柏原満 : ウィキペディア(Wikipedia)

柏原 満(かしわばら みつる、1933年11月6日 - 2024年11月18日)は、日本の音響効果技師。東京演劇音響研究所所属。

『宇宙戦艦ヤマトシリーズ』や『サザエさん』、『ドラえもん』など数多くのテレビアニメの効果音を手掛け、「タラちゃんの足音」「ヤマトの主砲・波動砲の発射音」など特徴的な「音」を多く生み出したことで知られる。

来歴

高知県出身。映画界に憧れ上京し、日本大学芸術学部映画学科中退後、アオイスタジオへ入社して音響ミキサーの仕事を始める「INTERVIEW 音響効果担当 柏原満さん」『サザエさんヒストリーブック 1969-2019』扶桑社、2019年、pp.50-51。そこで大野松雄らと『鉄腕アトム』の音響に携わり、音響監督を兼任したフジテレビの別所孝治プロデューサーの下で録音技師を務めた。これがきっかけで音作りの面白さを知る。

その後、音響効果の仕事に移るため独立してフリーに。『サザエさん』では1969年の放送開始から音響監督は別に立てていたものの音響効果のみならずBGMの構成や選曲、アフレコに立ち会って台詞のチェック、編集などを音に関する全ての作業に関わった。

その他に1974年からの宇宙戦艦ヤマトシリーズや1979年から2005年まで約26年間音響効果を担当した『ドラえもん』など数多くのテレビアニメやアニメ映画の音響効果を手掛ける。音響機材の少ない時代から試行錯誤を繰り返し、多岐にわたる効果音を生み出した。実写映画では、大林宣彦監督作品を多数手掛けた。

2009年公開の『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』制作時にオファーされた際には「5.1chはちょっとできないよ」と断り、新規の効果音がつけられたが、古くからの『宇宙戦艦ヤマト』ファンから柏原満によるオリジナル効果音と異なるとクレームが寄せられたアライ=ヒロユキ『宇宙戦艦ヤマトと70年代ニッポン』社会評論社、2010年、p.94。2012年に公開された同作のディレクターズカット版が製作される際に音響監督の吉田知弘の熱意に応えて使用を承諾し、柏原によるオリジナル音をそのまま使用した部分が多い。

2013年、第17回文化庁メディア芸術祭にて功労賞を受賞した。

2014年頃に体調を崩して一時休養。『サザエさん』ではこれを機に音響効果を降板したが、BGMの構成作業は復帰後に引き続き行っている。ただし、柏原による効果音は多数が以降もそのまま使用されているため、クレジットは引き続き「効果」として行われている。

2024年11月18日午前6時52分、膀胱癌のため東京都三鷹市の病院で死去。。訃報は同年12月16日、カラーの公式Xにおいて伝えられ、庵野秀明からの追悼コメントも寄せられた。また、『サザエさん』の公式サイト内においても追悼コメントが記載された。

人物

アニメ監督の杉井ギサブローは柏原を「サウンドディレクターとして日本のアニメーションを黎明期から牽引してきてくれた人」と評し、柏原による効果音を「柏原サウンド」と呼んでいる。

手作りの精神を大切にしているためデジタル作業はあまり行わず、アナログテープで作業を行い、作成した音は基本的にオープンリールで保管されている。ただし『サザエさん』での選曲作業に関しては、既存音源のデジタル化が行われ、ProToolsを使用したデジタル環境に変化したことを2013年に明かしている『サザエさん音楽大全』ライナーノーツ。

2019年のインタビューで、赤ちゃんの泣き声の場面に約50年前の録音である自分の子供の出生時の泣き声を未だに使うことがあると語っている。

柏原は自身が手がけた効果音が人気を博していることは知らず、『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』の頃にインターネットでの評判を見せてもらって初めて知ったという。後に柏原は「効果音なんて、縁の下の力持ち的な仕事だとずっと思ってきましたから、僕の仕事にファンがいるなんて思いも寄りませんでした。」、「『宇宙戦艦ヤマト2199』にも音を使わせて欲しいと言われた時は、やはり嬉しかったですね。こうして評価していただいたのも、『ヤマト』という作品に恵まれたからだと思います」と語っている

主な参加作品

ディスコグラフィ

発売日 商品名 規格品番 備考
1996年3月20日 サウンド・ファンタジア・シリーズ 宇宙戦艦ヤマト COCC13263 効果音のみ。
2013年12月4日 サザエさん音楽大全 TYCN-60100 「タラちゃんの足音」など効果音のみ。スーパーバイザーとして制作に参加。

出演

文献

外部リンク

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/12/16 14:03 UTC (変更履歴
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