第88回アカデミー賞 全部門ノミネート
主演女優賞
ケイト・ブランシェット 「キャロル」
オーストラリア国立演劇学校在学中から演劇で高評価を得て、1994年に「Police Rescue(原題)」で映画デビューし、「オスカーとルシンダ」(97)でAFI(オーストラリア・フィルム・インスティテュート)主演女優賞を受賞する。
イングランド王女エリザベス1世を演じた「エリザベス」(98)が批評家に絶賛され、アカデミー主演女優賞に初ノミネートされる。その後はコミカルタッチな人間ドラマ「狂っちゃいないぜ」(99)からファンタジー大作「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ(01~14)まで多彩な役柄を演じ、引く手あまたの名女優として活躍。
04年の「アビエイター」でアカデミー助演女優賞を受賞し、「あるスキャンダルの覚え書き」(07)でも同賞の助演女優賞の候補に挙がる。翌09年のアカデミー賞では、再びエリザベス1世に扮した「エリザベス:ゴールデン・エイジ」で主演女優賞、ボブ・ディランの伝記映画「アイム・ノット・ゼア」で助演女優賞にダブルノミネートされたが受賞は逃した。3度目のアカデミー主演女優賞候補になった「ブルージャスミン」(13)で自身2つ目となるオスカー像を手にした。
女性同士の恋愛を描いた「キャロル」(15)で4度目、女性指揮者の苦悩を描いた「TAR ター」(22)で5度目のアカデミー主演女優賞にノミネート。その他の出演作に、「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」(ともに08)、「シンデレラ」(15)などがある。
ブリー・ラーソン 「ルーム」
6歳から米サンフランシスコのアメリカン・コンサバトリー・シアターで演劇を学ぶ。1998年、トーク番組内のコントで子役としてデビュー。TVシリーズ「ユナイテッド・ステイツ・オブ・タラ」(09~11)に主人公の娘役でレギュラー出演。映画「ショート・ターム」(13)などで若手の実力派女優としての評価が高まり、「ルーム」(15)でアカデミー主演女優賞を初ノミネートにして受賞する。その後、自身の主演作「ユニコーン・ストア」(17)で映画監督デビュー。マーベル映画初の女性単独主演作「キャプテン・マーベル」(19)のタイトルロールに抜てきされ、「アベンジャーズ」シリーズ第4作「エンドゲーム」(19)にも出演した。「ショート・ターム」のデスティン・ダニエル・クレットン監督とは、「ガラスの城の約束」(17)と「ジャスト・マーシー(原題)」(20年全米公開予定)でもタッグを組む。
ジェニファー・ローレンス 「ジョイ」
米ケンタッキー州・ルイスビルで生まれ育つ。14歳のとき、ニューヨーク旅行中に芸能事務所のオーディションを受け、ショウビズ界に足を踏み入れる。その後TVドラマに出演するようになり、一家でニューヨークに移り住む。スクリーンデビューを果たした2008年は、「早熟のアイオワ」で主演を務め、「あの日、欲望の大地で」でベネチア国際映画祭のマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を受賞。「ウィンターズ・ボーン」(10)でアカデミー主演女優賞に初ノミネートされた。「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」(11)にミスティーク役で出演後、人気ヤングアダルト小説を映画化した「ハンガー・ゲーム」4部作(12~15)の主人公カットニス役で人気を確立。デビッド・O・ラッセル監督の「世界にひとつのプレイブック」(12)でアカデミー主演女優賞を受賞し、若手女優の中でも抜きんでた存在となった。その後もラッセル監督の「アメリカン・ハッスル」(13)でゴールデングローブ賞助演女優賞に輝き、アカデミー助演女優賞にノミネート。ラッセル監督と3度目のタッグとなった「JOY」(15)で、ゴールデングローブ賞主演女優賞(コメディ/ミュージカル部門)を受賞し、3度目のアカデミー主演女優賞候補となる。「X-MEN」シリーズでは、「ファースト・ジェネレーション」の続編「フューチャー&パスト」(14)と「アポカリプス(原題)」(16)にも出演する。
シャーロット・ランプリング 「さざなみ」
英エセックス州スターマー出身。父のゴドフリー・ランプリングは陸上競技(4×400mリレー)の金メダリストで、北大西洋条約機構 (NATO) の高官として活躍した人物。モデルとしてキャリアをスタートさせ、1965年の「ナック」で映画デビュー。「ジョージー・ガール」(66)で脚光を浴び、ルキノ・ビスコンティ監督「地獄に堕ちた勇者ども」(69)を経て、デカダンスな魅力を発揮した「愛の嵐」(74)で広く知られる。その後も、「さらば愛しき女よ」(75)、「スターダスト・メモリー」(80)、「評決」(82)などに出演し、大島渚監督の「マックス、モン・アムール」(86)では主演を務めた。フランス語に堪能なことからフランス映画への出演も多く、「トレンチコートの女」(85)や、「スイミングプール」(08)をはじめとしたフランソワ・オゾン監督作で活躍する。15年の「さざなみ」でベルリン国際映画祭銀熊賞(女優賞)に輝き、アカデミー主演女優賞にノミネートされた。00年、大英帝国勲章OBEを受章。
シアーシャ・ローナン 「ブルックリン」
父は俳優のポール・ローナン。米ニューヨークで生まれ、3歳からはアイルランドで過ごす。9歳から同国のTVドラマに出演し、2007年の「I Could Never Be Your Woman(原題)」でスクリーンデビュー。ジョー・ライト監督の文芸作品「つぐない」(07)で13歳にしてアカデミー賞をはじめ様々な映画賞の助演女優賞にノミネートされ、期待の若手女優として注目を浴びた。その後も、スティーブン・スピルバーグ製作&ピーター・ジャクソン監督の「ラブリーボーン」(09)、再びライト監督と組んだアクション映画「ハンナ」(11)、ウェス・アンダーソン監督の「グランド・ブタペスト・ホテル」(14)など、実力派の監督たちの作品で存在感を発揮。「ブルックリン」(15)と「レディ・バード」(17)ではアカデミー主演女優賞にノミネートされ、実力派女優としての地位を確固とした。「レディ・バード」のグレタ・ガーウィグ監督と再タッグを組んだ「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」(19)では次女ジョーを演じ、3度目のアカデミー主演女優賞ノミネートとなった。