第88回アカデミー賞 全部門ノミネート
主演男優賞
ブライアン・クランストン 「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」
8歳の時にCMに出演し、大学卒業後、本格的に俳優を目指す。舞台俳優としてキャリアをスタートさせ、1982年にTV初出演、87年に映画デビューを果たす。以降「すべてをあなたに」(96)や、「プライベート・ライアン」(98)などに出演し、「Last Chance(原題)」(99)で映画監督に挑戦した。シットコム「マルコム in the Middle」(00~06)を経て、カルト的な人気を呼んだTVシリーズ「ブレイキング・バッド」(08~12)でガンを宣告されドラッグの精製に手を染める高校教師役を演じ、エミー賞主演男優賞を3年連続で受賞する。同作での成功により「ドライヴ」(11)や、「トータル・リコール」「アルゴ」(ともに12)といった話題の映画への出演が急増し、ハリウッド版「GODZILLA」(14)ではアーロン・テイラー=ジョンソン演じる主人公の父親役を演じる。ハリウッドの名脚本家ダルトン・トランボの伝記映画「トランボ(原題)」(15)で主演を務め、アカデミー主演男優賞に初ノミネートされた他、ゴールデングローブ賞などでも候補に挙がった。その他の出演作に「幻影師アイゼンハイム」(04)、「リトル・ミス・サンシャイン」(06)などがある。
マット・デイモン 「オデッセイ」
1988年、ハーバード大学在学中にジュリア・ロバーツ出演の「ミスティック・ピザ」で映画デビューし、その後大学を休学して「青春の輝き」(92)、「ジェロニモ」(93)、「戦火の勇気」(96)などに出演する。役に恵まれずなかなかブレイクに至らなかったが、親友のベン・アフレックとともに脚本を執筆・出演した「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」(97)でアカデミー脚本賞を受賞し一躍注目を浴びる。その後「プライベート・ライアン」(98)を経て「リプリー」(99)では主演を務め、「オーシャンズ11」(01)で人気の若手スターに。同作のスティーブン・ソダーバーグ監督や共演者のジョージ・クルーニーとは続編2本でもコラボレートし、それぞれの監督作にも多数出演する。02年の「ボーン・アイデンティティー」に始まる「ジェイソン・ボーン」シリーズで主演を務め、2作目「ボーン・スプレマシー」(04)以降のメガホンをとったポール・グリーングラス監督とは「グリーン・ゾーン」(10)でもタッグ。06年にはマーティン・スコセッシ監督のアカデミー賞受賞作「ディパーテッド」とロバート・デ・ニーロ監督の「グッド・シェパード」で主演を務めた。その後もクリント・イーストウッド監督の「インビクタス 負けざる者たち」(09)でアカデミー助演男優賞にノミネートされた他、コーエン兄弟の「トゥルー・グリット」(10)や、クリストファー・ノーラン監督の「インターステラー」(14)など名監督の作品で活躍。リドリー・スコット監督の「オデッセイ」(15)でゴールデングローブ賞コメディ/ミュージカル部門の主演男優賞に輝き、アカデミー主演男優賞に初ノミネートされた。
レオナルド・ディカプリオ 「レヴェナント 蘇えりし者」
父親はイタリア人、母親はドイツ人。10代前半から子役としてCMを中心に活躍し、1991年に「クリッター3」(日本劇場未公開)でスクリーンデビュー。ロバート・デ・ニーロと共演した「ボーイズ・ライフ」(93)で注目を集め、93年の「ギルバート・グレイプ」で19歳にしてアカデミー助演男優賞にノミネートされる。バズ・ラーマン監督の「ロミオ&ジュリエット」(96)ではベルリン国際映画祭の銀熊賞(男優賞)を受賞し、ジェームズ・キャメロン監督の「タイタニック」(97)で名実ともにハリウッドNo.1スターとなる。マーティン・スコセッシ監督作「アビエイター」(04)でアカデミー主演男優賞に初ノミネートされ、06年の「ブラッド・ダイヤモンド」でも同賞の候補に。その後は、「タイタニック」のケイト・ウィンスレットと11年ぶりに共演した「レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで」(08)、クリストファー・ノーラン監督の「インセプション」(10)、悪役を好演したクエンティン・タランティーノ監督の「ジャンゴ 繋がれざる者」(12)、再びラーマン監督と組んだ「華麗なるギャツビー」(13)などに出演。スコセッシ監督と5度目のタッグとなった「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(13)では、ゴールデングローブ賞コメディ/ミュージカル部門の主演男優賞を受賞したもののアカデミー賞では受賞を逃し、続くアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の「レヴェナント 蘇えりし者」(15)で、アカデミー主演男優賞を4度目のノミネートにして初受賞した。19年には、タランティーノと再びタッグを組んだ「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」でも、第92回アカデミー賞で主演男優賞にノミネートされた。
マイケル・ファスベンダー 「スティーブ・ジョブズ」
父はドイツ人、母は北アイルランド出身。ドイツに生まれ、アイルランド・キラーニーで育ち、英ロンドン大学セントラル・スクール・スピーチ・アンド・ドラマで演技を学ぶ。スティーブン・スピルバーグ&トム・ハンクス制作のTVドラマ「バンド・オブ・ブラザース」(01)に出演して注目を集め、その後は英TVシリーズを中心に活動。2007年のザック・スナイダー監督作「300 スリーハンドレッド」で映画初出演を果たし、スティーブ・マックイーン監督の「HUNGER ハンガー」(08)などで評価を高め、クエンティン・タランティーノ監督の「イングロリアス・バスターズ」(09)で主要キャストのヒコックス中尉役に抜てきされる。再びマックイーン監督と組んだ主演作「SHAME シェイム」(11)ではベネチア国際映画祭の男優賞を受賞。以降、「X-MEN」シリーズで第4弾「ファースト・ジェネレーション」(11)からマグニートー役を演じる他、「プロメテウス」(12)などのハリウッド大作に引っ張りだことなり、デビッド・クローネンバーグやスティーブン・ソダーバーグなど有名監督の作品でも活躍。マックイーン監督と3度目のコラボとなる「それでも夜は明ける」(13)でアカデミー助演男優賞に初ノミネートされ、アップル社の創設者スティーブ・ジョブズの伝記映画「スティーブ・ジョブズ」(15)で同主演男優賞の候補となった。
エディ・レッドメイン 「リリーのすべて」
英ロンドン出身。幼少の頃から演技のレッスンを受け、サム・メンデス演出の舞台「オリバー!」などに出演。10代の頃はモデルとして活動する一方で、名門イートン校からケンブリッジ大学トリニティ・カレッジへと進学した。2002年に舞台「十二夜」でプロの俳優としてのキャリアをスタートさせて以降、ロンドン・イブニング・スタンダード・アワードやローレンス・オリビエ賞、トニー賞など英米で名だたる演劇賞を受賞。映画デビューした06年には、ロバート・デ・ニーロが監督した「グッド・シェパード」に出演。以降、「エリザベス:ゴールデン・エイジ」(07)や「ブーリン家の姉妹」(08)といった歴史ドラマをはじめ、米国の作品にも参加する。「マリリン 7日間の恋」(11)で注目を集め、ミュージカル映画「レ・ミゼラブル」(12)のマリウス役でブレイク。“車いすの天才物理学者”として知られるスティーブン・ホーキング博士の半生を描いた「博士と彼女のセオリー」(14)で、英国アカデミー賞やゴールデングローブ賞(ドラマ部門)などの主演男優賞に輝き、アカデミー賞でも主演男優賞初ノミネートにして受賞を果たした。続く「リリーのすべて」(15)では世界で初めて性転換手術を受けた画家を演じ、再びアカデミー主演男優賞にノミネート。「ハリー・ポッター」シリーズの前日譚となる「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」(16)では主人公ニュート・スキャマンダー役を演じる。