劇場公開日 2017年10月20日

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「冷戦末期の空気感を色彩のコントラストで表現、切り立ったアクションシークェンスと80’s欧州ポップスが詰まった美しいアクションスリラー」アトミック・ブロンド よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0冷戦末期の空気感を色彩のコントラストで表現、切り立ったアクションシークェンスと80’s欧州ポップスが詰まった美しいアクションスリラー

2017年9月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

冷戦末期のベルリン。英国MI6のエージェントが殺害されトップシークレットのリストがKGBに奪われる。MI6のロレインはリストを奪還し二重スパイ、通称"サッチェル"の正体を突き止めるべくベルリンに赴くが到着早々から様々な敵の襲撃に遭う。

現代史の転換期である1989年を背景にした地味なスリラー。要所にシンメトリーを配した印象的な画作りが『ジョン・ウィック』1作目に似ているなと思ったら撮影監督が同じジョナサン・セラ。日中はモノクロに近い褪せたブルー、夜はギラついたレッドと色味を完全に塗り分けて冷たいトーンに統一された風景の中で満身創痍になりながら淡々と任務を遂行するシャーリーズ・セロンがとにかく美しい。

地味とは言いましたが格闘シーンは流麗でありながら痛々しいバイオレンスが漲っていて、どうやって撮影したのか見当がつかないテクニカルなカメラワークで捉えたカーチェイスとともに冷たい世界観を一層引き締めています。時代が時代なのでサントラはユーリズミックス、ネーナ、ATF等80'sの欧州ポップスのオンパレードでつい口ずさんでしまいます。

よね