故は仕方なし」「国民の為に尽くしてきた親父に対して、あの仕打ちは非常識だ」と言うのは「事故なんて親父の今までの功績を考えれば大した事はない」と言う事なんだろうけど、身勝手な「上流国民」の劇中のセリフとは言え、ムカムカします。
そんなイライラとムカムカで始まったと思えば、尾野真千子さん演じる良子の逞しさと飄々とした態度と行動に呆気に取られる。
もちろん、いろんな事を考えた上での行動かと思うが、貧乏に瀕しても賠償金を受け取らないのは謝罪をしなかった加害者へのせめてもの抵抗と言うのはある程度理解しようとしても、やっぱり全部を理解は出来ない。
生活費を稼ぐ為に風俗店で働くのも賠償金があればそうはならなかったのではと思うだけに、どうしても良子のエゴに感じてしまうんですよね。
でも、この辺りの良子の「正義」に呆気に取られるが多分、これも作戦の内で「観る側を手玉に取ってる」んでしょうね。
それぐらいに良子のしたたかさと純情、バイタリティが画面を通してグイグイきます。
あと、尾野真千子さんのベテラン(に見える)風俗嬢っぷりにはドキドキしますw
キャストは尾野真千子さんを筆頭になかなかな布陣で力強さを感じます。
個人的にはケイ役の片山友希さんが良い感じ♪
純平役の和田庵さんは絶妙なチョイスかと思います。
良い部分が多くて、観ていてもグイグイ引き込まれる部分があるんですが、ただそれでもツッコミどころはあるw
そんなツッコミどころを書いておくと…
・純平のいじめっ子が放火未遂で純平達が団地を追い出されるのに、いじめっ子達には何もないのか?
う~ん…いろんな物が消化不良であってもここは台詞だけでも良いのでキチッと決着をつけて欲しかったなと。
弱みに付け込んだり、自己満足の為に弱者をいたぶるのは描写であっても大嫌い!
他の部分は割りとオチがついてるのに、これだけほったらかしになってるのは納得いかんです!
・良子が勤めている風俗店「カリペロ」w、他の女の子が居る描写がない(殆ど)!
控え室は結構広いのに2人では結構もて余している感じ。
交流は無いにしても、他の女の子達の描写があるともっと良かったかなと。
・良子の同級生の熊木との出会いは出来すぎじゃあないすか?
かなり唐突過ぎw
ちょっとドラマを作り過ぎてしまっていて、分かるんだけどなんかこのエピソードだけ浮いてる感じがするんですよね。
放火の後に団地を追い出されるのが決定して、良子が包丁をカバンに入れて、向かうのはいじめっ子達か?はたまたここまで無関心を装った学校の担任か?と思いきや…自分を軽く遊びのつもりでもてあそんだ熊木だった!
思わず“そっちか~い!”とツッコミましたw
自分の大切な息子を苛めて、挙げ句の果てに放火未遂とは「お天道様が許しても私が許さん!」と来るのかと思いきや、自身の「女」の部分のプライドが最優先w
いや~ツッコんでしまいましたw
他にも幸子と滝のシーンは思わず「えっ?」となって「あのシーンているのか…」となったりしますが、永瀬正敏さん演じる風俗店「カリペロ」の店長の唐突な登場であってもスカッとする仕事人っぷりに思わず「カッケー!」となって、その後の仕事きっちり!っぷりにカタルシスが下がっても、出来ればいじめっ子達にも成敗して欲しかったし、ケイを幼少期からレイプした父親が火葬場にしれっと来ているのにも良子もしくはカリペロ店長の正義の鉄槌が降るかと思いきや…降りなかった。
また、13歳でスポーツとかやっているそぶりがないのにやたらと純平がムキムキっとした細マッチョだったりw、あと、純平のIQの異様な高さが光明であるにも関わらず、そんな天才としての事実も後々にはスルー気味だしw
年上の女性のケイに憧れて、自転車をかっ飛ばす純平の真っ直ぐな純情は思わずうなずいてしまいますが、純平の思春期の恥ずかしい妄想行為にはあんまり触らないでおくれw
そんな何かと観る側の「ひだ」をくすぐる「何か」尾野真千子さん含めて、色々と用意しているんですよね。
石井裕也監督の作品って、今までも「舟を編む」や「夜空はいつでも最高密度の青色だ」「町田くんの世界」といった個人的には良作があるんですが、前作の「生きちゃった」は個人的にはちょっと「やらかした」感があって、少しランクダウンw
でも、人物のひだを大いに触って、刺激して、優しくなぞる様な描写が気になるし、割と好きなんですよねw
でもなんと言ってもやっぱり尾野真千子さんに尽きるかなと。
茜色に焼かれると言う、何処かノスタルジックで優しい感じに聞こえても、ファンタジーにもミステリアスにも感じるタイトルも秀逸。
ラストの自転車の二人乗りもとても良いし、何処か突発的に決めた介護ホームでのリモート芝居も呆気に取られながらの純平のツッコミ的セリフがナイス。
「そこに愛はあるんか?」と言われたら、間違いなく愛はありますね♪
怒りや苦しみ、他人の無関心や無自覚で理不尽な悪意。様々な事に振り回されて、もがいて、あがいて、戦って、開き直る。
「明けない夜はない」なんて言いますが、夜になろうとする夕暮れの茜色に焼かれる様に染められるのは、他人がどう言おうが精一杯生きている証。
都内での上映館が少なくて、物凄く割を食った感じが勿体無い。
でも、とても見応えのあって、刺激もある「良い」作品かと思います。
興味があって、まだ未鑑賞の方は是非是非な作品。
お勧めです♪
尾野真千子が全て
コロナ禍べースでのリアリティ感ある話に、国民の殆どが腹に入らなかった例の上流階級高齢者の暴走事故要素を入れ、様々な屈辱に耐えた上で決して解消されない結末を迎える、実にアウトローな映画だった。
コロナにより社会的弱者に陥った主人公家族と、元々が弱者だった者達の絡み合い、さらに社会モラル的にアウツな面々も交じり合い、そこには希望の光は無く、現コロナ禍での我々の感情面も入り込み、実にリアルな感覚で観られた。風俗店の客層の実に腐り切ったとこ。コネ被害でのパート切りと嫌がらせ。誤魔化し笑いする軟弱な担任。金で体を要求する性欲にまみれた知り合い。最低最悪なヒモ男。近親レイプの父親。遊び感覚浮気希望で気持ち悪く笑う元同級生.......数えきれない程の屈辱と嫌悪に、主要人物達は苛立つ程までに我慢する。殆どの事が淡々と流れ解消されない。本当、アウトロー、アンダーグラウンドなストーリー。
唯一の救いは、息子が天才である事。ただそれだけ。この約束の無い未来感は、今のコロナ禍故の気持ちと同じ。主人公のがんばろうねの言葉が虚しい。これも今の我々の気持ちと同じ。監督は、ただ皆こうだよね、俺もそうなんだよの気持ちを映画にしただけにも感じる。そう捉えると、この落とし所の無い本作を良い映画だと言い放つのはどうかと感じるが。
私が高得点に上げたのは、尾野真千子の凄まじい程の体当たり演技。これが全て。なかなかの汚れシーンも、少しイッチャッテる感あるセリフと表情も、ちょっと程度の低い考え方も、貧乏揺すり連発も、彼女の今までの女優人生をぶっ壊す程。彼女は試写会の挨拶?で泣いたらしいが、そりゃそうだろ、と。
この映画、尾野真千子が全てだ。
ダメ夫の遺産いろいろ
凄まじい怒りや恨みと
壮大な愛情で出来ています
神社でのシーン
ひとつの悪(不倫男・虫)に対して
みんなでこれでもかってくらい殺っつけるとこ
良かった〜笑った〜
良子は死んだ旦那の責任を背負って生きてる
本当の自分を押し殺して
みんなに元気を振り撒いて
自分はガマンばかり
そりゃあ不満が溜まる一方だよね、
ケイの方はもう聞いてるだけで
人生そのものが苦しくて仕方ない
生きる意味?
そんな事考えてしまったら·····
·····話してた事が本当なら
最後に出てきた父親に言ってやりたい。
お前が居なきゃケイの人生もっと良かったはずだよ!
最後だけノコノコ出てくるなー!!馬鹿野郎!!
女優の良子にはちょっと笑ってしまったけど
正義感溢れる一人息子には期待しかない
好きだ、
と母親に告白したのは茜色に焼かれたからでしょうか。
ハッピーエンド♡( ˘꒳˘)。o♡
ケイ役の片山友希さん、
とても感動的で素晴らしい演技でした。
同じような境遇の女として。
“ もっと怒っていい” 。良子に何度となく伝えるケイと、自らの過去の体験が重なり涙がこぼれ落ちた。性虐待。家出。病気。貧困。中絶。ピンサロ(性風俗業)。薬。
真面目に生きていても堕ちていく社会と自分に絶望する。
なぜ、こんなにも不幸の連続は止まらないのか。
コロナの前からずっと苦しかった。
コロナになっても、なお苦しい。
良子の狂気と純平のみずみずしさが、ずっと抱いてきた自らの毒をこれでもかと蘇らせた。
やるせない怒りも、この国の不条理な悲しみも、静かに「演じ」、激しく「演じ」た良子の姿が、終始とどまることなくスクリーンを乱してゆく。
作品、命懸けだったと思う。
この映画を生んでくださった全ての方々、そして尾野真千子さんに心より感謝します。
色々な感情がごちゃ混ぜになる映画。
高齢者のブレーキとアクセルの踏み間違えによる家族の事故死。また、コロナ禍の煽りで営んでいたカフェの閉店。
冒頭から、最近のやるせないニュースが脚本に織り込まれ物語はスタートします。
この映画は終始、理不尽な出来事や悲しい出来事の連続で観ていてとても苦しくなります。しかし何故だろう、見終わった後はなぜかそれでも頑張ろうって勇気が湧いてくるのです。
純平君の飛び蹴りと、中村のフックパンチと、ケイの膝蹴りにスッキリ。
茜空に包まれたふたり乗りの自転車の親子の会話が胸を打ちました。
ラストの主人公の良子のブッ飛んだひとり芝居に館内は笑いに包まれましたが、僕は同時に涙を流していました。
※最初☆4.5で投稿したのですが、観賞後に余韻がいつまでたっても消えないので☆5に変更させていただきました。
高齢者の暴走事故を思う
池袋で元官僚高齢者が起こした暴走死亡事故。なぜ逮捕されないのか、なぜ公判で無罪を主張できるのか、疑問とともに怒りを感じていた事件だ。ドキュメンタリー番組で、被害者家族である夫が、警察から妻と娘が事故当時着ていた服を返され、言葉につまったシーンが印象に残っている。撮影してるテレビのスタッフがボロ泣きして、こんなところ撮影してすみませんと謝っていた。それを観ながら思うのは、やはりなぜ自動車メーカーの責任などと主張できるのだろうということだった。
この映画では似たような事故が描かれる。どう見ても池袋のあれにインスパイアされたでしょという作り。ちゃんとブレーキではなくアクセルを踏むシーンがあった。でも亡くなった男性の妻は加害者から賠償金を一切受け取らず貧困にあえでいる。加害者家族へ怒りを見せずに淡々と生活している感じ。自分の中にある怒りが刺激されていく感覚だった。彼女は働いているホームセンターやピンサロで、男性たちから舐めた態度を取られても怒る態度を出さない。さらには息子まで舐められいじめられるという始末。観ている側としては怒りを覚えずにはいられない。
でも、いろんな問題が最終的に解決してスカッとすることはない。むしろなんにも解決していない。でも、彼女たち家族が生きていく希望だけは残ったと言える。スッとしないのに、後味が悪いわけではない。妙な終わり方だった。
コロナ禍での女性の貧困を正面から扱っているような作品。こんな映画もないとダメだよな。
あの加害者には映画とは違う形で審判がくだされ、ちゃんと罪を認めて、年齢とかを考慮されずに罪を償ってほしいものだ。
#41 良い男は世界を救う
前半は悲惨な物語そのものだが、どんなに辛くても笑って必死に耐えてた主人公がキレてからはポップで明るい物語に早変わり。
どんなに理不尽なことがあっても、優しくてしっかりした息子のジュンペイがいるおかげで生きる意味を感じれる主人公はしあわせなのだ。
反対にケイちゃんは本当に運がない子。
最後にジュンペイみたいな男の子に会えたのが唯一の救い
映画館で観ることができてよかった
石井裕也監督の作品は「舟を編む」「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」「町田くんの世界」「生きちゃった」を観た。中でも前作「生きちゃった」では、どちらかと言えば表情に乏しい仲野太賀を主役にして、主人公を喜怒哀楽その他の感情が一気に湧き上がるような複雑な状況に追い込み、表情の乏しさを逆に禅問答のような表情に見せるというウルトラCの演出をして驚かせてくれた。その上でラストシーンで主人公の感情を爆発させて、心に渦巻いていたものを一気に吐き出させてみせた。それに応じた仲野太賀の演技も見事だったが、その演技を引き出した石井監督の手腕は大したものである。
本作品でもどちらかと言えば地味な演技をする尾野真千子を主演にして、主人公の田中良子をとことん追い込んで、女優のポテンシャルを存分に引き出してみせた。それほど本作品での尾野真千子の演技は素晴らしかった。
最初のシーンの前に、田中良子(たなかりょうこ)は演技が上手いというテロップが出る。そこに本作品の最大の仕掛けがある。以前女優をしていたことがある田中良子は、私生活でもその場その場で求められる行動や発言や表情をする。そのうちにどれが本当なのかわからなくなってくる。
しかし良子を現実に引き戻してくれる存在がある。息子の純平だ。愛する夫の遺伝子を引き継いだ純平。夫が遺した膨大な本が純平の精神世界を広げてくれている。もはや母には息子が何を考えているのかわからない。息子にも母のことがわからない。だから母と息子の会話には常にちょっとした駆け引きがあり、スリリングだ。もどかしいような、的を得ているような会話。その会話から物語が動き出すこともある。このあたりの脚本が凄い。
本作品は印象に残るシーンの連続だが、最も印象に残ったシーンは、学校で良子が担任から息子の成績を告げられるシーンである。このときのヒロインの表情は天下一品だ。尾野真千子の女優としての面目躍如である。
人間は目的もなく、この世界にただ生み出される。どうして生きるのかという問いかけには意味がない。生きているから生きるのだ。そして生きているから死ぬのだ。この不条理を本作品は真っ向から受け止める。永瀬正敏が迫真の演技で演じたピンサロの店長は、哲学的な言葉を普通に話す。それを聞いて良子は高笑いをする。店長が話した真理は重すぎて受け止めきれない。だから笑うしかないのだ。田中良子は演技が上手いという訳である。
シーンの終わりに毎回使った金額が出るのも面白い。資本主義社会の現実は金だ。あらゆることが金銭で動く。しかし田中良子はそれを拒否する。人生の重さを金銭で計られたくない。夫の人生は3500万円ではないのだ。と思いたいのだが、現実は金を必要とする。そのギャップに本作品の面白さがある。
144分という長めの作品だが、それでも削ったシーンが山ほどあるのではないかと思わせるほど、よく煮詰めている。石井監督作品の中でも最も秀逸な作品のひとつだと思う。映画館で観ることができてよかった。
今観るべき価値のある映画として心に残る。とにかく尾野真千子!
尾野真千子の映画での代表作になることは間違いないだろう。
どこにでもいそうな主婦から風俗嬢、そして「獣」にまで、様々な顔を日々使い分け「お芝居」する一風変わった主人公・田中良子。
腹に一物ありそうで少し痛々しくも映るほど強い母親像がぴったりで、鬼気迫る演技は「圧巻」の一言。彼女にしか出せない色が存分に発揮されていた。
和田庵や片山友希の好演も、彼女に引っ張られて引き出されたものが大きいのではないか。あと若手の「ぎこちなさ」を蒼く魅力的に見せる石井監督の手腕も。
永瀬正敏も確固たる安定感で彼女たちをしっかり支えている。
そして、そこには居ないはずのオダギリジョー夫の面影が全編に渡って感じられるのもこの映画の優しさに繋がっている。
要素がかなりてんこ盛りではあるが、監督の怒りが伝わるからマイナス要素とは思わない。むしろ計算を度外視したところが石井裕也作品の好きなところ。
コロナ禍の日本を初めて本格的に描いたチャレンジングな映画としても価値が高いが、あくまで主体はその中で愚直に生きる母子の物語。安易にすべての問題を解決しようとしない姿勢にも好感を持った。
全178件中、121~140件目を表示