ジュニア・ボナー 華麗なる挑戦

解説

経済成長の波は西部にも容赦なく押しよせ、次第に失われていくフロンティアを背景に、崩れ行くロデオ一家の伝統と、それを守ろうとする男たちの姿を描く。製作はジョー・ワイザン、監督はサム・ペキンパー、脚本は小説家のジェブ・ローズブルック。撮影はルシエン・バラード、音楽はジェリー・フィールディング、編集はロバート・ウルフが各々担当。出演はスティーブ・マックィーン、ロバート・プレストン、アイダ・ルピノ、ベン・ジョンソン、ジョー・ドン・ベイカー、バーバラ・リー、メアリー・マーフィー、ウィリアム・マッキニー、ダブ・テーラー、マシュー・ペキンパー、サンダウン・スペンサーなど。

1972年製作/アメリカ
原題:Junior Bonner

ストーリー

アリゾナ州、プレストン。1972年ロデオのチャンピオン、ジュニア・ボナー(スティーブ・マックィーン)は、かつて西部でならしたロデオの名チャンピオンで、若い頃ニューヨーク・マディスン・スクェア・ガーデンのロデオ大会に出場したこともあるエース・ボナー(ロバート・プレストン)の次男で、ロデオ競技会を求めて転々とする西部の渡り鳥である。プレストンでは、今年も7月4日に84年の歴史を持つフロンティア・デイ記念ロデオ大会が行なわれようとしていた。ジュニア・ボナーは、このロデオ大会に出場するためにエースや母エルビラ(アイダ・ルピノ)、兄カーリー(ジョー・ドン・ベイカー)の住む故郷の町プレストンに帰ってきた。彼がこの大会で戦いたいと思っているのは、かつて戦って乗りこなせなかった、牧場主バック・ローン(ベン・ジョンソン)の持ち牛サンシャイン号だった。愛馬をトレーラーに乗せ故郷に帰った彼は早速、町はずれにあるエースの牧場を訪れた。しかし、牧場はブルドーザーに掘り返され、長年住んでいた家も無惨にもとりこわされようとしていた。ボナー家の長男カーリーがエースからその土地を買い取り、宅地として開発しようとしていたのだ。一方、エースはその金で銀採掘を試みたが成果があがらず、オーストラリアでの黄金採掘によって一旗をあげようとしていた。町に着いたジュニアは出場の手続きをすませ、両親の住んでいる家を訪ねた。だが母エルビラには会うことができたが、エースは自動車事故にあい入院中だった。その夜、ジュニアは久しぶりに家族と夕食を共にした。7月4目。いよいよロデオ大会が開催される日がきた。エースは病院のベッドでじっとしていることができず、看護婦が止めるのもきかずパレードに飛びだした。ジュニアはパレードの中のエースを発見し、馬に相乗りしてパレードを共にしたが、やがて横道にそれ、さびれた古い駅のベンチに腰掛けた。エースはオーストラリアに行くための費用をねだったが、あいにくジュニアは無一文だった。やがてロデオ大会が始まった。父親と一緒に参加した乳しぼり競争が終わり、休憩になった。競技を見にきた町の人たちはパレス・バーへ流れ、エース一家もそこに集まった。やがてダンスとなり、ジュニアは少し前に知りあった美しい女シャーメイン(バーバラ・リー)と踊り、楽しいひとときを送ったが、彼女をめぐって始まった喧嘩は連鎖反応的に乱闘にまで発展した。ロデオ大会は予定通り午後3時半から再開された。競技種目は、当日の有終の美を飾る荒牛乗りで、ジュニアは目的のサンシャイン号に再挑戦して、8秒を上廻る新記録をだして賞金950ドルを得た。数時間後、飛行機で立つシャーメインを空港まで送っていったジュニアは、もう一度母親に別れを告げてその足で旅行代理店に立ち寄り、オーストラリア・シドニー行きの片道切符を買った。ジュニアは、エースと愛犬の2枚のその切符をパレス・バーにいる父親エースに届けてもらうように代理店に頼んでから、再び、ロデオの旅に出発した。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0詩的なペキンパー選手

2023年9月17日
PCから投稿

バイオレンスの頂点、ペキンパー選手、本当はこういうのが撮りたかったのではないか、という全編抒情的な雰囲気の秀作です。酒場のケンカシーンで少しだけスローモーションが出てくる以外はバイオレンス封印です。

現代劇で家庭劇ですが、中身は西部劇です。外国人から見た日本人のステレオタイプがサムライであるように、私たちにとってアメリカ人のステレオタイプはカウボーイですが、この作品から彼らの何たるかがわかるような気がします。

マック先輩の持ち味を最大限に引き出した作品と言えましょう。

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越後屋

5.0青春の夢儚きロデオ‼️

2023年6月6日
スマートフォンから投稿

泣ける

楽しい

興奮

これは珍しく銃撃戦もなく、ほとんど血も流れないサム・ペキンパー監督の名作です。私はペキンパー監督作品ではこの作品が一番好きだな、多分‼️ロデオ大会に出場するために故郷へ戻ってきた男が、両親やがめつい兄との心の交流のうちにロデオ大会で優勝、また旅に出る・・・失われゆくモノへの哀感みたいなものが、主人公のロデオに対する愛着心に例えて描かれていて、わが憧れマックィーンがカッコ良さを超越した名演でホントにいい味出してます‼️もちろん劇中のロデオ・シーンも吹き替えナシで魅せてくれてます‼️そして冒頭、父親の家がブルドーザーで壊されるシーンでペキンパー監督お得意のスローモーション‼️思えばこの作品で一番の暴力シーンでした‼️

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活動写真愛好家

3.5乳しぼり大会まであるのか!

2020年3月27日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、映画館

 バイオレンスものを得意とするペキンパー監督作品。公開年じゃないけど、映画館で何かのカップリングで観たのが最初。当時はマックイーンのロデオ・アクションだけを楽しんだ記憶があるのですが、今回あらためて観ても印象にはさほど変わりがなかった。

 父親エースもロデオの名手だったが、今では金鉱探しにオーストラリアへ行くんだと夢を追い求めているオヤジ。長男カーリーはちゃっかり不動産で儲けていてロデオは見るだけ。そんな家族のもとに独立記念日のロデオ大会のためにジュニア(マックイーン)が帰ってきた。冒頭から、暴れ牛に負けたという映像が流れ、今回は運よく雪辱を果たせるチャンスがやってくるのだ。

 暴れ馬、乳しぼり、暴れ牛というジャンルがあり、馬の方はあっけなく予選も通過できず、父とともに乳の方で家族のスキンシップを高め、その夜のバーでの大乱闘を経験し、翌日の暴れ牛ロデオにチャレンジするという運びだ。バーの乱闘を止めるためにバンドのメンバーがアメリカ国家を演奏するなんてのも印象に残る。

 ロデオでの男の戦いを楽しむというよりは、家族の絆を描いたり、失われていくフロンティアスピリットを祭りという形で再現する作品だ。序盤では売ってしまった牧場がブルドーザーで整地されている様子も描かれ、西部が近代化されていく郷愁をもテーマとしているのかもしれない。ちなみになぜジュニアとかJRとかと呼ばれるのかは謎のままだ・・・

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kossy
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