デュプリシティ/スパイは、スパイに嘘をつく : 新作映画評論

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映画

デュプリシティ/スパイは、スパイに嘘をつく

劇場公開日 2009年5月1日
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デュプリシティ/スパイは、スパイに嘘をつく 5月1日よりTOHOシネマズみゆき座ほかにてロードショー

犯罪と恋の騙し合い、一石二鳥の巧みなオチに脱帽!

「フィクサー」の才人トニー・ギルロイが、またも社会の裏を描いた犯罪サスペンスである。今回のお題は産業スパイ。犬猿の仲のCEOふたりと、彼らに雇われたスパイたちが繰り広げる大企業VS大企業の諜報戦を語り明かす。

物語の舞台はトイレタリー業界。平凡な日用品を売る会社の情報部門が、ライバルの動向を探りつつ、機密漏洩に神経をとがらせ、せっせとスパイ活動に勤しんでいるという設定が面白い。ウィルキンソンの会社が築いた「ペンタゴン級のセキュリティ」を、ジアマッティ配下のスパイ集団があの手この手の技で突き崩そうと試みる。今どきの企業の利益追求を社会派ぶって批判したりせず、登場人物の野心やプライドがストーリーの推進力になっているアナログなテイストも好ましい。

観客の好みが分かれるのは、ジュリア・ロバーツ&クライブ・オーウェンのロマンスのパートだろう。口を開けば嘘をつくこの男女のスパイの関係は、そうとう奇妙でややこしい。これは、いわば妄想癖のある主人公が語り手を務める一人称のミステリー小説のようなもの。ふたりのセリフを鵜呑みにすると、あれよあれよとミスリードされるはめになる。さらにギルロイがさすがと思わせるのは「本当の語り手(=黒幕)は俺だ!」とばかりに、嘘つきカップルさえもハッと我に返る巧妙などんでん返しを用意したこと。犯罪映画としても恋愛映画としても、何と見事な落としどころだろうか。勝者から敗者へ贈られるシャンパンの苦い味! これぞ大人のための娯楽映画だ。

高橋諭治

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