河村光庸 : ウィキペディア(Wikipedia)
河村 光庸(かわむら みつのぶ、1949年8月12日 - 2022年6月11日)は、日本の映画プロデューサー。東京出身。話題作、問題作を次々と送り出した姿勢から日本映画界でも屈指の“戦うプロデューサー”として知られていた。
略歴
1970年に慶應義塾大学経済学部中退。1989年にカワムラオフィス設立、代表取締役。1994年に青山出版社設立、代表取締役就任、映画『トレインスポッティング』の原作となった同名ベストセラー小説の邦訳本などを刊行し、成功を収める。1998年、株式会社アーティストハウスを設立。数々のヒット書籍を手掛ける。
一方で、映画出資にも参画し始め、後に映画配給会社アーティストフィルムを設立し会長に就任。ダーレン・アロノフスキー、リン・ラムジーなどの若い映像作家を日本へ紹介。『ブレアウィッチプロジェクト』(99)、『きみに読む物語』(04)、『オペラ座の怪人』(04)、『皇帝ペンギン』(05)などの日本配給に関わる。オキサイド・パン監督作『テッセラクト』(03)などの製作総指揮を担当。
2008年に映画配給会社スターサンズを設立、代表取締役に就任。イ・チュンニョル監督のドキュメンタリー映画『牛の鈴音』(08)を買付・配給し成功する。
ヤン・イクチュン監督作『息もできない』(08)は国内でも数々の映画賞を受賞、ミニシアター作品として異例のロングラン上映となり、キネマ旬報ベスト・テン第1位を獲得。
石岡正人監督作『YOYOCHU SEXと代々木忠の世界』(10)でプロデューサーを、『51(ウーイー)世界で一番小さく生まれたパンダ』(12)で製作を担当している。
エグゼクティブプロデューサーを務めた『かぞくのくに』(11)では藤本賞特別賞を受賞し、また、同作品は第55回ブルーリボン賞(作品賞、主演女優賞、助演男優賞)受賞、第86回キネマ旬報ベスト・テン日本映画ベスト・テン第一位を獲得。
以降も、『エル・ブリの秘密世界一予約のとれないレストラン』(11)、『ビル・カニンガム&ニューヨーク』(12)、『ある過去の行方』(14)、『ニューヨーク眺めのいい部屋売ります』(16)などを買付・配給。寺山修司原作、菅田将暉×ヤン・イクチュンW主演『あゝ、荒野』(16)は報知映画賞(作品賞、主演男優賞)、日刊スポーツ映画大賞(作品賞、主演男優賞)、毎日映画コンクール(日本映画優秀賞、男優主演賞)、ブルーリボン賞(作品賞、助演男優賞)、日本アカデミー賞(最優秀主演男優賞)を受賞するなど、各賞を総なめにした。
その後は、吉田恵輔監督『愛しのアイリーン』(18)や藤井道人監督『新聞記者』をプロデュース。『新聞記者』のプロデュースで2019年度新藤兼人賞プロデューサー賞及び藤本賞を受賞。
2022年6月11日、心不全で死去。
フィルモグラフィ
- プラトニック・セックス(2001年)企画協力
- 水の女(2002年)製作
- YOYOCHU SEXと代々木忠の世界(2011年)プロデューサー
- かぞくのくに(2012年)企画/エグゼクティブプロデューサー
- 二重生活(2016年)エグゼクティブプロデューサー
- あゝ、荒野 前編(2017年)企画/製作
- あゝ、荒野 後編(2017年)企画/製作
- 愛しのアイリーン(2018年)企画/製作/エグゼクティブプロデューサー
- 潤一(2019年)エグゼクティブプロデューサー
- 新聞記者(2019年)原案/企画/製作/エグゼクティブプロデューサー
- 宮本から君へ(2019年)エグゼクティブプロデューサー
- i-新聞記者ドキュメント-(2019年)企画/製作/エグゼクティブプロデューサー
- MOTHER マザー(2020年)プロデューサー
- 泣く子はいねぇが(2020年)エグゼクティブプロデューサー
- ヤクザと家族 The Family(2021年)企画/製作/エグゼクティブプロデューサー
- 茜色に焼かれる(2021年)ゼネラルプロデューサー
- パンケーキを毒見する(2021年)企画/製作/エグゼクティブプロデューサー
- 空白(2021年)企画/製作/エグゼクティブプロデューサー
- 人と仕事(2021年)企画/製作/エグゼクティブプロデューサー
- 夜明けの夫婦(2022年)エグゼクティブプロデューサー
- ヴィレッジ(2023年)企画/製作/エグゼクティブプロデューサー
- 妖怪の孫(2023年)企画
- 月(2023年)企画/エグゼクティブプロデューサー
- ミッシング(2024年)企画
外部リンク
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/08/11 07:26 UTC (変更履歴)
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