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「彼の好奇心を動かしていたのは“人間”そのもの」田中泯、坂本龍一との思い出語る

2025年9月22日 15:30

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坂本龍一との思い出を語った田中泯
坂本龍一との思い出を語った田中泯
© “Ryuichi Sakamoto: Diaries” Film Partners

世界的音楽家・坂本龍一の最後の3年半の軌跡を辿ったドキュメンタリー映画「Ryuichi Sakamoto: Diaries」の公開に先立ち9月19日、本作で朗読を務めた田中泯登壇の舞台挨拶付特別先行試写会が開催された。

会場は現在、坂本龍一の大阪で初となる大規模企画展「sakamotocommon OSAKA 1970/2025/大阪/坂本龍一」を開催中のVS.(グラングリーン大阪うめきた公園ノースパーク VS.)。特別な空間で行われた先行試写会で、田中は親交の深かった坂本への思い、映画「Ryuichi Sakamoto: Diaries」について語った。

田中は大きな拍手で迎えられるも、命が尽きるその瞬間まで音楽への情熱を貫き、創作し続けた生前の坂本を映した本作に「色々思い出しちゃってちょっと言葉が出ないですね。さっきまで裏(楽屋)では笑って話してたのに、変だな」と素直な気持ちを吐露した。

画像2© “Ryuichi Sakamoto: Diaries” Film Partners

坂本が田中の公演を鑑賞したり、朝まで一緒にお酒を飲む関係だったと交友を振り返り、坂本との印象深かったエピソードや人間的魅力を語る。「コンプレックスというわけじゃないが、ずっと感じ続けているのは、僕が“言葉”にして出してない事を(坂本は)どんどんどんどんやってきたわけです。それは森林保全や原発問題だったり様々ですが、ある時、『泯さん、このままいくと人類みんなおかしくなっちゃいますね』って言うんです。僕が口に出さないでいることをポッと口に出してくる。僕はダンスをやっていたから“言葉”を信じなくなっていたんです。自分の中で“言葉”を培養して純粋に使えているのか。それが人間だから、人生だから、世間だから…とか、皆さんも小さな時から散々(大人から)理屈っぽいこと言われたでしょう?」と“言葉”がもつ常識の違和感を観客に問いかけた。

「彼の好奇心を動かしていたのは“人間”そのものなんだと思う。音楽を考え続ける、音楽というものに触れ続けることが“人間”に対する好奇心と同じだったんじゃないか」と述べ、「“踊り”を考えることが僕にとっては“人間”であることを考えることなんです。それはちっとも難しいことではなく、当たり前のことだと思っています。僕はずっと“言葉”を喋れなかった人間で、はじめて映画に出て人前でセリフをしゃべったもの50代ですよ」と、互いの相似点を発見した。

“言葉”と距離をとってきたという田中が、本作で朗読を務めるにあたりどう挑んだかを聞かれると、「“言葉”をしゃべる常識というのを、むしろ疑ってみようと。なるべく”感情”と”言葉”の距離を取っていられるようにしてしゃべろうとか、思い出せばいっぱいあるんだろうけど、…必死でしたね」と、当時の想いを振り返り、「彼が残した手書きの日記から携帯のメモ書き、鉛筆の走り書きのようなものまで、日記とはいいながらきっとものすごい不定多数の人間に向かって言葉を吐いてると思います。つぶやいてないんですね。つぶやいているかのように見せて、おそらく(彼は)読まれることを知っている。……当たってないかもしれないけど(笑)。彼の口からでる“言葉”は基本的に(目の前の)相手だけじゃない。そこに一人しか居ないけど大勢の人がそこに居る、というのが彼の思想だと思います」と推測した。

画像3© “Ryuichi Sakamoto: Diaries” Film Partners

司会を務めた加美幸伸(FM COCOLO DJ)が「雲の動きは音のない音楽だ」という、映画にも登場する坂本の日記に書かれた言葉について触れると、田中は「僕はダンサーなので、ダンスをしているように見えてくるんです。小さな雲があると、その雲って太陽が出てきたら必ずなくなる。結構な時間がかかるんです。消えるまで見てやろう!って。でも、やっぱり音楽のようにも見えますよね。でもこれって子どもの好奇心ですよ! 大人は時計みちゃうから」と会場を和ませる。

そして、坂本と初めて一緒にお酒を飲んだ日のことをこう回想する。

「この人やっぱり“本当”で生きていきたいんだと思いました。“本当の気持ち”とか、“本当の事”をやりたいとか、“本当の奴”と一緒にいたい、とか。今ってうわべや表面だけの方って結構わかりますよね。わかっていても通り過ぎたり適当に答えているときがありますよね。僕もあります。なぜ、それでやり通しちゃっているんだろうかという疑問を、やっぱり坂本さんって持ってるんですよね」「でも本当に、大人の社会ってよく見れば嘘ばっかりじゃないですか。子どもっぽい話をして笑われるかもしれないけれど。……でも、笑っていられるかな?(坂本は)ずっと辞めずに、最後の最後まで音楽をやっていたわけですね。伝統芸能もそうなんですけど、ピアノに向かうということはひょっとしたら同じことの繰り返し。でも同じようにしない。繰り返し毎日毎日同じことをやっていたとしても、同じではないんです。これは子どもが同じ遊びを毎日よく飽きもせずやるということと同じことで、子どもにとっては同じじゃないんですよね。同じことやってないんですよ。毎日新しい何かがきっと見つかるんですよ。(それを)大人は同じ事をやっていると決めつけちゃう」

「すごく悲しいけど、坂本さんが支えた身体、引きずっていた身体と全く違うコンディションの中で私たちは生きているが、彼が話した事ややってくれた事に対して、観よう、わかろう、聴こうとしている。それはとても無理なことかもしれないし、失礼なことかもしれない。でも、最後の最後まで彼は見せるわけですよね。これは奇跡に近いです。最後の姿を知らない方のほうが世の中では圧倒的に多いわけですが、(坂本の)亡くなる瞬間までおそらく映像に残っていると思います。とんでもないことだと思いますよ。でも、これは元を正せば、子どものような好奇心を絶対に捨てずに、大事に大事に持ってきたことも証拠だと思います。僕も絶対にそうします」と誓っていた。

映画「Ryuichi Sakamoto: Diaries」は11月28日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開。展覧会「sakamotocommon OSAKA 1970/2025/大阪/坂本龍一」は9月27日まで開催。

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