【第82回ベネチア国際映画祭】ベルナー・ヘルツォーク、キム・ノバクに金獅子功労賞 ジュリアン・シュナーベルに監督ばんざい賞
2025年9月4日 12:00

83歳を迎えたベルナー・ヘルツォーク監督が、現在開催中の第82回ベネチア国際映画祭で金獅子功労賞を授与された。旧友フランシス・フォード・コッポラ監督からトロフィーを手渡されたヘルツォークは、子どものような満面の笑顔を湛えて、「ベネチア国際映画祭からこのような賞をいただいて大変光栄です。わたしはつねに映画の優れた兵士であることを心掛けてきました。この賞はわたしの仕事に対するメダルのようだと感じます」と、感謝の気持ちを述べた。
また今回のベネチアでは、彼の3年ぶりの新作ドキュメンタリー「Ghost Elephants」が披露された。アンゴラに生息する伝説的な象、ゴースト・エレファントに取り憑かれた探検家、スティーブ・ボイズとともに旅をするヘルツォーク自身がナレーションも務め、その飽くことなき情熱と好奇心が観る者にも感染するネイチャー・ドキュメンタリーだ。映画祭の数週間前に完成し、現在はすでに次回作にも取り掛かっているという彼の、尽きないエネルギーに圧倒される。
例年2人に与えられる金獅子功労賞のもうひとりは、アルフレッド・ヒッチコックの「めまい」(1958)などで有名なキム・ノバク。92歳とは思えないほど矍鑠(かくしゃく)としており、現地でマスタークラスを開催するとともに、アレクサンドル・O・フィリップ監督による新作ドキュメンタリー「Kim Novak’s Vertigo」も披露された。映画のなかでノバクはインタビューに答え、スタジオにスカウトされ、ハリウッドのスターシステムのなかで育ってきたことで、つねに人の意見により動かされてきた辛さを語っている。
現地時間の9月3日には、新作「In the Hand of Dante」を披露したジュリアン・シュナーベルに、カルティエ・グローリー・トゥ・ザ・フィルムメーカー2025(監督ばんざい)賞が授与された。現代美術アーティストであると同時に、映画監督としてほぼ30年にわたり独自の作家性を示してきたそのキャリアをたたえたもの。レッドカーペットには、新作の主演を務め、数日前にはギレルモ・デル・トロの「フランケンシュタイン」でも登壇したオスカー・アイザックが駆けつけた。
その新作は、ダンテの「神曲」の手稿をめぐる物語で、ダンテの生きた14世紀と、彼の手稿を入手しようと企む怪しい資産家が登場する現代が、パラレルに進行する。アイザックを囲み、ガル・ギャドット、アル・パチーノ、ジェイソン・モモア、ジェラルド・バトラー、ジョン・マルコビッチなど、贅沢なキャストが揃った150分の野心作。ただしユニークな発想が映画としてうまく機能しているかと言われるとやや疑問が残る。いずれにしろ、アーティスト、シュナーベルらしい型破りなアイディアだ。(佐藤久理子)
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