ジャン=リュック・ゴダールの思考を体感する日本初の展覧会、新宿・歌舞伎町で開催
2025年7月4日 07:00

ジャン=リュック・ゴダール日本初の展覧会、《感情、表徴、情念 ゴダールの「イメージの本」について》展が、7月4日~8月31日新宿・歌舞伎町の王城ビルで開催される。3日に報道および関係者向け内覧会が行われた。
カルチュア・コンビニエンス・クラブでアートの生活提案を行うCCCアートラボが映画とアートの鑑賞体験を提示する企画で、これまでにドイツ、スイスなどで行われてきた同展の日本初開催となる。展覧会は、ジャン=リュック・ゴダール監督最後の長編作品であり、カンヌ国際映画祭史上初の「スペシャル・パルムドール」を受賞した「イメージの本」(2018)を映像インスタレーションとして再構成したもの。後期ゴダール作品にかかわり、映画「イメージの本」のプロデューサーで、スイスの映画作家ファブリス・アラーニョ氏がアーティスト、キュレーターを務める。

「イメージの本」は、1世紀以上にわたる歴史、戦争、宗教、芸術などの変遷を、さまざまな映画の引用でコラージュし振り返る5章立ての映画だ。

展示は会場となる王城ビルの1階から4階で展開される。美術館のような明るく整然とした環境ではなく、ほの暗い廃墟のような趣もあるビル各階で同作の各章をさらに断片化した映像および音声を会場内のスクリーンにランダムに投影し、作品中で引用されている思想、社会学、文学、絵画などに関する書籍、ゴダール自筆のメモを用いたランプシェード、映画で言及されるアラブ世界を想起させるようなカーペット類を用いて、「イメージの本」を立体的に再構築する。展示書籍類は手に取り、館内に配置された椅子やソファに座って読むことができる。


アラーニョ氏は、「ゴダールが映画を作るときの考え方、頭の中に入り、その時間と空間を体験できる場所。鑑賞者として、そして旅人のように見てほしい。また、自分で編集する映画のイメージを膨らませてほしい」と、本展の狙いを語る。そして、「ゴダールとは様々な手法を通して、映画の作り方を模索してきた。本展は映画とは何なのか? ゴダールとはどういう人物だったのか? それを振り返る実験的な試みであり、展示はフレスコ画のようなもの」と説明した。


カルチュア・コンビニエンス・クラブの門司孝之氏は、「ゴダールは難解な作品が多い印象がありますが、インスタレーションというアートのフィルタを通して説明できる展示になると思った」と本展実施の経緯を語る。そのほか、ゴダール作品をはじめ、近年は往年の名作映画のレストア版リバイバル上映が盛況であることに触れ「若い方は初めて見る感覚を持っており、そういった波にも乗っていきたい」と言い、王城ビルを会場としたことには「アングラ文化が発生したカッティングエッジな場所。レトロな魅力とアートの組み合わせの化学反応を狙いたい」とコメントした。

「イメージの本」を既に鑑賞している人にとっては、新たな視点でゴダールの思考および作品を再発見でき、また、映画を見ていなくとも、ゴダールが選んだ断片的な映像、引用物から、芸術、映画のみならず過去から現在、そしてこれからの世界のあり方を考えるきっかけを与えてくれる場となっている。


ジャン=リュック・ゴダール《感情、表徴、情念 ゴダールの「イメージの本」について》展は、新宿・王城ビルにて7月4日~8月31日開催。会期中は物販、カフェ営業なども行われる。チケット料金は一般2,200円(税込)。公式サイト(https://godardtokyo.com)で告知している。

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