神木隆之介、細田守監督と「サマーウォーズ」以来の再会　名セリフ「よろしくお願いします!!」を生絶叫

数学だけが取り柄の高校生小磯健二が、あこがれの先輩やその家族たちとともに“OZ”と呼ばれる仮想空間から勃発した世界の危機に挑む物語。細田監督は、2009年公開の本作を「AIがSFの世界だったのが、今は現実になった。AIが社会に占める割合がこんなに大きくなると思わなかったですし、そもそもインターネットの世界が生活に身近になる前、様々ないい面、悪い面が出てくる前の時代の、非常に牧歌的な世界だった。僕自身もインターネットの世界に希望を持って描くことができた時代の、非常に明るく健全な作品」と制作当時を振り返る。

健二の先輩、夏希の曾祖母・栄おばあちゃんは、細田監督の母方の祖母がモデルだったという話題に続き、主人公の健二のトピックに移ると、フェスティバルディレクターの井上伸一郎氏が「シークレットゲストをお呼びしております」と呼びかけ、花束を抱えた神木が登場した。細田監督が「大きくなったね！」と驚くと、「32歳です。当時16歳、高校1年の時でしたから」と答える神木。

神木から花束を受け取った細田監督は感無量の面持ちで「当時のみずみずしさ、神木くんの素敵な感じって今も全然変わってない。ちゃんと良いものをずっと保ってるというか。素晴らしいですね」と、変わらぬ存在感を称えた。

本作で神木が演じた小磯健二は、数学オリンピックの日本代表になれなかった高校生という役どころだ。「健二は魅力的で、知的なところもある人なので、そういう人に合う人」を探していたという細田監督。「神木君は当時からとても有名だったけど、声変わりした声を誰も聞いたことがなくて。声変わりしてから1番最初にお願いたんです。それもすごく魅力的な声だなと思った」と、オファーの理由を明かした。

健二役を射止めた神木も「高校生になったばかりで、いろんなことに挑戦したいと思っていた時でした。初めてのことがいっぱいで、すごく現場も楽しかったですし、ただただ嬉しかったです」と述懐。細田監督の意向で、家族が集合するシーンはプロの声優陣たちと、1本のマイクを囲んでセリフを収録したことが思い出深いと語る。

細田監督は、神木とのどのシーンもすごく印象的だったそうで、とりわけ本編前半のちゃぶ台の周りを走り回り、リモコンを奪い合うコミカルなシーンを挙げる。「非常に上手いアニメーターに作画をやっていただいて。とてもいい動きをしてるのを、神木君は健二として、そのテンションを合わせながら、そのコミカルさを出していったのがすごくて。何度もやったんですけど、やるたびに作画に近づいていった。こういう風に神木君はどんどん自分のものにしていくんだな、すごいなと思った」と振り返った。

神木は本作出演について「声の仕事のプロではないですが、ドラマや映画の作品の撮影現場や、ファンの方たちにも、必ず『サマーウォーズ』が好きだと言っていただくので、そう聞くたびに誇らしいなと思いますし、金曜ロードショーで毎年のように『サマーウォーズ』が放送されるのを一視聴者として楽しんでますし。毎回それも誇りに思っています」と思い入れ深い作品となったそう。子役からキャリアをスタートし、早くも芸歴30年という超ベテランだが、「純粋に今までお芝居をするのが大好きな気持ちだけでやらせてもらって、いつの間にか30年、感謝の気持ちしかない」と、支えてきた人々に感謝を述べる。

そして、「本当に長くこの作品を愛していただいて、嬉しい気持ちでいっぱいですし、キャストの1人として嬉しい気持ちと、そして観客の1人としてもすごく嬉しい気持ちでいっぱい。今後もこの作品を愛していただけたらなと思っております」と感謝の言葉を述べると、おもむろに「ちょっとやってみていいですか？　久しぶりに……音量気を付けてください」と前置きし、「よろしくお願いします!!」と健二の名セリフを絶叫し、会場を沸かせた。

細田監督は「神木君の『よろしくお願いします!!』がほんとに昨日のことのよう」と懐かしみ、「あの時一緒に映画を作っていた時間っていうのは、ずっと今も移動せずにずっと続いてる感じ」と感激のコメント。「作ってる時はそれ精一杯で、それ以降のことって考えられないんですけども、まさかこうやって何年も経ってこの作品のことを話すなんて。そういうことも含めて本当に幸運だなと思います。映画って不思議なものだし、このようにずっと長く続いていくっていうことも映画の魅力、アニメーションの魅力なんだなと改めて思います」と感慨深げに語った。

「第1回あいち・なごやインターナショナル・アニメーション・フィルム・フェスティバル」（ANIAFF）は12月17日まで、愛知県名古屋市で開催。チケットは公式サイト（https://aniaff.com/）で発売中。