岡田将生、30年後は「浩市さんのような第一線の俳優になっていたい」【「アフター・ザ・クエイク」プレミア上映】
2025年9月10日 16:00

村上春樹氏の短編小説を基にした映画「アフター・ザ・クエイク」の舞台挨拶付きプレミア上映が9月9日、東京・テアトル新宿で行われ、主演した岡田将生、鳴海唯、渡辺大知、佐藤浩市と井上剛監督が出席。本作に対する思いと、30年に渡る本作の物語にかけて、30年後の夢を語った。
本作は、2000年に刊行された村上氏の短編集「神の子どもたちはみな踊る」(新潮文庫刊)に収録されている4つの短編をベースに、一部時代設定を変更、1995年から2025年の30年にわたる物語として新たに生まれ変わった。1995年の阪神・淡路大震災以降、それぞれ別の時代・場所で孤独を抱える4人の人生が交錯し現代へ繋がる、喪失と回復の物語だ。


満員の観客に迎えられた岡田は隣に立つ佐藤に「個人的な事ですが、浩市さんと僕のデビューの映画での初めての舞台挨拶以来、こうして並ばせてもらうことにとても緊張しています」と感慨無量の様子。これに佐藤は「そっか、岡田君があの時は16、7歳? 早いものですね~」と目を細めながら「なぜこんなしっとりした個人の話をしているのだろうか…」と照れ笑いを見せた。
井上監督は、村上春樹作品を実写化するに当たって、「読者が世界中にいて、それぞれの独特な読後感があって、それを裏切らないようにしたかった。震災そのものを扱うのではなく、そこから距離を置いている人を描いていて、そこに興味を持った。色々なイマジネーションを使って全スタッフ・キャストで取り組みました」と演出の狙いを明かした。

1995年のパートで、突然妻に別れを告げられた後、同僚の依頼を受け謎の“箱”を釧路へ運ぶ男・小村を演じた岡田は、「一言で言うと、意志がない男。台本を読みながら、この男はどこまで流れていくのかと思った。そして辿り着いた先で彼の瞳には何が映るのだろうかと思いながら演じました」と自身が演じた役柄について語り、村上春樹節の独特なセリフについては「村上さんの言葉が力を持っているので、自分でも発したいと思わせてくれる台本でした。その言葉をどこか違和感を持ちながら演じるのが正解だろうと思った」と、自身の解釈を語った。


2011年のパートで、家出少女の順子を演じた鳴海は、同じ兵庫県出身であり、憧れの俳優・堤真一との初共演に「インタビューでも大好きな俳優さんとして堤さんの名前を挙げていたくらいリスペクトしていて、こうしてしっかりとお芝居が出来て嬉しかったです」と感激した様子で語り、2020年のパートで宗教2世の善也を演じた渡辺は、「信じる、疑う、祈るとはどんなことなのか。監督と一緒にそんなことを考えました。それが演じる上での糧になりました」と自身の役作りについて明かした。


また、本作の内容にちなみ、それぞれが「30年後の夢」を発表。佐藤は「30年後? 俺は95歳だよ!?」と笑わせつつ「まあ、ね。たぶん一人で芝居をやっているのでは?」と生涯現役を宣言した。
一方、岡田は「これはボケた方が良いの? ま、ま、ま、真面目で良いの?」とトークのオチを任されて動揺しつつも「真面目に言うと、日本を代表する浩市さんのような第一線の俳優になっていたい。ずっとこのお仕事を続けられていたら」と明言した。これに佐藤は「それはボケだろ!?」と笑わせつつ、「まだ彼が16、7歳の頃に20年後の今こうなっていて欲しい気持ちはあったけれど、それが叶うかどうかは本人の努力次第。それを今こうして叶えている彼がそう仰るならば30年後も叶えられるのではないかなと。やはり本人の努力です」とエールを送った。

最後は、佐藤が「短編集の中でなぜこの3エピソードで、なぜ『かえるくん、東京を救う』が後日談になっているのか、それは本編を観ていただければわかります。そこからそこはかとなくリンクする匂いを感じ取ってもらえたら嬉しいです」と観客に期待を寄せ、井上監督は「阪神淡路大震災と地下鉄サリン事件の1995年から始まる物語で、そこからの30年の日本の色々な節目を描きました。物理的に地下で起きた事と、ここにいる4人のキャラクターの無意識の地下に潜っていくようなお話です。それを体感してもらえたら」とメッセージをおくった。
「アフター・ザ・クエイク」は、10月3日から全国公開。

(C)2025 Chiaroscuro / NHK / NHKエンタープライズ
フォトギャラリー
関連ニュース





