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中国アニメ映画「羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来」鑑賞で理解した“日本での前作ヒット”のワケ【コラム/細野真宏の試写室日記】

2025年11月7日 06:00

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「羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来」
「羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来」
(C) Beijing HMCH Anime Co.,Ltd

映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。

また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。

更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)


今週末11月7日(金)から「羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来」が公開されます。

前作「羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)」は、2019年9月に中国で公開。ほぼ同時タイミングで日本でも公開されました。ただ、その時にはミニシアターを中心に、日本語字幕版が小規模で公開されただけで、主に日本にいる中国人に向けた感じでした。

ところが、日本人にも作品の魅力が伝わっていき、「鬼滅の刃」で有名なアニプレックスが「日本語吹替版」の制作と配給に動き出したのです。

1年近くのロングランを経て、ちょうど5年前の2020年11月7日から「日本語吹替版」となる「羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来」が135館で公開され、さらに口コミが広がっていき、最終的に興行収入は5.8億円を記録しました。

これはハリウッド映画を除いた海外のアニメーション映画としては、異例なヒットと言えるでしょう。

画像2(C) Beijing HMCH Anime Co.,Ltd

では、なぜ異例なヒットを記録できたのでしょうか?

実は、私は前作「羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来」を見た時には、正直なところ、そこまで作品の魅力を感じることができませんでした。

なので、本作「羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来」についても、そこまで興味がわかない状態で見てみたのですが、驚きました…!

最初は、「人物に影が入らないような簡素な作画のアニメ映画」とか思いながら、油断して見ていましたが、アクションシーンを中心に作画のクオリティーが高く、しかも物語が非常に面白かったのです!

そして、ようやく、なぜ前作が日本で口コミの広がりでヒットしたのかも理解できました。

画像3(C) Beijing HMCH Anime Co.,Ltd

まずは、何と言っても、主人公である子猫の妖精のシャオヘイが可愛らしいのです。

妖精という特殊なキャラクター設定のため意表を突いた言動が多くあって、とても興味を引く主人公として描かれています。

そして、中国も含めて世界では3DCGタイプのアニメーションが主流なのですが、本シリーズは、日本で主流の2Dアニメーションになっていることも日本で受け入れられやすかったのだと思います。

さらに、物語の設定が意外とシンプルなため、世界観を理解しやすい、というのも人気が出た背景にあるのでしょう。

実際に、私は、前作の記憶が無いような状態で続編となる本作を見ましたが、全く問題を感じずにキチンと物語を理解することができたのです。

そのため、本作は、「一見さんOKな作品」と言えます。

画像4(C) Beijing HMCH Anime Co.,Ltd

また、主人公のシャオヘイの日本語吹替は花澤香菜が担当していますが、日本語吹替の上手さも本シリーズの人気を高める要因になっていると思います。

鬼滅の刃」での甘露寺蜜璃は花澤香菜の普段の声から容易に想像できますが、本シリーズのシャオヘイについては、言われてみれば、という感じです。

ただ、「本当に全てのシャオヘイの声を担当しているの?」と疑問に思ったりもします。

おでかけ子ザメ とかいのおともだち」の主人公の子ザメちゃんについては、言われても全く気付けないレベルだったりと、あらためて声優の仕事の奥深さに感心します。

本シリーズの舞台は現代で、人間と妖精が存在している社会を描いています。

そのため、“人間と妖精の共存”というのが大きなテーマになっていて、争いが起こる原因にもなっています。

画像5(C) Beijing HMCH Anime Co.,Ltd

本作の見どころは、序盤、中盤、終盤に分けると、開始45分くらいのチェイスシーン、ちょうど半分くらいの飛行機シーン、そして終盤の戦闘シーン。

上映時間は124分ですが、序盤、中盤、終盤それぞれに大きな見どころがあって、その注目シーンは、どんどん長くもなっていくのです。

そのため、上映時間の体感は、かなり早く時間が過ぎると思います。

そして、終盤の戦闘シーンが終わった後のラストへと続く「セリフの無いシーン」における感情を揺さぶる演出は、本作を名作レベルのクオリティーにまで高めることに成功した証と言えるでしょう。

画像6(C) Beijing HMCH Anime Co.,Ltd

日本のアニメーション作品は、以前から日本スタッフに加えて、中国など多くの国々のスタッフに支えられ作られています。

特にアニプレックスは積極的に中国のスタジオと組んで新たなアニメーション作品を製作していますが、「鬼滅の刃」などが日本にとどまらず世界的に大ヒットしているように、もはやアニメーション作品に国境は無いのかもしれません。

さて、本作の興行収入ですが、前作以上に面白い作品になっています。公開規模は140館くらいと決して大きくはないのですが、興行収入10億円を突破できるポテンシャルはあるので、前作の5.8億円からどこまで伸ばせるのか大いに注目したいと思います!

執筆者紹介

細野真宏 (ほその・まさひろ)

X(Twitter)

経済のニュースをわかりやすく解説した「経済のニュースがよくわかる本『日本経済編』」(小学館)が経済本で日本初のミリオンセラーとなり、ビジネス書のベストセラーランキングで「123週ベスト10入り」(日販調べ)を記録。

首相直轄の「社会保障国民会議」などの委員も務め、「『未納が増えると年金が破綻する』って誰が言った?」(扶桑社新書) はAmazon.co.jpの年間ベストセラーランキング新書部門1位を獲得。映画と興行収入の関係を解説した「『ONE PIECE』と『相棒』でわかる!細野真宏の世界一わかりやすい投資講座」(文春新書)など累計800万部突破。エンタメ業界に造詣も深く「年間300本以上の試写を見る」を10年以上続けている。

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Twitter:@masahi_hosono


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