イントゥ・ザ・ワイルドのレビュー・感想・評価
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彼の死は哀しい死であったか?
出生の秘密により心に大きな傷を負った主人公は幼少の頃から夢だった放浪の旅を経て、自分の心の中のわだかまりを打ち消してゆく。その途中で出会う様々な人たちを通して彼の心は変わっていく。
カネも、家族も、名前すら捨て、インチキだらけの社会から脱して正しく、誠実に生きて行こうと必死にもがく主人公の姿には、私のようなスーパー俗物人種も共感を抱かざるを得ない。
そして最期に彼が得たものは何だったのか。
彼は非業の死を遂げたのか?
この作品の舞台はアメリカ全土にわたる。
主眼が置かれるのはアラスカの草原にある「不思議なバス」周辺の美しい自然豊かな土地である。そして複線としてアメリカの砂漠地帯や都市部の光景が描かれる。
その美しい対比描写の中に、実は人類の物質文明に対する懐疑の念と、人間の心の真の美しさとを対比するというテーゼが込められている。
とかく世の中はインチキだらけである。欺瞞、偽善、嘘、経済効果として消費される為だけのモノ、モノ、モノ……。この作品はそんなゆがんだ完全消費型文明に投じられた一石なのである。
作品として非常に難解な命題をはらんだ本作であるが、その映像もまた素晴らしい。
アラスカの山々やそこに生きる生き物たち、アメリカ本土で交流する人々の愛に満ち溢れた姿、山々を下ってゆく濁流、その全ての描写が美しい。
特に眼を見張ったのは、ヘラジカを仕留め解体するシーンであろう。見ようによっては残虐、グロテスク描写にもなりえる動物の解体というシーンを、生命の尊さや神秘性を垣間見せるような表現にまで昇華させている。(グロいけど。)
主人公にほのかに恋心を寄せる役所の少女を演じるクリステン・スチュワートも冷たい水のような美しさを湛えており一見の価値アリだ。
上映時間がやや長く疲れる事を除けば、ほぼ間違いなく名作と言っていいだろう。
全てを支配するもの
主人公の青年は物質的に恵まれて育った。
それが皮肉なことに・・・
親との精神的な繋がりが、希薄であることを強調する結果になる。
若さゆえの純潔さで、自分の中の全てに完璧を求めた。
親の愛、一人で生き抜くこと、自由であること、道徳心。行動力。
自然の厳然たる美しさに、心奪われた青年は何年も旅を続ける。
行く先々で、いろんな人に出会い、愛について学んでいく。
そして、彼は帰ろうとするが・・・
ラストは、ドカーンと叩き落されたような衝撃を覚えた。
自然に1人身を委ねることの、痛々しい現実が牙をむき、
全てを支配する。
どうにもならない、自然の猛威をリアルに描いた作品。
だから、ハッピーエンドでは無いのだ。
個人的に、ラストがリアルすぎて怖さのベクトル振り切れてしまった。
なので、☆3。5。
主役の俳優の演技が鬼気迫るものがあった
社会に帰属するという事
社会に帰属すれば人生は矛盾の連続であろう。
そしてそれを感じ受容できるかという事に関係無く、矛盾は社会の至る所に生まれる可能性を持っている。
社会の基礎と言われる家族の中にもその可能性はあるのだ。
それ故に人の世を離れる事を望む人は多いのかもしれない、他人との関係が無く、矛盾が生まれない場所。
しかし社会に想いが残っていたのならば、例えそれが家族を通したものであれ、その他の人や書物を通したものであっても、人はその矛盾の楽しみと悲しみからは逃れられないのかもしれない。
自然の中にいて社会を感じる事は難しく、また社会の中で自然を感じる事も同様だ。
ただ社会を離れる事、そして自然で生きる事と他人との関係を断つというのは等しいものでないのかもしれない。
既に3度観たが、未だ繰り返し見たい決して見飽きない作品だ
この映画が実話だなんて到底信じたくは無かった!
それではあまりにも残酷だ!何故、こんなにも恵まれた何不自由無い青年の人生の歯車が狂いだすのだろうか?しかもこの若さで、こともあろうに、餓死するなんて!しかも、僅か2週間後に発見されるのだ!もし2週間早くに誰かが彼の存在に気付いていたなら、彼は死なずに済んでいたのだ。
神も仏もあったものでは無い!衝撃と怒りで、打ちのめされた!
彼の人生・彼の家族の人生とは一体何の為に存在していたのだろうか?
妹・母・そして父・・・その後のこの家族はどう生きて行くのだろう?
大学生の若い命と引き換えに、彼が生命を賭けて得た人生訓とは一体何だったのか?
これがフクションなら、へぇ~と一言で終わる、しかし実話なのだ。
アメリカで、経済的には恵まれた家庭に生れ育ち、しかし年頃の影響もあるが父親との仲違いあり、家を飛び出し放浪の旅へと向かう。
その中で、彼は様々な人々と出会い、それぞれの人間の持つ生活歴に触れていく。
生真面目で、感受性が強く曲がった事が嫌いで、勤勉でもある。
そんなGoodBoyな性格が裏目に出てしまうのが人生の皮肉な現実なのかも知れない。
彼がことさら廻りの人間を受け入れられない偏屈野郎というのでもなく、
むしろどちらかと言えば、人が良くて付き合い易いタイプ
これは神さまに気に入られ、この薄汚れた社会で生かすには勿体無いとその命が天に
召されたとしか考えられないような話だった。
自然は厳しく美しい そして変わる事の無い一定の秩序を保ちながら存在し続けている。
その自然の営みの中で、人も生かされている。
人間は多くの人との繋がり、関わり合いの中で活かされて生きるのだ。
自分で生きているようでも有り、
只、自然と活かされているようでもある。
どちらが本当の姿で、どちらが幻なのかは分からない。
しかし、生きている間には、人や、自然と繋がり、自然を司る神との関わり合いも存在しているのだ。
人が生きると言う事、人の生命が育まれて存在し続けると言う事、
都市型生活を送っていると中々、自然から切り離されてしまい、
基本的な人間も動物の一種で、この惑星地球の中で活かされて生きる種の一つに過ぎない事にぶち当たる。
それゆえに、人にとり愛する事、人生の総てに愛と感謝を持って暮す素晴らしさが身に沁みた感動の映画だった。
全ての物は正しい名前で
誰もが持つ疑問。
人とは、愛とは、家族とは、街とは、世界とは、本当のものとは、
私たちは最後まで問いきらず、あきらめ投げ捨ててしまう疑問です。
あきらめた理由を、さまざま見つけてきますが、結局すべては言い訳。
この生活を投げ捨てられないのも、何もかも、自分のせいです。
残される者、残していく者、どちらに感情移入するのかで
自分の立ち位置がわかるでしょう。
私はどうも残していく者側のようです。
この世の中が荒野ならば、本当の荒野で暮らしている方がいくらかまし。
物が潤沢豊富な荒野で奪い合い、生きながらえるよりも。
1ミリも共感できず
こういう映画は主人公に感情移入、自己投影できるか否かが評価の決め手になるが、私はできなかった。
結局は両親との確執がことの発端なわけで、そこに大義名分かぶせて自分をごまかしてるだけの現実逃避。
相当なエネルギーはいるけど、さっさと家に帰って家族と対話をしなさいよ。
金を燃やしたり車を捨てたりと「自分ひとりの力で」と意気込むわりには、文明の捨て方が中途半端すぎて、
なんか単なる自己陶酔だな〜と。
彼が身につける衣服やバッグやナイフや本は他人が作ったもの。
他人のこしらえた文明の力のお世話になってるという時点で、間接的に他人の力に依存してることになり、
たとえ地の果てまで行ったとしてもそれは街の中にいることと本質は何も変わらない。
そこまで言うなら原始人のような暮らししてみろよ。
少なくともバスに住み着いちゃダメだろ!って感じですよ。
彼が「ああはなりたくねえ」と蔑視する人間、つまり都市に住み、会社に就職し、
モノに囲まれ現代の利便性の中にどっぷりつかって生きる人間、
彼らが汗水垂らして作った「植物の本」に主人公は最後の最後に頼り、裏切られ、そして死ぬ。
中途半端な覚悟で文明を敵視した人間にふさわしいなんとも情けない最後で、そこは納得。自然の摂理ですね。
自分探しの旅、、というか。
友達に勧められて観てみた映画。
ノンフィクション映画は好きで、こんな重い結末だと知らずに、ふんわりした気分で観てました。
映画の進行は、時間を行ったり来たりします。
旅の後半、バスを見つけそこを拠点にした生活をするのだけど、
そのバス生活を軸に、
●何故家を飛び出たか、
○バス生活、
●初めに出会った人との生活、
○バス生活、
●次に出会った人との生活、、
○バス生活、、、
といったように。
ただ、この時空の飛びの必要性はあまり要らなかったような、、、
この映画を3行で言えば、
裕福で頭の良い、将来有望男子。
ある日、何もかもが嫌になって『自分探しの旅』へ、家を出る。
あ、自然の中で暮らしてみるかー!
みたいな流れ。
つまり、とっても親不孝者です。
家族には散々な心配をかけさせたけれど、
道中に出会う人達との出会いで、人間として愛を育んで足跡を残していたと思う。
どっちが良い選択肢かは分からないけれど、
私の考えでは、どんなに他人を幸せな気分にさせようと、親家族を悲しませるのは一番の罪だと思う。
例え、どんな家族だとしても。
だから、彼のしたことは良いことだったとは思えない。
だけど、彼は旅の2年半で、普通の人間が生きる残りの人生分、楽しんだと思う。
Happiness is only real when shared.
「幸福が現実となるのはそれを誰かとわかちあったときだ。」
家族と離れ、”孤独”への後悔の気持ちで書いたのか。
それとも、
道中”誰かと分かち合った”時を思い出して、幸せをかみしめて書いたのか。
主役の役者魂は素晴らしい。
まるでドキュメンタリーを見ているようでした。
エミール・ハーシュの演技力に、+0.5で総合4.0です。
自由気ままな旅は、気分を高揚させる
映画「インツゥ・ザ・ワイルド」(ショーン・ペン監督)から。
ストーリーとしては、重たい作品だったが心に残った。
「一度は自分を試すこと」の大切さは伝わった。
「一度は太古の人間のような環境に身をおくこと」の大切さも。
「自分の頭と手しか頼れない、過酷な状況に1人で立ち向かうこと」
それがどんなに人間を強くするか、も理解できた。
しかし、その経験で、死んでしまっては、何も残らない。
こんなメモも、残っている。
「金は必要ない。疑い深くなるしね」
「クリスタルガラスは、もろいからこそ、美しい」
「子どもは親を厳しい目で見るものだ」
「キャリアは20世紀の遺物、僕は興味がない」
「新しい経験が心を豊かにするんです」
「人生の楽しみは、人間関係だけじゃない」
「幸せが現実となるのは、それを誰かと分かち合った時だ」
一つずつは、私のアンテナに引っかかるのだが、
どれもが「気になる一言」に選ぶには首をかしげた。
そして選んだのは「自由気ままな旅は、気分を高揚させる」。
「どこか逃避を思わせるからだ」の注釈が気に入ったので。
自己犠牲の精神
人生は、究極の「自分探し」の旅なのかもしれない。しかし、旅の途中でいつしか「存在の本質(意味)」に背を向け、瑣末な日常に埋没して生きる人々が大半ではないか。「自分探し」の旅は、「幸福探し」の道程でもあるのだ。この世に生を受けた意味を深く考えた時に、「幸福とは何か?」の答えを手にするのだと思う。怠惰な日常から一歩前に踏み出した時に、私達は新しい自分を発見できるのだ。
この映画の主人公・クリスは、両親の欺瞞性や腐敗した現代社会に疑問を抱き、大学卒業後にアラスカの荒野を目指す。自分自身と真摯に向き合うために、過酷な環境が必要だったのだろう。退路を断つために、途中で車を乗り捨て、手にしていた紙幣も燃やす。バックパックを背負い、「自分探し」の旅が始まる。
お金や出世に関心がなく、旅の途中で出会う人々に癒しを与え、ひたすら荒野を目指すクリスの姿は、まるでキリストを彷彿させる。クリスは愛称で、本名はクリストファーと言うのだが、少年に姿を変えたキリストを背負って、川向こうまで運んだとされる、半伝説的な殉教者(クリストフォロス)の英語形なのだ。キリスト教の精神を担うことの高貴さを表す名称だという。
アラスカの荒野を目指したクリスだが、キリストもまた荒野で修行している。新約聖書に書かれているのだが、40日間の断食を終えて空腹になったキリストの前に、悪魔が現れる。悪魔の誘惑を退けた後、彼は宣教の旅を始めたという。
旅の途上で、クリスも様々な悪魔?の誘惑を受けるのだ。16歳の女の子からの性的な誘惑を断ったり、麻薬常習者がたむろするヌーディストグループにも加わらず、ストイックな生き方を貫くのだ。アラスカの荒野に着いて数ヵ月後、狩りをしても獲物が見つからず、何日間も断食状態が続く。ある日、空腹を満たすために「ワイルド・ポテトの根」を食べて飢えを凌ぐのだが、それは葉形がよく似た毒性のある別の植物だった。
その後、ヘラジカ狩りの猟師によって彼は遺体となって発見される。死因は餓死だった。彼を題材にした「荒野へ」という作品は全米ベストセラー・ノンフィクションに選ばれ、この映画もアカデミー賞にノミネートされた。それぞれの作品から、多くの人々が勇気と希望をもらったと思えば、キリスト教の精神である「自己犠牲」を担った死だったのかもしれないのだ。
彼が読んでいた本の行間に「幸福が現実となるのは、それを誰かと分かち合った時だ」というメモがあったという。彼は「自分探し」の旅を完結させて、別の新たな旅に向かったのだろうか?
映画作家ショーン・ペン、ここまで到達しましたか。
俳優としても監督としても大の苦手なショーン・ペン。
それでも本作の評価は全般的に良く、DVDで拝見させて頂きました。
経済的には恵まれているが、精神的に不遇な家族で育った若者が大学卒業と同時に、放浪の旅に出る。目的は「大量消費社会から脱し、荒野の世界で人生の『真理』を見つける」こと。それは若者なら誰もが持つであろう大志であり、それを実行に移す実在した主人公の熱意には共感するものあり。(世の中で使われている『熱意』という言葉は苦手だが。。。)
もちろんそんな若者は、見方を変えれば自分勝手である。
そんな葛藤からある意味、逃避するように彼は荒野へ突き進んでいくが、そこには心の必然性があるからそうしているのだ。誰も止めることが出来ません。そんな世間知らずな主人公の情熱を見ることで、逆に大切なことも学ばされるのです。
旅路で出会う人々との触れ合いや、大自然に囲まれて成長していく主人公の姿を描くと同時に、残された&残されていく彼を愛した人々の声が描かれているのが、それまでショーン・ペン監督になかった感性だと思います。
そうか、この監督さんも色々な葛藤と悩みを抱えながら、少しずつ成長していったんだね。。。そう思えると、他人なのに励まされているのはわたくしだけではないと思います。
あの最後をどう解釈すべきなのでしょうか?
それはもちろん千差万別であるが、途中から導入された「神」の視点を入れると、人生は残酷なのか愛に満ちているのかという二律背反に悩まされてしまう。この作品は、普段の日常感覚を抜け出して、大きな視点で人生を、世界を見つめることに誘います。
ここまで親身になって考えながら鑑賞した作品は久しぶり。
でも、なぜか評価にAはあげたくないんだな~。
それはやはりあの終わらせ方にあるのだと思う。だってわたくしは仙人になるつもりはないのですから。
目が覚めた!
マッカンドレスの真っ直ぐな信念を羨ましく思いました。
自分には、あれほどの勇気も実行力も無く、機会を与えられても怖気づいてしまうでしょう。
ですが、両親の事を思うと何が正しかったかは未だに疑問です。
エミール・ハーシュの変貌ぶりは必見です!
とりあえづ、観終って直ぐに、原作本を買いに行きました。
ストイックな者だけが得る事の出来る世界
社会の勝ち組の人生を送れるはずのクリスは、
全てを捨てて、自分のためだけに生きようと旅に出る。
彼の旅を支えてくれるのは、
同じこころざしを持つ者達。
彼を助ける為に近よってきてくれる。
彼は
追い求めていた旅の最後の目的地、アラスカへ向かう。
そこでとうとう彼は
悟りにも似た真理を手にする。
だがその境地は、彼の体を犠牲にして得たもの。
彼は本当に幸せの境地を得て終末を迎えたのか、
それとも悔やみながら終末を迎えたのか。
真面目でストイックな性質の人間だけが
得ることが出来る境地なのだろう。
少しずつ彼の世界へひきづられていき、
最後にはドップリとはめられてしまった、
そんな作品だった。
好き嫌いが分かれる作品かも。。。
皆さんの評価は高いんですね・・・。
2時間半という長編で、中盤からは彼の日記を元にロードムービー風の
ただひたすら主人公の日々が流れていような感じ・・・。
ショーン・ペン監督最高傑作!との噂。
”荒野へ”というのがこの作品の原作です。
正直、久々に中盤睡魔に負けちゃいました・・・。
中盤以降は、アラスカの大自然が美しかったり、
老人との温かい交流があったり感動の場面も色々ありました。
が、最終的には私には理解しきれず、結末には
「何で死ななきゃいけないんだよっっ!」という
怒りに似た感情さえ残っちゃいました・・・。
なんだか、自ら命を粗末にしているようにしか思えなくて。。。
正直、こういう死に方を美化する作品はあまり好きではありません。
好き勝手して、残された人の気にもなってみてよ!
もっと頑張って生きようよ!!と言いたくなります。
心に残ったのはこの言葉です。
「幸福が現実となるのはそれを誰かとわかちあったときだ」
気付くのがあまりにも遅すぎて・・・命がもったいないです。
主演のエミール・ハーシュはかなりの演技力で今後の彼に期待ですね~、
楽しみ。
好き嫌いがとっても分かれる作品だと思いました。
エミール・ハーシュの変貌ぶりに唖然!!!
はっきり言って私には重かった(泣)
実話というから余計に心が痛いっ!!!
天才頭脳を持ったクリスの純真さが、彼をアラスカまで旅立たせたのかなぁ~・・・・・
文明発展の現代ゆえに、ありとあらゆる過度の物質。
それに加え、クリスの出生の秘密と偽りの家族。
これらにショックを受けて、一体自分は何をしたいのか?どう生きたいのか?苦悩する気持ちはよく解ります。
何も頼らず、自分ひとりで生きたい・・・この気持ちも解ります。
彼の若さが余計に拍車をかけたのでしょうか。
私が年をとったせいかな。。。人間、決してひとりでは生きていけないんです(>_<)
旅先で出逢ったたくさんの親切な人達。まぁ、クリス本人が無欲で純粋だったから、周りにいい人間が集まったんでしょ~が^^
周囲や家族の胸の内を考えると、彼の旅路は無謀だったんじゃないのか・・・それが悔やまれてなりません(泣)
でもきっと彼は、全てを許して受け入れるために、この旅に出たんでしょうね^^
主演のエミール・ハーシュ!!!
これがまた、なんとなぁ~くレオ様を思わせる顔立ちでよし♪♪♪
彼が段々と痩せていく姿に、邦画にはない根性を感じました^^
これは、ホントに驚き!!!凄いです(@_@。
10月20日MOVIX伊勢崎にて観賞
究極の自由って何だろう?
評判が良かったので、封切直後に観たかったが、なかなか時間が合わず1ヶ月以上経ってしまった。噂に違わず、静かだが熱いものがこみ上げてくる映画だった。実話なので、大筋は知っていた。だから、優秀な成績で大学を出た、裕福な家庭で育った青年が何故そうなったのか、ワイドショー的な興味もあった。本当の理由は明らかになっておらず、謎だったからだ。凡人には理解できない何かがあったのかなとも思っていた。でも、映画を観ていくうちに、クリスの気持ちがわかるような気がしてきた。複雑な家庭環境だけではないと思う。彼は、大人たちの言葉ではなく、小説の中の言葉でもなく、自分自身の言葉で真理とは何かとか、幸福とは何かをつかみたかったのではないか? 私にはそう思えた。そして、わかったんだよね。よかったね、クリス。彼はあの生き方に悔いはないと思う。ただ、無念だったとは思う。あの時、川を渡ることができていたら、また別の人生を送ることができたかもしれないと思うと、心が悼む。物質文明に毒された私には、眩し過ぎる生き方だった。老後は田舎暮らしをしてみたいなどと軽く考えている自分が恥ずかしい気がした。大自然は怖い。
なんちゃって(笑
ザ・ロードムービー。旅映画。でもいわゆるただの青春ロードムービーとは、少し趣が違ったんだよな〜。
旅には2種類ありますよね。計画的な旅と、無計画な旅。 計画的な旅もそりゃ素敵だけど、自由気ままな無計画の旅にはやっぱり別格の良さがある。ロードムービーにはそんな無計画な青春野郎が溢れています。まぁどいつもこいつも「自分探しの旅」をしているんだよな。旅先でいろんなものを観て、いろんな人に出会い、新たな価値観を得、自分を昇華する、昇華した気になる。
大好きなジャンルなんだ、この映画もそんな自分探しヤローの映画だと思ったんだ。
でも違った。この映画の主人公、実在したクリストファー・マッカンドレスは違った。自分探しではない、むしろ明確にあるべき自分の姿を持っていたんだ。この旅は、あるべき自分になる為の旅、無計画だけど、計画的な旅。「全てを捨てて、荒野で本当の自由を得て生きる」という目標のある旅だった。
ちょっと話を逸らすけどさ、なんで無計画な旅に、自分探しの旅に人は惹かれるんだと思う?僕はこの映画の中でクリストファー・マッカンドレスが言った言葉が全てだと思ったんだ。それが次の言葉。
「自由気ままな旅は気分を高揚させる。どこか”逃避”を思わせるからだ。」
うん、そうなんだよ正に。”逃避”この言葉に尽きると思う。束縛された生活、それは学校、それは社会、それらからの逃避を感じる為の自由な旅。結局現実から逃げてるだけじゃねーか・・・フンッ!
でもね、逃避と感じられるのは悪いことじゃぁないと僕は思う。自分探しの旅、自由な旅、自由自由と銘打っても、旅ってのはいつかは帰らなきゃいけないモノ、それがルールだ。自由といいつつ時間に縛られてたりするんだよね。そんなところから”逃避”って感情が湧いてくるんだと思う。帰らなきゃいけないってことが解っているんだよね。
クリストファー・マッカンドレスはそんな旅のルールを破ってしまった。旅から帰ることは無く、旅の終着点で人生をも終着させてしまった。彼の旅は”逃避”ではなく本当の意味での”旅立ち”だったんだ。その旅の中で彼はどんなことを体験し、何を思ったのか、最後に見つけたものは何だったのか・・・ぜひご覧あれ。
クリストファー・マッカンドレスが旅立ったのは大学卒業したての22歳。
タメだよ、まさにこれからの僕らだ。
僕は彼に共感するところもあれ、尊敬を抱くところもある。
けど彼と同じ道にはいかないぜ。
彼は愛よりも金銭よりも信心よりも名声よりも公平さよりも心理を求めて荒野へ行った。
じゃぁ僕は彼がいらないと思ったモノを求めて社会へ行くぜ。
平凡な道だと言うなかれ。
その道だって荒野とはまた違う厳しさが待ち受けてんだ。
それが僕のイントゥ・ザ・ワイルド!!
荒野で感じた温もり。
どうしてこの話をS・ペン氏が映画化したのかを考えた。
確かに素晴らしい出来ではあるけれど、非常に地味。
ハリウッドが賛美しそうな映画とは一線を画した感じ。
実話を売りにしてはいるが、普通の一青年の話である。
鑑賞中におのずと答えが見えてきた。
これは昔の彼そのものというか、とても重なって見える。
彼が若いころにハリウッドから問題児扱いされた時の、
あのムチャクチャやったるで!的な暴走意識が窺える。
金持ち裕福青年という筋書きもおんなじ。
だからどことなく廃れておらず(爆)人間的にも綺麗だ^^;
そして何より感じたのは、自分が歳をとったこと…。
悲しいことに人間は歳をとると色々なことが見えてくる。
ここに登場する、青年が出逢い別れていく大人たちが、
みんな過去に同じことを考え、背負い、立ち向かい、
乗り越えてきた過ち(と言いたくはないけれど?)を
この青年に見ていることが、どう見ても明らかなのだ。
そして私も彼らと同じように、この主人公を見ている。
彼が考える未来。今持ち合わせている社会への絶望。
荒野へ行ったからって消化できるものではないけれど、
彼がひとり旅に出たこと自体は有意義だったと思える。
ホント、人間的に真面目でとってもいい子なのだ。
だから、一体なにが彼をこの旅に向かわせる原因に
なったのかが、最初はぜんぜん見えてこなかった。
金持ち坊ちゃまの我儘か?世間知らずの悪あがきか?
…原因は、両親の不和だった。
でもねー。(ふと中年意識が出る)
ここで描かれた夫婦の不和なんて、どの家にもあるぞ。
(ちょっと特殊な家族形態ではあったけど)
こう言っちゃなんだけど、やっぱりこの子は繊細だな。
良い子をひたすら演じ、機会を窺っていたわけだから…。
そんな彼が旅に出て、様々な触れ合いを通じて学ぶ。
息子を見失った両親は、心ひとつにして息子を待つ。
結果が幸いならばこの家族は、のちにまた再会を果たし、
ひと回りもふた回りも大きくなった息子に歓喜するはず。
もちろん、そうあって欲しかったのだが。。
自然界(しかも荒野)をナメるな。ってこういうことだ。
悪ガキを卒業し、家族を作り、映画人として社会に
貢献するようになった今のペン氏が、いちばん興味を
持つであろうテーマだと、やっぱり思える作品だった。
青年を見守ろうとする視線の先に
父なるペン氏の眼差しが感じられる描き方が素晴らしい。
E・ハーシュの演技力に万歳。
(社会の荒波だって荒野だよ。ナメてかかると危険だよ。)
俗世間に対する反発と無謀な旅
若者が俗世間の愚かしさに反発するために旅に出ることは素晴らしいことだ。
理想の人生を追求したり、新しい価値観を模索することは若者の特権である。
しかし彼の旅ははあまりにも無謀のように思える。
確かに冒険と無謀は紙一重かも知れない。
しかし旅先での出会う暖かい人たちとの交流は結局何だったのか?
若さゆえと言ってしまえばそれまでだが、愚かな自分の無謀さに気付くことはない。
いや、気付いてないいうよりも受け入れないと言った方が正しい。
ノーマンズランドを目指した冒険の旅の代償はあまりにもせつない。
孤独とは本来否応なしに訪れるものであって、愛するものではない。
ラストに青年もそれを悟るのだが、時すでに遅し。
人生を考えるうえでの節目にいる若い人には是非見てもらいたい作品だ。
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