ジョン・クラシンスキー&ナタリー・ポートマン、ガイ・リッチー監督と過ごした意義深い撮影期間に思い馳せる【「ファウンテン・オブ・ユース 神秘の泉を探せ」インタビュー】
2025年5月21日 12:00

「ファウンテン・オブ・ユース 神秘の泉を探せ」(Apple TV+で5月23日から配信)は、「インディ・ジョーンズ」や「ハムナプトラ」といった系譜にあるアドベンチャー映画だ。秘宝探しの達人(ジョン・クラシンスキー)が人生を変える冒険に出るためにチームを招集するが、至るところで待ち受ける難敵をかわすには、さらに優れた頭脳の持ち主が必要だった——そこで白羽の矢が立ったのが疎遠になっていた妹(ナタリー・ポートマン)。考古学者だった父の死をきっかけに別々の道を歩んできた兄妹が伝説の「若返りの泉」を求めて手を組む、世界を股にかけた冒険を描く本作。メガホンをとるのはヒットメーカーのガイ・リッチー監督だ。
本サイトは「トム・クランシー CIA分析官 ジャック・ライアン」や「クワイエット・プレイス」シリーズのクラシンスキーと、「ブラック・スワン」でアカデミー賞を受賞したポートマンの2人に、本作の魅力をたっぷりと語ってもらった。(取材・文/小西未来)

ポートマン「そうね、このような冒険映画で兄と妹の関係性が中心にあるのって珍しいと思う。それが、私がシャーロット役をやりたいと思った大きな理由のひとつだったわ。一人っ子だった私はずっと兄弟姉妹がほしいって思っていたから、この映画では長年の妄想をついに形にできたの(笑)」
クラシンスキー「(そこが)この映画に惹かれた最大の理由だよ。ラブストーリーじゃなくて兄妹のライバル関係っていう面白い設定だし、それをナタリーみたいな素晴らしい女優と演じられるなんて最高だった。彼女はこれまで様々な印象的な役をやってきたけれど、今回は彼女の面白さが全開で出ている。実際、彼女はめちゃくちゃ面白くて、撮影初日から爆笑の連続だったんだ。それと、ラブストーリーだと相手のことを徐々に知っていくけど、兄妹だと会った瞬間からお互いのすべてを知ってるから、いきなり口喧嘩が始まる(笑)」

クラシンスキー「その関係性がこの映画をとてもユニークにしてると思うんだよね」
クラシンスキー「そう言ってもらえてすごく嬉しいよ。ナタリーは、もし僕に姉妹がいたらこんな感じだろうなっていう存在だったんだ。それがすべての秘訣かな(笑)」
クラシンスキー「最初にウィーンで一緒に仕事を始めた時のことを覚えているよ。彼女は僕の家族との食事に来てくれて、それがとても楽しかったんだ。画面上での初めての大きなシーンじゃなくて、もっとカジュアルな状況から始められたのは本当に助かったよ。ナタリーがこんなにファニーだっていうのは、嬉しいサプライズだったな。毎日撮影現場で笑い合って、カメラを回していない時もお互いに冗談を言い合っていたんだ」

ポートマン「ジョンと仕事するのはすごく楽しかったわ。役者として素晴らしいだけでなく、優れたコメディアンだし、実生活でもとても面白い人なの。すぐに私をリラックスさせてくれたわ。彼は私より先に撮影を始めていたから、いろいろ教えてくれたの。そうね、私たちのバックストーリーで思いついたのは、たぶん母親が違うということかな」
ポートマン「一人はすごく背が低くて、もう一人はすごく背が高い(笑)」
ポートマン「その通り(笑)」

クラシンスキー「素晴らしい質問だね。脚本を読んだ時にも確かに共感したけど、ガイ(・リッチー監督)と話すうちにさらに深まったんだ。毎朝彼とは哲学的な話をした。若返りの泉とは何か? それはどんなものだと思う? どうあってほしい? って感じでね。そんな彼の問いが素晴らしい会話に繋がっていった。そして、僕らは気づいたんだ。本当の『若返りの泉』とは目的地じゃなくて、そこに至る旅そのものなんだって。目的を追求する過程こそが、本当の宝物なんだよね。
だからこそ、人生であなたに幸せをもたらすものはなにか? 変えたいことはないか? もっと上手になりたいことはあるのか? といった問いは本当に興味深いと思ったんだ。結局のところ、自分のなかにある力でなんにでもなれるものなんだよね」
ポートマン「それこそ、俳優として日々経験していることね。私たちは一つの人生しか生きられないけど、俳優として様々なキャラクターを演じることで、複数の人生を生きるのに最も近いことができるの。一つの道だけを歩むのは何か制限されているような感じがするでしょう? そして、違う道を選んでいたらどうだったかとか、若い頃に戻って何か違うことを試せたら……、なんて考えるもの。俳優として、他の職業よりもそういったファンタジーを少し体験できるから、とても感謝してるわ」

クラシンスキー「彼からはすべてを学んだよ。ずっと仕事をさせてもらいたいと思っていたんだ。俳優としてだけじゃなく、とにかく彼の仕事を間近で見たくて。彼がどうやってあの魔法みたいな映画を作るのか、ずっと知りたかったから。
彼の本当の魔法は、映画作りへの圧倒的な愛なんだ。彼は撮影現場にいる時が一番幸せだと言っていて、それは誰の目にも明らかだったよ。その熱意がすべてのスタッフや出演者に伝染する。だから俳優たちが彼のことを心から好きなんだろうね。彼も俳優たちを愛してるし、一緒に作る映画も愛してる。すごいと思ったのは、どんな難題が出てきてもまったくストレスを感じないこと。完全に冷静で、何が起きても動じない。それを見て感激したよ。僕にとってはそれほど簡単じゃないだろうけど、いつか挑戦してみたいよ」

ポートマン「本当に特別な経験だったわ。彼はとてもユニークな監督なの。会話のリズム、動作、ジェスチャーまで、細部へのこだわりがすごいのよ。毎朝、彼のトレーラーに集まって美味しい食事を囲みながら、その日の撮影について話しあうの。単なる演技指導じゃなくて、哲学や人生観、キャラクターの内面まで掘り下げる深い会話で。それがとても素晴らしい環境だったわ。とにかくたくさん笑ったわ」
クラシンスキー「それが本当だったらすごいよね。僕にとっては完全なメタユニバースが一周回って戻ってきたみたいなものだから。昔はこういう映画に出ることを夢に見ていた。そして今、かつて想像していた映画に実際に出演するなんて、もう完全にクレイジーだよ。特に記憶に残ってるのは『インディ・ジョーンズ』だ。彼はマントを着ていない初めてのヒーローだった。頭脳と意志の力だけで活躍するスーパーヒーローで、それがすごくかっこいいと思ってたんだ」

クラシンスキー「まさにその通り! この業界にいるのはスリリングで刺激的だし、時には大変なこともあるけど、毎日感謝している。子どもの頃に夢見ていたことを実現できて、この想像の世界で遊び続けられるのは、本当に幸せなことだと思うんだ」
ポートマン「私も全く同じように感じるわ。この映画は素晴らしい例ね。もちろん完成した作品を誇りに思うけど、一番心に残るのは一緒に働いた人たちとの時間よ。毎日笑って、素敵な場所を旅して、みんなで何かを創り上げていく過程。さっきの話と繋がるけれど、結局は旅そのものが宝物なのよね」

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