オダギリジョー“7月5日の予言”気にしていた?「何も起きなかったですね。良かった」
2025年7月5日 22:30

「美しい夏キリシマ」の脚本などで知られる松田正隆による同名戯曲を映画化した「夏の砂の上」の公開記念舞台挨拶が7月5日、東京・TOHOシネマズ日比谷で行われ、主演・共同プロデューサーを務めたオダギリジョー、共演する髙石あかりと玉田真也監督が登壇した。
冒頭の挨拶で、オダギリは「読後感のある映画は、最近少ないのかなと思いますし……」と本作について語り始めると、「あっ!」と何かに気づいた様子。「何も起きなかったですね、今日? 良かったです。今日の舞台挨拶もなくなると思っていた」と一部で取りざたされていた“7月5日の予言”に触れて、客席の笑いを誘っていた。


また、髙石は本作の撮影中に、連続テレビ小説「ばけばけ」へのヒロイン抜てきが決まったそうで「本当は言いたかったですけど、もちろん言っちゃいけないので」と厳しいかん口令を告白。「実は、受かると思わなくて、現場で『先日大きなオーディションで最終(面接)行ってきたんですよね』ってお話してしまって(笑)」と振り返ると、「それは覚えていないけど、やっぱり、ああいうのって言っちゃいけないんだ」(オダギリ)、「オダギリさんだけには言えない(笑)」(髙石)と、軽妙なやりとりが披露された。
先日閉幕した第27回上海国際映画祭のコンペティション部門に、日本映画で唯一招待され、審査員特別賞を受賞。日本映画として23年ぶりの快挙を果たしたばかりだ。現地入りし、授賞式にも出席したオダギリ、髙石、玉田監督は、日本の観客に喜びを生報告した。
オダギリは「審査員長がジュゼッペ・トルナトーレさんで、『ニュー・シネマ・パラダイス』を撮った伝説的な人が、一押ししてくれたのが、とても光栄」。髙石は現地での“オダギリ人気”に驚かされたといい、「写真やサインを一番求められていた。世界に名前が知られているんだと改めて思った」と敬意を表し、当のオダギリは「それ、いろんなところで言ってください」と照れ笑いを見せた。

息子を亡くした喪失感から人生の時間が止まり、妻に見限られた小浦治(オダギリ)は、奔放な妹になかば押し付けられる形で、父親の愛を知らずに育った姪・優子(髙石)との共同生活を始めることに。それぞれの痛みと向き合いながら、小さな希望の芽を見出す姿が、切なさと温かさを交差させながら描かれる。
脚本にほれ込み、共同プロデューサーを買って出たオダギリは「最近、海外の映画祭に行くと『日本のいい作品が少ないね、映画祭に来ないね』って言われる。そういうのはさみしい」と憂いを明かし、「作家性が高く、芸術的な作品が海外に届けられる。文化として、そんな幅広い土壌の豊かさが必要。『ババンババンバンバンパイア』も良いし、こちらも良い」とエンターテインメントの多様性を訴えた。

髙石は「撮影中から、俳優人生が大きく変わっていくだろうなと思っていた作品。賞までいただき、本当に変わっていくんだろうなと。私にとっては、映画の見方、脚本の読み方を教わった作品」だと深い思い入れ。玉田監督にとっては、自身の劇団「玉田企画」で上演した作品でもあり、「分からなさや不可解さが溢れている映画。いまは、すぐに共感できるもの(作品)がたくさん散らばっているが、人生を振り返ると、共感だけが身の回りにあるわけじゃない」と、本作がもたらす静かな余韻について語った。
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