閻連科 : ウィキペディア(Wikipedia)
閻 連科(えん れんか、1958年8月24日- )は中華人民共和国の小説家。中国人民大学教授。香港科技大学客員教授。
来歴
1958年、中国河南省嵩県田湖鎮に生まれる11/12・13 閻連科さん来日イベント「日本の読者へ~閻連科、自作を語る~」 白水社 2023年3月21日閲覧。。生年月日については、家が貧しく誕生日を祝う習慣もなく、また所属していた生産大隊にも記録がなく、詳細は不明。幼い頃から食べることに苦労し、麦刈りをしたり、牛を追ったり、出稼ぎに行ったり様々な農作業を手伝ったりした。
1978年10月に中国人民解放軍に入隊し、食べることには苦労しない生活が始まり、運命も変わり始めた。軍隊では班長や小隊長、指導員、幹事を歴任し、中国人民解放軍第二砲兵隊創作室の職業作家となった。2005年に『受活』(邦題:『愉楽』)を書いたことで軍隊を追い出され、北京市作家協会の職業作家に移った。
2008年に中国人民大学の教授に就任し今に至り、大学では創作について講義している。2016年には香港科学技術大学の客員教授となり、ここでも創作について講義している。2017年、香港科学技術大学から文学栄誉博士号を授与される。
作品
全般
1979年から、小説では長篇が15編、中篇が50編余り、短篇が40編余り、散文では長篇が3編、散文集が5冊あり、映画やテレビの連続ドラマの脚本が10本余りあって、字数の総計は1000万字を超える。
しかし中国では、最も論争の的になる禁書の多い作家ということが原因で、『為人民服務』(邦題『人民に奉仕する』)、『丁庄夢』(邦題『丁庄の夢』)、『四書』(邦題『四書』)、『日熄』(邦題『太陽が死んだ日』)などの小説や一部随筆や講演原稿は、いまだに大陸では出版されていない。
作品は、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、スウェーデン語、デンマーク語、ノルウェー語、チェコ語、ギリシャ語、日本語、韓国語、ベトナム語、モンゴル語など三十種類に及ぶ言語に翻訳され、世界各地で広く読まれている。
邦訳
- 『人民に奉仕する』(原題『為人民服務』)谷川毅訳、2006年、文藝春秋
- 『丁庄の夢 中国エイズ村奇談』(原題『丁莊夢』)谷川毅訳、2007年、河出書房新社
- 『愉楽』(原題『受活』)谷川毅訳、2014年、河出書房新社
- 『炸裂志』(原題:『炸裂志』)泉京鹿訳、河出書房新社、2016年
- 『父を想う ある中国作家の自省と回想』(原題『我与父輩』)飯塚容訳、河出書房新社、2016年
- 『年月日』(原題:『年月日』)谷川毅訳、白水社、2016年
- 『硬きこと水のごとし』(原題:『堅硬如水』)谷川毅訳、河出書房新社、2017年
- 「忘れられた片腕」飯塚容訳、『三田文學』2018年春季号
- 『作家たちの愚かしくも愛すべき中国 なぜ、彼らは世界に発信するのか? 高行健・余華・閻連科』飯塚容訳、中央公論新社、2018年
- 『黒い豚の毛、白い豚の毛 自選短篇集』谷川毅訳、河出書房新社、2019年
- 「村長が死んだ」(原題:「村長死了」)谷川毅訳、『文藝』2020年春期号、2020年
- 『丁庄の夢』新装版(原題『丁莊夢』)谷川毅訳、2020年、河出書房新社
- 『心経』(原題『心経』)飯塚容訳、河出書房新社、2021年
- 『太陽が死んだ日』(原題『日熄』)泉京鹿・谷川毅訳、2022年、河出書房新社
- 『年月日』白水Uブックス(原題:『年月日』)谷川毅訳、白水社、2022年
- 『四書』(原題『四書』)桑島道夫訳、岩波書店 2023年
- 『中国のはなし 田舎町で聞いたこと』(原題『中國故事』)飯塚容訳、河出書房新社 2023年
作品リスト
(1) 長篇小說
- 『情感獄』解放軍文藝出版社 1991年
- 『最後一名女知青』百花文藝出版社 1993年
- 『生死晶黃』明天出版社 1995年
- 『金蓮,你好』中國文藝出版社 1997年
- 『日光流年』花城出版社 1998年 / 聯經出版事業公司(台北) 2010年
- 『堅硬如水』長江文藝出版社 2001年 / 麥田出版(台北) 2009年
- 『夏日落』聯經出版事業公司(台北) 2010年
- 『受活』春風文藝出版社 2004年 / 麥田出版(台北) 2007年
- 『丁莊夢』文化藝術出版社(香港) 2006年 / 麥田出版﹙台北﹚ 2006年
- 『為人民服務』麥田出版(台北) 2005年
- 『風雅頌』麥田出版(台北) 2008年 / 鳳凰出版集團 2008年
- 『四書』麥田出版(台北) 2011年 / 明報出版社(香港) 2011年
- 『炸裂志』上海文藝出版社 2013年 / 麥田出版(台北) 2013年
- 『日熄』麥田出版(台北) 2015年
- 『速求共眠』理想国丨百花洲文艺出版社 2019年
- 『心経』香港城市大学出版(香港) 2020年
- 『中國故事』麥田出版社(台湾) 2021年
- 『聊齋本紀』聯經出版事業股份有限公司(台湾) 2023年
(2) 作品集
- 『鄉里故事』百花文藝出版社 1992年
- 『和平寓言』長江文藝出版社 1994年
- 『朝着天堂走』中國青年出版社 1995年
- 『閻連科文集﹙5卷﹚』吉林人民出版社 1996年
- 『閻連科小說自選集』河南文藝出版社 1997年
- 『歡樂家園』北京出版社 1998年
- 『黄金洞』文學出版社 1998年
- 『陰晴圓缺:重說千古淫婦潘金蓮』中國文學出版社 1999年
- 『朝著東南走』作家出版社 2000年
- 『耙耧天歌』北岳文藝出版社 2001年
- 『三棒槌』新世界出版社 2002年
- 『鄉村歲月』新疆人民出版社 2002年
- 『年月日』新疆人民出版社 2002年 / 明報月刊出版社﹙香港﹚ 2009年
- 『當代作家文庫閻連科卷』人民文學出版社 2003年
- 『天宮圖』江蘇文藝出版社 2005年
- 『革命浪漫主義:閻連科短篇小說代表作』春風文藝出版公司 2006年
- 『母親是條河』大眾文藝出版社 2006年
- 『瑤溝人的夢』春風文藝出版公司 2007年
- 『閻連科文集﹙12卷﹚』人民日報出版社、云南人民出版社、天津人民出版社 2007年
- 『阎连科作品精选集(17卷)』萬卷出版公司 2009年
- 『四號禁區』萬卷出版公司 2009年
- 『天工图』萬卷出版公司 2009年
- 『朝着东南走』万卷出版公司 2009年
- 『閻連科小說精選集』新地文化﹙台北﹚ 2010年
- 『桃園春醒』黃山書社 2010年
- 『藝妓芙蓉:閻連科中篇小說編年1988-1990﹙第1輯﹚』浙江文藝出版社 2011年
- 『中士還鄉:閻連科中篇小說編年1991-1993﹙第2輯﹚』浙江文藝出版社 2011年
- 『耙耬山脉:閻連科中篇小說編年1993-1996﹙第3輯﹚』浙江文藝出版社 2011年
- 『桃園春醒:閻連科中篇小說編年1996-2009﹙第4輯﹚』浙江文藝出版社 2011年
- 『閻連科短篇小說精選』雲南人民出版社 2013年
- 『中士还乡』上海文艺出版社 2015年
- 『閻連科长篇小说典藏』河南文艺出版社 2016年
- 『閻連科自选集』天地出版社 2017年
- 『閻連科海外作品選集 四書』香港城市大學出版社 2020年
- 『閻連科海外作品選集 日熄』香港城市大學出版社 2020年
- 『閻連科海外作品選集 夏日落』香港城市大學出版社 2020年
- 『閻連科海外作品選集 為人民服務』香港城市大學出版社 2020年
- 『閻連科海外作品選集 丁莊夢』香港城市大學出版社 2020年
- 『閻連科海外作品選集 心經』香港城市大學出版社 2020年
- 『閻連科海外作品選集 沉默與喘息—我所經歷的中國與文學 』香港城市大學出版社 2020年
- 『閻連科海外作品選集 推開中國的另外一扇窗—海外隨筆集 』香港城市大學出版社 2020年
- 『閻連科海外作品選集 野嗓子—海外演講錄』香港城市大學出版社 2020年
(3)散文・随筆・文集
- 『褐色桎梏』百花文藝出版社 1999年
- 『返身回家』解放軍出版社 2002年
- 『巫婆的紅筷子:作家與文學博士對話錄』﹙與梁鴻合著﹚春風文藝出版社 2002年
- 『没有邊界的跨越:閻連科散文』長江文藝出版社 2005年
- 『土黄與草青:閻連科親情散文』花城出版社 2008年
- 『機巧與魂靈:閻連科讀書筆記』花城出版社 2008年
- 『拆解與疊拼:閻連科文學演講』花城出版社 2008年
- 『閻連科散文』浙江文藝出版社 2009年
- 『我與父輩』印刻文學(台北) 2009年 / 雲南人民出版 2009年
- 『我的現實,我的主義:閻連科文學對話錄﹙與張學昕合著﹚』中國人民大學出版社 2011年
- 『走着瞧』東方出版中心 2011年
- 『發現小說』南開大學出版社 2011年 / 印刻文學﹙台北﹚ 2011年
- 『711號園』江蘇人民出版社 2012年 / 聯經出版社﹙台北﹚ 2012年
- 『一派胡言:閻連科海外演講集』中信出版社 2012年
- 『閻連科散文』雲南人民出版社 2013年
- 『寫作最難是糊塗』中國人民大學出版社 2013年
- 『他的話一路散落』中國人民大學出版社 2013年
- 『一個人的三條河 感念』二魚文化﹙台北﹚/中国人民大学出版社 2012年
- 『走在別人的路上:閻連科語思錄』上海人民出版社 2014年
- 『黑白閻連科——散文四書﹙四卷﹚』人民文學出版社 2014年
- 『沉默與喘息:我所經歷的中國文學』印刻﹙台北﹚ 2014年
- 『从田湖出发去找李白』 明天出版社 2014年
- 『兩代人的十二月﹙與蔣方舟合著﹚』印刻﹙台北﹚ 2015年
- 『独自走過的日子都有余温』湖南文藝出版社 2018年
- 『田湖的孩子』上海文化出版社 2018年
- 『她們』河南文藝出版社 2020年
- 『人生不過四季』江蘇鳳凰文藝出版社 2021年
- 『生命于我,就是笑着等待』江蘇鳳凰文藝出版社 2021年
- 『作家們的作家』譯林出版社 2021年
- 『聊齋的帷幔』聯經出版事業股份有限公司(台湾) 2023年
- 『小説的信仰』聯經出版事業股份有限公司(台湾) 2024年
文学賞
海外
- 2008年 - 『年月日』がフランス国家教育センターが高校生推薦図書に指定 / "Brigitte Guilbaud" の翻訳で国家翻訳賞を受賞。
- 2012年 - 『丁庄夢』が2011年イギリスマン・アジア文学賞最終選考に残る / イギリス『インディペンデント』の“年度翻訳決戦賞”にノミネート;イギリス『フィナンシャルタイムズ』の世界文学“年度良書”と評される / 『四書』:香港紅楼夢賞審査員賞・フランス世界文学賞フェミナ賞最終選考に残る / 閻連科『受活』の英訳本《Lenin's Kisses》が2012年『ニューヨーカー』などアメリカメディアの十大良書に選ばれる。
- 2013年 - イギリスブッカー国際賞の最終選考に残る / マレーシア花踪世界華文文学大賞。
- 2014年 - チェコ共和国フランツ・カフカ賞 / 『炸裂志』:香港紅楼夢賞審査員賞
- 2015年 -『受活』が日本でTwitter文学賞で一位を獲得 / 『堅硬如水』:ベトナム国家翻訳賞を受賞(翻訳:阮氏明商)。
- 2016年 -『四書』:イギリスブッカー国際賞の最終選考に残る / 『フィナンシャルタイムズ』のThe FT/OppenheimerFunds Emerging Voices Awardsの最終選考に残る / 『日熄』:香港紅楼夢賞最優秀賞。
- 2017年 -『炸裂志』:イギリスブッカー国際賞のロングリストに選ばれる。
- 2021年 - 第7回ニューマン華語文学賞受賞。
中国国内
- 1990年 -『瑶溝人的夢』が第四回『小説月報』全国百花中篇賞、第四回『十月』文学賞、1990-1991年度『中篇小説選刊』文学賞を受賞。
- 1992年 -『夏日落』:全国『中篇小説選刊』賞。
- 1994年 -『粑耧山脈』:上海中篇小説大賞。
- 1996年 -『黄金洞』:全国第一回中篇鲁迅文学賞。
- 1997年 -『年月日』:全国第二回中篇鲁迅文学賞。
- 1999年 -『粑耧天歌』:第五回上海中篇小説大賞 / 『朝着東南走』:『人民文学』優秀中篇賞。
- 2001年 -『堅硬如水』:“九頭鳥”長篇優秀小説賞。
- 2004年 -『受活』第二回“21世纪鼎鈞双年文学賞;第三回老舍文学賞。
- 2005年 -『丁庄夢』が台湾の“読書人賞”を受賞、;香港の『亜洲周刊』世界華語文学十大良書の栄誉に輝く。
- 2008年 -『風雅颂』:『南方周末』年度賞。
- 2009年 -『我与父辈』:中国の十以上のメディアからそれぞれ年度優秀作品に選ばれる。
- 2009年 -『我与父辈』(邦題『父を想う』):香港『亜洲周刊』“世界華語文学十大優秀作品”賞。
- 2010年 -『受活』:『南方周末』“中国30年十大良書” / 『我与父辈』:中国第一回“施耐庵文学賞”。
- 2013年 -『炸裂志』:中国の十以上のメディアから年度良書賞に選ばれる / 作者が『中国新聞周刊』から“中国に影響を与える”年度文化人物に選ばれる。
- 2014年 -『炸裂志』が第5回紅楼夢文学賞で決審団奨(審査員賞)を受賞
- 2016年 -『日熄』が第6回紅楼夢文学賞で首奨(一等賞)を受賞
- 2024年 -第十四回全球華文文学星雲賞・貢献賞受賞
日本における紹介記事など
エッセイなど
- 「遠藤さんごきげんようーー遠藤周作への手紙」(泉京鹿・訳)『すばる』2017年3月号
- 「この厄災の経験を「記憶する人」であれ」(泉京鹿:訳)『ニューズウィーク』2020年3月10日号・「緊急特集:新型肺炎 何を恐れるべきか」特集
- 「厄災に向き合って文学の無力、頼りなさとやるせなさ」(谷川毅:訳)『文藝』2020年夏季号・緊急特集 アジアの作家は新型コロナ禍にどう向き合うのか
紹介記事
- 「今、注目の中国人作家、閻連科」(泉京鹿)東方書店広報誌『東方』432号
- 「黒い欲望を描く現代の魯迅」(泉京鹿)『AERA』2017年2月20日号
- 「本よみうり堂 トレンド館」国・言語超える海外文学(沼野充義)『讀賣新聞』2017年11月20日夕刊
- 「現代中国文学 作家2人が来日」閻連科・余華『日本経済新聞』2017年12月19日
対談・講演記録
- 「公開対話会「作家閻連科と語る−−『愉楽』(《受活》)はどう読まれたか」報告」徳間佳信『日本中国当代文学研究会会報』第30号(2016年12月)
- 講演採録「「異中国」の卑小さと文学」(閻連科・和田知久:訳)、「閻連科とは何者か」(王堯・南真理:訳)『中国21vol.45』(2017年2月28日)
- 「時代の混沌を映す物語−−『炸裂志』刊行に寄せて」(閻連科+中島京子:翻訳・泉京鹿/通訳・田原)『早稲田文学』2017初夏号(2017年5月8日)
外部リンク
閻連科
- 中国作家閻連科与日本読者見面(中国の作家閻連科、日本の読者と会う)(中国語簡体字)(2016/11/16 中国僑網)
- 日本のTwitter文学賞に中国の閻連科氏が選ばれる(2015/03/27 人民網日本語版)
- 「改革開放の闇」を無慈悲に露出させる『炸裂志』:中国人作家・閻連科インタビュー(野嶋剛)(2017/01/26)
- 黒い欲望を描く現代の魯迅(2017/02/19『AERA』掲載記事)
- 過酷な現実見つめ、物語紡ぐ 中国人作家2氏に聞く(2017/12/19付 日本経済新聞 夕刊)
- 次の中国人ノーベル賞作家”語る性のタブーと政治(2017/12/14 テレ朝NEWS)
- 【特別寄稿】作家・閻連科:この厄災の経験を「記憶する人」であれ(2020/4/3 ニューズウィーク日本語版)
- 厄災に向き合って――文学の無力、頼りなさとやるせなさ(2020/3/30 Web河出)
『愉楽』関連
『年月日』関連
『丁庄の夢』関連
『人民に奉仕する』関連
『炸裂志』関連
『父を想う』関連
『硬きこと水のごとし』関連
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/11/06 23:41 UTC (変更履歴)
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