10代~80代の“全年齢層”の心を掴んでヒット 韓国の観客たちは「最後のピクニック」に何を感じたのか【感想まとめ】
2025年9月11日 18:00

2024年に韓国で芸術・独立作品として5年ぶりにヒット記録を更新した「最後のピクニック」が、9月12日から公開される。同作は、10代から80代という“全年齢層”の心を掴んだことが快挙の大きな理由だ。本記事では、韓国の権利元に寄せられた多くの反響やSNSのリアクションの一部から、世代別の評価の理由を紐解いていく。
大都会ソウルに暮らすウンシム(ナ・ムニ)は、60年ぶりに“宝島”と呼ばれる故郷・南海(ナメ)へと帰り、親友のグムスン(キム・ヨンオク)の元へ身を寄せる。そこでウンシムは、かつて彼女に恋をしていたテホ(パク・クニョン)と再会、忘れていた記憶をひとつひとつ思い出し、懐かしさに心を躍らせる。だが、ウンシムが長年この地を離れていたのには理由があった。彼女の未来を決定的に変えてしまった16歳の頃の出来事と、波乱に満ちた人生が明かされていく。そして、互いの“今の真実”を知ったウンシムとグムスンは“最後のピクニック”に出かけ、「生まれ変わってもあなたの友だちになる」と誓う……。

高齢者女性ふたりの生き様を明るくもリアルに描き出す本作は、現代の韓国社会が抱える様々な問題も浮き彫りにしていく。ソウルでひとり暮らしをしている主人公ウンシムを例にすると、彼女の子どもと孫という3世代が直面する現実や苦悩、家族間の複雑な感情も丁寧に描写。そんな本作に対して、このような感想が寄せられている。
「映画を見ながら自分の親のことを思い出しました。今度は両親と一緒に観たいです」
「祖母が今も生きていたら一緒に観たかったです」
「一緒に見た祖母が作品に共感してくれて、私もいい時間を過ごすことができました」
「自分の話であり、両親の話を見ているようでした」
世代によって思い浮かべる相手は違えど、多くの人が本作を通して家族への思いをかき立てられたようだ。

ちなみにキム・ヨンギュン監督は、映画の感想を伝えるSNS投稿で特に印象に残ったものをこう紹介する。

80歳を間近にしたウンシムはある病が進行しており、彼女と60年来の親友であるグムスンも大きな身体的問題を抱えている。久々に再会したふたりはのどかな港町で穏やかな日々を送りながらお互いの今を知っていくことは、物語の大きな柱となる。
ふたりと年齢が近い世代の反応としては、このようなものがあった。
「私もこんな友達がいたらいいのに」
「私もふたりのように、ありのままに老後を準備したいです」
「今まで誰も興味を持たなかった私たちの話を映画にしてくれてありがとう」
「今回、初めて孫と映画館に行きました。また行けるように元気でいないと!」
一方で、10代女性は「この映画を見て、生きることとは、幸せに人生を全うするのはどういうことなのかを考えるきっかけになりました」、40代男性は「果たして自分は人生をどう生きていくべきなのかと考えてしまいました」、40代女性は「若い方々にとって、人生の意味を感じにくい時代のような気がします。こういう映画をこれからもたくさん作ってほしいです」と、本作を通じて自分の生き方や人生そのものに想いを馳せる感想は世代に関係なくあったようだ。

そんな人生の機微に迫る本作の魅力が伝わる本編映像も披露された。
60年ぶりに美しい海沿いの町・南海に帰った主人公のウンシムは、親友グムスンの元に身を寄せ、かつてウンシムに恋をしていた同級生のテホも交えて様々な交流をしていた。しかし、ウンシムは事業で重大なトラブルを抱える息子のことが気がかりでいた。
同シーンは、美しい海の見える場所で3人がマッコリに舌鼓を打ちながら自分の子どもに何を遺せるかという切実な話を続ける場面を切り取ったもの。この場所で先祖から受け継いだ会社を守り続けてきたテホは、この町に浮上するリゾート誘致問題を踏まえて複雑な思いを吐露する。テホの言葉に何度もうなずくウンシムと、「生きてきた人生の跡は金には代えられないよ」とそれに同意するグムスン。酔っぱらってすっかりご機嫌になっていたテホは、突然踊り始めるのだった。それぞれに悩みを抱えながらも、こうして仲間たちと過ごす豊かな時間はいつまでも続くのだろうか――。
キム・ヨンギュン監督によると、テホがここで踊り出すことは台本に一切書かれておらず、パク・クニョンの即興による演技だという。
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