赤を基調としたファッション、K-POPの大ヒット曲「Bad Girl Good Girl」に込めた意図は? 「ラブ・イン・ザ・ビッグシティ」監督がポイント解説
2025年6月12日 18:00

キム・ゴウンとノ・サンヒョンが共演した「ラブ・イン・ザ・ビッグシティ」が、6月13日に公開される。6月5日、キャストとともに来日したイ・オニ監督に、「キム・ゴウン演じるジェヒの、赤を基調としたファッション」「ラストシーンを飾るK-POPのヒット曲、『miss A』の『Bad Girl Good Girl』」などに込められた意図を聞いてみた。
本作は、イ・オニ監督が、世界三大文学賞のひとつである国際ブッカー賞や、国際ダブリン文学賞にノミネートされたパク・サンヨンのベストセラー小説を映画化するもの。エネルギッシュなジェヒ(キム・ゴウン)は、世間のルールに縛られず、恋愛と夜遊びを全力で楽しみながら生きている。一方、フンス(ノ・サンヒョン)はゲイであることを周囲に隠しながら、孤独と向き合う日々を送っていたが、ジェヒに刺激され、徐々に外の世界へと踏み出していく。

ジェヒの自由奔放で、恋愛に猪突猛進な姿は、時に世間の誤解を生む。それを危惧したフンスが「恋愛は赤い服みたいなもんだ、一度着ただけで“赤い服の女”と呼ばれ続ける」と語るように、“赤”は強烈なインパクトを残す色。ポスターでは、真っ白なウエディングドレスに赤いコンバースを合わせるファッションが“ジェヒらしさ”を象徴しており、劇中では、赤色の小物が印象的に登場する。

ゲイであることを知られるのを恐れ、目立たないように生きていたフンスの前に颯爽と現れたのは、動き出したバスを強引に止め、時間ギリギリにも関わらず堂々と乗り込んでくるジェヒ。バス停まで彼女が乗ってくるのは、赤のスクーターだ。そして、フンスの「赤い服」についてのセリフを聞いたジェヒが、試着室から出てくるときに身につけているのは、赤のミニスカート。彼女らしさを表現するシーンには、赤色の小物が差し込まれている。
「赤というのは“代わりのきかない色”でもあります」と語るイ・オニ監督。「人目につく、際立つものとしてジェヒを表現できる色はないのかと、“色”を探していたんですね。その結果、“赤”というのがジェヒのカラーになりました。言葉で伝えるよりも映像でパッと見た時に、そのキャラクターがスッと入ってくるような表現を模索しましたね」と明かしている。そんなジェヒが社会人になり、周りになじもう、そのために妥協しようとするなかで、“自身の色”は消えていくが、あることをきっかけに、自分らしさを取り戻す。

一方のフンスは、学校ではグレートーンのファッションだが、自分を解放できるクラブに行くと、違う色味のファッションに身を包む。本作において色彩は、演出の大きなポイントとなっている。
シャネルのグローバルアンバサダーを務めるなど、ファッショニスタとしても知られるキム・ゴウンはジェヒを表現する際、「意図していないところで肌が見える衣装になるようにしました」と振り返っており、ジェヒの性格のディテールをビジュアル面で表現。こうしたセリフでは語られない細かい心情やキャラクター性が、ファッションや色彩に表れている。

そして、試写会や先行上映で「感動しすぎて涙ボロボロ」「思い出すだけで泣ける」「またすぐに見たくなる!」という声が続出し、さらにお笑いコンビ「トレンディエンジェル」の斎藤司も「10回以上見直した」と語る圧巻のフィナーレシーンで登場するのが、K-POPの大ヒット曲として知られる4人組ガールズグループ「miss A」の「Bad Girl Good Girl」だ。
2010年7月にアルバム「Bad but Good」でデビューした「miss A」。タイトル曲としてリリースされたこの曲は、発売と同時にヒットチャートを独占し、10年の年間チャート1位を記録しており、「miss A」の代表曲ともいえる。
同居生活を送っていた青春時代のジェヒとフンスは、部屋でパックをしながら、この曲を聞いていた。社会に出て人生に葛藤し、それでも自分らしさを貫き通したふたりの人生の晴れの舞台で、再びこの曲が印象的な役割を果たす。

「私みたいな女は初めてみたいだけど なぜ決めつけるの? もしかして私が怖い? 外見はバッドガール 中身はグッドガール うわべだけしか知らないくせに」といった歌詞は、ジェヒがずっと抱えてきた心情と重なる。この楽曲を選んだ理由について、イ・オニ監督は、「もともと原作では違う曲が使われているんですけれども、この映画の背景になっている時期にあった、この映画に合った新しい曲を見つけたいなと思っていました。プロデューサーからこの曲を提案されて、聞いた瞬間『これだ!』と決めました。この曲を変えるということは一切考えたことがなかったです」と、歌詞と物語の強い因果関係を解説する。
キム・ゴウンとノ・サンヒョンも、同楽曲が登場するシーンを「1番好き」といい、「このシーンのために走ってきた」と、強い思いを抱いている。価値観の押し付け、ルッキズム、ハラスメント――そうした“過去の価値観”からの脱却を女性目線で歌う楽曲と、ジェヒとフンスが紡いできた13年の物語がぴったりと重なりあい、最高潮にエモーショナルなシーンとなっている。
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