オダギリジョー、主演&共同プロデュース「夏の砂の上」 第27回上海国際映画祭コンペ部門に日本作品で唯一招待
2025年6月17日 21:30

俳優のオダギリジョーが6月17日、主演作「夏の砂の上」の完成披露イベントに出席した。読売文学賞で戯曲・シナリオ賞を受賞した松田正隆による傑作戯曲を映画化。脚本を読み、共同プロデュースを買って出た作品で、「作家性が強く、脚本もすごく良いのに、『お金が集まらないので作れません』じゃあ、もったいない。作品を実現させるため、少しでも自分が助けられることがあれば」と、思い入れの強さを語った。
「ある船頭の話」(2019)で長編映画を初監督し、国際的な評価を獲得したオダギリ。本作では共同プロデューサーとして、「編集と音作りに参加させてもらった。監督をやるときも、仕上げにこだわっているので」。音響に関しては、劇場での鑑賞を想定していると明かし「スマホでは100パーセント伝わらないので、劇場で見てもらうことが作品にベスト」と説明し、「多くの人が劇場に足を運んでもらうと、映画が文化として続いていくと思う」と、劇場鑑賞への熱い思いを語った。

長崎を舞台に、息子を亡くした喪失感から人生の時間が止まり、妻に見限られた小浦治(オダギリ)は、奔放な妹になかば押し付けられる形で、父親の愛を知らずに育った姪・優子との共同生活を始めることに。それぞれの痛みと向き合いながら、小さな希望の芽を見出す姿が、切なさと温かさを交差させながら描かれる。
完成披露イベントには、オダギリをはじめ、髙石あかり、松たか子、満島ひかり、森山直太朗、高橋文哉、光石研、玉田真也監督が出席した。「ベイビーわるきゅーれ」シリーズで人気を博し、25年度後期のNHK連続テレビ小説のヒロインにも抜擢された髙石は、治の姪・優子を演じ「自分にとって大切な作品ができました」と胸を張った。


松は治の妻・小浦恵子役を務め、悲しみを共有し共に再スタートすることができない夫への静かな怒りを表現する。オダギリとは「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」「大豆田とわ子と三人の元夫」などで共演しており、「久しぶりでうれしかった。オダギリさんが手にとったシナリオがどんなものなのか興味があった」と、出演を決めた理由を説明した。
満島が演じる役どころは、父親のいない優子を兄の治に預け、男の元へはしる奔放な妹・阿佐子。「私にこういう役が来るんだって。共演していそうで、していないオダギリさんと兄妹を演じられて、大好きな松さんも現場にいて。それであかりちゃんのお母さんを演じるなんて」と大喜び。娘を演じた髙石は、「満島さんはとにかくお会いしたかった。緊張するかなと思ったが、満島さんが放つオーラとパワーに包まれて、のびのび自由に楽しい撮影を過ごせた」と感謝していた。

原作となった戯曲は、平田オリザが1998年に舞台化して以降、幾度となく舞台で上演され、22年には田中圭主演、栗山民也演出で上演された。玉田監督にとっても自身の劇団「玉田企画」で上演した思い入れの深い作品だ。「自分にとって、オダギリジョーさんは特別な俳優。2000年代初頭、面白い邦画にはだいたいオダギリさんが出演していた」と敬意を表し、「そのオダギリさんが、作品をつくる過程までご一緒してくださるなんて思わなかった」。豪華なキャスティングは、共同プロデューサーとしてのオダギリの存在も大きく「皆さん、いつかお仕事をしたいと思っていた方々。その皆さんのお芝居に負けないように、僕もベストを尽くした」と、達成感を示した。
現在、中国・上海で開催されている第27回上海国際映画祭のコンペティション部門に日本作品で唯一、招待されており、映画祭には、主演&共同プロデューサーのオダギリをはじめ、髙石と玉田監督が現地入りする予定。関係者によると、6月20日に行われる公式上映は、約1000席がわずか10分で完売したといい、現地でも高い注目を浴びている。
「夏の砂の上」は7月4日公開。
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