劇場公開日 2015年12月18日

  • 予告編を見る

「平和を壊してでも語るべき価値があったのか?」スター・ウォーズ フォースの覚醒 ao-kさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0平和を壊してでも語るべき価値があったのか?

2016年1月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

歴代の偉大なジェダイたちの魂に見守れながら、平和の訪れを告げる宴で幕を閉じたエピソード6は旧3部作(或いは全6作品)の最後に相応しいラストシーンだった。完結した物語から新たな物語を生み出すというからには、相当のアイデアが必要となってくる。さもなければ、続くエピソードは蛇足となってしまうからだ。

しかし、新たな物語は唐突に幕を開ける。エピソード6のラストを否定するかのような乱暴さで、観客を一気に戦乱の宇宙へと放り投げる。だが、波乱の幕開けや衝撃の事実はそれまでの伏線が回収されてこそ意味を成すというもの。全ての理由を後付けにし、ストーリーテリングを放棄するJ.J.エイブラムスの得意技は新たなエピソードの創起に成功したとは言い難い。

砂漠に横たわるAT-AT、縦横無尽に飛び回るミレニアム・ファルコン号、高速で突撃するX-ウィングなど見覚えのあるメカには確かに懐かしさと興奮を覚える。とりわけ、ハン・ソロの登場シーンなんかは拍手喝采という気分になる。けれども、それではただの同窓会映画に過ぎない。レイ、フィン、カイロなどの新しいキャラクターたちが物語を牽引できなければ、新しい世界は広がってこないはずなのだが、どうにもこうにも旧シリーズのキャラクターに頼りきりなのだ。エピソード4と5のいいとこ取りをしたようなストーリー展開に新鮮味も深みも感じられず、結局のところ、エピソード6でやっと訪れた平和をぶち壊しにするほどの価値を見出すことはできなかった。

スター・ウォーズは言わずと知れた超人気シリーズだ。新作を作れば必ずヒットするだろうが、新作を作らなかったとしても、その人気は衰えることはないだろう。しかし、製作陣はスター・ウォーズという寝た子を起こしてしまった。続くエピソード8,9を見たときに、エピソード6で終わらなくて良かったね、と言えるだけの説得力をフォースと共に持たせて欲しい。

Ao-aO