【インタビュー】真田広之「もっと先に行く」 香港直撃取材で「SHOGUN 将軍」シーズン2へ決意表明
2025年12月7日 12:00

俳優の真田広之がこのほど、香港ディズニーランド・ホテルで開催された「ディズニープラス・オリジナル・プレビュー2025」に出席。日本や韓国、APAC(アジア太平洋)各国から駆け付けたメディア関係者約400人に向けて、2026年1月、カナダ・バンクーバーで撮影が始まる「SHOGUN 将軍」シーズン2への思いを語った。
現地入りした映画.comは、同イベントが開催された翌日、現地で真田へのインタビューを敢行。シーズン2制作を決意した経緯をはじめ、エグゼクティブ・プロデューサーに昇格した心境、その上での現場づくりに対する決意、次世代の俳優に送るアドバイスなど、多岐にわたり語り尽くしてくれた(取材・文・写真/内田涼)。

たくさんの賞をいただき、大きな驚きでしたね。自分にとっては、プロデューサーとして、そして主演俳優として、それぞれの機会で、ふたつのトロフィーをいただいたわけで、数年前にバンクーバーで撮影していたときには、想像もできない出来事でした。
今までの俳優としての経験と理想の全てを注ぎ込んだ、まさに夢が叶ったといえる作品です。それだけに、あのような形で評価されたことは、自分の人生にとっても大きな転換点ですし、これまでの俳優人生に関わってくださった皆さんに、ひとつ恩返しできたのかなという思いですね。同時に「これを励みにもっと頑張れ」と言われたような気もして、還暦を過ぎた体に鞭打って頑張ろうと思える機会でしたね。

そうですね。シーズン1が終わった頃は「果たして、自分はこれからどこに向かうんだろう?」という思いもありました。もともと、リミテッドシリーズとしてお受けした企画ですし、シーズン2なんて考えてもいなかったですから。シーズン2をやる意義は何だろうと葛藤も感じましたね。
同時に、いままで積み重ねてきたものを、次世代につなげていく使命感もありました。もちろん、シーズン2にはプレッシャーも感じていますけど、それを強みに変えられる素晴らしいチームがいますから、いまから撮影が待ち遠しくてたまりません。
はい。まず、シーズン2は原作の縛りがないので、全く未知の世界に飛び込む。その面白さがありますね。ただ、10年後を描くわけで、歴史を知っている方であれば、何が起こるかはご存知だと思います。
そこをどう切り取り、焦点を当てるか。昨日皆さんにお伝えした「ひねりがある」とは、そういう意味で、それこそがシーズン1から受け継がれる「SHOGUN 将軍」のオリジナリティなんですね。史実には忠実に、それを大前提にドラマとしての面白さを追求していく姿勢は変わらないです。

まさにそうですね。そこは何百何千と(戦国ドラマの)パターンを見ていた日本人としては、あえて口出しせずに、彼らが日本人には思いつかないユニークで新鮮な発想を見せてくれるか、期待しています。実際「おぉ、そっちに行くか?」と目からのウロコのシーンもありますし。ライターさんには固定観念に縛られない自由な発想を、それでいて、いかに落としどころを見つけるかが、難しくもあり面白いです。
原作を描き切ったとはいえ、使っていないエピソードもいくつもありますし、そこから何かを引用したり、シーズン1から引き続き登場するセリフもあると思うので、「ここで、これが登場するのか」というリンクの着地も楽しんでいただけるはずです。シーズン1から変わらずに大切なのは、原作へのリスペクト。ジェームズ・クラベルさんが見て「これは自分の作品じゃない」と言われないような作品を目指しています。
そうですね。まず、日本文化を背負う作品に、プロデューサーとして関わるので、日本人として恥ずかしくない、オーセンティックな作品を世界に紹介したいという気持ちがありました。「SHOGUN 将軍」は史実に基づくフィクションですが、そこはやはり、リアリティをもって感情移入してほしかった。
一方、海外の視聴者の皆さんにも、インターネットが浸透するなかで、調べれば分かることをリサーチしない作品に対しては、不満や拒絶感が強かった。受け入れてもらったことは、日本のクリエイターにとっても意義深いことだったと思います。ですから、この流れを1回で終わらせてはいけない。そのことも、シーズン2に挑むモチベーションになっています。

シーズン1では、文化や宗教、国籍を乗り越える“王道回帰”も意識していました。トレンドを追うのではなく、王道を突き進めば、ユニバーサルになるんだと。具体的には、やはり『人間を描いた』ことが認めてもらえたのだと思います。戦国時代の武将が主人公ですが、私が演じた吉井虎永もひとりの人間であり、家族がいる。それは、ほかの登場人物も同様で、立場は違えど、その内面を顕微鏡で焦点を当てたように描くことが大切でした。
ひとつ付け加えるとすれば、配信サービスの普及によって、「字幕で見る」土壌が定着していたのも「SHOGUN 将軍」が評価された理由だと考えています。
そうですね、これこそ未知の領域で(笑)。見え方については、衣装やヘアメイクの担当者と意見を交わしながら、試行錯誤していますが、先ほどもお話した通り“人間”を描こうとしていますから、いまの心境は緊張感とワクワク感の両方ですね。
役のポジションとしては、ひとり主役ではないので、みんなの受け皿でありたいですし、それは俳優としても、プロデューサーとしても、立場が一致するんですよ。共演する皆さんのいいお芝居を引き出して、それを跳ね返す。そのスタンスは、シーズン1と変わらないですね。
プロデューサーとエグゼクティブ・プロデューサーの違いは、明確には分からないですけど、ただ、確実に周囲の耳の傾け方が変わってきて、自分の意見が通しやすくなっています。
その分、発言には責任を持たなければいけませんし、何か意見するときは、自分のなかの裏付けに基づいた方向性を考えています。自分が「こうだ」と言えば、その方向に動いてしまうので、怖さもありますね。
キャストもクルーも半分以上は、シーズン1からの続投ですから、素晴らしいチームワークが出来上がっている。その状態で、新たに加わるメンバーを迎え入れる体制を作り、存分に能力を発揮してもらえるアットホームな現場にしたいですね。バンクーバーで数カ月をともに過ごすわけですから、「参加して良かった」と思ってもらえる現場を目指しますし、そうできる自信もあります。ゼロからのスタートではないので、「もっと先に行くぞ」。そんな気持ちですね。

全員がオーディションに参加し、かなりの数のライバルとせめぎ合って、役を勝ち取った俳優さんばかり。皆さんの努力と熱意に敬意を表し、楽しい現場にできればと思っています。
本当ですか? それは嬉しいですね。「SHOGUN 将軍」の成功によって、日本やアジアで活動する俳優、それにクリエイターにチャンスが広がったと思いますし、「SHOGUN 将軍」というプラットフォームが、若く素晴らしい才能にチャンスを与える、大事な舞台になっていると思うので、夢を大きく持って前を向いて歩いてもらいたいと思いますね。

チャンスがまわってきたときに、慌てないように、言語や演技、身体的な動きなど、身に着けるべきものを身に着けて。それら全てが、海外で活躍するためのパスポートになりますから。
それとハリウッドがいま、日本人に求めているのは、日本人離れした魅力ではなく、文字通りの「日本らしさ」なんです。逆に海外からいろんなものを吸収し、それを日本に紹介するという活躍の仕方もあるかもしれません。いずれにせよ、何を求められ、何をアピールできるのか。そこを見極めることが必要だと思います。
いえ、こちらこそ。はるばる香港まで来てくださり、ありがとうございました。
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