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【全州国際映画祭】在日コリアン女性たちの生き方、選択を描くドキュメンタリー3作が上映

2025年5月8日 12:00

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全州国際映画祭は9日まで開催される
全州国際映画祭は9日まで開催される

韓国・全州で開催中の第26回全州国際映画祭で、在日コリアン女性を題材とした長編ドキュメンタリー映画3作がワールドプレミア上映された。

イ・イルハ監督の「ホルモン」は、日本で人材育成コンサルタント、文筆家、そしてコメンテーターと論客しての活躍でも広く知られる辛淑玉氏の活動と、家族の歴史に焦点を当て、日本の反レイシズム運動の高まりから、「ニュース女子」事件の最高裁判決まで密着したもの。辛氏が差別や偏見に立ち向かい続けた半生、仕事、社会運動への取り組みを自身の言葉で語り、上映後には観客から多くの質問が寄せられた。辛氏は、「政治が変わらない限り歴史は変わらない、差別意識も変わらない」と訴え、歴史を学ぶことの重要性を説き「私を強くしたものがあるとするならば、韓国の民主主義」と強調した。

「ホルモン」Q&Aの模様
「ホルモン」Q&Aの模様

「SHISO」(英題)は、在日コリアン3世で、8年前から韓国に在住する1991年生まれのキム・リヒョン監督による初長編作。タイトルの「SHISO」は和食の薬味やつまでおなじみのシソ。韓国ではシソに見た目は似ているが、風味が異なるエゴマが広く食されている。キム監督は韓国の自宅でシソを栽培し、長年日本で生活してきた自身と重ね合わせる。祖母、父母、姉妹、友人ら身近な人々にインタビューを行い、それぞれのアイデンティティ、韓日両国での暮らし、そして心に秘めた思いを、現代に生きる若者の視点から発信するドキュメンタリーだ。

「SHISO」Q&Aの模様
「SHISO」Q&Aの模様

辛淑玉氏、キム・リヒョン監督は、作品上映後のQ&Aに母親とともに登壇した。辛氏の母、桂子さんは「自分では表現できないことを娘がやってくれた。胸がいっぱい」と上映を喜び、韓国に住みたいと願っていたキム監督の母親は「私にはできなかったが、DNAを通して娘が夢をかなえてくれた」と涙をぬぐう場面も見られた。

イム・フンスン監督による「Memories Showers Seas」(英題)は、済州島4・3難民として日本に逃れた、在日コリアン1世のキム・ドンイルさんが作成した2000点以上のかぎ針編みや衣服という遺品、そして海をテーマに、詩人の金時鐘(キム・シジョン)氏、山梨県出身で芥川賞作家の故・李良枝(イ・ヤンジ)の妹イ・ヨンさん、アルビレックス新潟などで活躍した元プロサッカー選手の安英学(アン・ヨンハ)氏ら、現在日本で生活する在日コリアンそれぞれの人生と家族の歴史、共有される記憶などがアート的映像を交えて語られる。

あらゆる差別問題と闘い続ける辛氏の原動力に迫る「ホルモン」、若い世代のアイデンティティの葛藤をしなやかに描き出すキム監督の「SHISO」は、祖母、母、本人の3代にわたるファミリーヒストリーを辿りながら、自分の意志で生き方を選択できるようになった世代の女性が主人公の映画でもあった。3作の日本での上映、公開の機会を期待したい。

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