谷よしの : ウィキペディア(Wikipedia)
谷 よしの(たに よしの、1917年1月17日 - )は、日本の女優。数多くの映画で脇役を演じる。登場シーンは短いながら庶民的な味わいのある演技で作品に彩りを添えた。愛知県名古屋市生まれ阿部清司、入谷文庫谷よしのインタビュー。
経歴・人物
1936年7月、松竹入社。デビュー作は、島津保次郎監督の『浅草の灯』(1937年)。島津のもとで助監督を務めていた木下恵介から声がかかり、通行人の役で出演した。以降、『カルメン故郷に帰る』など、木下作品にほぼ毎回出演した。終戦直後に公開された『そよかぜ』にも出演している。
小津安二郎監督作品や『男はつらいよ』シリーズを始めとする山田洋次監督作品など、木下作品以外にも多くの映画に登場した。(ノンクレジット作品多数)『男はつらいよ』シリーズでは36作品に出演し、うち28作品にクレジットされている。与えられた役もいろいろだが、主に柴又「とらや」のご近所さん、旅館の仲居、「とらや」の客、花売りなどが多い。映画ほど多くはないがテレビドラマへの出演もある。
最後の出演作は、2000年公開の『ホーム・スイートホーム』(入院患者の役)だった。2006年2月4日に89歳で死去。
出演
映画
- 浅草の灯(1937年、松竹。島津保次郎監督作品)- 通行人
- 信子(1940年、松竹。清水宏監督作品)- 女子学生
- 冬木博士の家族(1940年、松竹。大庭秀雄監督作品)- 料亭の女中
- 愛機南へ飛ぶ(1943年、松竹。佐々木康監督作品)- 岩崎
- そよかぜ(1945年、松竹。佐々木康監督作品)- りんご農家のひと
- 大曾根家の朝(1946年、松竹。木下恵介作品)- 近所のひと
- 長屋紳士録 (1947年、松竹。小津安二郎監督作品)- おかみさん
- 象を喰った連中(1947年、松竹。吉村公三郎監督作品)- 汽車の乗客
- 安城家の舞踏会 (1947年、松竹。吉村公三郎監督作品)- 安城家の女中
- 結婚(1947年、松竹。木下恵介作品)- デモ隊を傍観するひと
- 不死鳥(1947年、松竹。木下恵介作品)- 八坂家の女中
- 駒鳥夫人(1948年、松竹。野村浩将監督作品)- 女中
- 風の中の牝雞(1948年、松竹。小津安二郎監督作品)- 看護婦A
- 醜聞(1950年、松竹。黒澤明監督作品)- アムール社の事務員
- てんやわんや(1950年、松竹。渋谷実監督作品)- ダンス教室を覗く見物人
- 東京キッド(1950年、松竹。斎藤寅次郎作品)- 街頭の聴衆/ホームレス
- 麥秋(1951年、松竹。小津安二郎監督作品)- 『多喜川』の女中
- 善魔(1951年、松竹。木下恵介監督作品)- 小料理屋の女中
- カルメン故郷に帰る(1951年、松竹。木下恵介監督作品)- 村人
- 少年期(1951年、松竹。木下恵介監督作品)- 防空壕へ避難したひと
- 海の花火(1951年、松竹。木下恵介監督作品)- 近所のひと
- 陽気な渡り鳥(1952年、松竹。佐々木康監督作品)- 観客
- とんかつ大将(1952年、松竹。川島雄三監督作品)- 貧乏長屋の住人
- 現代人(1952年、松竹。渋谷実監督作品)- 料亭の女中
- こんな私じゃなかったに(1952年、松竹。川島雄三監督作品)- 横山家の女中/芸者
- 明日は月給日(1952年、松竹。川島雄三監督作品)- 銀行の客/寄席のお茶子
- 日本の悲劇(1953年、松竹。木下恵介監督作品)- 『伊豆花』の女中
- 夏子の冒険(1953年、松竹。中村登監督作品)- 旅館の女中
- 新東京行進曲(1953年、松竹。川島雄三監督作品)- 賭博場の客
- 家族会議 東京篇 大阪篇(1954年、松竹。中村登監督作品)- 葬儀参列者
- この広い空のどこかに(1954年、松竹。小林正樹監督作品)
- 真実一路(1954年、松竹。川島雄三監督作品)- 千人針の婦人
- 遠い雲(1955年、松竹。木下恵介監督作品)- 寺田家の女中
- 野菊の如き君なりき(1955年、松竹。木下恵介監督作品)- お浜
- あこがれ(1955年、松竹。中村登監督作品)- 『長寿庵』の客
- 夕やけ雲(1956年、松竹。木下恵介監督作品)- 通りすがりのひと
- 太陽とバラ(1956年、松竹。木下恵介監督作品)- タバコ屋のおばさん
- 喜びも悲しみも幾歳月(1957年、松竹。木下恵介監督作品)- 灯台守の家族
- 体の中を風が吹く(1957年、松竹。川頭義郎監督作品)- 岡本家の別荘の女中
- 集金旅行(1957年、松竹。中村登監督作品)- 『望岳荘』の住人
- 抱かれた花嫁(1957年、松竹。番匠義彰監督作品)-『鮨忠』の女中
- 花嫁のおのろけ(1958年、松竹。野村芳太郎監督作品)- 結婚式の参列者
- この天の虹(1958年、松竹。木下恵介監督作品)- 居酒屋の女中
- 若き潮(1958年、松竹。堀内直真監督作品)- 正彦の妻
- 明日をつくる少女(1958年、松竹。井上和男監督作品)- 女工4
- 恋愛裁判(1959年、松竹。尾崎甫監督作品)- 佐藤家の女中
- 幸福の合唱(1959年、松竹。池田博監督作品)- 強の母
- 三羽烏三代記(1959年、松竹。番匠義彰監督作品)- 花嫁の着付け師
- 黄色いさくらんぼ(1960年、松竹。野村芳太郎監督作品)
- いろはにほへと(1960年、松竹。中村登監督作品)- 投資経済会の出資者
- 波の塔(1960年、松竹。中村登監督作品)- 旅館の客
- もず(1961年、松竹。渋谷実監督作品)- 宴会場の踊り手
- ゼロの焦点(1961年、松竹。野村芳太郎監督作品)
- 秋津温泉(1962年、松竹。吉田喜重監督作品)-『秋津荘』の女中
- 続愛染かつら(1962年、松竹。中村登監督作品)- 診療所の看護婦
- 風の視線(1963年、松竹。川頭義郎監督作品)- 料亭の女中
- 二人だけの砦(1963年、松竹。渋谷実監督作品)- 団地の住人
- 死闘の伝説(1963年、松竹。木下恵介監督作品)- 農民
- 拝啓天皇陛下様(1963年、松竹。野村芳太郎監督作品) - 近所のひと
- 見上げてごらん夜の星を(1963年、松竹。番匠義彰監督作品) - 農家のおばさん
- 香華(1964年、松竹。木下恵介監督作品)- 『叶楼』の遊女
- 続拝啓天皇陛下様(1964年、松竹。野村芳太郎監督作品) - 復員を祝う会の客
- 馬鹿まるだし(1964年、松竹。山田洋次監督作品)- 旅一座の座員
- いいかげん馬鹿(1964年、松竹。山田洋次監督作品)- 村人
- にっぽんぱらだいす(1964年、松竹。前田陽一監督作品)- 『ハレム』のおばさん
- 馬鹿が戦車でやって来る(1964年、松竹。山田洋次監督作品)- 村人
- 五瓣の椿(1964年、松竹。野村芳太郎監督作品) - 料理茶屋の女中
- 霧の旗(1965年、松竹。山田洋次監督作品)- 裁判の傍聴人
- ちんころ海女っこ(1965年、松竹。前田陽一監督作品)- 水汲み女
- 運が良けりゃ(1966年、松竹。山田洋次監督作品)- 女郎
- 横堀川(1966年、松竹。大庭秀雄監督作品)- 吉三郎の親戚/寄席で踊る客
- 九ちゃんのでっかい夢(1967年、松竹。山田洋次監督作品)- 小劇場のひと
- 女の一生(1967年、松竹。野村芳太郎監督作品)- 弥生家の使用人
- 喜劇 一発勝負(1967年、松竹。山田洋次監督作品)-『二宮荘』の女中
- 吹けば飛ぶよな男だが(1968年、松竹。山田洋次監督作品)-『エデン』の女中
- コント55号と水前寺清子の神様の恋人(1968年、松竹。野村芳太郎監督作品)
- 虹の中のレモン(1968年、松竹。斎藤耕一監督作品)- 祭の見物人
- わが闘争(1968年、松竹。中村登監督作品)- 商店のおかみさん
- 白昼堂々(1968年、松竹。野村芳太郎監督作品)- ワタ勝の仲間
- 喜劇 大安旅行(1968年、松竹。瀬川昌治監督作品)- 勝浦駅の降車客/結婚式の参列者/列車の乗客
- 落葉とくちづけ(1969年、松竹。斎藤耕一監督作品)- 掃除婦
- でっかいでっかい野郎(1969年、松竹。野村芳太郎監督作品)- 社長宅の女中
- 喜劇一発大必勝(1969年、松竹。山田洋次監督作品)- 荒木つる代と同じ長屋の住人
- 男はつらいよシリーズ
- 男はつらいよ(1969年、松竹。山田洋次監督作品)- 近所のおばさん
- 続・男はつらいよ(1969年、松竹。山田洋次監督作品)- 患者の付き添い・葬式の弔問客
- 新・男はつらいよ(1970年、松竹。小林俊一監督作品)- 近所のおばさん
- 男はつらいよ 望郷篇(1970年、松竹。山田洋次監督作品)- 宿の女中
- 男はつらいよ 純情篇(1971年、松竹。山田洋次監督作品)- 旅館「丸重」の女中
- 男はつらいよ 寅次郎恋歌(1971年、松竹。山田洋次監督作品)- 菊の花売り
- 男はつらいよ 柴又慕情(1972年、松竹。山田洋次監督作品)- 金沢の宿の女中
- 男はつらいよ 寅次郎夢枕(1972年、松竹。山田洋次監督作品)- 信州の宿の女中
- 男はつらいよ 私の寅さん(1973年、松竹。山田洋次監督作品)- 柴又の民衆
- 男はつらいよ 寅次郎恋やつれ(1974年、松竹。山田洋次監督作品)- うどん屋のおばさん
- 男はつらいよ 寅次郎相合い傘(1975年、松竹。山田洋次監督作品)- 函館の宿の女中
- 男はつらいよ 葛飾立志篇 (1975年、松竹。山田洋次監督作品)- 近所のおばさん
- 男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け(1976年、松竹。山田洋次監督作品)- とらやの客
- 男はつらいよ 寅次郎純情詩集 (1976年、松竹。山田洋次監督作品)- 別府温泉の女中
- 男はつらいよ 寅次郎と殿様 (1977年、松竹。山田洋次監督作品)- 旅館の女中
- 男はつらいよ 寅次郎わが道をゆく(1978年、松竹。山田洋次監督作品)- 近所のおばさん・とらやの客
- 男はつらいよ 噂の寅次郎(1978年、松竹。山田洋次監督作品)- 近所のおばさん
- 男はつらいよ 翔んでる寅次郎(1979年、松竹。山田洋次監督作品)- 宿の女中
- 男はつらいよ 寅次郎春の夢(1979年、松竹。山田洋次監督作品)- チャイナ服の女給・和歌山の旅館の女中
- 男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花(1980年、松竹。山田洋次監督作品)- ヨモギ売り・近所の人
- 男はつらいよ 寅次郎かもめ歌(1980年、松竹。山田洋次監督作品)- 夢の中の村人/ホテルの女中/通行人
- 男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎(1981年、松竹。山田洋次監督作品)- とらやの客
- 男はつらいよ 寅次郎紙風船(1981年、松竹。山田洋次監督作品)- 旅館の女中
- 男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋(1982年、松竹。山田洋次監督作品)- 食堂のおばさん
- 男はつらいよ 花も嵐も寅次郎(1982年、松竹。山田洋次監督作品)- 花売り
- 男はつらいよ 旅と女と寅次郎(1983年、松竹。山田洋次監督作品)- 夢の中の群衆・食堂のおばちゃん
- 男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎(1983年、松竹。山田洋次監督作品)- 親戚の人
- 男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎(1984年、松竹。山田洋次監督作品)- 釧路の旅館の女中
- 男はつらいよ 寅次郎真実一路(1984年、松竹。山田洋次監督作品)- 鹿児島の旅館の女中
- 男はつらいよ 寅次郎恋愛塾(1985年、松竹。山田洋次監督作品)- 行商のおばさん
- 男はつらいよ 柴又より愛をこめて(1985年、松竹。山田洋次監督作品)- 伊豆下田の旅館の女中
- 男はつらいよ 寅次郎物語(1987年、松竹。山田洋次監督作品)- 旅館の女中
- 男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日(1988年、松竹。山田洋次監督作品)- 小諸の近所の人
- 男はつらいよ 寅次郎心の旅路(1989年、松竹。山田洋次監督作品)- 宿の女中
- 男はつらいよ 寅次郎の縁談(1993年、松竹。山田洋次監督作品)- 島の村人
- 男はつらいよ 拝啓車寅次郎様(1994年、松竹。山田洋次監督作品)- 民宿のおばあさん
- 喜劇 男は愛嬌(1970年、松竹。森崎東監督作品)- 近所のひと
- 家族(1970年、松竹。山田洋次監督作品)- 旅館の仲居
- 影の車(1970年、松竹。野村芳太郎監督作品)- 買い物客/保険の外交員
- 誰かさんと誰かさんが全員集合!! (1970年、松竹。渡邉祐介監督作品)- 婚約発表会の客
- 内海の輪(1971年、松竹。斉藤耕一監督作品)-『蓬莱峡』の仲居
- 初笑い びっくり武士道(1971年、松竹。野村芳太郎監督作品)- 仇討の見物人
- 喜劇 女は男のふるさとヨ(1971年、松竹。森崎東監督作品)- 『石巻劇場』のおばさん
- コント55号とミーコの絶体絶命(1971年、松竹。野村芳太郎監督作品)- 焼き鳥屋のおかみさん
- 喜劇 誘惑旅行(1972年、松竹。瀬川昌治監督作品)- フィリッピン人の乗船客
- 故郷(1972年、松竹。山田洋次監督作品)- 船大工の棟梁の家のひと
- あゝ声なき友(1972年、松竹。今井正監督作品)- 旅一座の座員
- 喜劇 怪談旅行(1972年、松竹。瀬川昌治監督作品)- 信平をからかうおばさん
- 旅の重さ(1972年、松竹。斎藤耕一監督作品)-旅館の仲居
- 喜劇 女売り出します(1972年、松竹。森崎東監督作品)- おばさん
- 同棲時代 -今日子と次郎-(1973年、松竹。山根成之監督作品)- 上條の母
- 必殺シリーズ
- 必殺仕掛人(1973年、松竹。渡邉祐介監督作品)- 長屋のおかみさん
- 必殺仕掛人 梅安蟻地獄(1973年、松竹。渡邉祐介監督作品)- 長屋のおかみさん
- しなの川(1973年、松竹。野村芳太郎監督作品)- 高野家の使用人
- 友情(1975年、松竹。宮崎晃監督作品)- 真鍋島の島民
- 幸福の黄色いハンカチ(1976年、松竹。山田洋次監督作品)- 旅館の仲居
- 俺たちの交響楽(1979年、松竹。朝間義隆監督作品)- 観客
- 震える舌 (1980年、松竹。野村芳太郎監督作品)- 給食の配膳係
- 真夜中の招待状(1981年、松竹。野村芳太郎監督作品)- 通院患者
- 息子(1991年、松竹、山田洋次監督)- 主婦(都電荒川線飛鳥山駅のホームで浅野哲夫(永瀬正敏)とぶつかり、茄子を7、8個落とす。)
テレビドラマ
- 日高川(1967年、TBS)
- 木下恵介アワー(TBS)
- 「あしたからの恋」(1970年)
- 「思い橋」(1973年)
- ファミリー劇場(日本テレビ)
- 「坊っちゃん」(1970年)
- おれは男だ! 第20話、38話(1971年 - 1972年、日本テレビ) - 漁師(20話)・看護師(38話)
- 青春をつっ走れ(1972年、フジテレビ)
- おこれ!男だ 第4話(1973年) - 江藤の脇に座る女性客
- 特捜記者 犯罪を追え(1974年、関西テレビ)
- 花王 愛の劇場「別れて生きる時も」(1978年、TBS)
- 土曜ワイド劇場(テレビ朝日)
- 「死刑台の美女」(1978年4月8日)
- 「帝銀事件 大量殺人 獄中32年の死刑囚」(1980年1月26日)
- 傑作推理劇場「砂の密室」(1981年8月19日、テレビ朝日)
関連書籍
- 阿部清司『谷よしの映画人生 天の巻』堀内家内工業、2005年
- インタビュー本。フリー編集者の堀内恭が個人で刊行している入谷コピー文庫の第一作。
- 阿部清司『追悼 女優・谷よしの』堀内家内工業、2006年
- 上記の続編。追悼本。
- 山田太一ほか著『人は大切なことも忘れてしまうから―松竹大船撮影所物語』マガジンハウス、1995年 ISBN 4838702698
- 谷へのインタビューを収録。
外部リンク
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