三好十郎 : ウィキペディア(Wikipedia)

三好 十郎(みよし じゅうろう、1902年4月23日誕生日には複数の記述があり、戸籍上は4月21日、自筆の年譜では4月23日、小学校の学籍簿では3月25日となっている。 - 1958年12月16日)は、昭和初期から終戦後の復興期にかけて活動した劇作家、詩人、小説家。

来歴

佐賀県佐賀市八戸町生まれ。戸籍上は父の兄の子で、旧姓は森。孤児として育つ。4歳で三好家の養子になり、12歳で両親と育ててくれた祖母を失う。佐賀中学校を経て、早稲田大学英文科卒業。早稲田大学在学中の1924年(大正13年)に「早稲田文学」に詩「雨夜三曲」など五篇を発表してデビュー。サンジカリズムからマルクス主義に接近。壺井繁治らと左翼芸術同盟を結成し、ナップの下部組織プロット(日本プロレタリア劇場同盟)に属して、プロレタリア劇の作家として活動。その後、左翼的な活動に疑問を覚えたとしてプロットを離脱。PCL(東宝の前身の一つ)にシナリオライターとして4年間在籍した。

1928年9月20日、処女脚本『首を切るのは誰だ』を報知講堂、左翼劇場第2回公演で初演。1940年3月23日-4月11日、『浮標』を築地小劇場、新築地劇団で初演、『文学界』1940年6月号-8月号に戯曲として発表。転向期の作品として評価された。

戦後は、近代の既成文学全般への批判を貫き、無頼派の一人といわれる。進歩的文化人を痛罵した評論集『恐怖の季節』も話題を呼ぶ。

1948年(昭和23年)6月、『別冊人間』に「その人を知らず」を掲載。同月22日、三越劇場で同作品を初演。 1951年(昭和26年)9月、雑誌『群像』にゴッホを描いた「炎の人」を発表、初演は9月16日-9月28日新橋演舞場、劇団民芸。10月-11月、12月三越劇場で再演。第3回読売文学賞戯曲賞を受賞した。ゴッホは徹頭徹尾「貧乏人の画家」であると評し、生涯愛した画家であった。

「彦六大いに笑ふ」「斬られの仙太」など映画化された作品も多く、1951年に東映で製作された『拳銃地獄』は三好の「肌の匂い」が原作である。

1958年、肺結核で死去した。

2001年4月23日・24日、NHK教育テレビジョンにて「吉本隆明がいま語る・炎の人・三好十郎」が放映され、詩人・思想家・文芸批評家の吉本隆明と三月書房(京都市)の宍戸恭一らが三好十郎の生涯と作品を論じた。

著書

  • 『炭塵』中央公論社 1931
  • 『斬られの仙太 天狗外伝』ナウカ社 1934
  • 『妻恋行 他三篇 リアリズム文学叢書』文学案内社 1937
  • 『戯曲三日間』桜井書店 1943
  • 『夢たち 戯曲』桜井書店 1943
  • 『崖 三好十郎戯曲集』桜井書店、1946
  • 『獅子 三好十郎戯曲集』桜井書店 1948
  • 『その人を知らず』中央公論社 1948
  • 『やまびこ』柊書房 1948 新戯曲文庫
  • 『胎内』世界評論社 1949
  • 『恐怖の季節 現代日本文学への考察』作品社 1950
  • 『肌の匂い』早川書房 1950
  • 『炎の人 ゴッホ小伝』河出書房・市民文庫 1951 のち講談社文芸文庫、ハヤカワ演劇文庫
  • 『三好十郎作品集』全4巻 河出書房、1952
第1巻 (浮標) のちハヤカワ演劇文庫
第2巻 (その人を知らず)
第3巻 (炎の人)
第4巻 (冒した者)
  • 『美しい人』ダヴィット社 1953
  • 『日本および日本人 抵抗のよりどころは何か』光文社 1954 考える世代とともに
  • 『破れわらじ』宝文館・ラジオ・ドラマ新書 1954
  • 『樹氷』宝文館・ラジオ・ドラマ新書 1955
  • 『三好十郎著作集』三好十郎著作刊行会 1961 3巻を刊行
  • 『三好十郎の仕事』全3巻別巻1 学芸書林 1968
  • 『定本三好十郎全詩集』永田書房 1970
  • 『三好十郎日記』五月書房 1974
  • 『三好十郎の手帳』大武正人編集 金沢文庫 1974
  • 『知識人は信頼できるか』東京白川書院 1979
  • 『新劇はどこへ行ったか』東京白川書院 1980

翻訳

  • ライダー・ハッガード『不死の女王』アルス・ポピュラアー・ライブラリー 1925
  • ニコル『バイロン』新潮社・文豪評伝叢書 1926

関連項目

  • 多磨霊園 - 多摩霊園に眠る(18区 1種 36側 22番)

外部リンク

  • - 早稲田大学
  • 三好十郎 - 歴史が眠る多磨霊園

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/09/18 11:48 UTC (変更履歴
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