アイラ・レビン : ウィキペディア(Wikipedia)
アイラ・レヴィン(Ira Levin、1929年8月27日 - 2007年11月12日)は、アメリカ合衆国出身の小説家、劇作家、作詞家である。小説では、『死の接吻』(1953年)、『ローズマリーの赤ちゃん』(1967年)、『ステップフォードの妻たち』(1972年)、そして『ブラジルから来た少年』(1976年)で、劇作品では『デストラップ・死の罠』(1978年)で知られていて、作品の多くが映像化されている。
経歴
アイラ・レヴィンはニューヨークのマンハッタンで生まれて、マンハッタンとブロンクスで育った 。父のチャールズは玩具の輸入業者で、先祖はロシアからの移民であった。レヴィンはニューヨークのホーレス・マン・スクールを修了して、アイオワ州のデ・モインにあるドレイク大学に1946年から1948年まで通っていた。その後ニューヨーク大学に移って、哲学と英語学を専攻して1950年に大学を卒業した。また1953年から1955年まで、アメリカ陸軍の信号隊に入隊していた。
脚本
レヴィンは大学を卒業した後に、訓練用映画や放送番組のための脚本を書いた。最初の作品は1951年の"Lights Out"での『Leda's Portrait』だった。
最初に発表された戯曲は、『No Time for Sergeants』で、1954年のマック・ハイマンの小説が原作だった。アメリカ空軍においてのヒルビリー("Hillbilly")を描いたコメディーで、このステージでアンディー・グリフィスはキャリアを開始した。その後この作品は、1958年にニック・アダムスが出演して、『軍曹さんは暇がない』として映画化された。また1964年からTVシリーズとして放映されていた『マイペース二等兵』があるが、このシリーズはサミー・ジャクソンが出演していて、一般的には『軍曹さんは暇がない』が前身と思われているHugh Ruppersburg, The New Georgia Encyclopedia Companion to Georgia Literature, page 220 (University of Georgia Press, 2007). 。
レヴィンの一番有名な戯曲は1978年の『Deathtrap』で、ブロードェイで上演されたコメディー・スリラーの最長記録を持っている。そしてこの作品で、1980年に2度目のエドガー賞を戯曲部門で受賞した。またこの戯曲は、クリストファー・リーブとマイケル・ケインの出演で映画化されて『デストラップ・死の罠』として1978年に公開された。
小説
レヴィンは1954年に最初の小説『死の接吻』を発表して、エドガー賞の処女長編賞を受賞した。1956年に『赤い崖』として、1991年に『死の接吻』として映画化された。
最も知られている作品が、1967年の『ローズマリーの赤ちゃん』で、マンハッタンのUWSにおける、現代のサタニズムと神秘学のホラー・ストーリーであった。1968年にミア・ファローとジョン・カサヴェテスの出演で映画化されて、この映画に出演したルース・ゴードンはアカデミー賞の助演女優賞を受賞した。この映画を監督したローマン・ポランスキーはアカデミー賞の脚色賞にノミネートされた。
レヴィンは2002年に語っている。「『ローズマリーの赤ちゃん』が『エクソシスト』や『オーメン』の先導となったことに罪悪感を感じる。どの世代も影響されてサタンをより信じるようになってしまった。私はサタンを信じていない。これらの本がなかったら、我々の原理主義は強くなっていないだろう。もちろん、印税の小切手は送り返さなかったがね。」
映画化されたレヴィンの小説は、他にも、1978年公開の『ブラジルから来た少年』と、1975年と2004年に公開された『ステップフォードの妻たち』がある。
1990年代にレヴィンは、ベストセラーになった小説2作を出版した。1991年の『硝子の塔』と1997年の『ローズマリーの息子』であった。『硝子の塔』は1993年にフィリップ・ノイス監督で、シャロン・ストーン、ウィリアム・ボールドウィン、トム・ベレンジャーの出演で映画化された。『ローズマリーの息子』は1967年の『ローズマリーの赤ちゃん』のその後を描いた小説であった。
スティーヴン・キングはレヴィンをサスペンス小説の「スイスの時計職人」だと評している。「彼が書いた全ての小説はプロットの驚異である。彼はサスペンス小説のスイスの時計職人であり、他の作家をドラッグストアの5ドルの時計のように思わせてしまう。」 また、チャック・ポーラニックは『[[:en:Stranger than Fiction: True Stories|Stranger than Fiction: True Stories]]』で、「レヴィンの文章はスマートで、カルチャーで普通用いられる、使い古された言い回しの最新版となっている。」と述べている。
2003年に、レヴィンはMWA賞の巨匠賞を受賞した。
私生活
レヴィンは結婚歴と離婚歴がそれぞれ2度ある。最初がガブリエル・アーロンソンで次がフィリス・シュガーマンであった。最初の結婚で、アダム、ジャレッド、そしてニコラスの3人の息子が誕生し、さらに4人の孫がいる。
その死
2007年11月12日に、マンハッタンの自宅で心臓発作で亡くなった。
作品
小説
- 死の接吻 (A Kiss Before Dying, 1953年)
- ローズマリーの赤ちゃん (Rosemary's Baby, 1967年)
- この完全なる時代 (This Perfect Day, 1970年)
- ステップフォードの妻たち (The Stepford Wives, 1972年)
- ブラジルから来た少年 (The Boys from Brazil, 1976年)
- 硝子の塔 (Sliver, 1991年)
- ローズマリーの息子 (Son of Rosemary, 1997年)
戯曲
- No Time For Sergeants (1956年)
- Interlock (1958年)
- Critic's Choice (1960年)
- General Seeger (1962年)
- Dr. Cook's Garden (1968年)
- Veronica's Room (1974年)
- Deathtrap (1978年) - トニー賞ノミネーション作品
- Break a Leg: A Comedy in Two Acts (1981年)
- Cantorial (1982年)
ミュージカル
- Drat! The Cat! (1965年)
映像化作品
- 赤い崖 (A Kiss Before Dying) (1956)
- 軍曹さんは暇がない (No Time for Sergeants) (1958)
- Critic's Choice (1963)
- ローズマリーの赤ちゃん (Rosemary's Baby) (1968)
- ステップフォード・ワイフ (The Stepford Wives) (1975)
- ブラジルから来た少年 (The Boys from Brazil) (1978)
- デストラップ・死の罠 (Deathtrap) (1982)
- 死の接吻 (A Kiss Before Dying) (1991)
- 硝子の塔 (Sliver) (1993)
- 殺しのターゲット (Footsteps) (2003)
- ステップフォード・ワイフ (The Stepford Wives) (2004)
外部リンク
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/07/03 10:50 UTC (変更履歴)
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike and/or GNU Free Documentation License.