戦場のメリークリスマス

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説

大島渚監督が、第2次世界大戦中のジャワの日本軍捕虜収容所を舞台に、極限状況に置かれた人間たちの相克を描いた異色のヒューマンドラマ。

日本軍のエリート士官ヨノイと連合軍捕虜セリアズ少佐の愛情めいた関係を中心に、日本軍人と西洋人捕虜との関係が興味深く描かれる。デビッド・ボウイ、坂本龍一、ビートたけしといった国内外の異色スターたちが共演。坂本の音楽も高い評価を獲得し、テーマ曲「Merry Christmas Mr. Lawrence」は誰もが知る名曲となった。

2021年4月、デジタル素材に修復した「4K修復版」でリバイバル公開された。

1983年製作/123分/日本・イギリス・ニュージーランド合作
原題:Merry Christmas Mr. Lawrence
配給:アンプラグド
劇場公開日:2024年3月22日

その他の公開日:1983年5月28日(日本初公開)、2021年4月16日、2024年3月22日

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第7回 日本アカデミー賞(1984年)

ノミネート

作品賞  
監督賞 大島渚
助演男優賞 ビートたけし
音楽賞 坂本龍一
話題賞 作品部門/俳優部門  

第36回 カンヌ国際映画祭(1983年)

出品

コンペティション部門
出品作品 大島渚
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(C)大島渚プロダクション

映画レビュー

4.0数十年ぶりの鑑賞で込み上げた思い

2021年4月28日
PCから投稿

数十年ぶりの鑑賞ということもあり、以前とだいぶ印象が違って見えた。例えば、坂本龍一が法廷でボウイを見てビビッと感じる時の思い。かつての私は、それは同性愛的な何かだろうと解釈していたが、今見ると、そんな次元すらも遥かに凌ぐ、非常に複雑で混乱した啓示だったように思えた。対するボウイはかつて弟に下した仕打ちが十字架のようにのしかかっている。彼もまた償う場所を求めさまよう旅人。収容所という場所でこれらの異質な思いが大きく渦を巻き、さらに狂気と無邪気さを持つビートたけしの存在が絶妙にハマる。演技が本業でない彼らだからこそ、素の境地をこれほど直感的、肉感的に表現できたのだろう。ちなみにローレンス役のトム・コンティは「ダークナイト・ライジング」にも出演。「戦場の」がノーランのお気に入りであることを考えると、同じ”牢獄でカリスマ性を持つ主人公と語らう者”としての起用には何らかの意図があったのかもしれない。

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牛津厚信

4.0戦争状態とはどういうことか

2024年4月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

大島渚監督作品。名作です。

戦闘が一切描かれない戦争映画。
ただ、「戦争状態とはどういうことか」を考える上では、
戦争の非戦闘時間を取り上げるほうが適切なのかもしれない。

確かに戦争の戦闘時間のほうが映画としては”見映え”がいいのかもしれない。だけど戦闘までの待機や輸送の時間のほうが長かっただろうし、日本軍の兵士の死因で最も多かったのは餓死である。だから非戦闘時間に何が起こっていたのか知ることこそ、「戦争状態」について考えることができるはずである。

では「戦争状態」とは何か。それは「論理の破壊」と「法の逸脱」が横行している状態と言えるのかもしれない。
私たちの社会は法治国家であり、論理的な法構造で制度設計されている。しかし戦争で剥きだしになる暴力や状態は、論理を破壊し、法が逸脱することを無条件に承認する。
それを表象しているのが例えば、①捕虜への体罰②日本軍の自決③ジャック・セリアズ少佐を裁く軍法会議④軍の司令⑤ハラ軍曹の恩赦である。

これらは論理を全く持ち合わせておらず、正しいから正しいというトートロジーによって担保されている。権力者の気分と暴力が絶対という不条理な状態。そんな状態は論理や法も捏造される。剥きだしの暴力。まさに「戦闘状態」なのである。

では、「戦争状態」に対抗するにはどうするべきか。実は、別様の「論理の破壊」と「法の逸脱」なのである。この別様の「論理の破壊」と「法の逸脱」を象徴しているのが、デヴィッド・ボウイ演じるジャック・セリアズ少佐なのである。セリアズは、捕虜であるにも関わらず日本軍や陸軍大尉のヨノイの命令に反抗する。それを端的に表しているのが、ヨノイが命じた飲み食いを禁ずる「行」の不履行、捕虜の死への哀悼、脱走である。
このような行為は、捕虜収容所で日本軍が論理や法を捏造し作り上げた「戦争状態」を徹底的に逸脱するのである。

だからこそヨノイはセリアズに惹かれてしまうのかもしれない。ヨノイは陸軍大尉として日本軍、権力がつくりだす「戦争状態」を実践する。しかしその「戦争状態」に抵抗するシリアズの「戦争状態」。美形もさることながら、この別様さに心惹かれてしまったのではないだろうか。
「恋愛」もまた論理や法では担保されない現象である。したがって、この作品にはヨノイがセリアズに惹かれることが描かれているのだろう。

このようにストーリーはかなり重層的で示唆的である。伝説の名作と言われる理由がよくわかる。

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abokado0329

4.5惚れちゃう

2024年4月10日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

ボウイがエロい。
坂本龍一のアルバムは何度も聴いてきたが、映画はずっと未鑑賞だったため今回初めて鑑賞。
終始、緊張感ある描写だった。
世間一般の評価や知識なく観たが、ボウイが終始エロい。
ボウイを追う事にした。

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fairlight

3.0本業ではないからこそ。

2024年3月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

難しい

ビートたけしと坂本龍一。両者とも俳優ではない。
だからこそそれぞれがハラとヨノイを演じているのではなく、「もしビートたけしがあの時代の軍に入ってあの立場になったら…」「もし坂本龍一があの時代に軍に入ってあの立場だったら…」と思わせる様な強烈な個性があった。他も海外勢も含め素晴らしいキャスティング。
内容は同性の関係性を描いていると私は感じた。
ハラとロレンスは友情。ヨノイとセリアズは同性愛について。

セリアズは同性の私から見てもカッコいいと思う。
それは愛でない憧れで、「ああいった人間になりたい」というヨノイとは違うまた別の感情を抱いた。

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Kei6
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