いしゃ先生

劇場公開日:

解説

戦前戦後の混乱期に、無医村だった山形県大井沢村(現・西川町大井沢)で生涯を医療にささげ、「仙境のナイチンゲール」とも呼ばれた女性医師・志田周子(ちかこ)さんの人生を、平山あや主演で映画化。山形県の農村で名家の娘として生まれた周子は、努力して東京女子医専(現・東京女子医大)に入学し、医師になった。父からの「スグカエレ」という電報を受けて8年ぶりに故郷に戻った周子は、父・荘次郎が勝手に周子名義で診療所を建設していることを知る。無医村の大井沢村に医師を置きたいと願っていた父は、代わりの者を見つけるまでの3年間だけでも、村で医者をしてほしいと周子に頭を下げる。未熟な自分に診療所の医師が務まるのか不安だった周子も、父の頼みを聞き、3年間だけ頑張ろうと心に決める。2015年11月、山形県で先行公開。

2015年製作/105分/G/日本
配給:キャンター
劇場公開日:2016年1月9日

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(C)2015「いしゃ先生」製作委員会

映画レビュー

4.0国民皆保険制度

2022年12月1日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 ワンピースなのに「裸」だと噂される周子先生。診療所を開設しても患者はしばらく誰も来なかった。盲腸になっても内科医であるため、隣町まで搬送しなければならず、最初は死亡することが多かった。一番の問題は村人貧困により、医者にかかる金を工面できないこと・・・

 僻地医療の先駆けとなった「仙境のナイチンゲール」と称された志田周子。最初は村長である父親に頼まれて3年間だけ村医になったが、恋人との文通もやがて途絶え、約束の時間にも急患のため結婚を諦める。

 医療ドラマが大流行している昨今。戦前という時代背景で、全く医療機器も不満足なまま、また外科的知識も未熟のまま始めた志田診療所。身体の具合が悪い人を求めて村中を廻るものの「金が無いから」とか、村では呪術的な信仰が根強いため患者は来ない。母親が亡くなり、大家族の主婦の役割も果たし、地道に医療活動を続けるのだった。

 全ての人に医療を受けさせる願い。国民皆保険制度が確立するのは昭和三十六年のことだが、それを見届けるようにして、翌年51歳の若さで亡くなった。肺結核の女の子が看護師として赴任してきたこと(フィクションかもしれない)が嬉しかっただけに泣けてくる。

 誰でも医療を受けられる制度は大切にしなければならない。かつては1割負担だったものが3割負担となり、医療制度はどんどん改悪されていくばかり。天使のような女医さんの願いを無駄にしてはならない。コロナ時代になってから、PCR検査が無償化されるのにもどれだけ時間がかかってるんだか・・・とにかく、悪政から医療を守らなければならないと思った。

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kossy

4.0無医村で一生を捧ぐ

2022年10月4日
Androidアプリから投稿

平山あや扮する志田周子は、東京で医学を学んでいたところ榎木孝明扮する山形の田舎の村長を務める父親に呼ばれて3年と言う約束で無医村の診療所に勤める決心をした。しかし当初診療所には誰も来ず、それどころか昭和初期ゆえ女医者にかかると寿命が短くなるとか金をふんだくられるとか悪評が飛び交った。
結局実話の周子は51歳で食道癌で亡くなるまで診療所で一生を捧げた訳だが、父親に騙される様にして連れて来られたものの東京の恋人も捨て村人のために尽くしたとは頭が下がるね。久しぶりに平山あやを観たけど、清楚で百合のように凛としていて素敵に演じていたね。

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重

3.5女医さん

2021年10月26日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

今、私たちは病院に罹ることはごく当たり前になっていますが、昭和20年国保がない時代。
医者も少ない中で女性医師は本当に珍しい時代だっただろうと思います。患者もお金がなくて治療費も払えず病院も成り立たない時代。住民の信頼えるのも出来なくて精神的にも辛く苦しかっただろうと思います。

国保が創られて全ての人が平等に医療を受けられる様になりました。現在、国の保険に私たちの命は支えられています。素晴らしい制度だと思います。今後とも保険制度が無くならないことを願います。
平山あや、弟の少年期を演じた子がよかった。

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しろくろぱんだ

3.0トピックやテーマは良い。ただ…

2020年7月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

ディテールの描写が無く、映画としては物足りない。

昭和初期、女性というだけで医師として住民に受け入れてもらえない時代、ワンピースを下着のようで下品と言われる田舎の村、そういう場所で生涯を村民のために捧げた尊い女性医師のお話。
この時代に「命は平等」であるとして、貴賤を問わず医療が受けられる世の中を目指した先進的な人物で、彼女の姿勢は現代においても尊敬に値する。

そんな彼女が故郷の村へ帰ることになった理由は本人の希望によるものでもなく、任期を終えても村に残ることにしたのも、キッカケあってのことだった。
大きなことを成し遂げた人が、必ずしも人生望み通りに生きてきたわけではない、一つの例を見せてもらった。
与えられた場所で、自身の出来ることで社会に貢献することの尊さも教えてくれる。

一方、描写が少なく複数の疑問が残る。
・村八分のような扱いを受けていたところから村民の信頼を得るまで、(初期の?)無料診察以外に何があるか
・無料診察はいつまで行っていたのか、診察料を払ってもらうようどのように村民の理解を得ていったか
・無料で診察を続けるなか、薬や注射などの出費についてどうやりくりしていたのか
・第二次大戦という、どう考えても大変な時期を過ごしたと思われるが、その頃の村はどうだったのか。医師としての苦難は無かったのか
etc...

確かに描かずとも映画は成立するかもしれないが、終始淡々と事実だけが羅列されている感じで、主人公の心理描写が少なく、物語に入り込むには物足りなかった。
その役割を「手紙」が担っているかのようにも思うが、複雑な心境までは描かれておらず、読み取るには足りない。

結果、個人的に最も感心したのは、映画よりも平山あや。
バラエティアイドルの彼女しか知らなかったが、ちゃんと女優だなと思った。

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まりぽっさ
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