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【世界の映画館めぐり】予算5万円で3日間満喫 映画もグルメも街歩きも楽しい!釜山国際映画祭を体験(後編・釜山の過ごし方)

2025年10月13日 11:00

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釜山国際映画祭メイン会場「映画の殿堂(Busan Cinema Center)」
釜山国際映画祭メイン会場「映画の殿堂(Busan Cinema Center)」

映画.comスタッフが訪れた日本&世界各地の映画館や上映施設を紹介する「世界の映画館めぐり」。9月に開催されたアジア最大級の映画祭、釜山国際映画祭を体験してきました。

今回は、媒体としての取材ではなく休暇を使って一般客として参加。前編(https://eiga.com/news/20251012/5/)では、渡航や宿泊、チケット購入をお伝えしましたが、後編は渡航後の現地での過ごし方を報告します。

釜山・金海空港のキャラクター
釜山・金海空港のキャラクター
▼釜山へ到着! その足で映画祭会場へ

現在の釜山国際映画祭のメイン会場は、夏は海水浴場としてにぎわう観光地、海雲台(ヘウンデ)エリアの「映画の殿堂(Busan Cinema Center)」です。最寄り駅はセンタムシティ。金海空港からは交通状況にもよりますがタクシーで30分~40分程度、2万5000ウォン~。電車&地下鉄は金海空港駅から。乗り換えはありますが、地下鉄2号線の最寄り駅センタムシティ駅まで1時間弱。そこから徒歩約5分ほど、2000ウォン程度です。

夕方に釜山に到着した筆者。当日19時半からの上映チケットを購入していたので、地下鉄で映画祭会場最寄りのセンタムシティに向かいます。センタムシティは、ドナルド・トランプの名を冠した高層マンションなどが立ち並ぶ高級住宅&商業エリア。世界的ブランドが出店する百貨店には、映画祭の会場になっているシネコンがあったり、富裕層でなくとも利用できるアパレル店舗、レストランもたくさん入っていますので、映画と映画の合間にショッピングや食事が楽しめます。

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会場付近では、日本でも有名なサーカス、「シルク・ド・ソレイユ」が巡業中でした。魅惑的なテントを横目に道を進むと、「映画の殿堂(Busan Cinema Center)」と名付けられたギネス級の巨大な建物が見えてきます。4000席以上を有する半野外の上映会場が目を引きます。道沿いにはデジタルサイネージを使った上映作品のポスターが掲示され、その付近にチケットデスクが設けられているので、初めての方でも迷うことなく到着できるはすです。

夜でも人目を引くデジタルサイネージのポスター
夜でも人目を引くデジタルサイネージのポスター
事前予約を基に引き換えたチケット
事前予約を基に引き換えたチケット

チケットデスクでは、HP経由で予約した自身の名前を伝え、上映作品ごとに紙のチケットを発券してもらい、それぞれの上映会場へ向かいます。鑑賞した作品については次にまとめてお伝えしますが、この日鑑賞したのはコンペ作品で、監督や俳優のゲスト登壇があった回でした。会場内にも短めのレッドカーペットが敷かれており、上映会場入りする前のゲストたちのフォトセッションが行われます。ここではもちろん一般客も撮影可。オープニングセレモニーに参加できなくても、華やかな国際映画祭の気分が味わえました。

会場内のレッドカーペットコーナー
会場内のレッドカーペットコーナー
監督やキャストによるトークが行われる上映も
監督やキャストによるトークが行われる上映も
▼世界の最新映画からクラシックの傑作まで 国際映画祭ならではのバラエティ豊かな5作品を堪能

滞在中は、以下の5作品を鑑賞しました。

■「Spying Stars」(コンペティション部門)/Vimukthi JAYASUNDARA監督

カンヌやベネチア映画祭出品歴のあるスリランカの監督によるSF作品です。これまで多くのSF作品で描かれる地球以外の惑星は、どちらかというと火星タイプの荒涼とした砂地や、もしくは最先端技術で作られた建築物に溢れる未来都市型といった設定が多いように思いますが、この作品の舞台の惑星は豊かな自然あふれる土地。そして、死んだ人の魂との交流が行われるというスピリチュアルな表現が印象的。かつての人間が想像した未来に現実が追いついてきてしまったからこそ、失われつつある地球の環境と人類が古来から大事にしてきた文化、そして祈りについて思索を巡らせたくなるようなアート映画でした。


■「Sand City」(A Window on Asian Cinema部門)/Mahde HASAN監督

チェコのカルロヴィ・ヴァリ映画祭プロキシマコンペティションのグランプリ作品。バングラデシュ出身の監督のデビュー作です。都市化が進むダッカの建設現場の労働者や移民の日常とそこに紛れ込む奇妙な出来事が描かれます。セリフがほとんどないため、こだわりの映像表現に没入できる作品で、デビッド・リンチウォン・カーウァイツァイ・ミンリャンなどを思わせる卓越した映像センスに驚きました。新世代の監督による実験的、前衛的な映像作品を見たい方におススメの1作です。


■「Arco」(Open Cinema部門)/Ugo BIENVENE監督

今年のアヌシー国際アニメーション映画祭で最優秀長編クリスタル賞を受賞したフランスのSFアニメーション。多くの日本アニメからの影響を感じさせながらも、AI、ロボットとの共同生活、監視社会など現代的なテーマを取り入れ、美しい作画で繰り広げられる普遍的な家族と友情の物語です。主人公は、やや大人びた中性的な雰囲気。それでも等身大の少女の心情と、未来からやってきたArcoとの友情が繊細に描かれており、大人も楽しめるアニメーションでした。


■「The Gorals(英題)」「산양들(原題)」(Vision Korea部門)/YOO Jae-wook監督

若手監督、キャストによる最新の韓国映画です。おちこぼれ女子高生4人が、学校の動物飼育小屋取り壊しをきっかけに、生き物たちを野生に返して自分たちだけのユートピアを作ろうと計画する物語で、家族経営の小さなホルモン焼き食堂の一人娘が主人公。裕福で“意識高い系”生徒会長候補の彼氏の悪意ある“正しさ”に対してぎゃふんと言わせたりと、韓国社会の経済格差や移民事情なども織り込みながら、高校生たちの葛藤や友情をユーモラスかつ爽やかに描く快作。現代性とオリジナリティある脚本、瑞々しい若手俳優陣が魅力的でした。


■「ポンヌフの恋人」(Open Cinema部門)/レオス・カラックス監督

日本でもカルト的人気を誇る鬼才レオス・カラックス監督の伝説的ラブストーリーです。筆者はリアルタイムでは見ておらず、学生時代にVHSをレンタルして見た以来だったので、特大スクリーン、そして物語の設定と野外上映という環境も相まって忘れられない鑑賞体験になりました。極めつけは主演のジュリエット・ビノシュ本人の登場。4000席以上ある会場で、30年以上前のフランス映画がほぼ埋まっているのはすごい……と、釜山の観客の熱さにも感激し、国際映画祭の醍醐味を十二分に味わえました。

ジュリエット・ビノシュが登場
ジュリエット・ビノシュが登場

▼充実の映画祭会場

現地で出会ったリピーター曰く、今年は映画祭30周年記念の年ということで、例年よりも華やかなムードだったとのこと。会場内外に歓談&休憩スペースが設けられ、デイリーで発行される批評やインタビューの載ったフリーペーパーを手に取って、リアルに映画祭の熱を感じられる空間となっていました。映画愛、映画祭愛にあふれるボランティアさんたちの丁寧な応対にも助けられました。

会場外のレッドカーペット、誰でもスター気分で写真撮影できる
会場外のレッドカーペット、誰でもスター気分で写真撮影できる
デイリーで配布される映画祭の冊子
デイリーで配布される映画祭の冊子
「国宝」インタビュー
「国宝」インタビュー
映画祭30年の歴史を振り返る読み物
映画祭30年の歴史を振り返る読み物

メイン会場外にはキッチンカーが並びます。肉寿司やタコス、フライドチキンといったワールドワイドに人気の軽食のほか、トッポキやおでんといった韓国ならではのメニューも。コーヒー類やビールも販売され、たくさんの屋外席が用意されているので、会場付近で簡単に食事を済ますことも可能です。

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映画祭オリジナルグッズ売り場もメイン会場外に設置されています。筆者が釜山入りしたのは映画祭後半だったので、売り切れ商品が多かったですが、定番のトートバッグ類やポスターのほか、ステッカーやピンズなど、荷物にならなくてセンスの良い、そんなデザインの商品が目を引きました。驚いたのは是枝裕和監督の特製ボックスです。すでに売り切れでしたが、是枝監督作品の上映チケット、是枝監督の顔ピンズ、手書き(だと思います)メッセージが豪華な箱に入っていました。マスタークラスを行ったポン・ジュノ監督など他の監督のボックスもあったのでしょうか?気になるところです。

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▼映画祭ついでに楽しみたい釜山観光
■海雲台(ヘウンデ)エリア

今回、筆者は映画祭メイン会場から2駅のヘウンデ駅近くの宿に滞在しました。駅からビーチも徒歩で数分ほど。午前の鑑賞予定は入れず、日中は街歩きを楽しむというスケジュールが大正解で、9月下旬ということで、猛暑も和らぎ、海水浴シーズンの賑わいも終わっていることから、海風を浴びながら散歩をしたり気持ちの良い時間を過ごせました。日本からの知人と合流して、釜山グルメを楽しんだり、ひとり利用もOKなカフェめぐりなど、映画祭だけではない釜山の街の魅力を感じられる3日間でした。コンビニもたくさんありますし、飲食店の値段も東京のレストランやカフェと同程度なので、韓国グルメも予算に応じて楽しめるはずです。

夏は海水浴客で賑わう海雲台のビーチ
夏は海水浴客で賑わう海雲台のビーチ
海雲台駅近くの市場通り
海雲台駅近くの市場通り
現地で合流した同業者と釜山名物ナッコプセ
現地で合流した同業者と釜山名物ナッコプセ
■南浦洞(ナンポドン)周辺エリア

現映画祭メイン会場から地下鉄で1時間ほど。国際市場やチャガルチ市場などを擁する釜山の代名詞的な商業地域で、かつて釜山国際映画祭はこちらで開催されていました。チャガルチ駅から程近くのBIFF広場は、映画祭に参加した世界の映画人の手形が舗道にはめ込まれており、そのサインと手形を見比べて歩くだけでワクワクします。映画祭期間中にこの地域のシネコンでの上映もあり、また各種ストリートフードや、近隣では名物の新鮮な海鮮を扱う屋台が立ち並ぶので、時間がある方は足を延ばして観光を楽しんでほしいエリアです。

ストリートフードの屋台が立ち並ぶBIFF広場
ストリートフードの屋台が立ち並ぶBIFF広場
世界の映画人の手形が埋め込まれている
世界の映画人の手形が埋め込まれている
釜山名物の屋台が並ぶ通り
釜山名物の屋台が並ぶ通り
▼(余談)帰路は地方都市、清州から

本記事前編(https://eiga.com/news/20251012/5/)で述べたとおり、帰国は釜山金海空港からではなく、清州国際空港を利用しました。高速バスを使って映画祭終了後に地方都市へ1日寄り道です。釜山やソウルなど韓国各地に到着、出発する高速バスターミナル付近には、新宿のバスタや日本の地方の駅ビルのような商業施設が立ち並び、今年オープンしたバスターミナル直結のビルには最新シネコンも入っています。近隣にはカップル向けと限定せず、ひとりも家族利用もOKな、設備の整った宿泊施設(モーテル)がたくさんあり、大都市よりお手頃なのがうれしい限り。筆者は大きなバスタブ付きの5000円ほどの宿をチョイス。航空券、宿泊、映画チケット含めても5万円以内で収まりました。

清洲高速バスターミナルのビル内にできた新しいシネコン
清洲高速バスターミナルのビル内にできた新しいシネコン
日本の地方都市にいるような気分にもなる
日本の地方都市にいるような気分にもなる
円安でも味方、俺たちのダイソーも
円安でも味方、俺たちのダイソーも

まさに、日本の地方都市にいるのと同じような感覚で過ごせるので、メインの観光や移動に疲れた最終日にぴったりなのです。シネコンで「もののけ姫」4Kが公開中でしたが時間が合わず見れず、代わりにホテルのNetflixで「もののけ姫」を見ながら、ビル内のデリで買った韓国惣菜を食べながらのんびり、という日本ではできそうでできない体験も楽しめました。空港への直通バス乗り場もほど近くなので、時間に余裕のある方、一味変わった韓国旅行をしてみたい方は、清州からのイン、アウトも良いかと思います。以前お伝えした大田の素敵な隠れ家風ミニシアター「テジョンアートシネマ」(https://eiga.com/news/20250619/31/)も、空港は清州からのアクセスが一番便利です。

バスターミナル付近の商業施設のデリで美味しいお惣菜が買えます
バスターミナル付近の商業施設のデリで美味しいお惣菜が買えます
高速バスターミナルビル内には回転寿司屋も
高速バスターミナルビル内には回転寿司屋も
▼おわりに

国際映画祭では知らない土地で、知らない国の映画を楽しむという、2重の旅ができるんです。今年の釜山映画祭では、過去最多241作品が上映されました。もちろんすべての作品を見ることは不可能ですが、たった数作品でも、1作品でもふらっと空いた時間にたまたま見た、監督も俳優の名前も知らない映画が、自分だけのお気に入りの1作になったりすることも。

そもそも映画祭って? という方は、まずは今月末に開催される東京国際映画祭で、その雰囲気を実際に味わってみるのがおススメです。毎年のラインアップが楽しみになるはずですし、特色ある日本の地方での映画祭や海外の映画祭にもきっと足を運びたくなることでしょう。

映画祭も観光も楽しんだ釜山の旅
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