裁かれる越前守

劇場公開日:

解説

吉川英治原作から「黒蜥蜴(1962)」の新藤兼人が脚色、「誘拐」の田中徳三が監督した異色時代劇。撮影は「雨の九段坂」の本田平三。

1962年製作/78分/日本
配給:大映
劇場公開日:1962年4月6日

ストーリー

大岡家の養嗣子市十郎は娘お縫との縁組みまでしていながら、愛人お袖の水茶屋を根城に、ごろん棒と徒党をつくって暴れ回っていた。ある日、お袖が市十郎と対立する銀歯組一味に誘拐された。かねて銀歯組は御金蔵の絵図面を秘める大岡家の土蔵破りをもくろんでいたが、お袖の命と引きかえに大岡家への手引きを市十郎に迫った。いとしいお袖のため、市十郎は黒装束に身を包んで銀歯組とわが家へ忍び入ったが、実兄主殿は一味の兇刃を浴びて非業の最期をとげた。自責の念にかられ切腹しようとする市十郎を、養父忠左衛門が訓した。それから十五年……。江戸市中に五人組の怪盗が出没、将軍吉宗は南北の両町奉行に逮捕を厳命した。時の南町奉行こそ、市十郎の変る姿であった。一夜、五人組が消えたとおぼしき場所で一人の美しい夜鷹が捕えられたが、忽然と現われた美少年が番太を新って、夜鷹を救い去るという事件が起きた。その美少年は、越前守が市十郎の昔、お袖との間にできたお燕であった。市十郎に捨てられたお袖は、銀歯組の頭領に手ごめにあい情婦になっていたが、名声高い越前守を恨み、五人怪盗の一人として悪事を働いているのだった。それを知った越前守は悩むが、心を鬼にして一味を捕えた。裁きの日、兇賊が奉行と関係深い人間と判って、町人たちは奉行所に押し寄せ、越前守の異例のはからいで白洲に入ることを許された。引き出されたお袖、お燕らは越前守の不実をなじるが、越前守は諄々と当時の事情を明かし、奉行として一味の罪を裁き、自らの罪も裁くのだった。お袖たちはその言葉に心をうたれて泣き崩れた。かくて、町人たちも感動のうちに裁きは終った。部屋に戻った越前守は、成行きを案じて来合わせていた将軍吉宗に死ぬ覚悟を洩らすが、吉宗は強く押しとどめ、天下万民のため生きて苦しむことを命じるのだった。越前守の眼には深い悲しみと共に、あらゆる苦悩を踏み越えようとする堅い決意があふれていた。

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