ブレードランナー 2049 : 映画評論・批評

ブレードランナー 2049

劇場公開日 2017年10月27日
2017年10月24日更新 2017年10月27日より丸の内ピカデリーほかにてロードショー

前作のレガシーを受け継ぎ、かつ世界を拡張させたヴィルヌーヴ監督の偉業を見よ!

西暦2019年のロサンゼルスを舞台に、記憶を求めて逃走したレプリカント(人造人間)と、彼らを追うブレードランナー特捜班との戦いを描いた近未来サスペンス「ブレードランナー」(82)。SFでありながら、40~50年代フィルムノワールを匂わすハードボイルドなタッチが異色だが、なにより監督リドリー・スコットが映像派としてのこだわりを発揮し、創造したデッドテック・フューチャー(退廃的未来)の壮観なさまは、映画における架空のランドスケープ・デザインを一新させた。

今度の「ブレードランナー 2049」は、恒久的にファンを捉えて離さぬ前作へ35年ぶりにアクセスし、その伝説ともいえるカルトクラシックを更新する野心的な続編だ。アイデンティティを模索するレプリカントの"その後"を真正面から描き、現実の推移を反映しつつ「ブレードランナー」のレガシー(遺産)を受け継ぐ形で進化が果たされている。

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かつてレプリカントを量産していたタイレル社は潰え、それを買収した実業家ウォレス(ジャレッド・レト)の企業が、従順な最新型レプリを開発している西暦2049年。人類は依然として不正な初期モデルを捕獲し続けていた。抑圧的な職場に身を置きながら、この使命を負うロス市警のK(ライアン・ゴズリング)は、任務を遂行する過程でレプリカントが独自の発展を遂げていることに気づく。そして捜査の果てにたどり着いたのは、昔レプリの女性と逃亡し、行方をくらました元ブレードランナー、デッカード(ハリソン・フォード)の存在だったーー。そう、今回のミステリーはロサンゼルスを越境し、幾重ものアクション的シチュエーションや、ドラマ的なハイライトを観る者に提供する。そして映画は《虐げられし者たち》の行く末と、彼らに起こる激しい変化に焦点を当て、前作がもたらしてきた数々の疑問に回答を与えていくのだ。

加えて、そこにはオリジナルに敬意を払いながらも自分の道を踏み出すことを恐れない、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の作家性が激しく波を打つ。善悪の概念や人間らしさの価値観に一石を投じる「ボーダーライン」(15)や「メッセージ」(16)のようなテーマを提起しながら、CGを副次的にとどめた、実物のセットがもたらす空気感の創出に誰もが息をのむだろう。名匠ロジャー・ディーキンスの撮影によって写し取られたそれは、作り物の安っぽさを一点も感じさせることはない。

こうした要素が、この映画を前作に依存しきった縮小再生産とは違う、世界の拡張をなす堂々たる巨編にしているのだ。2時間43分というランニングタイムに尻込みしていると、2017年を代表する一本を見逃がすことになる。

尾崎一男

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