劇場公開日 2024年3月22日

戦場のメリークリスマスのレビュー・感想・評価

全127件中、61~80件目を表示

3.5デビッド・ボウイがカッコいい

2021年7月6日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

難しい

1942年、第2次世界大戦中のジャワ島日本軍捕虜収容所で、日本軍のヨノイ大尉、ハラ軍曹達と、連合軍捕虜ロレンス少佐、セリアズ少佐などとの、多少の信頼と愛情、捕虜の扱いでの衝突など、日本軍人と西洋人捕虜との関係を描いた作品。
テーマ曲「Merry Christmas Mr. Lawrence」は知ってたが、映画は初めてだった。いい曲だと思う。
捕虜をジュネーヴ条約に則って扱わないといけないのに、日本軍の戦況が良くなかったのか、条約違反をした上官の姿は海外に向けては恥ずかしい事だと思う。
とにかく、セリアズ役のデビッド・ボウイがカッコいい。
ロレンス役のトム・コンティは安倍総理に似てておかしかった。
坂本龍一、ビートたけしも良かった。
愛のコリーダに続き、大島渚監督作品を観れて感激でした。

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りあの

3.0ビートたけし礼讃

2021年6月27日
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鑑賞方法:映画館

はじめて女の子と観た思い出の作品。

当時、男子校の生徒だった僕は、待ち合わせ場所にいく途中、吐きそうになるほど緊張していた。
デートらしいデートなんてしたことなかったし、その女の子にも会ったことがなかったからだ(友達に紹介されたのだ)。

僕らは三宮で落ち合い、とりあえず喫茶店に入った。
女の子は予想以上に可愛く、おまけに予想以上にスカートの丈が短かったので、僕は心臓バクバクでクリームソーダをすすりながら何とか会話をつづけた。

そのあと、観たのがこの映画だった。

とにかく、緊張してドキドキするし、スカートの丈も気になるしで、当然のことながら映画にはほとんど集中できなかった。

そんなわけで僕は、その後しばらくしてこの映画を一人でもう一度観にいった(と記憶している)のだった。
1983年の夏のことだ。

件の女の子とはそれっきりになってしまったけれど(悲)、YMOを熱心に聴いていた僕にとって、“教授”が音楽を担当し、主演までつとめた本作はひじょうに印象深い作品となった。
デヴィッド・ボウイ、内田裕也、ジョニー大倉、三上寛といった、音楽畑からの面々の出演も刺激的だった。それに加えて、お笑い界の寵児ビートたけしである。
これらの個性的なキャストが功を奏して、結果、映画は大ヒット、「戦メリブーム」とも呼べるような興奮を生んだ。
この映画は我々YMO世代に大きな刺激を与えたのだった。

しかし、刺激は受けたものの、本作の内容に感動したかと問われれば、「うーん……」と躊躇するところがあった。
僕は、80年代を象徴するこの映画に「恋」をしていたのかもしれない。東南アジアの捕虜収容所を舞台にして、旬の役者陣や音楽が織りなす、独特の雰囲気を持った「戦争映画」に酔っていた節がある。
正直に言って『戦メリ』が何を表現しようとしているのか、当時の僕には理解できなかったのである。

あれから38年が経って、三度(みたび)『戦メリ』を観た。
やっぱり、「うーん……」という感じがした。
けっきょく何回観ても、この映画が何を言おうとしているのか、僕にはわからないのかもしれない。

ただ、「ビートたけしは、とてもいい」とあらためて思った。
たけしが絡むシーンだけ、妙にリアリティーがあるのだ。まるでホンモノの日本兵がそこにいるように。
これはビートたけしを観るための映画だ、と言ってしまいたいくらいだ。

同じように収容所を舞台にして、よくわからん同性愛色を排除して、たけしを主演に据えて撮っていれば、もっと骨太な、もっと面白い、ホンモノの「戦争映画」ができたのにと思った(まあ大島さんは、そんなもの撮りたくなかったのだろうけれど)。

まあそれはそれとして、絶妙のタイミングで流れる“教授”の音楽には、やはり心を動かされるものがあった。それは38年前と同じだった。
そして、あのエンディングの場面は、やはり日本映画史に残る名シーンと言っていいだろう。

それにしても、最近の映画で何十年も後に再映されるものがどれくらいあるだろう?
いまの若い人が中年になって、「そういえば、あのとき、あの子と観たなぁ」と懐かしく思えるようなものが何本上映されるだろう?……。

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peke

5.0ヨノイの苦悶の表情と音楽サイコー!

2021年6月24日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

興奮

萌える

30年前位に劇場で観た。
DVDも持っているが2年ぶりに劇場にて鑑賞。
映画館での音楽の素晴らしさと、ヨノイ、セリアズの美しさに釘付けだった。
昔は気づかなかったが金田龍之介が、子連れ狼の阿部頼母役とは違った魅力を出していた。
ビートたけしの表情と読経は惹きつけられた。
DVDも見直します。

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りーぽん

4.0劇場で観られるのは最後?

2021年6月18日
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家の近くの映画館で今日まで上映と聞いて行ってきました。しかも極上音響上映。

DVD等で見た事は何度もあるけれど、自分が中1の代に公開された作品だし、映画館では観られるのは、多分これが最初で最後じゃないかなぁ。観られてよかった。

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Rei Nakajima

5.0一部の隙もない

2021年6月13日
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当時、私は30歳。それ以来、38年ぶりに観ました。今回、感じたのは、2時間全て、シーン、セリフ、BGM、一部の隙もない、完璧、それだけです。30歳の時、何を感じたのかは定かでは無いんですが、恐らく、この感じはして無いと思います。歳のせいでしょうか。大島渚。凄い、です。

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ホモサピエンス

4.0異端にして最高峰、愛と縁の究極の形

2021年6月5日
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鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

難しい

全てを咀嚼出来なかった自分を悔やむ。それ程まで大きなモノを見ているが故だと思い込みたい。大島渚監督による、人間の痛みや正義の奥の奥を観た。

ジャワ島の戦禍で、日本兵と捕虜による究極の愛と縁を描く。「Mr.ロレンス」は何者なのかすら知らなかったので、捕虜として囚われた通訳だったこと自体衝撃だった。そんなロレンスと親しい距離にいるハラはビートたけし。人間の倫理観も欠けたような言動も目立つが、上には従順。また、坂本龍一も昭和顔のイケメンでビックリ。
デヴィッド・ボウイもそうなのだが、表現者たちが大島渚監督の元で演技をするという貴重さと凄みが、特異な作品の色を出している。そこにある痛みは直接的で、今なら間違いなく躊躇するような描写に思わず体が強張る。
大学の制作で、大島渚監督の日テレのドキュメンタリーを見たことがあるのだが、その痛みや怒りを共に寄り添い、拡声させるような映像だった。今作も単にドラマとして魅せるのでなく、それ以上に突きつけるような重さが来る。怪物のような作品に出会った。

最後のセリフと坂本龍一の音楽が頭にいつまでも残る。劇場で観てよかったと本気で思える、異端にして最高峰の作品。

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たいよーさん。

5.0何回見たかな?この映画

2021年6月3日
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80年代、まだ日本が元気な頃の大島渚監督作品。 音楽の坂本龍一、俳優としてのデビットボウイ、ビートタケシ、トムコンティととにかくキャスティングが良かった。 何となくなのに何回でも見れる不思議な映画です。

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Umka7

5.0君に胸キュン

2021年5月30日
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鑑賞方法:映画館

あのテーマ曲とともにタイトルが出た瞬間、十代に時が戻ったような気がした。当時、小娘だった私は、ボウイの美しさにやられ、4回この映画を見た。同じ映画を複数回見たのは、初めてのことだった。原作本も読んだし、デビッド・ボウイのアルバム「レッツ・ダンス」も擦り切れるほど聴いた。コンサートにも行った。私の青春はボウイに彩られたと言ってもよい。今回見直しても、やっぱキレイです〜。あの緑がかった灰色の目!くう〜。

強烈に記憶に残っていたところもあったが、忘れてたところもあった。ヨノイが2.26に決起できなかったのを悔いていたのは、当時の自分はスルーしていた。どういう意味か、完全にわかってなかった。勝手な想像だけど、ヨノイの祖父は薩摩藩の人で、幼少からビシバシ武士道を叩きこまれ、常にもののふの美学を意識して生きてきたのではないか(あくまでも妄想)。散るべき時を見逃してはならない。散るなら美しく。ヨノイは2.26を逃してしまった。

セリアズの容姿が美しいのはもちろん、捕らわれた身でも毅然とした姿に、ヨノイは美学を見てしまった。原作では、セリアズの歩く様子を、爪先に重心を置く「動物のよう」と評している。野生の動物は自由で気高い。ヨノイはセリアズを理想化してしまった。

しかし、セリアズは自分の過去に苦しみ、ヨノイの理想と実際は違っている。彼は頭も良く、見た目も良く、恵まれているが、満たされることはなかった。心のどこかで死に場所を求めていた。ヨノイの激情を止めるため、勇敢な行動をしたようでいて、実は自殺に向かっていたのではないか。

あと、ジョニー大倉演じるカネモト。昔見た時、やはり彼のことはわかってなかった。つらい。なぜハラキリさせられるんだ。日本人じゃないのに。最後の言葉も韓国語。今見ると悲しくてたまらない。でも、こんな理不尽、戦争中はゴロゴロ転がってたんだろうな。

セリアズの弟の歌、透明なボーイソプラノ。これも確かサントラを買ったのか、かなり正確に記憶していた自分にびっくり。十代の記憶力すごい。寄宿学校の新入生へのイニシエーション。歌がうまいらしいから歌えと言われ、言葉通り朗々と歌ってはいけなかったんだよ、弟よ。

坂本龍一のメイクは多少違和感あるけど、あのボソボソしゃべる人が、あれだけ早口で腹から声出してるなんて、ずいぶんがんばったなと思う。たけしは目がきれいで、ハラの最大のチャームポイントだから、とても説得力があった。

大島渚ってほんとに海外向けに製作してたんだなぁ。クレジットが全部アルファベット。文字が赤ってのも、おしゃれだ。音楽も国境を感じさせず、とても良かった。鐘のような音を使ったテーマ曲は、教授の代名詞になった。歌手のボウイが音痴の役というのは、ご愛嬌。

2023.4.4追記
坂本龍一氏がとうとう亡くなってしまった。
悲しい…。
どうか安らかにお眠りください。
同じ時代を生きることができて、本当に良かった。感謝。

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ぷにゃぷにゃ

5.0そうなんです、ボウイの美しさは悪魔なんです

2021年5月27日
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鑑賞方法:映画館

心から愛していますデビッド・ボウイ様😍

私もヨノイ大尉同様、あなたに狂いました。
小学生の時に一目惚れ❤︎
もぅ、仕方ないんです、そう、悪魔なんです。
大島渚監督、良く見抜きました。

大画面、映画館のスクリーンのボウイはまた一段と不敵で美しい。ストーリー、というより映画館でまた戦メリを観ることが出来たというだけで号泣でした。

ヨノイがセリアスを、ハラがローレンスを、それぞれ好意的に扱った意味ということを今回深く考えました。

難しい、大変に難しいストーリーですが、観るたびに何かがつかめそうで、でもつかめない、モヤモヤの残る映画です。

思うのは、この時の武さんは本当にすごい何かを出している。デビッド・ボウイにも負けないあの存在感と輝き、得体の知れないは生命力は何なのでしょう。

配役と名曲と永遠の謎のストーリー、これからもエンドレスで見続けます。

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アルバさん

4.0初見…

2021年5月17日
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鑑賞方法:映画館

見たい映画がなくてなんとなく観賞。なるほど、名作と言われるわけだ。戦争捕虜という極限の緊迫感の世界が淡々と描かれていてすごい。実はたけしはじめ俳優陣があまり好きではないのも見なかった理由。が、みな、素晴らしい演技だった。ちょっと聞き取れない日本語が多かったけど…。みて良かった。

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peanuts

3.5泣けた

2021年5月14日
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鑑賞方法:映画館

たけしに釘付けだった。
なんだろう、あの人、あの時代、ヤバイぐらいオーラあるのね。

それに、あてられてラストのアップで涙出て来た...。
あの独特の笑い方、なんか悲しくなる。

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hkr21

4.0初見から25年後に見たのは「狂気の中の強烈なホモイズム」

2021年5月14日
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鑑賞方法:映画館

若い頃見た映画を大人になってから見ると、印象が大きく変わることがある。
小学生の時みた「となりのトトロ」では妹が行方不明になる姉の不安が痛いほどわかったが、子供をもった今では完全にそれは健気な兄弟を応援する親からの目線になる。

結局物語というのは作り手よりも受け手の感覚の違い次第でどんな形にも変わるということなのかもしれない。

今回UPLINKの閉館間際に駆け込みで再見した「戦場のメリークリスマス」もそうだった。

18歳で美術大学に入ったばかりの頃、見ておくべき映画としてレンタルでVHSを借りた。
初見当時の自分は戦争末期の狂った日本人の姿にただ眉をひそめたものだったが、25年経って見たそれはまさに「狂気の中にある強烈なホモイズム(そんな言葉があるか知らないが)」だった。
ビートたけしのサディスティックなホモイズム、切腹させられたジョニー大蔵の「真夜中のカーボーイ」的ホモイズム(本編ではあまり触れられていないが、傷ついた俘虜の手当てからの求愛の流れはそれに近いものだと思う)、デビッドボウイの魔性的ホモイズム。ローレンスとたけしの間、デビットボウイと幼少期の弟との間にも、強い精神的なホモイズムを感じられる。

極度に閉鎖的な男の世界で男同士が(言葉にこそ出さずとも)性愛を求めてしまうのはある意味で必然なのかもしれない。共感や同情、憧れや思い込みを愛情と勘違いすることは何も男女の間だけに存在するものではないだろう。本作で大島渚の描きたかったそれは、例えば戦国時代合戦の場や刑務所の中、学生男子寮の世界でも同じことなのだろう。
熱血スポ根の祖、梶原一騎的な「男の世界」も、見方のよってはホモイズムの極みだ。

制作の裏側など詳細は知らないが、メインキャストのほとんどは当初想定されたものではなかったという。製作サイドの意向なのか予算的にやむを得ない故の結果なのか、いずれにせよ見事な配役だった。

※本文での「ホモイズム」表記に差別的な意図はなく、同性における恋愛・性愛感情の象徴として書き記したものです。

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ゴゴゴ

3.5戦場のメリークリスマスの曲が好きで、今回上映が決まって映画館で観れ...

2021年5月13日
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戦場のメリークリスマスの曲が好きで、今回上映が決まって映画館で観れて、この曲もスクリーンで聞けて最高だった。内容は少し難しかった印象だが、出演者の表情等、忘れられない作品にはなった。

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おれ

3.5【戦場と男色】音楽はやっぱり最高!

2021年5月9日
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わたしには“全く響かなかった”、“理解できなかった”というのが予備知識などなく本作を観た最初の感想。

まぁ〜、とにかく日本軍の鬼畜ぶりに終始イライラしっぱなし、彼らの、いや、戦争の愚かさ、おっかなさ。さらに洗脳の恐ろしさと、自分の正しさを信じて疑わないことの恐ろしさがありありと描かれている。

ところが、鑑賞後に詳しく調べてみると、なるほど!と、私が鑑賞時にひっかかっていたすべての謎が解けた。

ヨノイの狂気に満ちた行き過ぎた行動は自身のセリアズに対する恋心への自制心と葛藤からきているのだろう。

セリアズを初めて見た時、上半身の裸を見ただけでのあのヨノイの動揺っぷり。ホッペにキスをされた際の失神(どんだけウブなんだw)。恋に関しては驚くほどに奥手で純粋なのね。

実際に男色行為は兵士や士官の間で蔓延していたらしい。

戦争映画だけど美しい、景色も映像も音楽も。しつこいようだけど私は日本軍兵士達の鬼の所業に対する怒りの感情が勝り、本作を深く見ることができなかった。だけど不思議と最後は感動しちゃう。ビートたけし演じるハラの無邪気な笑顔に泣けてくる。

音楽はやっぱり最高、よくピアノで弾く曲が『戦場のメリークリスマス』聞けてよかった。

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あさ

3.0内容よりも話題性やエンタメ的な作品

2021年5月9日
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日本軍が主人公なのに物語の大半は字幕 坂本やデビットは戦時下にしてはイケメンでキレイすぎるし彼等は本業じゃないので違和感!
本国での回想シーンは長過ぎで不要でむしろたけしや坂本の国内でのシーンがあっても良かったと!たけしの罪状は捕虜虐待?何を訴えたかったのか作品のテーマが不明確?

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ゆたぼー

クリスマスの思い出

2021年5月7日
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鑑賞方法:映画館

捕虜と看守の複雑な関係の話

はずかしながら初めて見ました。
伝説的な映画だとは知りつつも旧日本軍映画って苦手なんですよね。
劇場でリバイバルとのことで負の歴史を直視したくない弱い心を奮い立たせて鑑賞

伝説になるのも納得の素晴らしい作品でした。

デビッド・ボウイ、トム・コンティ、坂本龍一、たけし、彼らの演技と大島監督のセンスが融合してこの映画を永遠に色あせない作品にしている。
セットも広大だし、捕虜セキストラ多さとガリガリ感、なんともリアルでしたね。

ふてぶてしくてハンサムで仲間に優しいセリアズ少佐、英国紳士たる堂々とした態度は観客までも魅了する。難しい役をボウイは見事に演じていた。かっこよかったです。
仲間を励まし、最後まで抵抗し、己自身の危険よりも仲間を救おうとした勇気。
こんなにも複雑な感情の入り混じった抱擁とキスを見たことが有るだろうか。
セリアズの表情がなんとも言えず胸に刺さる。

ヨノイも複雑でしたね、226事件に参加できず、同期の友と死ぬこともできず、同性に惹かれる自分が許せない。セリアズに一目ぼれして職権乱用、贔屓してるのに拒絶され、でも彼に何らかの対抗をしようとする姿、キスされて腰抜かす所は切なかった。
髪を切り一礼をして去っていく姿、なにかが吹っ切れたのか、いさぎよい姿でしたね。
坂本龍一のアイシャドウとメイクが艶っぽくて始めは違和感があったのだけれど、純粋さと邪さが宿ったいい目でいした。

目といえばハラですね、いやな看守長なのにどこか憎めない。
冒頭の部下の腹切りや囚人いびりは酷かったけれど、戦争という極限状態にあればだれもが正常ではいられなくなる、でも目だけは光り輝き澄み切っている。
ラストシーンのハラの目の輝き、純粋な笑顔はまさに日本人の笑顔なのではないだろうか。
北野武の無邪気な笑顔は世界中の観客の目に焼き付いた事だろう。

公開当時の世間の評価がどんなものであったのか知りたくなりました。
凄まじい映画だとは思うけれど、一般人にはなかなか受け入れられない内容な気がする。

なんにせよ今回のリマスター版を劇場で見れたことに感謝。

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劇中セリフより

「饅頭より花の方が美味いな」

どんな相手でも毅然とした態度で臨む事こそが強力な武器になる。
捕虜たがらと卑屈になる必要はないのだ。

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フリント

4.0こんな映像表現があってたまるか

2021年5月2日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

怖い

難しい

凄かった…とにかく凄かった…
大島渚か。スゲェよ本当に…
名作だとか傑作だとかそんなレベルじゃない。もはや伝説。
目に見えぬ衝撃が襲いかかった。
果たして何と感想を書けばいいのだろうか。
まず最初に言っておきたいのは、面白い!とも感動した!とは微塵も思っていない、ということ。ハッキリ言えば脚本はやや突拍子だし人間ドラマがしっかりしてるとは言いづらい。セリフも聞き取りづらいし、たけしと坂本龍一の演技もどこかたどたどしい。

しかし作品自体が何かの狂気に取り憑かれているようで、スクリーンを観ているだけで恐怖すら感じる。この正体は何だ?と考えると脳裏には、たけしの笑みが思い浮かぶ。あんなに危なっかしい笑顔は無いだろう。何を考えてるのか分からない恐ろしさが潜んでいる。
ズバリ言ってしまえば演技が下手くそなだけなのだが、いやだからこそ曖昧で生々しい演技をしている。
坂本龍一だってそうだ。揺るがぬ日本男児という役柄だがその一方で幼さも感じる。これもズバリ言ってしまえば演技が下手くそなだけだが、かえって日本人の見栄を張る精神を反映している。
このたどたどしい演技こそが、当時の日本兵の狂っている様を「空気」で表現しているのだ。

そして今作を語る上で必然となるのがデヴィッド・ボウイの存在。
クリストファー・ノーランはこの映画を「マイフェイバリットムービーだ。デヴィッド・ボウイのカリスマ性を捉えることに成功した稀有な作品」と評す。特にこれといって演技が上手いわけじゃないんだけど、存在感は圧倒的。カッコイイ!のレベルではなく、美しい…のレベル。目が合った瞬間、心を奪われる。
"映画史上、最も美しいキスシーン"と言われるシーンは残像が移動し完璧なカメラアングルでビシッときまる。思わず身震いしてしまったし、無性に泣きそうになった。実際泣いている人もいた。感動、とかでは無く、上手く言語化出来ない「何か」が勢いよく込み上げた。

本当に奇妙な作品だ。

こんなにも言葉で表せない感情を抱いた作品は無い。喉まで出かかってるんだけど、口から言葉として吐き出されない。
そしてラストカット。
これまた震え上がった。鳥肌が止まらなかった。あれほど完璧なラストシーンは観たことが無い。「メリークリスマス。メリークリスマス、ミスターローレンス。」

エンドロールが終わってから席を立てなかった。映画館にいるということすら忘れていた。虚無に落ちた。泣いている長年のファンと思われる人もちらほら。鳥肌が止まらないまま席を立ち、その瞬間から脳内で坂本龍一の名曲『Merry Christmas Mr.Lawrence』が永遠と再生されている。伝説が、脳内に、取り憑いた。
自分にとってこれは映画では無く、もっと大きな「何か」でした。
この衝撃を映画館で味わえて本当に良かった。

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Pegasus

3.5⭐️3.5

2021年5月1日
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悲しい

怖い

⭐️3.5

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keisuke

4.0とても儚い作品

2021年4月28日
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故・大島渚監督の代表作。
ここえきてリマスター上映にはちょっと驚きました。もう30周年だったのですね、早いものです。
作品は4人の戦地での邂逅を描いた物語。
とにかくキャスティングが凄い。メインの4人のうち、3人がいわゆる「役者」でないのですから思い切ったものです。
地味な役どころでしたがトム・コンティの芝居が土台を支え、その分他の三人は思い思いに演じていた様にも見えました。
他の三人は芝居というよりその表情や佇まいが素晴らしく、それを引き出しカメラに収めた監督の力量が伺えます。
他にも戦争を舞台にした作品でありながら戦闘シーンが無い、出演は男性のみと色々な実験的なアプローチが見られます。
個人的に一番はボウイと教授という組み合わせ、これは誰も思いもよらなかったでしょう。
またこの二人が作る空気が良く、実に艶があるんですね。
あと何と言ってもオープニングの美しさなんです、メインテーマと相まって幻想的ですらあります。
オープニングというと「バグダット」がとても好きなのですが、それと同じようなもの凄い完成度を感じるんです。…まぁ単に好みと言えばそれまでなんですけど。
そして本作は2023年に大島作品が収蔵されるため、これが最後のロードショーとなるようです。
まだ観ていない人も、もう一度観たい人も自身の目で確かめてみて欲しいと思います。
二組の、片や不恰好な友情と、片や気付いてはいけない惹かれる心。
それぞれのラストシーンも心に残る、とても儚い作品です。

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白波

4.0敵でも味方でも友情でも絆でもない特別な繋がり

2021年4月27日
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悲しい

興奮

知的

正直なんといえば良いか分からない。
この作品の良さは言葉にできない。
でも、ずっと胸を抉られ続けるようなそんな映画でした。

日本と欧米の死に対する考え方の違い。
日本の行き過ぎた武士道精神は、時代錯誤感が凄くて少々胸糞悪かったですが、特に戦争において、みんなが悪であるという言葉は、特に胸に刺さりました。

戦争映画、反戦映画のような気がしますが、自分は音楽映画だと思いました。
映画開始早々のヤモリや虫の鳴き声にはじまり、「戦メリ」の世界観を象徴づける坂本龍一のサントラはもちろんのこと、俘虜たちの一体感が感じられる讃美歌やセリアズの弟の美声などなど。
数々の“音“が、この作品をより鮮やかにしていたように思います。
そうかと思えば、酔ったハラとの会話だけでクリスマスだというのが伝わっくるし、戦闘シーンやゴア描写などが無いにも関わらず、あの緊迫感が出せるのは世界のオーシマこそのことなのでは。

デヴィッド・ボウイ、トム・コンティ、坂本龍一、ビートたけし、ジャック・トンプソン、ジョニー大倉、内田裕也…etc
というキャスティングもなかなか。
どのキャラクターも個性的で魅力的。

冒頭の日本語が聞きどりづらかったり(それはそれで良いんですが)、なんでそうなるのとイマイチ理解できない点があったりもしましたが、80年代に大島渚とあのキャスト・スタッフだからこそ成立した、名作中の名作なんだと感じました。

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唐揚げ