劇場公開日 2015年12月18日

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スター・ウォーズ フォースの覚醒 : 映画評論・批評

2015年12月22日更新

2015年12月18日よりTOHOシネマズ日劇ほかにてロードショー

新たな登場人物で描かれる「スター・ウォーズ ネクスト・ジェネレーション」

冒頭からいきなり戦乱の真っ直中に投げ込まれるので、「スター・ウォーズ」ファンは混乱するかもしれない。「ジェダイの帰還」でハッピーエンドを迎えたのになぜ? 帝国軍の残党で作られた悪の組織はたった数十年でどうしてこんなに勢力を拡大しているのか?

こうした問いに、劇中で詳しい説明はない。しかし、「スター・ウォーズ」的には正しいアプローチだと思う。たとえば「エピソード4/新たなる希望」では、オビ=ワン・ケノービがクローン戦争を戦ったジェダイの騎士だと紹介されるけれど、「クローン戦争」がなにか劇中で説明されない。だが、そのおかげで、観客は物語の背景に何千年もの歴史を感じることができた。あえて情報開示を控えることで観客のイマジネーションを刺激する手法は、あいにくプリクエル(エピソード1から3までの3部作)では採用されなかったけれど――なにしろフォースの正体までご丁寧に説明されていた――、J・J・エイブラムス監督は「フォースの覚醒」で復活させてくれた。この映画を見るうえで、知っておくべきことはたったふたつ。ファースト・オーダーという悪の軍事組織を前に、善良な人々で結成されたレジスタンスが劣勢に立たされていること。そして、どちらも失踪中の伝説のジェダイ、ルーク・スカイウォーカーを探しているということだけだ。

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ルークの消息を追う二大勢力の争いに、砂漠の惑星に住む孤独なヒロインのレイ(デイジー・リドリー)と、ストームトルーパーの脱走兵フィン(ジョン・ボヤーガ)が巻き込まれることになる。白人女性と黒人男性のコンビが主役を張るのはハリウッドのアクション映画としてはかなり異例だけど、エイブラムスはテレビドラマ「エイリアス」でとっくに実践済み。そんな2人の冒険を、ハン・ソロやチューバッカ、レイアといったお馴染みのキャラクターたちが支援するという、ファンにとっては嬉しい展開になっている。

気になるのは、善と悪のせめぎあいや家族のつながり、愛と喪失といった「スター・ウォーズ」に共通するテーマだけでなく、旧三部作とまったく同じストーリー要素がいくつも踏襲されている点だ。とくに「新たなる希望」と同じ展開や状況が多い。新たなジェダイの誕生を描く以上、ある程度似通ってしまうのは仕方がないのかもしれないが、最新のVFX技術と新キャストによって作られた「新たなる希望」のリメイクに見えなくもない。

ただし、「スター・ウォーズ」新3部作の第1弾としては上々の出来だ。なにより、レイとフィンをはじめ、ポー・ダメロン(オスカー・アイザック)、カイロ・レン(アダム・ドライバー)といった登場人物は、旧3部作の人気キャラクターと比較しても見劣りしない個性を備えている。彼らにどんな未来が待ち受けているのか? 2017年公開の「エピソード8」(ライアン・ジョンソン監督)がいまから待ち遠しい。

小西未来

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