ローマの哀愁

劇場公開日:

解説

テネシー・ウィリアムズの「ストーン夫人のローマの春」ギャビン・ランバートが脚色し、新人ホセ・キンテーロが演出した映画で、撮影はハリー・ワックスマン、音楽はリチャード・アディンセルが担当。出演者は、「愛情は深い海の如く」のヴィヴィアン・リー、「草原の輝き」のウォーレン・ベイティ、ロッテ・レニア、ジル・セント・ジョンなど。ルイ・ド・ロシュモン製作。

1962年製作/アメリカ
原題:The Roman Spring
配給:ワーナー・ブラザース
劇場公開日:1962年7月7日

ストーリー

ワシントンのある楽屋では、かつての人気女優キャレン・ストーン(ヴィヴィアン・リー)が、鏡に映る衰えた容姿を見つめて悲嘆にくれていた。女優をやめることを決心した彼女は、ニューヨークにいる夫トムのもとへ戻る決心をしたが、彼女が帰ると間もなくトムはこの世を去った。それから数カ月、夫の死で混乱したキャレンは、気持ちをおさえようと1人ローマへ旅立った。豪華なアパート住まいをする彼女は、ある夜、伯爵夫人とその若き恋人パオロ(ウォーレン・ベイティ)を招待した。この2人は、1人暮らしの金持ちの女からパオロがせしめる金品で生活していた。キャレンもそのカモの1人だった。翌日パオロは、偶然を装ってキャレンに会った。キャレンはパオロのお世辞と愛の言葉におぼれ、2人の間は別れられぬ程に深まっていった。こんな2人の様子に伯爵夫人は不満だった。パオロがキャレンに溺れ、金を引き出すのを忘れてしまったからだ。そんなある日、パオロはアメリカの新進女優バーバラと知り合った。これを知った伯爵夫人は、パオロにバーバラと交際をすすめ、キャレンとの仲を断とうとした。あるパーティの夜、親しげに語るパオロとバーバラの様子を見たキャレンは、彼を失いそうな恐怖で逆上し醜くく云い争った。やがて失意のキャレンがアパートへ帰ると、いつも彼女につきまとう青年が彼女の部屋を見あげていた。キャレンは、バルコニーからハンカチーフに包んだ鍵を落とした。彼を待ちうけるキャレンに、落ちつきはらった青年がゆっくりと近づく。だが、彼女は身じろぎもしなかった。

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受賞歴

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映画レビュー

4.0ゴンザレス伯爵夫人

2020年2月29日
Androidアプリから投稿

戦後のローマで暮らすアメリカ人
街は美術館みたいだし、若く美しい案内人(愛人)を調達したりする

いろんな対比のある原作だが、戦後のアメリカとイタリアの関係も示唆されている

ポン引きと化した伯爵夫人(ロッテ・レーニア)とマルケッタのパオロ(ベイティ)の醜悪
肩書きや若さや歴史もブランド化して 春をひさぎ、金を巻き上げるというビジネスモデル…

アメリカ人の原作者テネシー・ウィリアムズの目線は厳しい
同胞は被害者ではないのか?
孤独なアメリカ人の転落も誘う ローマの闇
彼の原作映画は 人間の暗部をえぐり、見ていて辛いが、アメリカ人の花畑思考に警鐘を鳴らしている
「終着駅」「ベニスに死す」等はイタリアの巨匠がこのあたりにフタをして美しく昇華させ、観光業に貢献した作品なのかもしれない

後ろ楯(夫)を失い、仕事を辞め、空っぽになった
美しく、儚い「被害者カレン」を リーが演じている
衣装はピエール・バルマンで とてもエレガント

批評家達に こっぴどくやられる部分は リーの実像に重なるが、原作者はカレンに自分を投影している
彼の晩年は もっと酷い
1983年には ニューヨークのホテルで 薬のキャップか何かを喉に詰まらせて死亡
(殺害も囁かれている)

三島由紀夫とも親交があったらしいが、彼等の透視能力とも呼べそうな 鋭敏な感覚にも驚かされる

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jarinkochie
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