【ネタバレ注意】最悪の海難事故から13年――“生存確率ゼロ”からの脱出に挑んだダイバーたちの“現在の姿”とは?
2025年10月1日 13:00

“地球上で最も危険を伴う職業”のひとつ、飽和潜水士の衝撃の実話を映画化し、“生存確率ゼロ”からの脱出を描くサバイバルスリラー「ラスト・ブレス」(公開中)。劇中で描かれる最悪の海難事故から13年――モデルとなったダイバーたちは、どのような人生を送っているのだろうか? この記事では、彼らの“その後の人生”に迫ると同時に、現在の姿をおさめた写真をご紹介する。
本作は、2012年にスコットランド沖で発生した最悪の潜水事故をリアルに描いたもの。極寒の深海を舞台に、「命綱なし」「酸素残量残り10分」という悪夢のような状況でひとり取り残されたダイバーの息詰まるサバイバル、そして彼を救うべく死力を尽くす仲間たちの熱いレスキュードラマが交錯する。
(C)LB 2023 Limited物語の中心となるのは、深海で命がけのミッションに挑む3人の男たち。フィン・コール演じる若き飽和潜水士のクリス、ウッディ・ハレルソン演じるベテランのダンカン、そしてシム・リウ扮する人当たりはぶっきらぼうだが、プロ意識が強いデイヴだ。
3人が水深91メートルの海底で作業を行っている最中、命綱を繋ぐ船に非常事態が発生する。制御不能となった船が荒波に流されたことで、命綱が切れたクリスは深海に投げ出されることに。クリスの潜水服に装備された緊急ボンベの酸素は、わずか10分。海底の潜水ベルにとどまったダンカンとデイヴ、船の乗組員はあらゆる手を尽くしてクリスの救助を試みるが、それはあまりにも絶望的な時間との闘いだった。

本作の公開を記念し、2月に開催されたニューヨークプレミアに、モデルとなったダイバーたち――ダンカン・オールコック、デイヴ・ユアサ、そして“奇跡の生還者”となったクリス・レモンズの3人が登場。劇中の鬼気迫る姿からは想像できない、朗らかで非常に元気そうな姿を見せ、キャストのハレルソン、シム・リウ、コール、そしてアレックス・パーキンソン監督とともに、映画の完成を祝った。
オールコックは事故後もダイバーとして働き続け、24年に引退。レモンズは「彼はダイビングと、それに伴うあらゆることを心から愛する男です。しかし、ついに引退しました。当然のことです」と祝福する。ダンカン・オールコック役のハレルソンは「すごく愛されている人物だとは聞いていたけど、実際に会ってみて、その理由がよく分かった。彼は興味深く、愉快で、クールで、頭がいいんだ。この物語は当事者がいる実話である以上、演じる僕らにも責任がある。だからこそ、僕らがしっかりと真実を伝えられていればいいなと思っている」と、その魅力を紐解いた。

一方、ユアサとレモンズは現在も海洋土木大手、ボスカリス・サブシー・サービス社でダイバーとして働いている。レモンズは現場から監督職に転身。「いまでもこの業界で働いていますが、最近は水に濡れないように、上からダイバーたちを指導しています」と、臨死体験をした彼ならではの厳格な指導を、若き潜水士たちに行っているという。
クリス・レモンズを演じたフィン・コールは撮影前、事故当時の話について、本人に直接インタビューしたことを振り返り、「ご想像の通り、彼の心には数分間パニックが走っていました。その後、数分間、ただただ深い悲しみに暮れ、泣き叫びました。家族や残してきた人々に申し訳ないという気持ちを受け止めようとしていたのです。そして、意識を失うまでの数分間は、ただただ幸福感に満ち、穏やかだったと言っていました」と、一度“死”を経験したレモンズの究極の絶望と幸福を、一瞬の演技に込めたと振り返った。
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