茜色に焼かれるのレビュー・感想・評価
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尾野真知子の凄まじさ
いやー尾野真知子力。凄いな。尾野真知子でなくてはこんな映画になってなかったろうってくらい主演のパワー。石井裕也監督作品も何かっていうと最近パッとした印象がないのだけどこれはよかった。最近起こったあれやこれやの現代の事象からひとりの子持ち主婦を作りあげたのだろうけど、アメリカやヨーロッパだけでなく、こういう日本の現代ドラマもできるさって。背負う女、背負って生きてく女の力強さ。ミッドナイトスワンなどより数段よかった。これだけてんこ盛りでラストカットの爽快感もよかった。
女優、思い切り吼えろ
この社会に在ることが辛い。その中でも、ちっぽけな欲望に振り回される男であることが辛い。
それでも彼女は損得勘定なしに思うまま生きていく。亡くした夫への愛情に根差すその意味を考えられないまま。傷つき、際限のない苦しみの中でどうして生きるのか?
永遠に続いてほしい茜色の夕焼けの下、自転車を漕ぎ続ける。そこに大切な人が乗っているから。
2021年ベストムービー!⭐️⭐️✨
この世に生きている意味が見出せなくなった人たちが、自らの命を絶つことも、その人の自由な選択なのかも知れない…。
でも、それはあまりにも悲しい選択だと思う。
こんな世の中だから、仕方が無いのか?
いや、そんなことはないはずだ。
まぁ、頑張りましょ…ってハナシよ
平日の夕方、貸し切り状態の劇場で観賞。
石井裕也監督、「青色」の次は「茜色」か。
尾野真千子がアッパレな体当り。
事故の加害者側が謝らないから賠償金を受け取らないとか、夫が外で作った子供の養育費を夫の死後も払い続けるとか、普通できることではない。
頑張りましょ…の範疇を越えているのだが、尾野真千子演じる田中良子は頑張り続けるのだ。
息子の純平(和田庵)が母の行動の意図を図りかねて、やり場のなさから貧乏ゆすりをする。
ところが、その癖は母親譲りだったことが後に分かる。
居酒屋でケイ(片山友希)相手に遂に思いの丈をぶちまけた時の尾野真千子の貧乏ゆすりには凄みすらあった。
これは、強烈なキャラクターである田中良子が主人公だが、「いい男」の少年とダメな大人の男たちを対比して我ら男の観客に突きつける、男のための映画だった。
市営住宅の家賃が安いのは税金のお陰…だとするとそこで暮らしている人たちは税金から生活費を得ていることになるのか?
中学校の不良先輩に言われたことを純平が気にするのも分かるが、恥じることはない。
あの不良たちにそういうことを吹き込んだ大人がいるはずで、子供たちのイジメは結局のところ大人たちの価値観が産み出しているんじゃないか!
教師が態度を一変させるほど純平は高い学力の持ち主だった。
頭がいいなら純平は将来偉くなって、あの不良たちの上に立つ存在になってほしい。
そうなっても、きっと純平は彼等を見下さず、手を差し延べるんだろうな…
「純平くん、いい男」とケイに言われなくても、彼は彼女を本気で守りたいと思っていた。でも、中学生の男の子なんて、社会ではたいした力はない。シータを守るパズーになんかそうそうなれないのだ。
純平の悔しさや無力感こそが、男の子が男の子である証。我々かつての男の子の胸にしみるではないか。
一方で、良子の周囲の男模様はある意味辛辣だ。
死んだ夫(オダギリジョー)だけがファンタジーで、ほかの男たちは皆リアルでダメだったり悪だったりな男たち。
よくもまぁ、これだけダメ男のパターンを並べられたものだと思う。
そして、このダメ男たちのどれかに自分が当てはまりやしないかと胸に手を当てたなら、まだ心がある証拠かな?
♪また一つ、女の方が偉く思えてきた。
♪また一つ、男のズルさが見えてきた。
(by河島英五)
痛々しいほど自分に素直。文句なく尾野真千子の代表作!
日本ってホントに民主国家?と疑いたく事柄が多く、理不尽な規則規則で雁字搦め。熱意も謝罪もなく規則だから、規則に反してないから・・でもおかしい事多いじゃないですか〜。ドン底でも一生懸命生きている人々が報われなくっちゃ!でも映画観ているとどんどん息苦しくなっていく。なんでだろう?生きるってそう言う事?人の強さ・優しさ・弱さ・ズルさが見えてくる。でもこんなご時世。どんな事でもいい 何かにしがみつきながらでも心の寿命を終わらせないよう私達へのエールにも思える映画。秀作でした。
メラメラと青い炎のように燃える尾野さんが「今」を描きます。
大好きな女優さん尾野さん主演作。観ないわけがない、、、、ってことで鑑賞です。
本作は楽しい作品じゃありません。爽快感も溜飲が下がこともなし。もちろん、全米も泣きません。「負の現実」が怒涛のロイヤルストレートフラッシュで迫ってくる作品です。今の日本の中における不条理を、社会的弱者の現実をこれでもかと見せつけてくれます。
同じ法、ルールの中で生きてるのに、強者はより強く、力なき者たちは集団となりマイノリティを挫く。弱者はただただ耐え忍ぶ。さらにこの時期だからこそ描けるコロナ禍が引き起こす負。女性という立場がもたらしてしまう負。食べきれないほどにテーブルに「今の日本」が並びます。本当にこれでもかと。さらに、その弱者が選ぶ未来まで提示します。
こんな社会でいいんですか?あなたたちが生きてる世界ってこれですよ?と監督が問いかけてきているようです。ただ、どんなに不条理でもどんなに打ちのめされても生きるしかないのが我々なんだと思いますが、なんとも悲しい話です。不条理に叩きのめされ、自分を押し殺し、感情を鎮め、ただただ辛い社会の中生きる意味を見出し生きて行くなんて・・・辛いですよね。
そんな辛い社会に生きていく者は、暗黒の夜と昼間の狭間を漂っているのかもしれません。綱渡りのようにふらふらと落ちそうになりながら、なんとか夕焼けの中バランスをとって生きているようです。そこに留まるか、暗い世界を選択するのか?。バランスと取り落ちずに食い止まっているのは「生き甲斐」あってこそなのでしょうね。生き甲斐が有りさえすれば、夕焼けの茜色の空の色に染まりながらもなんとか生きていける、人生の暗い夜に落ちていくことないはずだと・・・。そんな応援歌の作品であってほしいと思いたいです。
と、思う反面。本作は監督からの痛烈な「皮肉」も込められている気がするんです。ずっと引っかかってるのは、冒頭画面右隅に出る文章です。
「田中涼子は演技が上手かった」
この演技とはなんぞや?と。この不条理が立ち込め、弱者を痛ぶる世界で生きていくには、自分の本心を演技で欺きながら、心配する周りの人達に演技で安心させながら、このくだらない社会を生きているために「あなたは演技して生きているんですよ!」と。そう田中良子は僕たち自身の姿なのではないでしょうか?「まぁ、頑張りましょう」はおまじない。ホントの気持ちは抑え込み、生きていくために大丈夫な自分を演じ切るための。良子に対して持つイライラ、違和感は実は自分たちに対してのものだったのではないだろうか?と。「変える努力せずに乗り切る演技をしてるよね?それでいいの?」って監督がシニカルに言ってきている気もするのです。
こんな2つのメッセージが込められているんじゃないかな〜?って勝手に思ってますけどね。
本作は強い描写と強いメッセージがふんだんに盛り込まれ、それを尾野さんはじめ、演者さん達のの魂が込められた演技で、説得力200%で届けられる作品です。観たら何かが解る、何かが変わるというものでは有りませんが、日々の生活の中で、人生で大きなアクセントをつけてくれる一本ではないでしょうか?
本作ではそんな不条理社会をクローズアップしていますが、ちょっとだけプラスも描かれます。それは人間関係の中で生まれるものです。ほんのちょっとですが。それもまた今の世界ですよね。
ただ一点、良子がなぜに自ら不幸を選んでいくようなストーリーになってしまったんだろうか?という点だけが、納得行かなかったんですよね。これほど生きることに、息子と生きることに全身全霊をかける人物が、経済的な部分で自我を通すかなぁ?ってのが僕にとっては疑問で、それがずっと鑑賞終了まで腑に落ちなかったんです。この不幸って、良子さんが選んだ不幸ですよ?もっと考えて、他力を頼って行動した方が良かったんじゃない?って。ストーリー作るための不幸の連鎖感が、僕としてはフィットしなかったんですよね。その点加味の評点です。
どれが本当の自分か。
自分自身だからこそ
自分のことがわからない。
「なんでー?」っていう「サイアクなこと」ばかり
自分に降り注ぐ。
自分が正しいことをしていても
正しくない人にもみ消される。
悲しさを見破られないように取り繕う。取り繕う。
一時的か、一生か。
分からなくなることってあるよね。
生きてる意味なんて分からない。
多分だれも。
けどそんな「サイアクなこと」続きの中、
普通の「ヤサシサ」に触れると
めちゃめちゃ神かと思うけど
やっぱ「サイアクなこと」に囲まれてないと分からない
温かさに気づけるのもまた
「サイアクなこと」に囲まれてるからこそというか。
最後が、、、茜色なんとかならないのか
なんとか観ることが出来ました。
タイミングが合わず、公開スクリーンも少ないので、これは観られないかもと思っていましたが、評判が良いのでなんとか鑑賞しました。
尾野真千子さんの最高傑作ですね。
言葉にできない怒りや不満や幸せが滲み出ていました。
また、片山友希さんも良かった。
交通事故やコロナなど、とても現実的な題材で心に来ます。また、どうしょうもない男が沢山出てきて、別の意味で心に来ます。
なんて酷いことを言うのか、なんて酷いことをするのか、、、と。切ない。
可哀想とか強いとか幸せとか、一言では表せない、微妙なところが良かったです。
先生に息子を褒められるシーンが良かったな。その後の夕食で子供に望むことは、、、やっぱりそこだよね。と。
ポスターにもあったので、ある程度は覚悟していましたが、「茜」色の不自然さが気になってしまった。天気のことなので限界があるのでしょうけど、最後の最後、ここぞという場面であの光は辛い。急に別撮り感というかスタジオ感というか、、、
あと、最後はちょっと意味不明でした。
でも、いい話にもしない、悪い話にもしない、そこにリアルを感じた。
めちゃくちゃよかったです尾野真千子
好き嫌いは確実に分かれそうな作品。
ネガティブ派は相当過激に叩きそう。
でもよかったんだよなぁ。
荒削りながら強烈に心に刻まれる映画。
良子と純平とケイが愛おしい。
何をおいても攻守ともに完璧な尾野真千子の映画。
引くところは引いて主演にありがちな独りよがりの芝居にならず、
まだ蒼さが残る片山友希や和田庵ら若手の良さも引き出す「受け」の芝居も素晴らしい。
日本の「今ここにある危機」
現実にあった事故をなぞらえた理不尽な交通事故により、夫をあっけなく亡くした主人公。中学生の一人息子を育てるため、さらには亡夫の父親の老人ホーム代を払い、亡夫の愛人の子供の養育費まで払うため、昼はホームセンターのパート、夜は風俗嬢として働く。
社会の理不尽さ、コロナ禍の閉塞感、薄ら笑いに象徴される他者への共感力の欠如といった、日本の「今ここにある危機」が描かれている。
「まあ、頑張りましょう」という主人公の口癖は、自分の感情に蓋をする呪文に聞こえる。居酒屋で風俗の同僚ケイに、自分の思い、怒りを噴出させるシーンには、胸を揺すぶられる。
出演者だけでなく、行き交う人々が皆マスクをしているという、今の日常でありつつ、将来振り返ってみたら異様な姿が、劇映画として作品化されたことが貴重。
映画としては、後半の、息子の純平がケイに憧れ、主人公が幼なじみの熊木と出会うあたりから、雰囲気が変わり、軸がぶれる感じはある。撮りながらシナリオが出来上がっていった面はあるのだろう。ユーモアを交えだすのは、石井裕也監督らしいとも言える。
尾野真千子の憑依ぶりはもちろん、片山友希の真摯さ、永瀬正敏の味わいも印象に残った。
誰の視点の映画だったか
茜色に焼かれる
をレイトショーで見ました。
正直、感情が追いついていくのが大変だった。
自分では、しないだろうと思う事がたくさんあった。
同級生に風俗で働いていた事を話すこと。
旦那の浮気相手の子供の養育費を払い続けていること。
賠償金をもらわなかったこと。
念書まで弁護士に渡していること。
などなど
プライドや生き方なのだろうけれど、普段は『まぁ頑張りましょう』と流してしまうが、それを風俗同僚のケイちゃんに酒を飲んで、泣きながら吐き出してしまう。
とても辛く、憤りを感じ納得できず我慢して、生活の中で演技をし続けていたのだろうと思いました。
冒頭のシーンの字幕で
『田中良子は演技がうまい』
だったかなぁ。書いてあったので映画を見ている間、頭を離れなかった。
男だからわからないのか。
自分がまだ彼女達に比べれば幸せだからわからないのか。
心が不純だからわからないのか。
息子以外の男は
皆んなひどかった。でも多かれ少なかれ皆んなそうだ。リアルに描かれていた。オダギリジョーや永瀬正敏もカッコいいけど、どうしようもない。
尾野真千子さんはもちろんだが
ケイちゃんもよかった。
尾野真千子さんを演技で食ってしまいそうなシーンも多々あった。
片山友希さんよかったです。
ケイちゃんの自死も気持ちではわからなかった。
生きる事に意味がなくなって自死したのか。
息子とデートの約束や
尾野真千子さんとカフェを一緒にやろうとと話されたこと。
それではダメだったのか。
または
自分が醜く死んでいくのを純平に見せたくなかったのか。
それともヤクザな彼氏とどうしようもない父親に頼る事も出来ず、増してや田中良子などには、彼女達の人生に負担をかけるような迷惑をかけられないし。
これからの闘病生活を考えればお金もかかるし世話をしてくれる人もいない。なけなしのお金を全部渡して死んだのか。
悲しすぎる。
最後に息子のナレーションで
これが私の母親です
とんでもないけど大好きだ。
みたいなことが、確かセリフであったが、
この映画は息子の未来からの俯瞰した視点から、
訳の分からない個性的な難しい母親と父親に対しての愛情溢れる思い出の物語でもあったのか
とも思いました。
和田くん、片山さんの演技がまだ不自然な感じがしました。 脚本も...
和田くん、片山さんの演技がまだ不自然な感じがしました。
脚本も後半になるにつれてグダグダになってた気がします。
特に最後に神社のシーンでケイや中村が都合よく表れたのがご都合主義で謎。
あと良子と熊木のベットシーンで自分が風俗で働いて汚れてるかもしれないからうんたらかんたらといっているところ。10台の若い子ならそういう思考になるかもしれませんが、アラフォーの風俗勤務の女性がそういうこと言っているのはかなり気持ち悪かったです。そもそも風俗の女性はそういう思考になりません(はっきりと断言します)。
あとどうせコロナ渦の時世を描くならもっと不幸の原因をコロナによるものとして描いた方がよかったと思います。
業種間での格差も描いた方がよかったと思います。
自分の知り合いの人で借金してお店をオープンしたとたんにコロナがきて、資金がショートして首つった人がいます、一方で、補助金もらって全然困らん、とかそもそも逆に恩恵受けてうはうはみたいな人もいます。そういうの描いたら、面白そうな気がしました。
コロナ渦という設定が、世の中なんか不景気になってるよね、って何となく雰囲気だすのとみんなマスクつけてるだけで全く生かせてない気がしました。
生き方下手のいっちゃってる母親に自分勝手ないっちゃってる死んだ親父...
生き方下手のいっちゃってる母親に自分勝手ないっちゃってる死んだ親父。一見マトモな賢い息子も最高の母ちゃんとか言って、結局いっちゃってるし。皆んな勝手にいっちゃってて下さいって感じ。子供は親を選べないってホントだな。
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コロナ禍に生きる全ての人達に向けた映画
旦那さん役オダギリジョーでびっくり笑
交通事故で亡くなってしまう
加害者は、アルツハイマーで捕まらなかった。ただ官僚という肩書きがあり、たぶんそのお陰で実際捕まらなかった。
実際にニュースにもなり、社会を揺るがしたことが冒頭で絡めてありました。
本題はそこではないのですが、
コロナで貧困、
女だから舐められる
おばさんだから舐められる
被害者だから舐められる
税金をもらって暮らしていて舐められる
とても映画でよく描かれてました。
世間に傷つけられて
それでも生きていく
尾野真千子と息子役の二人良かった
ケイちゃんも良かった
ケイちゃんみたいな子、沢山いるだろうなと思った。
永瀬正敏さん最初嫌な感じの役だったけど、最後、色々助けてくれて良い役と思った笑
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頑張りましょう♪
微妙
泣ける映画と期待してハンカチ持ってったけど
微妙だった…
尾野真知子は大好き。永瀬さんも和田庵もすごく良かった!尾野真千子、オダギリジョー、その他主要キャストの演技は最高だった。
しかし冒頭の池袋暴走事故を彷彿とさせる所が長すぎる。この時点でへこむ。
ピンサロシーンがあまりにも多過ぎる。
女性ドン引き。
熊木くんはそこまで悪くないし彼と付き合えると思った良子がおかしい。
なので熊木くんに犯罪をやらせるのはやりすぎ。最初の弁護士とからめて上手い事やったと監督が思ってるとしたらひとりよがりです。
そもそも良子のバックボーンが回想シーン一つないのは変。良子のアングラ女優姿が写真でもいいから欲しい。オダギリジョーのライブシーンくらい入れてよ。この夫婦に感情移入出来ず。
ケイの人生はきちっと説明できててケイが一番辻褄合って感情移入出来た。
片山友希の演技力に感激!
ラストシーンは唐突。ほんと監督これで気持ちよくなってるとしたらやばい。
夕焼けも画が全然印象に残らない。
箇条書きみたいな映画だとしても、メインのシーンはどこなの?って思いました。
あとドラマーがルックスが必要以上に顔にクセあってすごい余計だった。幸子可哀想。
ヒゲいらない。
田中良子も尾野真千子も演技が上手いのです
いい映画でしたね。いやー社会って理不尽。いったいなんで苦しい思いをしながら必死に生きてるんだろうねーほんと死ぬかイカれるか宗教入るかしかまともに生きる術はない、笑。
この映画はすごくアップの映像とか見上げる感じの面白い角度からの映像とか多くて、人をしっかり映している感じがして好きだった。たまーに入る引きとドアップとぼけやる背景、なんかよい。
尾野真千子もじゅんぺー役の子もステキで好きでした。ケイちゃんもよかったね。なんか苦しい中生きていく強さ、あったかさ。まぁ頑張ろう、そう思える。
できれば、尾野真千子が惚れる男はもうちょいイケメンというか、色気のある男にして欲しかった。どうみたって、オダギリジョーのほうが圧勝にカッコよくて、好きになったと言われても腑に落ちない、笑。
希望でもなく絶望でもない茜色の空
人に勧めたくなる映画にも一応私なりの判断があります。
①まぁ、それなりに映画好きな友達になら
②マーベルとかディズニーとかリーガルものとか割と嗜好がハッキリしてるあいつになら
③映画好きかどうかに関わらず、多少煙たがれることがあっても、とにかく見てほしい、知って欲しい、感じて欲しい、と勧めてしまう
この映画は間違いなく③でした。
コロナ禍であらためて浮き彫りになっている諸課題への問題提起は言うまでもありません。
多くの方が述べられている通りです。
それよりも私が斬新だと思ったのは、
夜の闇に向かいつつある〝茜色に染まる夕方〟がまだまだ続くんだね、しょうがない、まぁ頑張ろう。
というメッセージです。
いや、そんなメッセージ発してるつもりはないけど、と監督は言うかもしれませんが。
明けない夜は無い。
という言い方はよく聞きますが、宵闇がそこに迫ってるようにしか見えないけれど、空が茜色のうちは転倒しない程度にはペダルを漕ぎ続けてみようよ。
こんなまったりした励ましがなんだかとても新鮮でした。
もうひとつ、今までと角度の違うアプローチだと思ったのは、〝自分探しの罠〟についてです。
今の自分は本当の自分では無い、これは俺のやりたいことでは無い、こんなはずではなかった…
どんな状況に対しても、自分本来の姿ではないことにして、抱えている鬱屈を説明したり、納得させてしまうことがありますが、いつも〝今の自分〟を演じているのであって表面の部分は芝居なのだ。そして、芝居を演じているのは紛れもなく自分であり、その自分に本来の自分とか偽りの自分などという違いなんてない。それでいいじゃないか。
コロナ禍だからこその要素に目を奪われがちになりますが、生きることについてのリアルな視点が、じんわりと深く胸に突き刺さってくる素晴らしい作品だと思います。
オダギリジョーさん。
『湯を沸かすほどの熱い愛』でもダメ夫でしたが、
この作品でも決して誉められた人物ではありません。
それでも、奥様が惚れてしまったんだから仕方がないという設定が無理なく伝わってくる独特の雰囲気は健在です。
永瀬正敏さん。
裏社会に通じる一種のプロ。
風俗嬢個々の人生に立ち入るようなお節介はしないけれど、素人のルール違反と大切な商品(彼女たち)を守る仕事はキチンとする。
皆さん、本当にいい仕事をしてますね。
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