アニエス・バルダ : ウィキペディア(Wikipedia)
アニエス・ヴァルダ(Agnès Varda, 1928年5月30日 - 2019年3月29日)は、ベルギーのブリュッセル出身の映画監督である。「ヌーヴェルヴァーグの祖母」と呼ばれることもある英語版Wikipedia [[:en:Agnès Varda]] および独語版Wikipedia [[:de:Agnès Varda]] 参照。仏語版にはない。。
来歴・人物
ベルギー生まれ。父親はギリシャ人、母親はフランス人。第二次世界大戦を逃れてフランスに渡る。映画監督になる前は写真家として活躍していた。
1965年の『幸福』でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞している。1985年の『冬の旅』でヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を受賞している。
映画監督のジャック・ドゥミと1962年に結婚し、彼が死去するまでともに「カイエ派」に対して「左岸派」と呼ばれた中条省平『フランス映画史の誘惑』(集英社新書 2003年pp.195-199)。。息子のマチュー・ドゥミは俳優、娘のロザリーは映画衣装デザイナーになった金子遊 若林良 吉田悠樹彦編,『アニエス・ヴァルダ 愛と記憶のシネアスト』,neoneo叢書, 2021。
2017年にはドノスティア賞を受賞した。2017年の第90回アカデミー賞で、長年の功績を称え名誉賞が授与された。
2019年3月29日、乳癌のため死去仏監督アニエス・ヴァルダが90歳で死去、“ヌーベルヴァーグの祖母”の異名 映画ナタリー、2019年3月29日。(フランス現地時間)
ギャラリー
AgnesVarda-CMarchand-Venise-1962.png|コリンヌ・マルシャンとともに(1962年) Deneuve-Demy-Varda-Venise-1966.jpg|左からカトリーヌ・ドヌーヴ、ジャック・ドゥミ、ヴァルダ(1966年) Kinema-Junpo-1966-April-early-2.jpg|1965年に監督した『幸福』 "Nini sur son arbre" d'Agnès Varda (Fondation Cartier, Paris) (48284312082).jpg|カルティエ現代美術財団美術館の庭にあるアニエス・ヴァルダの飼い猫「木の上のニニ」の像、隣はインスタレーション作品「猫の家」
監督作品
- ラ・ポワント・クールト La Pointe Courte (1955年) - 長編デビュー作、編集アラン・レネ
- おお季節よ、おお城よ(1957年)
- コートダジュールの方へ Du côté de la côte (1958年) - 短編
- 『オペラ・ムッフ』 原題:L'Opera-Mouffe 1958年/フランス/モノクロ/スタンダードサイズ/フランス語
- マクドナルド橋のフィアンセ Les fiancés du pont Mac Donald ou Méfiez-vous des lunettes noires (1961年)
- 5時から7時までのクレオ Cléo de 5 à 7 (1961年)
- 幸福 Le Bonheur (1965年)
- 創造物 Les créatures (1966年)
- ベトナムから遠く離れて Loin du Vietnam (1967年) - 共作
- ブラックパンサーズ [[:Black Panthers]] (1968年) - 短編
- イランでの愛の悦び Plaisir d'amour en Iran (1976年)
- 歌う女・歌わない女 L'Une chante, l'autre pas (1977年)
- 壁画・壁画たち Murs, murs (1981年)
- ドキュモントゥール [[:Documenteur]] (1981年)
- 冬の旅 Sans toit ni loi (1985年)
- カンフー・マスター! Kung-Fu master (1987年)
- アニエスv.によるジェーンb. Jane B. par Agnès V. (1987年)
- ジャック・ドゥミの少年期 ''Jacquot de Nantes (1991年)
- Les demoiselles ont eu 25 ans (1993年)
- 百一夜 Les Cent et une nuits de Simon Cinéma (1995年)
- 落穂拾い Les Glaneurs et la glaneuse (2000年)
- 落穂拾い・二年後 Les Glaneurs et la glaneuse... deux ans après (2002年)
- Quelques veuves de Noirmoutier (2005年)
- アニエスの浜辺 Les Plages d'Agnès (2008年)
- 顔たち、ところどころ Visages, Villages (2017年)
※「★」の有るものは遺作『アニエスによるヴァルダ』(原題:VARDA PAR AGNÈS)で取り上げられた映画。
長編
| ※ | 年 | 邦題 | 原題 | |
|---|---|---|---|---|
| ★ | 1954 | 『ラ・ポワント・クールト』 | LA POINTE COURTE | |
| ★ | 1961 | 『5時から7時までのクレオ』 | CLÉO DE 5 à 7 | |
| ★ | 1964 | 『幸福』 | LE BONHEUR | |
| 1966 | 「創造物たち」 | LES CRÉATURES | ||
| 1967 | 「ベトナムから遠く離れて」 (オムニバスドキュメンタリー) | LOIN DU VIETNAM | ||
| ★ | 1969 | 「ライオンズ・ラブ」 | LIONS LOVE (… AND LIES) | |
| 1970 | 「ナウシカ」 | NAUSICAA | ||
| ★ | 1975 | 『ダゲール街の人々』(ドキュメンタリー) | DAGUERRÉOTYPES | |
| ★ | 1976 | 『歌う女・歌わない女』 | L'UNE CHANTE, L’AUTRE PAS | |
| ★ | 1980 | 「壁画、壁画たち」 (ドキュメンタリー) | MUR, MURS | |
| ★ | 1981 | 「ドキュマントゥール」 | DOCUMENTEUR | |
| ★ | 1985 | 『冬の旅』 | SANS TOIT NI LOI | |
| ★ | 1987 | 『アニエスv.によるジェーンb.』 | JANE B. PAR AGNÈS V. | |
| ★ | 1987 | 『カンフー・マスター!』 | KUNG-FU-MASTER ! | |
| ★ | 1990 | 『ジャック・ドゥミの少年期』 | JACQUOT DE NANTES | |
| 1992 | 「25年目のロシュフォールの恋人たち」 (ドキュメンタリー) | LES DEMOISELLES ONT EU 25 ANS | ||
| 1993 | 「ジャック・ドゥミの世界」 (ドキュメンタリー) | L’UNIVERS DE JACQUES DEMY | ||
| ★ | 1994 | 『百一夜』 | LES CENT ET UNE NUITS | |
| ★ | 2000 | 『落穂拾い』 (ドキュメンタリー) | LES GLANEURS ET LA GLANEUSE | |
| 2002 | 『落穂拾い・二年後』 (ドキュメンタリー) | LES GLANEURS ET LA GLANEUSE... DEUX ANS APRÈS | ||
| ★ | 2006 | 「ノワールムーティエの夫を失った妻たち」 | (ドキュメンタリー) (インスタレーション作品を編集したもの) | |
| ★ | 2008 | 『アニエスの浜辺』 | LES PLAGES D'AGNÈS | |
| ★ | 2010 | 「アニエス・ヴァルダのあちこち」 (ドキュメンタリー) | AGNÈS DE CI DE LÀ VARDA | |
| ★ | 2017 | 『顔たち、ところどころ』 (フランス人アーティストJRとの共同監督作) | VISAGES VILLAGES | |
| 2019 | 『アニエスによるヴァルダ』 | VARDA PAR AGNÈS |
短編
| 1957 | 「おお季節よ、おお城よ」Ô SAISONS Ô CHÂTEAUX | |
| ★ | 1958 | 「オペラ・ムッフ」L'OPÉRA-MOUFFE |
| 1958 | 「コート・ダジュールの方へ」DU CÔTÉ DE LA CÔTE | |
| 1961 | 「マクドナルド橋の恋人たち」LES FIANCÉS DU PONT MACDONALD | |
| 1963 | 「キューバのみなさん、こんにちは」SALUT LES CUBAINS | |
| 1965 | 「バラのエルザ」ELSA LA ROSE | |
| ★ | 1967 | 「ヤンコおじさん」UNCLE YANCO |
| ★ | 1968 | 「ブラック・パンサー」BLACK PANTHERS |
| 1975 | 「女性たちの返事」RÉPONSE DE FEMMES: NOTRE CORPS, NOTRE SEXE | |
| 1976 | 「イランでの愛の悦び」PLAISIR D’AMOUR EN IRAN | |
| 1982 | 「ユリシーズ」ULYSSE | |
| 1982 | 「一枚の写真のための一分間」UNE MINUTE POUR UNE IMAGE | |
| 1984 | 「女性柱」LES DITES CARIATIDES | |
| 1984 | 「7DK・バス付き」7 P., CUIS., S. DE B. | |
| 1986 | 「君の階段は美しい」T'AS DE BEAUX ESCALIERS, TU SAIS | |
| 2003 | 「ライオンの消滅」LE LION VOLATIL | |
| 2004 | 「イデッサとクマたち」YDESSA, LES OURS ET ETC. | |
| 2015 | 「3つのボタン」LES 3 BOUTONS |
受賞歴
| 賞 | 年 | 部門 | 作品 | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| フランス映画批評家協会賞 | 1962年 | 作品賞 | 『5時から7時までのクレオ』 | |
| 1985年 | 作品賞 | 『冬の旅』 | ||
| 2000年 | 作品賞 | 『落穂拾い』 | ||
| 2008年 | 作品賞 | 『アニエスの浜辺』 | ||
| ルイ・デリュック賞 | 1964年 | - | 『幸福』 | |
| ベルリン国際映画祭 | 1965年 | 審査員グランプリ | 『幸福』 | |
| インターフィルム賞 | ||||
| 2019年 | ベルリナーレ・カメラ | - | ||
| セザール賞 | 1977年 | 短編ドキュメンタリー映画賞 | 『Réponses de femmes』 | |
| 1983年 | 短編ドキュメンタリー映画賞 | 『Ulysse』 | ||
| 1986年 | 作品賞 | 『冬の旅』 | ||
| 監督賞 | ||||
| 2001年 | 名誉賞 | - | ||
| 2009年 | ドキュメンタリー映画賞 | 『アニエスの浜辺』 | ||
| 2018年 | ドキュメンタリー映画賞 | 『顔たち、ところどころ』 | ||
| ヴェネツィア国際映画祭 | 1985年 | 金獅子賞 | 『冬の旅』 | |
| 国際映画批評家連盟賞 | ||||
| 2008年 | 監督・ばんざい!賞 | 『アニエスの浜辺』 | ||
| ニューヨーク映画批評家協会賞 | 1986年 | 外国語映画賞 | 『冬の旅』 | |
| 2001年 | ノンフィクション映画賞 | 『落穂拾い』 | ||
| 2017年 | ノンフィクション映画賞 | 『顔たち、ところどころ』 | ||
| ロサンゼルス映画批評家協会賞 | 1986年 | 外国語映画賞 | 『冬の旅』 | |
| 2001年 | ドキュメンタリー映画賞 | 『落穂拾い』 | ||
| 2009年 | ドキュメンタリー映画賞 | 『アニエスの浜辺』 | ||
| 2017年 | ドキュメンタリー映画賞 | 『顔たち、ところどころ』 | ||
| ヨーロッパ映画賞 | 2000年 | ドキュメンタリー賞 | 『落穂拾い』 | |
| 2009年 | ドキュメンタリー賞 | 『アニエスの浜辺』 | ||
| 2014年 | 生涯貢献賞 | - | ||
| 全米映画批評家協会賞 | 2001年 | ノンフィクション作品賞 | 『落穂拾い』 | |
| 2009年 | ノンフィクション作品賞 | 『アニエスの浜辺』 | ||
| 2017年 | 外国語映画賞 | 『顔たち、ところどころ』 | ||
| ノンフィクション作品賞 | ||||
| ボストン映画批評家協会賞 | 2001年 | ドキュメンタリー映画賞 | 『落穂拾い』 | |
| ニューヨーク映画批評家オンライン賞 | 2001年 | ドキュメンタリー映画賞 | 『落穂拾い』 | |
| ルネ・クレール賞 | 2002年 | - | - | |
| 全米監督協会賞 | 2009年 | ドキュメンタリー映画監督賞 | 『アニエスの浜辺』 | |
| カンヌ国際映画祭 | 2010年 | 金の馬車賞 | - | |
| 2015年 | パルム・ドール・ドヌール | - | ||
| 2017年 | ルイユ・ドール | 『顔たち、ところどころ』 | ||
| 国際フィルム・アーカイヴ連盟 | 2013年 | FIAF賞 | - | |
| ロカルノ国際映画祭 | 2014年 | 名誉豹賞 | - | |
| アカデミー賞 | 2017年 | 長編ドキュメンタリー映画賞 | 『顔たち、ところどころ』 | |
| 名誉賞 | - | |||
| サン・セバスティアン国際映画祭 | 2017年 | ドノスティア賞 | - | |
| トロント国際映画祭 | 2017年 | 観客賞 (ドキュメンタリー部門) | 『顔たち、ところどころ』 | |
| バンクーバー国際映画祭 | 2017年 | 観客賞 (ドキュメンタリー部門) | 『顔たち、ところどころ』 | |
| オンライン映画批評家協会賞 | 2017年 | ドキュメンタリー映画賞 | 『顔たち、ところどころ』 | |
| サンフランシスコ映画批評家協会賞 | 2017年 | ドキュメンタリー映画賞 | 『顔たち、ところどころ』 | |
| インディペンデント・スピリット賞 | 2017年 | ドキュメンタリー映画賞 | 『顔たち、ところどころ』 | |
| リュミエール賞 | 2018年 | ドキュメンタリー映画賞 | 『顔たち、ところどころ』 |
主な日本語文献
- 『アニエス・ヴァルダによるジェラール・フィリップ』キネマ旬報社、1998年
- 『アニエス・ヴァルダ 愛と記憶のシネアスト』金子遊・若林良・吉田悠樹彦編、neoneo編集室「ドキュメンタリー叢書」、2021
年
外部リンク
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