ワーナー・ブラザースが再び売却か 経営陣が複数オファーを認める
2025年10月24日 22:00
Photo by Amy Sussman/Getty Imagesワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)が、複数の企業から買収提案を受けていることを正式に認め、会社全体または一部事業の売却を含む「戦略的選択肢」の検討を開始したと発表した。米ロサンゼルス・タイムズが報じている。
この発表を受けて同社の株価は11%急騰し、1株20.33ドルをつけた。企業価値は500億ドルに達し、2022年4月にディスカバリーがワーナーメディアを買収して以来の最高値となった。
WBDは声明で「会社全体、およびワーナー・ブラザースに対する複数の企業からの一方的な関心を受け、戦略的選択肢の見直しを開始した」と説明している。具体的な買収提案者の名前は明かしていないが、オラクル創業者ラリー・エリソンの息子デビッド・エリソンが率いるパラマウント・スカイダンスが、今年8月のパラマウント買収完了後、積極的に動いていることが明らかになっている。
パラマウント・スカイダンスは9月末から入札を開始し、これまでに1株20ドル、続いて24ドル近い提案を行ったが、いずれもWBD取締役会に拒否された。パラマウント側は、CNN、TNT、フード・ネットワーク、HGTVなどの基本ケーブルチャンネルを含む会社全体の買収を希望している。また、NBCユニバーサルを所有するコムキャストも関心を示していると伝えられている。
デビッド・ザスラフ最高経営責任者(CEO)は声明で「我々のポートフォリオの重要な価値が市場で認識されているのは驚きではありません」と述べた。「複数の企業から関心を受け、我々の資産の真の価値を最大限に引き出すための最善の道を見極めるため、包括的な戦略的選択肢の見直しを開始しました」
WBDは昨年夏、ワーナー・ブラザースとディスカバリー・グローバルを2つの上場企業に分離する計画を発表していた。ワーナー・ブラザースにはスタジオ、映画・番組の膨大なライブラリー、ストリーミングサービスのHBO Maxが含まれ、ザスラフCEOが引き続き指揮を執る予定だった。一方、ディスカバリー・グローバルはベーシックケーブルチャンネルと国際事業で構成され、ガナー・ウィーデンフェルス最高財務責任者(CFO)が率いることになっていた。この分社化は2026年4月までに完了する予定で、現在も進行中だという。
しかし今回の発表により、WBDは売却も含めた幅広い選択肢を検討することになった。同社は「ワーナー・ブラザースの第三者への売却と、ディスカバリー・グローバルの株主へのスピンオフを可能にする代替的な分離構造も検討する」としている。
今回の売却検討は、ハリウッドの名門スタジオにとって過去10年で3度目の大きな転換点となる。2016年10月、当時タイム・ワーナー社だった同社は通信大手AT&Tへの売却を発表したが、当時大統領選に勝利したばかりのドナルド・トランプが強く反対。政府が統合に異議を唱え、連邦承認を得るまでに2年近くを要した。
AT&T時代は混乱が続き、同社はストリーミングサービスのHBO Max構築に数十億ドルを投じたが、3年後に撤退。2022年4月、はるかに小規模だったディスカバリーに売却された。この取引により、WBDは500億ドル以上の負債を抱えることになった。
ザスラフ率いる経営陣は以来、事業の合理化を進め、数千人を解雇してきた。現在、同社の負債は約350億ドルまで減少している。しかし、ロサンゼルス・タイムズによると、WBDの従業員たちはすでに「ディール疲れ」の状態にあり、エリソンによる買収が実現すれば大規模な統合とさらに数百人の解雇につながると懸念しているという。
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