大宮に“住める映画館”が誕生! こだわりの設備、カフェの絶品ピザ…長居したくなる心地良いミニシアターOttO
2025年6月11日 15:00

映画館に住んでみたい! そんな映画ファンの願いをかなえる、前代未聞の施設が大宮に誕生しました。映画.com編集部が大宮駅ほど近くに今春オープンしたミニシアター兼シェアハウスOttOを訪問しました。
OttOは1階がカフェ、3~5階がシェアハウスという形態の“住める映画館”。代表の今井健太さんが、義父の所有していたアパート建て替えを機に、人と文化が交わる場となるOttOを構想し、「地域の人、世代、住まいと映画館とカフェ……様々な境界を越えた場所にしたかった」とその意図を語ります。

今井さん自身が空調設備業を営んでいたことから、設計、内装など各方面で実績のあるプロフェッショナルたちに声をかけ、住居として、そしてエンターテインメント施設としても魅力的なユニークな建物が完成。映画館の肝となる、上映設備、プログラミングもそれぞれの専門の会社やスタッフが携わっています。

OttOは大宮駅から徒歩5分ほど。エントランスには、まるで映画の中から出てきたようなかっこいいクラシックカー、シボレーのエルカミーノが停められており、上映作品を告知する掲示板を確認できます。ラインアップはシネコンではなかなか見ることのできない、ミニシアターならではの話題作や映画通必見の良作がメイン。「トイレだけの利用も歓迎」という、寛大なメッセージも発見しました。

1階と半地下がカフェスペースになっており、カウンター、テーブル、ソファ席と人数や気分に応じてくつろげる空間が広がっています。コーヒーやお茶類、各種ソフトドリンクのほか、アルコールも注文できます。筆者の一押しフードはカフェ内で焼くこだわりのピザ。和歌山県産釜上げしらすピザを選びましたが、もう1枚テイクアウトしたくなるほど絶品でした! ピザは一人でも食べきれるハーフサイズで注文できるのもうれしいところ。次回来訪時には、オーソドックスなマルゲリータなども試してみたいです。


シネコンのポップコーンやホットドッグも美味しく楽しめるものですが、こちらのフード&ドリンクはリーズナブルなのに本格的で満足度が桁違い。カフェ内の本棚にある映画やカルチャー系雑誌、書籍も手に取って読めるので、のんびりひとり時間を味わうもよし、誰かと語らうのにもぴったりのカフェです。駅周辺の繁華街から程近く、また数多くのマンションも立ち並ぶ住宅地であることから、ふらっとカフェのみ利用するお客さん方が見られたのも印象的でした。


カフェタイムを楽しみ、いよいよメインの映画鑑賞です。この日の上映ラインナップは「教皇選挙」「どうすればよかったか?」「The Swimming Clown 水の導化師の物語」、フランシス・フォード・コッポラの70~80年代作品特集から「アウトサイダー コンプリート・ノベル」、そして「Ryuichi Sakamoto | Playing the Orchestra 2014」の4本。「The Swimming Clown」は、妻夫木聡さん主演「ウォーターボーイズ」を監修した元水泳選手で水中パフォーマー、不破央さんのドキュメンタリー。現在自主上映のみで、今はOttOでしか見られないスペシャルな作品です。この映画目当てに五輪メダリストもこちらに来場したのだとか。


OttOのシアターは全53席。シートは段差のある設計で、全席心地の良いシート、最前列は寝そべり可能なふたり掛けソファクッション席に車いす専用席と、どこからでも快適に鑑賞できる仕様になっています。実はここ、坂本龍一さんが音響監修した「109シネマズプレミアム新宿」を手掛けたチームが、ミニシアターであるOttO用に特別に設備をインストールしているのです。


この日、筆者はコッポラ初期の青春映画「アウトサイダー コンプリート・ノベル」(4Kレストア版)を見ました。若き日のマット・ディロンやトム・クルーズのフレッシュさに驚き、劇中に流れるエルビス・プレスリーの楽曲もかっこよく、エンドロールまで目も耳も釘付けに。どうりで音が良いはずです。そして、ここで見るしかないのでは? と、予定していなかった「Ryuichi Sakamoto | Playing the Orchestra 2014」も続けて鑑賞することに。お元気だった頃の坂本龍一さんの姿に胸が熱くなり、実際にサントリーホールにいるような気分でオーケストラの演奏に没入できました。


筆者は「109シネマズプレミアム新宿」を何度も訪問しており、音響をはじめ上映環境の素晴らしさは、もちろんそのお値段に見合うプレミアムなものだと実感しています。「109シネマズプレミアム新宿」が特別な日に行きたい映画館だとしたら、OttOは一般的な映画館と同料金で、カジュアルに高品質な鑑賞体験ができ、コンパクトな施設だからこそ、同じ作品を観に来たお客さん、そしてスタッフさんたちの思いなど、親密さを感じられることが魅力のミニシアターだと思いました。例えば休日に映画を見に来て、ゆっくりカフェでくつろいで、またもう1本見て……となんだか長居したくなってしまうのです。


そのほか特筆すべきは、上映中にぐずってしまったり、動き出してしまうような小さなお子さん連れでも安心して映画を楽しめる、別室の観賞スペース「親子鑑賞室」がスクリーンフロアの上方に設置されていること。ご家族だけでなく、人の大勢いる場所が苦手な方や、おしゃべりしながら見たい少人数グループなど、大人のみの利用も可能です(要事前予約)。


駅チカ、高品質環境で良作を上映、ふらっと寄ってみたくなるカフェと、ここまで紹介した設備でミニシアターとして十二分に魅力的なOttOですが、なにより特別なのがシェアハウスを兼ねていることでしょう。なんと、入居者は月4回まで無料で映画が鑑賞できるのだそう。全25室、Wi-Fi完備の個室で、ロフト付きや女性専用フロアもあります。共用のキッチン&リビングはシアターと同じ2階に位置しており、生活環境のすぐ隣に映画館がある、という日常と非日常が同居する、ユニークな暮らしを体験できます。


鉄筋コンクリートの耐震性ある建物に、リアルな木材をつかった床、コンパクトながらもスタイリッシュで使い勝手の良い個室は、自分だけの秘密基地のように暮らせそうです。大宮は都心へのアクセスよく、各種商業施設や飲食店が充実しているので一人暮らしの映画ファンはもちろん、フリーランス事業者の仕事場としても、もしかしたら映画をきっかけに、思いもよらぬアイディアが浮かんだり……と良い影響を与えてくれそうです。家賃は7万円~(共益費別)。6月現在、いくつか空室があるので気になる方はぜひ、公式HP(https://otto-extended.com/)をチェックしてみてください。

東京中心の視点で申し訳なく、そして「翔んで埼玉」ではありませんが……埼玉、そして大宮にこれまで目的を持って足を運ぶことがほとんどなかった筆者も、アクセスも居心地も良いOttO目当てに、大宮に映画を見に行きたい! そう思えるお気に入りのスポットになりました。埼玉はじめ関東近隣の映画ファンのみなさんはもちろん、これから新しい暮らしを始めてみたい映画ファンの方々にぜひお勧めしたい唯一無二の施設、是非体験してみてはいかがでしょうか?
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